RPO(採用代行)とは? 委託できる業務内容やメリット・デメリットを解説
採用活動は計画立案から内定を出すに至るまでに、数多くの業務が発生するため、担当者が多忙になりがちです。人員を補充したくても、「社内の人的なリソースが足りない…」「採用業務にまで手が回らない…」と困っている企業は少なくありません。
RPOとは、大変な採用業務を外部業者へ委託できるサービスのこと。本記事では採用業務を代行するRPOについて、依頼できる業務内容やメリット・デメリットを解説していきます。RPOに採用業務を依頼するときの大まかな流れや、ポイントなどもあわせてご説明しますので、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.RPO(採用代行)とは?
- 2.RPO(採用代行)が注目されている背景
- 3.RPO(採用代行)の具体的な業務内容
- 3.1.採用要件・採用計画の立案
- 3.2.母集団の形成
- 3.3.応募者への対応
- 3.4.選考・結果通知
- 3.5.採用の課題分析・改善提案
- 4.RPO(採用代行)を活用するメリット
- 4.1.人事・採用担当者の業務負担を軽減できる
- 4.2.採用力を強化できる可能性がある
- 4.3.客観的な分析により採用活動の改善につながる
- 5.RPO(採用代行)を活用するデメリット
- 6.RPO(採用代行)の導入に適している企業
- 6.1.採用活動に手が回っていない企業
- 6.2.自社の採用力を高めたい企業
- 6.3.採用で思い通りの成果が得られていない企業
- 7.RPO(採用代行)の費用形態
- 7.1.定額制
- 7.2.成果報酬制
- 7.3.従量単価請求制(従量課金制)
- 8.RPO(採用代行)に業務を依頼するときの流れ
- 9.RPO(採用代行)に業務を依頼するときのポイント
- 10.まとめ
RPO(採用代行)とは?
RPOはRecruitment Process Outsourcing(リクルートメント・プロセス・アウトソーシング)の略称で、採用アウトソーシング・採用代行サービスとも呼ばれている採用業務の委託サービスです。利用するサービスにもよりますが、採用計画の立案から選考、結果通知までを代行してくれます。
RPOは採用を行なうための人的リソースが足りず、採用活動をすると担当者が業務過多になってしまう企業に向いているサービスです。「人員を補充したいが、採用活動まで手が回らない…」とお悩みの場合は、RPOサービス業者に相談してみるとよいでしょう。
RPO(採用代行)が注目されている背景
採用代行サービスのRPOが注目されている背景には、「採用難易度が上がっていること」「採用の業務負担が増えていること」などが挙げられます。
少子高齢化により労働人口が減少し続け、近年の採用市場は求職者が有利な売り手市場となっています。企業は競合他社との採用競争が激しくなっているので、人材を確保するためにさまざまな戦略が必要となり、これが採用難易度の上昇につながっています。
また、近年は求人媒体が多様化しています。従来の求人サイトだけでなく、SNSでの採用広報や自社サイトでの情報発信など、多様な求人媒体に対応するため、担当者の業務負担が増えているのです。
採用難易度が上昇していることに加え、採用活動にかかる人的コストも上がっているため、採用代行サービスが注目されるようになりました。RPOの市場規模は2021年時点で600億円を超えており、今後もより大きくなっていくと予測されています。
出典:株式会社矢野経済研究所「採用アウトソーシング市場に関する調査を実施(2022年)」
RPO(採用代行)の具体的な業務内容
RPOは採用計画の立案から選考、結果通知までをひと通り代行してくれる、採用代行サービスです。ここからは、RPOの業者に依頼できる具体的な業務内容を解説していきます。
採用要件・採用計画の立案
採用要件とは、自社で採用したい人材の能力や人柄などを定めた、採用の基準となる要件のことです。「自社に適した人材はどんな人物像か?」という視点で、採用要件をきちんと定めておかないと、自社に合わない人を採用してしまう恐れがあります。
RPOを行なう業者は、採用活動を始めるにあたり重要な、採用要件の策定からフォローしてくれます。採用要件の策定後、「要件に該当する人材をどうやって採用するか?」といった採用計画も立案し、決定した要件と計画をもとに採用活動を実行します。
母集団の形成
採用における母集団とは「自社で採用する可能性がある人材の集団」のこと。RPOは採用業務を請け負った企業の母集団形成も担当します。
- 求人媒体への求人掲載
- 企業説明会の企画・運用
- 人材紹介やリファラル採用の活用
- ダイレクトリクルーティングの活用
上記のような手法を駆使して、母集団を形成します。RPOを行なう業者は、さまざまな企業の採用代行に取り組んでいるため、採用業務のノウハウが豊富です。それぞれの企業に最適な方法で母集団形成してくれるでしょう。
具体的な母集団形成の方法については以下の記事で解説しておりますので、自社の力で母集団を増やすことにご興味をお持ちの方は、あわせてご覧ください。
▼母集団形成とは?手法と20の解決策、企業の改善事例をご紹介
応募者への対応
RPOサービス業者は、求人へ応募してくれた求職者への対応も行ないます。たとえば以下のような、選考に関する細々とした連絡業務は、すべてRPOサービス業者に任せられます。
- メールや電話での問い合わせ対応
- 応募書類の受付対応
- 応募書類の情報登録・管理
- 面接・面談などの日程調整
選考・結果通知
応募書類の選考や適性検査の実施、面接も依頼可能です。RPOの業者は、依頼主とあらかじめ話し合って決定した選考基準にしたがい、選考を進めていきます。
採用活動の実施状況は、依頼主へ逐一報告されます。最終的な合否判定は依頼主側で行ない、合否結果の通知はRPOの業者側で行なうケースが多いです。
また、内定者がいる場合は、内定者のフォローも依頼できます。RPOの業者は、内定者へ入社意思の定期的な確認や、入社後の業務説明などを行ない、内定辞退防止に努めます。
採用の課題分析・改善提案
採用活動を結果通知まで行なったあと、依頼主の採用課題を分析し、改善提案してくれる業者もあります。自社の採用課題を客観的に分析してくれるので、社内では気付けなかった改善点に気付くことができ、次回の採用活動に活かせるでしょう。
RPO(採用代行)を活用するメリット
RPOを活用する主なメリットを3つ紹介します。
人事・採用担当者の業務負担を軽減できる
RPOを活用するもっとも大きなメリットは、自社の人事・採用担当者の業務負担を軽減できることです。採用活動には、以下のように多くの手間がかかります。
- 求人サイトへの求人掲載・管理
- 求人への問い合わせ対応
- 応募書類の受付・管理
- 面接の日程調整・リマインド
- 合否結果の連絡
採用活動にかかる手間の多くは、情報管理や電話対応、メール対応などの事務的な業務です。RPOを活用すると、そういった事務的業務から解放されるため、採用担当者は人材見極めなど採用のコア業務に集中しやすくなります。他の業務と兼任しながら採用活動を行なっている方にも、本業に集中できるというメリットがあります。
採用力を強化できる可能性がある
RPOを利用することで、自社の採用力を強化できる可能性があります。RPOの業者はさまざまな企業をサポートしているので、採用活動のノウハウが社内に培われています。そのためRPOを利用すると、自社の社員だけで採用活動を進めるよりも、採用についてより多くの知見を得られる可能性が高いのです。
また先にも述べたように、採用担当者が煩雑な事務的業務から解放されることにより、人材の見極めなど、採用のコア業務に集中しやすくなります。その結果、人材の見極め精度が向上し、採用成功率を上げられる可能性もあるでしょう。
客観的な分析により採用活動の改善につながる
RPOを利用することが、採用活動の改善につながる可能性もあります。業者によっては、依頼主の採用活動における課題や改善点を専用ツールなどで客観的に分析し、依頼主へ報告してくれるケースがあるからです。
採用活動は企業が存続する限り、一定の期間で繰り返し行われるもの。RPOの業者から受け取った分析レポートをもとに自社の採用課題を把握して改善し、次の採用につなげていけば、より実りある採用活動ができるようなるでしょう。
RPO(採用代行)を活用するデメリット
続いて、RPOを利用する主なデメリットを3つ紹介します。
自社で採用活動するよりもコストがかかる
RPOサービスに採用業務を依頼すると、自社だけで採用活動をするよりも、金銭的コストがかかります。業者によってサービス内容や料金プランが異なるため、しっかりと比較検討し、どれを利用するか予算に考慮して選ぶことが大切です。
予算内ですべての採用業務をお願いするのが難しい場合は、代行してもらいたい業務範囲を明確に定めて、その範囲内で依頼するとよいでしょう。
自社に採用のノウハウが蓄積されにくい
RPOを活用するとき、サービス業者から採用の知見を得られるのはメリットでもあります。しかし逆に考えると、採用業務をすべて外部業者へ依頼している状態は、自社のなかに独自の採用ノウハウが蓄積されにくい状態であるともいえるでしょう。
RPO業者に依頼した業務を、自社の採用担当者が自力で行なう機会がなくなるため、担当者の経験値が上がらない恐れもあります。RPOを活用する際はただ丸投げするのではなく、サービス業者と適宜コミュニケーションをとって、採用ノウハウが社内に蓄積されるよう注意しましょう。
丸投げするとミスマッチが生じる恐れがある
RPOの業者に採用業務を丸投げし、任せっきりにしてしまうと、採用のミスマッチが生じる可能性があります。RPOの業者は、あくまでも外部業者であるということを忘れないようにしましょう。
RPOの業者は、依頼主と採用要件などを話し合って選考を進めますが、自社とまったく同じ目線で応募者を選考できるわけではありません。自社に適した人材を的確に採用するためにも、業者と定期的にコミュニケーションをとり、書類選考や面接の最終的な合否判定などは自社社員が行なうようにしましょう。
RPO(採用代行)の導入に適している企業
続いて、RPOの導入に適している企業の特徴を3つ紹介します。自社の状態が下記のいずれかに当てはまる場合は、導入を検討するとよいでしょう。
採用活動に手が回っていない企業
- 慢性的な人手不足で採用活動の人員が足りない
- 業務量が多いため採用戦略の立案などのコア業務に手が回らない
こうした理由で採用活動に手が回っていない企業は、RPOを導入したほうが、効率よく人材を確保できるでしょう。
また、新規事業の立ち上げや新店舗設立などの理由で、採用人数を拡大したい場合にも、RPOの活用がオススメです。応募者対応や採用サービスへの対応は、採用人数が増えるほど大変になるため、RPOを活用して自社社員の業務負担を軽減するとよいでしょう。
自社の採用力を高めたい企業
- 自社に採用ノウハウが蓄積されていない
- 採用活動について多くの知見を得たい
- 採用に関してプロに相談したい
上記のように「自社の採用力を強化したい」と考えている企業も、RPOの導入に向いています。
RPOサービスを提供している業者は、数多くの企業から採用業務を依頼されているため、採用に関するノウハウが豊富です。採用のプロに相談することにより、自社だけで採用活動を進めるよりも成功率を高められるでしょう。
採用で思い通りの成果が得られていない企業
- 採用ミスマッチが多く、新入社員がすぐに退職してしまう
- 内定後に応募者から辞退されてしまうことが多い
- 選考途中で他社に人材を取られてしまい、選考辞退されることが多い
RPOは上記のように、採用活動が思うように進まず、なかなか成果が得られていない企業にも適しています。
RPOサービスのほとんどで、採用活動の結果をレポーティングしてくれます。提出されたレポートを基に、自社の課題点を把握できるほか、他社の採用事例を参考に改善提案をしてもらえるケースも多いため、採用課題の解決につながるでしょう。
RPO(採用代行)の費用形態
RPOの費用形態は大きく分けて「定額制・月額固定報酬制・成果報酬制・従量単価請求制」の4つがあります。各形態の特徴などを解説しますので、サービス選びの参考にしてください。
定額制
定額制のRPOには、主に以下のようなサービスがあります。
- サービス内容があらかじめ決められているパッケージプラン
- 3ヶ月・6ヶ月・1年などの期間を決めて契約するプラン
支払いが1ヶ月単位のサービスは「月額固定報酬制」と呼ばれることもあります。利用するサービスによって、委託できる業務内容が異なるため、契約前によく確認しましょう。
また定額制の場合は基本的に、オプションをつけない限り追加料金が発生しません。そのため、予算が限られている企業に適しているといえます。
成果報酬制
成果報酬制のRPOは、成果に応じて料金を支払う費用形態です。一般的には、人材の採用が決定したときや、選考が面接まで進んだときなどに、成果報酬として支払いが発生します。
成果が出なかった場合は料金が発生しないため、無駄なコストを省けるでしょう。ただし複数人の採用を予定している場合は、費用がかさむ可能性があります。成果報酬制のRPOサービスは、採用予定の人数が少ないときに活用するとよいでしょう。
従量単価請求制(従量課金制)
従量単価請求制(従量課金制)のRPOは、代行業者に委託する採用業務の内容と期間に応じて、支払う料金が決まる費用形態です。どれくらいの業務量を委託するかによって、料金が大きく変わります。
また同じ業務内容であっても、サービスによって料金が異なるため、複数社から見積もりをとって、具体的にどのサービスを使うか検討したほうがよいでしょう。
RPO(採用代行)に業務を依頼するときの流れ
RPOの業務内容やメリット・デメリットが把握できたところで、実際に依頼するときの大まかな流れをご説明します。業者によって細かい流れは変わるので、適宜コミュニケーションをとりながら進めるようにしてください。
- 自社で行なった過去の採用活動の情報をまとめる。今回代行してほしい業務範囲も決めておき、業者へスムーズに報告できるようにしておく。
- RPOの業者によるヒアリングが行なわれる。この時、①でまとめた自社の採用活動の情報や、代行してほしい業務範囲などを伝える。
- RPOの業者から、採用活動の方針や採用手法、料金プランなどの提案が行なわれる。多くの場合、提案までは無料。複数の業者に相談し、比較検討するのがおすすめ。
- 契約を締結する。自社に法務部門の社員や顧問弁護士がいれば、リーガルチェックを行ったうえで契約するのがよい。
- RPOの運用スタート。RPOの業者側で、採用活動を完遂するための体制が構築される。定期的に情報共有しながら、採用活動が進められる。
RPO(採用代行)に業務を依頼するときのポイント
最後に、採用活動を依頼するときのポイントを紹介します。人事・採用担当者の業務負担を軽減しつつ、採用成功率を高められるよう、以下の2点を押さえておきましょう。
採用戦略をきちんと練る
RPOを利用するときは、依頼前に自社の採用戦略をきちんと練っておくことが大切です。採用戦略とは、企業の経営ビジョンや事業計画にもとづいて、「自社に必要な人材はどんな人か」「必要な人材をいつまでに・どのようにして採用するか」などを定めた戦略のことです。
採用活動を開始する前に採用戦略を立てておかないと、自社に適さない人材へ内定を出してしまったり、採用すべき期限に間に合わなくなったりする恐れがあります。自社で策定した採用戦略を、依頼時にRPOサービス業者へしっかり伝えられるよう準備しておきましょう。
採用戦略についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
▼採用戦略とは何か?│戦略の立て方とメリットを徹底解説!
自社に適したベンダー(業者)を選び、連携して採用を進める
RPOのサービス業者を選ぶときは、業者の特色や対応の良さ、実績の豊富さ、情報管理能力の高さなどを複数社から比較検討して選ぶのがおすすめです。細かいサービス内容や料金プランも業者によって異なるため、「自社が求めるサービスを提供しているか」「利用料金は予算内で収まるか」などもくまなくチェックしましょう。
業者を選んで契約を締結したら、丸投げするのではなく、連携して採用を進めていきます。業者側からも情報共有してくれるので、書類選考や面接の合否判定など、採用のコア業務には積極的にかかわり、良い人材を逃さないようにしましょう。RPOの業者から採用ノウハウを学ぶのもおすすめです。
まとめ
RPOとはRecruitment Process Outsourcing(リクルートメント・プロセス・アウトソーシング)の略称で、採用業務の代行サービスのことです。採用計画の立案・母集団形成・応募者対応・合否結果通知などの採用業務を代行してくれます。
社内に人的リソースが足りず、採用活動まで手が回らないとお悩みの企業に向いているサービスです。RPOには「人事・採用担当者の業務負担を軽減できる」「自社の採用課題や改善点を客観的に分析してくれる」などのメリットがあります。
しかし、自社だけで採用を行なうより金銭的コストがかかったり、むやみに採用業務を丸投げすると求職者とのミスマッチが生じたりするなどのデメリットも考えられます。RPOを利用するときは代行してほしい業務範囲や予算をきちんと決めて、自社に適した業者を選び、採用活動中も適宜コミュニケーションをとるようにしましょう。
また、「採用成功率を上げるためにプロのサポートがほしい」とお考えの場合は、RPOだけでなく、求人掲載サービスを提供している企業に相談するのもおすすめです。たとえば中途採用向け求人サイト『エン転職』に相談していただくと、求人専門のディレクターやコピーライターが、プロの目線で採用についてアドバイスいたします。
エン転職は業界でも珍しく、自社で求人専門のディレクター・コピーライターを雇用・育成しています。ご相談いただいた企業様が採用成功するための「採用戦略」からご提案していますので、採用成功率を高めるためにプロのサポートがほしい場合は、ぜひご相談ください。
『エン転職』の強みには「求人広告の質の高さ」もあげられます。求人専門のディレクター・コピーライターがいるので、企業や仕事の魅力が最大限伝わる求人を作成できるのです。
求人広告の質が高いため、『エン転職』は「求人広告賞」を2018年から2021年まで4年連続受賞中。過去18回の開催のうち、半数を超える通算10回をエン転職が受賞しています。採用にお悩みの方は、以下のエン転職お問い合わせ窓口よりお気軽にご相談ください。
▼エン転職の料金表・特徴をまとめたパンフレットは以下からダウンロードいただけます。
他にもエン転職には採用を成功に導く様々な特徴があります。エン転職への掲載料金や特徴一覧はこちらの記事で解説していますので、併せてご覧ください。
▼エン転職の料金一覧表 │ 他社との違い・採用事例まで徹底解説