【2024年度】中途採用のトレンド。採用活動を成功させるための対応とは

【2024年度】中途採用のトレンド。採用活動を成功させるための対応とは


2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大によって有効求人倍率の一時的な低下が見られましたが、アフターコロナ期では求人に持ち直しの動きが見られており、多くの企業で人手不足感が強まっています。

2024年度の採用活動を控える今、人事・採用担当者は2023年度における採用市場の動向を踏まえたうえで、中途採用を成功させるための戦略を検討することが重要です。

この記事では、2024年における中途採用のトレンドと、今後の採用活動を成功させるための対策について解説します。

なお、2023年度の採用トレンドについてはこちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。

  【2023年版】最新の採用トレンドを分析! これからの中途採用に求められる対応とは? 2022年度における中途採用市場では、コロナ禍の影響が弱まったことで、採用活動を再開する企業の増加が見られました。「コストをかけてでも採用したい」といった緊急度・重要度の高い求人数が一気に動き出したために、求人サイトでの人材獲得競争も激しさを増しています。本記事では、2022年度の採用市場の動向を踏まえて、2023年の採用トレンドや中途採用における対応策について解説します。 エン・ジャパン株式会社


目次[非表示]

  1. 1.2024年度における中途採用のトレンド
    1. 1.1.採用の売り手市場は継続
    2. 1.2.求人サイトの競合過多による競争の激化
    3. 1.3.競合過多による辞退者の増加
    4. 1.4.未経験者採用への転換
    5. 1.5.在宅・フルリモートの需要は継続
  2. 2.2024年からの中途採用を成功させるための対応
    1. 2.1.①人材要件・採用基準の見直し
    2. 2.2.②採用ターゲットを意識した情報提供
    3. 2.3.③応募後のスピーディなフォロー
  3. 3.まとめ


2024年度における中途採用のトレンド

アフターコロナを迎えた2023年度では、売り手市場が継続するなかで求人数にも増加が見られており、積極的な採用活動が行われました。2023年度での採用市場の動向を踏まえて、2024年度のトレンドを解説します。


採用の売り手市場は継続

2023年9月の有効求人倍率は1.29倍でした。コロナ禍に突入する前となる2019年度平均の1.60倍よりも0.31ポイント減少しているものの、2020年以降も売り手市場が続いている状況です。


▼有効求人倍率の推移

有効求人倍率の推移

画像引用元:厚生労働省『一般職業紹介状況(令和5年9月分)について


また、人手不足の状況についてはコロナ禍で一時的に緩和されましたが、その後は全産業で人手不足感が高まっています。


▼人手不足の動向

人手不足の動向

画像引用元:厚生労働省『2023年度第1回雇用政策研究会(参考資料集)


少子高齢化の進行による労働力不足が懸念されているなか、2024年も売り手市場が継続する可能性が高いと考えられます。

出典:厚生労働省『一般職業紹介状況(令和5年9月分)について』『一般職業紹介状況(令和元年12月分及び令和元年分)について』『2023年度第1回雇用政策研究会(参考資料集)


求人サイトの競合過多による競争の激化

厚生労働省が発表した有効求人倍率だけを見ると、コロナ禍前よりも採用の難易度が緩和されているように見えます。


▼有効求人倍率の推移

有効求人倍率の推移

エン・ジャパン調べ


しかし、有効求人倍率はハローワーク(公共職業安定所)の求人・就職の状況を基に算出されているため、求人サイトでの採用活動においては実態が異なります。

大手転職サイトでの求人数は、コロナ禍に突入した直後の2020年度で87,542件だったのに対して、2023年度は256,509件と約3倍に増加しています。


▼大手転職サイト5媒体における求人数の推移

大手転職サイト5媒体における求人数の推移

エン・ジャパン調べ


また、コロナ禍前の2019年8月と2023年8月時点の求人数を比較すると、ハローワークでの有効求人数は減少しているのに対して、大手転職サイトでの求人数は大幅に増加していることが分かります。


▼ハローワークと大手転職サイトの求人数

ハローワークと大手転職サイトの求人数

エン・ジャパン調べ


このような結果を見ると、ハローワークで採用できない難易度の高い採用や、コストをかけても人材を確保したい緊急度・重要度の高い採用を行う企業が増えていると分かります。

したがって、2024年は求人サイトを活用して職種経験者や専門スキルを持つ人材を採用する難易度がさらに高まると考えられます。


競合過多による辞退者の増加

求人サイトでの競合過多によって人材獲得の競争が激しくなっていることで、応募後の辞退者が増加しています。

エン転職が実施したアンケート調査によると、求職者の8割が複数の企業に応募しており、6社以上と回答した求職者は45%にも及びます。


▼転職活動での企業への応募数

転職活動での企業への応募数

エン・ジャパン調べ


また、2020年度と2022年度のエン転職によるアンケート調査では、面接前・面接後・内定後での求職者による辞退数がすべて増加しています。


▼求職者による辞退数

求職者による辞退数

エン・ジャパン調べ


一人の求職者を複数の企業が取り合う状況となっていることから、ほかの企業での選考状況を理由とした辞退が発生しやすくなっていると考えられます。

2024年も採用難易度が高まると考えられるなか、企業には応募後の辞退を防ぐための対策が求められます。


なお、選考辞退を防ぐ方法については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。

  選考辞退にもう悩む必要なし!辞退を防ぐ方法を紹介(事例付き) - エン転職|【公式】企業様向けサイト 面接をドタキャンされる。面接後に辞退となってしまう。そんな悩みはありませんか。本記事では、「選考辞退の原因はなに?」「防ぐ方法はないの?」「成功事例を知りたい」という企業の声に答える内容をまとめています。ぜひ、採用活動にお役立てください。 エン・ジャパン株式会社


未経験者採用への転換

中途採用のターゲットを職種経験者から未経験者へと転換する企業が見られており、2024年も増えると考えられます。

エン転職に掲載された“未経験者歓迎求人”の割合は、2023年で80%を占めていて、2020年から25%増加しています。


▼未経験者歓迎求人の割合

未経験者歓迎求人の割合

エン・ジャパン調べ


中途採用では、欠員補充や長時間労働への対策、成長戦略要員の確保などを目的に即戦力を求めるケースが多いと考えられます。

新卒採用では難しい職種経験者や有資格者、高度な専門性・経験を持つ人材などの即戦力人材は供給が限られていることから、未経験者と比べて人材獲得の競争が激しくなりやすいといえます。

特にデジタル技術に関する知識・技術を持つIT人材の不足を課題とする企業は多く、中途採用の難易度も高いと考えられます。


在宅・フルリモートの需要は継続

コロナ禍に突入後、求人サイトでの検索キーワードの上位に“在宅”“フルリモート”がランクインするようになりました。

2023年9月時点では、1位に“フルリモート”、2位に“在宅”が含まれており、2022年11月時点からも上昇が見られています。


▼エン転職内のキーワードランキング(2023年9月時点)

キーワード
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
フルリモート
1位
2位
3位
3位
圏外
在宅
2位
3位
2位
2位
14位
完全在宅
5位
5位
4位
4位
圏外
在宅ワーク
6位
圏外
圏外
圏外
圏外
リモートワーク
17位
11位
13位
13位
圏外
リモート
18位
7位
6位
6位
圏外


また、表にはありませんがキーワードランキング新たに“製造”のキーワードが3位にランクインしており、製造業への関心が高いこともうかがえます。そのほか、4位には“土日祝休み”、5位には“完全在宅”が挙げられていることから、ワークライフバランスを重視する求職者が多くなっていることがうかがえます。

アフターコロナの2024年以降も、在宅やリモートワークによる柔軟な勤務形態、ワークライフバランスを確保しやすい働き方への需要が継続すると考えられます。



2024年からの中途採用を成功させるための対応

2023年に引き続いて中途採用の難易度が高まるなか、企業が必要な人材を確保していくには、採用ターゲットや選考方法、求人広告の内容などを見直すことが求められます。


①人材要件・採用基準の見直し

採用市場の動向を踏まえて、人材要件・採用基準を見直す必要があります。

「求人を出しても応募がこない」「応募があったものの、書類選考に通過する人が少ない」という場合は、人材要件や採用基準が厳しすぎて採用市場の実態に即していない可能性が考えられます。

現場の課題・ニーズだけでなく、求める人材の供給状況やほかの企業との人材獲得競争の状況などを踏まえて、現実的で妥当性のある人材要件と採用基準に修正を行う必要があります。


▼人材要件・採用基準を見直すポイント

  • 自社で活躍している人材の行動特性(コンピテンシー)に基づいて採用ペルソナを設定する
  • 選考時の評価項目の優先順位を設定して、譲れる項目・譲れない項目を明確にする
  • 定量的に評価しやすいスキル・経験だけでなく、性格特性や価値観、カルチャーフィットの観点を評価項目に追加する


なお、書類選考の基準と面接の評価基準については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。

  書類選考の通過ラインを決める5つの基準。判断のポイントと事前準備 求人に応募があった際には、すぐに面接に進まずに、初めに書類選考を実施して採用の候補者を絞り込むことが一般的です。自社が求める人材を見極める最初の選考プロセスとなるため、見落としやミスがないように客観的かつ統一した基準で判断することが求められます。この記事では、書類選考の目的や通過ラインを決める基準と判断のポイント、スムーズに選考を進めるための準備について解説します。 エン・ジャパン株式会社


  面接の評価基準を設定する方法とポイント。自社が求める人材を見極めるには 採用面接では、候補者の職務適性や性格特性などを客観的かつ公正な基準で評価することが求められます。採用のミスマッチや面接官の主観による判断のばらつきを防ぐためには、面接の評価基準を明確に定めておくことが重要です。この記事では、面接の評価基準を定める方法やポイントについて解説します。 エン・ジャパン株式会社


②採用ターゲットを意識した情報提供

求人広告で自社の魅力をアピールして応募につなげるには、自社が伝えたい情報だけでなく、“採用ターゲットが知りたい情報”を提供する必要があります。

求人サイトでは、在宅・フルリモートの検索キーワードが多く見られることから、柔軟な働き方やワークライフバランスの向上につながる取り組みをアピールすることが有効です。

また、自社にマッチする人材からの応募を促すには、社風や職場の雰囲気などを分かりやすく伝えることもポイントです。未経験者採用の場合には、入社後の研修や育成体制なども記載しておくと求職者の安心感につながりやすくなります。


▼積極的にアピールするとよい情報

  • 在宅やリモートワークの実施状況
  • 有給休暇の取得率、平均残業時間
  • 仕事とプライベートの両立を図る福利厚生制度の内容
  • 職場風景の紹介や従業員のインタビュー
  • 入社後の研修制度や育成体制の説明


③応募後のスピーディなフォロー

求人サイトにおいて応募後の辞退を防ぐには、各選考フローでスピーディなフォローを行うことが重要です。

エン転職のアンケート調査によると、選考フローでの辞退でもっとも多い理由として、“選考連絡の遅さ”が挙げられています。

求職者への選考連絡を速やかに行い、選考フローをスムーズに進めることで、入社意欲の向上と辞退の防止につながると考えられます。


▼応募後のフォローを行うポイント

  • 書類選考の結果と面接案内メールは速やかに送信する
  • 面接案内メールでは、複数の候補日を提示して、少ないやり取りで日時を決定できるようにする
  • 面接前にはリマインドメールを送信する


書類選考の合否連絡メールや面接案内メールの書き方については、こちらの記事をご確認ください。

  【企業側】書類選考の合否連絡をメールで行う5つのポイント 求人広告や採用サイトから応募があった際には、書類選考の合否連絡を行います。書類選考の合否連絡は、合格者の意欲を醸成して次の選考へと進める重要なステップとなります。自社に対してよい印象を持ってもらうには、合否の結果にかかわらず誠実かつ迅速な対応を心がけることが重要です。この記事では、書類選考の合否連絡をメールで行う際のポイントや例文について紹介します。 エン・ジャパン株式会社


  【採用担当者向け】面接案内メールの書き方とマナー。未返信と辞退を防ぐポイントとは? 求人サイトや自社の採用ページから求人の応募があった際は、面接の日時を指定または調整するための面接案内メールを応募者に送信します。面接案内メールは企業の印象を左右するため、文面や送信するタイミングなどを考慮して、よい印象を持ってもらうことが重要です。この記事では、応募者に送る面接案内メールの書き方と基本のマナー、未返信と辞退を防ぐポイントについて解説します。 エン・ジャパン株式会社



まとめ

この記事では、2024年度における中途採用のトレンドについて以下の内容を解説しました。


  • 2024年度における中途採用のトレンド
  • 2024年からの中途採用を成功させるための対応


2024年度も採用の売り手市場は継続して、求人サイトの競合過多によって競争が激化することが予測されます。また、未経験者採用の増加や在宅・フルリモートの需要も引き続き継続すると考えられます。

企業が2024年からの中途採用を成功させるには、採用市場を踏まえて人材要件・採用基準を見直すとともに、採用ターゲットを意識した情報提供や応募後のスピーディなフォローを行うことがポイントです。

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