通年採用とは? メリット・デメリットや新卒採用との違い、成功のポイント
日本の採用市場は長い間、時期を限定しての一括採用がほとんどを占めていました。しかし近年は、少子高齢化による労働人口減少などの影響で企業の採用競争が激化し、一括採用だけでは必要な人材を十分に確保するのが難しくなっています。
こういった時代の流れを加味し、企業の人手不足を解消するため、年間を通して採用活動する「通年採用」が注目されるようになりました。
本記事では通年採用について、メリットやデメリット、通年採用を成功させるポイント、通年採用を行なうときの流れなどを解説します。通年採用を行なうべきか否か悩んでいる方は、ぜひ本記事をチェックし、採用活動にお役立てください。
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目次[非表示]
- 1.通年採用とは?
- 1.1.通年採用の現状
- 1.2.通年採用と一括採用の違い
- 1.3.通年採用と新卒採用の違い
- 2.通年採用のメリット
- 2.1.求める人材を採用できる可能性が高くなる
- 2.2.内定辞退があっても人材を補填しやすい
- 2.3.採用のミスマッチを防止しやすい
- 3.通年採用のデメリット
- 3.1.採用コストや工数が増える可能性がある
- 3.2.求職者へのアプローチ方法に工夫が必要
- 3.3.一括採用との兼ね合いが難しい
- 4.通年採用を成功させるポイント
- 4.1.人員確保・工数削減の工夫を行なう
- 4.2.求職者への理解を深める
- 4.3.複数の採用手法を組み合わせて行なう
- 5.通年採用を導入するときの流れ
- 6.通年採用におすすめのサービス
- 6.1.求人サイト
- 6.2.採用サイト
- 6.3.ダイレクトリクルーティング
- 7.通年採用の成功事例
- 8.まとめ
通年採用とは?
通年採用とは、企業が期限を定めずに年間を通して採用活動することです。これまで日本の採用市場を占めていた一括採用だけでは、必要な人材の十分な確保が難しくなってきたことから、近年注目を集めるようになりました。ここでは「通年採用と一括採用の違い」「通年採用の近年の動向」について解説します。
通年採用の現状
少子高齢化による労働人口の減少が続き、企業の採用競争が激化しているため、一括採用だけでは十分な人材を確保できず、通年採用を行なう企業が増えています。日本経済団体連合会(経団連)が行なった「採用と大学改革への期待に関するアンケート」より、以下のグラフをご覧ください。
出典:一般社団法人 日本経済団体連合会「採用と大学改革への期待に関するアンケート」
グラフを見ると、新卒者に対して通年採用を「これまで実施」した企業は32.7%、「今後5年程先実施予定」の企業は55.2%と増えています。社会の労働人口割合が急激に変化し、採用競争が緩和するとは考えにくいため、今後も通年採用を行なう企業は増えていくと予想されるでしょう。
また、既卒者を通年採用で「これまで実施」した企業は92.7%。既卒者を「中途採用・キャリア採用」として通年で受け入れている企業は多いことがうかがえます。
新卒・第二新卒・既卒・中途の違いについては以下の記事で解説しておりますので、あわせてご覧ください。
通年採用と一括採用の違い
通年採用は、企業が期限を定めずに年間通して求職者を採用する採用方法です。新卒採用の場合、留学していた学生など、通常の採用時期に就活できない人材を採用できるメリットがあります。
中途採用の場合、年間通して転職を希望している人はいるため、常に求人募集をしておくことで、不足する人材を補うことができます。
また、通年採用はまとまった人数を同時期に採用する一括採用に比べて、求職者を1人ひとりじっくり見極めやすいのが特長です。自社に適さない人材を誤って採用してしまうなどのミスマッチを防止しやすくなります。
対して一括採用は、企業が期限を定めて、同じ時期に一括で求職者を採用する採用方法です。一括採用はまとまった人数を短期間で一気に選考し、効率よく採用できるメリットがあります。
通年採用と一括採用は、それぞれメリットが異なります。近年では、一括採用と通年採用を併用し、人材確保に努める企業が増えています。
通年採用と新卒採用の違い
先に述べたように、通年採用は期間を定めず、年間通して求職者を採用する採用方法です。対して新卒採用は、採用活動の期間が定められているケースが多くあります。
詳しい期間は企業の方針により異なりますが、毎年3月頃にエントリーが開始され、6月頃から面接などの採用選考がスタートするのが一般的です。企業は6月頃から3ヶ月程度、集中的に採用活動を行ない、来年度入社する人材を決定します。
しかし近年では、採用競争率が上昇している影響により、新卒採用にも期間を設けない企業が増えているようです。新卒採用を通年で実施すると、留学経験者など通常の採用時期には出会えない人材を採用できるメリットがあります。
通年採用のメリット
続いて、通年採用のメリットをより詳しく見ていきましょう。
求める人材を採用できる可能性が高くなる
一括採用が期間を決めて採用するのに対し、通年採用は特に期限を定めず採用を行ないます。求人への応募を1年間ずっと受け付けている状況となるので、一括採用の期間だけでは出会えなかった人材と出会い、採用できる可能性があるのです。
求職者との接点が増えるほど、多様な人材と出会える可能性も高くなります。その分、自社が求める人材を採用できる可能性も上がるでしょう。
内定辞退があっても人材を補填しやすい
採用方法を一括採用だけに限定すると、内定辞退者が出た場合、十分な人数をスムーズに補充できなくなる恐れがあります。しかし通年採用であれば、自社求人が年間通して公開されている状態なので、内定辞退者が出てもすぐに次の応募者が来てくれる可能性が高くなるでしょう。
また、通年採用は同時期に多くの人数を採用する一括採用と比べて、1度の内定者が少ない傾向があります。内定者1人ひとりのフォローがしやすくなるため、内定辞退が出にくいメリットもあるといえます。
採用のミスマッチを防止しやすい
通年採用は、選考1回あたりの人数が、一括採用に比べて少ない傾向があります。1人ひとりの求職者をじっくり見極められるので、採用のミスマッチを防止しやすくなるといえるでしょう。面接の回数や時間を少し増やしたり、一次面接の前にカジュアルな面談を設けたりするなど、求職者の本質を知るための機会をつくりやすくなります。
通年採用のデメリット
続いて、通年採用のデメリットを3つ解説します。
採用コストや工数が増える可能性がある
通年採用は一括採用に比べて、採用活動にかかるコストや工数が増える可能性があります。採用活動が長期化するので、求人サイトへの掲載費や、その他求人媒体の利用費などが高くなりやすいのです。
年間通して採用活動をするので、採用担当者の業務負担が増える可能性もあります。「採用コスト」というと求人サービスの利用料をイメージしがちですが、社内の人的コストも採用コストの一部です。例えば、通年採用でつねに募集を受け入れているのであれば、「毎日募集が来ていないか確認する人事の人件費」も採用コストです。
採用コストの詳細や一人当たりの採用コスト相場などは以下の記事で解説しておりますので、あわせてご覧ください。
▼採用コスト相場とは?節約術や削減事例まで徹底解説
求職者へのアプローチ方法に工夫が必要
通年採用では、自社求人が求人広告や採用サイトなどに長い間載り続けます。同じ文面だと応募効果が目減りしやすいほか、常に人手が不足している(=従業員が辞めている)印象になってしまい、求職者から「ブラック企業なのではないか…?」と勘違いされる可能性もあります。
通年採用を行なうときは、求職者へのアプローチ方法を工夫しましょう。定期的に求人の文面を見直して変更したり、「事業成績が良く成長しているからこそ人手が必要」という印象になるように、求人の見せ方を工夫したりする取り組みが必要です。
一括採用との兼ね合いが難しい
先にも述べたように、一括採用と通年採用は特徴が異なります。
一括採用 |
通年採用 |
・まとまった人数を短期間で一気に選考し、効率よく採用できる |
・通常の採用時期に就活できない人材を採用できる ・求職者を1人ひとりじっくり見極めやすい |
求める人材を十分に確保するためには、一括採用と通年採用をバランスよく併用できるのが理想的です。しかし金銭的・人的コストや、採用後の教育・研修にかかる手間などを考えると、両方をうまく運用することは難易度が高いといえるでしょう。
通年採用を成功させるポイント
通年採用のメリットとデメリットが把握できたところで、「通年採用を成功させるポイント」を3つ紹介します。
人員確保・工数削減の工夫を行なう
まず採用活動の人員を確保し、通年採用を実施するための体制を構築します。それと同時に、少しでも採用工数を削減できるよう工夫していきましょう。
たとえば「社員研修を行なって採用に携わる人員を増やし、採用チームを強化する」「採用工数を減らすため採用ツールを使う」「採用業務のうち事務的な作業をアウトソーシングする」などの取り組みを行なうとよいでしょう。
また、入社後の教育・研修にかかる人的リソースを削減するため、入社時期を年3回程度に限定したり、特に人手がほしい部署だけに絞って通年採用を行なったりするのもおすすめです。
採用業務のアウトソーシングについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてご覧ください。
▼RPOとは? 委託できる業務内容やメリット・デメリットなどを徹底解説
求職者への理解を深める
通年採用は一括採用と異なり、期間が限定されていないため、求職者が「どのタイミングで増えやすい/減りやすいか」などがわかりづらい状況となります。人手がほしい部署へ求める人材をしっかりと補充するためには、求職者への理解を深め、動向を予測して採用活動を展開する必要があるのです。
求職者の動向を探るためには、人材を補充したい職種に関して、「1年のうちどのタイミングで転職者が増えやすいのか」「どんな待遇/労働環境であれば求職者にとって魅力的に見えるのか」などをリサーチするとよいでしょう。以下のような方法が効果的です。
- SNSでキーワード検索し、求職者の声をチェックする
- 求人広告サイトを提供する企業に求職者の動向をたずねる
- 各省庁や政府が出している公的資料を確認する
また、中途採用市況における求職者の増えやすい時期・減りやすい時期については以下の記事でも解説しておりますので、あわせてご覧ください。
▼中途採用に最適な時期とは?|効果が出やすいタイミングを徹底解説!
複数の採用手法を組み合わせて行なう
通年採用は求人が年間通してずっと掲載され続けるため、時間が経つにつれて応募効果が薄れてきます。一定の応募数を担保したい場合は、求人広告を出すだけにとどまらず、複数の採用手法を組み合わせて活用した方がよいでしょう。
通年採用で使われる採用手法には、以下のものがあります。
- 求人広告サイトへの求人掲載
- 自社の採用サイトへの求人掲載
- ダイレクトリクルーティング
- リファラル採用
- SNS採用
- 人材紹介
このほかにも、自社のオウンドメディアを運用し、採用サイトや応募ページへ求職者を誘導するなど、さまざまな採用手法があります。求職者へのアプローチ方法を工夫し、応募数が目減りしないようにしましょう。
採用手法の選び方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
▼10の中途採用手法を比較|自社に合った採用手法の選び方
通年採用を導入するときの流れ
通年採用を導入するときの大まかな流れをご説明します。
- 自社で採用したい人物像を明確にする
- 事業計画などを加味しながら採用計画を立てる
- 人的リソースを確保して採用活動の体制を整える
- 具体的な採用手法・選考方法を決定する
- 内定者が入社したあとの教育体制を整える
通年採用の大まかな流れは上記のとおりです。企業によって採用活動に割ける人員やコストは異なるため、自社に適した採用計画を立てて、通年採用を行ないましょう。
採用計画の立て方はこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
▼失敗しない採用計画の立て方|ポイントを詳しく解説
通年採用におすすめのサービス
通年採用におすすめのサービスを2つ紹介します。下記のサービスを活用し、通年採用の成功率を高めましょう。
求人サイト
求人サイトには毎月多くの会員の登録があるため、通年で求人掲載しても新たな出会いがあり、通年採用に向いています。
求人サイトの中でもおすすめなのが、エン転職。 エン転職は会員数1000万人以上を誇る中途採用者向けの求人サイトです。
求人への応募率を高めるだけでなく、入社した人材の定着・活躍までを見越して、企業の採用活動をサポートしています。エン転職には、以下のような特徴があります。
- どの料金プランを選んでも掲載できる情報量が一律最大
- 条件面だけでなく「仕事のやりがい」も盛り込んで求人を魅力づけ
- 求人専門のディレクター・コピーライターへ採用について相談できる
- 「仕事の厳しさ」「向いていない人」の項目を設けてミスマッチを防止
通年採用でお悩みの方は、下記のお問い合わせ窓口よりお気軽にご相談ください。
採用サイト
採用サイトは自社で作成すれば、どれだけの期間求人を掲載しても料金がかかりません。通年採用にも適しています。
採用サイトを無料で作成できるサービスの中でもおすすめなのが、engage(エンゲージ)。engage(エンゲージ)は、40万社以上が導入する国内利用企業No.1の採用支援ツールです。
engageでは求人掲載のほか、無料で自社の採用サイトを作成できます。採用サイトをつくり、さまざまな角度から自社の魅力や仕事の魅力を発信して、求職者へアプローチすることが可能です。
利用料は無料なので、通年採用で1年通して求人掲載をしても料金はかかりません。
このほか、Indeedをはじめとする無料求人媒体への自動掲載など、通年採用を行なうにあたって応募数が目減りしないような機能が充実しています。詳細は以下のサイトをご覧ください。
▼エン・ジャパンの新サービス「engage(エンゲージ)」を解説
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、企業がスカウトメール機能などを使って欲しい人材へ直接アプローチできる採用手法のこと。求職者へ能動的にアプローチする手法なので、自社に適した優秀な人材を確保できる可能性が高くなります。
ダイレクトリクルーティングの中でもすすめなのが、エン転職ダイレクト。エン転職ダイレクトには、業界最大級のスカウトデータベースがあり、経験豊富な人材が多数登録されています。
採用のノウハウが豊富な専属カスタマーサクセスからのサポートも受けられるので、初めてダイレクトリクルーティングを行なう場合でも、安心して採用活動を進められるでしょう。
エン転職ダイレクトやダイレクトリクルーティングについては、以下の記事で詳しく解説しています。通年採用に効果的なツールを試してみたいとお考えの方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
▼エン転職ダイレクトとは?特徴・料金・他社サービスとの違いを解説!
通年採用の成功事例
最後に、通年採用の成功事例を紹介します。コープをはじめとする店舗事業や宅配事業、共済・サービス事業など、多くの事業を展開する「生活協同組合コープこうべ」の事例です。宅配ニーズの増加に対応するため、ルート配送員を10名以上増員するべく、エン転職でスタッフ募集を行ないました。
通年で採用を行なうにあたり、「高い応募効果を維持し続けるのが難しい」「採用担当者が超多忙で採用活動の継続が難しい」などの課題を抱えていましたが、以下の取り組みを行ない、1回の掲載あたり50名前後の応募数を確保して採用成功しています。
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詳しい内容を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
▼通年採用の成功事例。連続掲載の宿敵「応募数の目減り」を鮮やかに撃退!
まとめ
通年採用とは、企業が期限を定めずに通年で採用活動することをいいます。まとまった人数を同時期に採用する一括採用に比べて、「求職者を1人ひとりじっくり見極めやすい」「採用のミスマッチを防止しやすい」「内定辞退が出ても人員を補充しやすい」などのメリットがあります。
しかし、通年で求人を掲載し続けることにより、応募効果が目減りしやすかったり、常に人が辞めているように見えてしまったりするデメリットもあります。採用コストが上がりやすくなる点にも注意が必要です。
通年採用を行なうときは、「求人の見せ方を工夫して応募効果を保つ」「コスト削減に取り組む」などの工夫をすると、求める人材を採用できる確率が上げられるでしょう。
「通年採用をしたいけど、求人の見せ方にどんな工夫をすればよいかわからない」「通年採用が成功するようプロにサポートしてもらいたい」とお困りの方は、ぜひ『エン転職』にご相談ください。
エン転職は求人専門のディレクター・コピーライターを自社で雇用・育成しています。そのため求人広告の質が高く、企業や仕事の魅力が最大限に伝わる求人を作成可能です。また、「どんな求人広告をつくれば高い応募効果が期待できるか」など、採用について的確なアドバイスをさせていただきます。
求人広告の質が高いため、『エン転職』は「求人広告賞」を2018年から2021年まで4年連続受賞中。過去18回の開催のうち、半数を超える通算10回をエン転職が受賞しています。
採用でお悩みの際は、以下のエン転職お問い合わせ窓口よりお気軽にご相談ください。
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他にもエン転職には採用を成功に導く様々な特徴があります。エン転職への掲載料金や特徴一覧はこちらの記事で解説していますので、併せてご覧ください。
▼エン転職の料金一覧表 │ 他社との違い・採用事例まで徹底解説
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