選考辞退にもう悩む必要なし!辞退を防ぐ方法を紹介(事例付き)
採用が難しくなっている昨今。応募を集めるだけでなく、選考辞退をいかに防げるかが、人材を確保する上で重要です。そこで本記事では、選考辞退に悩みを抱える企業のために、「そもそも選考辞退が起きる原因とは」「辞退を防ぐ方法とは」といった内容を、事例付きで紹介します。
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CHECK!
本記事で紹介するエン転職は、選考辞退を防ぐ方法まで提案できます。お気軽にご相談ください。お問い合わせをいただければ、担当者からすぐにご連絡いたします。
目次[非表示]
- 1.タイミングによって異なる選考辞退の原因
- 2.「面接前」に選考辞退されてしまう原因とは?
- 2.1.応募後に再考し、希望と異なると判断したから
- 2.2.希望に反するスカウトメールだったから
- 2.3.ネット上でよくない評判や噂を見たから
- 2.4.他社での選考が通過した・内定が決まったから
- 2.5.面接日程の都合がつかなかったから
- 3.面接を「ドタキャン辞退」されてしまう原因とは?
- 3.1.比較は面接前から始まっている
- 4.「面接後」に選考辞退されてしまう原因とは?
- 4.1.面接で詳しく知った仕事内容・勤務地・給与が希望と合わなかったから
- 4.2.面接での説明内容と求人情報に齟齬があったから
- 4.3.社内の雰囲気がよくないと感じたから
- 4.4.面接官の行動や態度が悪かったから
- 5.選考辞退が増えている原因とは?
- 5.1.有効求人倍率の上昇
- 5.2.売り手市場だから、選考辞退されやすい
- 5.3.だからこそ、選考辞退対策が必須に!
- 6.選考辞退を防止する14の対策
- 6.1.求人で「動機づけ」まで行なう
- 6.2.面接日程をスピーディーに決める
- 6.3.面接前日に、連絡(電話・メール)をする
- 6.4.面接地に柔軟性を持たせる
- 6.5.面接回数を減らす
- 6.6.紙の履歴書の郵送をなくす
- 6.7.クチコミを活用する
- 6.8.面接で応募者を企業のファンにする
- 6.9.面接で応募者の悩みを解消する
- 6.10.求人情報と面接での説明に乖離をなくす
- 6.11.応募者が来社した時の対応方法を社員に浸透させる
- 6.12.面接で、応募者と既存社員の質疑応答の時間を設ける
- 6.13.会社の雰囲気が分かるように、選考に社内見学を取り入れる
- 6.14.面接で「自社の良い部分」も「課題の部分」も説明する
- 7.選考辞退を防止した事例
- 8.まとめ
タイミングによって異なる選考辞退の原因
選考辞退の種類は、大きく3つ。選考は「応募」「書類選考」「面接」「内定」「入社」分解できます。選考フローの中で、選考書類から面接前に発生するのが1つ目、「面接前の辞退」。2つ目が、面接の前日や当日に発生する「ドタキャン辞退」。3つ目が、面接後に発生する「選考中の辞退」です。
エン転職を運営するエン・ジャパンが独自で実施した、直近1年以内に中途採用を行なった企業へのアンケートによると、辞退のタイミングで最も多かったのは「ドタキャン辞退」で58%でした。次に、「面接前の辞退」で54%。そして、「選考中の辞退」が50%という結果でした。最近では、選考が進んだ上で辞退する「ドタキャン辞退」が特に増えています。
こうした辞退を防ぐには、発生する原因を知っておくことが大切です。3つの辞退が起きる原因は、それぞれ異なります。本記事で詳しく説明していきますので、ぜひお役立てください。
「面接前」に選考辞退されてしまう原因とは?
エン・ジャパンは、「面接前の辞退」が発生する原因を探るため、求職者に対して独自にアンケートを実施しました。「面接前に辞退した理由は何ですか?(複数回答可)」という質問に対する回答でトップ5となったのが、次の通りです。
1位が、38%だった「応募後に再考し、希望と異なると判断した」と、同率の「希望に反するスカウトメールだった」という回答。次いで3位が、「ネット上でよくない評判や噂を見た」で29%。
4位が21%で「他社での選考が通過した・内定が決まった」、5位が13%で「面接日程の都合がつかなかった」という結果でした。
面接前の辞退だけでも、さまざまな原因があることがわかるかと思います。トップ5の回答となったそれぞれの背景をみていきましょう。
応募後に再考し、希望と異なると判断したから
求職者の38%が上記を辞退理由にあげていることからわかるように、「応募してから面接を受けるかを考える人」が数多く存在しています。つまり、求人内容をざっと見た印象で「良さそうだから、ひとまず応募しておこう」という行動となるため、応募の段階で志望度が高くない求職者が少なくないのです。
企業の採用担当の中には、「応募は、じっくり検討してからするもの」と思われる方が多いかもしれませんが、そういう求職者ばかりではありません。求職者の傾向は年々変わります。その傾向を掴んでおくことが大切です。
希望に反するスカウトメールだったから
企業からスカウトメールをもらって応募する求職者は少なくありません。求職者にしてみると、企業の採用担当者が自分の履歴書を見て、会いたいと思ってくれていると感じ、応募の意欲が高まるからです。
ただ、応募後に冷静となってから気持ちが変わってしまうことも。改めて求人内容をみて、希望していない業界や仕事だからやっぱりやめておこうとなってしまうのです。
また、自分にだけ特別に送ってくれているのかと思ったら、多くの人に同じ文面で送っているスカウトメールだと気づいたことが辞退の理由になることも。こうした不満の声が、アンケートで多くあがっていたので、注意が必要です。
ネット上でよくない評判や噂を見たから
求職者は求人情報だけをみて転職活動を行なっている訳ではありません。求職者に行なったアンケートによると、転職活動で応募先企業のクチコミを見ると答えた人は、89.1%でした。クチコミを見ずに転職活動を行なっている人は、1割ほどしかいないということです。
飲食店を選ぶ際をイメージするとわかりやすいかもしれません。「料理の味はおいしいのか」、「接客サービスの質はどうなのか」などは、ホームページを見るだけはわからないもの。そこで、クチコミサイトに書かれた良し悪しの内容をリアルな情報として参考にし、飲食店を選ぶのが自然な流れになっているかと思います。
これは現在の転職活動でも同じ。求職者は、企業のありのままの姿を知りたいと考え、良い内容と悪い内容が書かれたクチコミを重視して見ています。企業クチコミサイトに投稿されていた社員・元社員の評判を参考に、選考を受けるかを判断しているのです。
他社での選考が通過した・内定が決まったから
求職者が複数の求人に応募するというのは、一般的な話です。応募先が複数あるので、第一志望、第二志望といったように順位もつけられているでしょう。そのため、より志望度の高い企業から選考通過や内定の連絡が来たら、他の応募先の選考を受ける前に辞退することが起こります。
面接日程の都合がつかなかったから
多くの求職者が在職中に転職活動を行なっています。そのため、基本的に面接を受けられるのは、仕事が始まる前の時間か、仕事が終わってからの時間。または仕事がない休日に限られてしまうものです。面接のために柔軟に有給休暇を取れる企業は多くありません。面接日程があわず、致し方なく辞退する求職者は少なくないのです。
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面接を「ドタキャン辞退」されてしまう原因とは?
求職者に「面接日の当日に辞退しようと決めた理由は何ですか?(複数回答可)」とアンケートを行なったところ、回答で多かったのは次の通りです。
1位は40%で「体調が悪かった、事故など不測の事態が起きたため」という回答。次いで2位が22%で、「ネット上でよくない評判や噂を見た」。3位が19%で「他社での選考が通過した・内定が決まった」。4位が17%で「面接前に再考し、仕事内容や条件が希望と異なると判断した」という結果でした。
2位~4位の結果を見てお気づきになった方はいるかもしれません。「ドタキャン辞退」の原因は、上述した「面接前の選考辞退」の原因と基本的に同じです。
比較は面接前から始まっている
これまでにもお伝えしましたが、求職者は厳選した1社にだけ応募している訳ではありません。複数の求人に応募しています。つまり、面接前からどこの企業を優先的に受けるべきかを比較して選ぼうとしているのです。
そこで、ドタキャン辞退に関するアンケートの結果でぜひ着目してほしいのが、「面接の連絡が遅かったため」と「企業側の応対が悪いと感じたため」という回答がそれぞれ11%あること。採用担当による面接前の連絡スピードや連絡時のコミュニケーションでも、面接を受ける意欲が大きく変わってしまうことを理解しておく必要があります。
「面接後」に選考辞退されてしまう原因とは?
求職者に「面接後に辞退した理由は何ですか?(複数回答可)」とアンケートを行なったところ、次の通りの結果となりました。
1位が43%と同率で2つあり、まとめると「面接で詳しく知った仕事内容・勤務地・給与が希望とあわなかった」という内容です。次いで「面接での説明内容と求人情報に齟齬があった」というのが、29%で2位。求人内容を見てイメージしていたことと、面接を受けて知った内容のギャップが上位の辞退原因となっています。
また、他にも着目したい傾向が、辞退を引き起こす原因を企業側が作ってしまっていること。「社内の雰囲気が良くないと感じた」、「面接官の行動や態度が悪かった」、「企業担当者の対応が悪かった」などが辞退理由として多くあがっています。
面接で詳しく知った仕事内容・勤務地・給与が希望と合わなかったから
求職者が転職先を決める際、どんな仕事を、どこの勤務地で、どれくらいの給与をもらって働けるのかはとても重要です。求人内容を見て、「この仕事ならやりがいがありそう」、「この勤務地ならムリなく通えそう」、「この給与なら安定した生活を送れそう」といった理由で応募しています。
しかし、いざ面接を受けてみて実態が違うとなれば、どうでしょうか。当然、求職者は希望が叶わないと判断し、「辞退」という選択を取ることになります。
こうしたギャップは、求人内容を見た求職者が応募先企業を間違って理解しているときに起こるもの。そうさせてしまっているのは、「求人内容の情報が不足している」、「誤解を生む表現となっている」など、正しく理解できないことが原因です。内容を目にする求職者に寄り添って、詳細で正直な求人を作ることが欠かせません。
面接での説明内容と求人情報に齟齬があったから
面接では面接官から求人内容について改めて説明が行なわれるかと思います。その際、掲載した求人の内容と一致していることが重要です。
もし、仕事内容や勤務地、給与に限らず違いがあれば、求職者は「この会社では自分の希望が叶わない」と判断するだけでなく、会社に対して不信感を覚えます。求人内容に書かれた一部情報が不一致となっていることが原因で、求職者に「この求人内容に書かれた情報は正しくないのかも」と思われてしまう可能性もあります。
齟齬が生まれてしまう原因の1つは、求人を作る人事担当者と、面接を行なう担当者が異なるケースにあります。求人を募集する職種の社員が面接官を担当するケースなどがそう。人事担当者が実態を正しく理解できていなかったり、面接官となる現場社員が求人内容を把握していなかったりすると、認識の違いが生まれてしまいます。
社内の雰囲気がよくないと感じたから
求職者は、これから入る会社で自分がなじめそうかも重視しています。たとえ、やりたい仕事でも、一緒に働く社員と合わなさそうと感じてしまえば、そこで働く自信を持てません。
求職者にとって、なじめそうな会社かどうかの判断材料となるのが、面接を受けた際に伝わる社内の雰囲気です。面接で企業にうかがった際、すれ違った社員に挨拶されなかったり、殺伐とした職場の様子が目に入ったりすると、求職者はマイナスのイメージを抱いてしまいます。
面接官の行動や態度が悪かったから
求職者に行なったアンケートでは、面接を受けて「入社をしたくない」と思った経験のある人は79.9%でした。それだけの割合の求職者が、面接の内容で入社を断念しているのです。
面接官が応募者に対して「この人と一緒に働きたいか」を見極めているのと同じように、応募者も面接官を見ています。会社の代表となる面接官が与える印象は、求職者にとって応募先企業のイメージそのもの。面接官の質問や応対などが、採用の成否を分けるということです。
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選考辞退が増えている原因とは?
直近1年以内で中途採用を行なった企業にアンケートを実施したところ、約9割の企業で選考辞退が発生しているという結果に。さらにその2社に1社で、以前に比べて選考辞退が増えていることがわかりました。
現在、選考辞退が発生することは珍しいことではありません。中途採用を行なう上で、向き合っていかなければいけない問題です。選考辞退の増加には、売り手市場であることが背景にあります。
有効求人倍率の上昇
有効求人倍率は、雇用の動向を示す重要な指標の1つです。求人数を求職者数で割って算出されます。たとえば、10人の求職者に対し、15件の求人があれば、有効求人倍率は1.5倍です。求職者1人に何件の求人があるかを示す数値となるため、有効求人倍率1.5倍であれば、求職者1人あたり1.5件の求人がある状況といえます。
つまり、有効求人倍率「1倍」より高い数値の時は、求職者にとってそれだけ求人の選択肢が多いということ。「売り手市場」という訳です。厚生労働省の発表によると、2022年12月の有効求人倍率は1.35倍。求職者が就職しやすい状況である一方、中途採用を行なう企業にとっては、採用しにくい状況でもあります。
売り手市場だから、選考辞退されやすい
日本では2014年以降、有効求人倍率はずっと「1倍」を超えています。新型コロナウイルスの影響で日本経済が揺れているとはいえ、2022年12月時点で有効求人倍率は1.35倍。求職者1人を複数の企業で取り合っている状況が続いています。
つまり、現状は求職者が有利な売り手市場だということ。求職者1人が複数の企業から内定をもらいやすい状況です。そのため、より志望度の高い企業から選考通過や内定の連絡が来たら、その企業の転職活動を優先して進めるということが起こりえます。求職者優位がゆえに、選考辞退が起きやすい時代でもあるのです。
だからこそ、選考辞退対策が必須に!
売り手市場である今、求職者は複数の企業から内定をもらいやすくなっています。それだけ入社する企業を選べる状況になっているのです。企業にしてみれば、内定を出したからといっても安心できません。だからこそ、辞退を防ぐための対策は、中途採用を行なう上で必須といえるでしょう。
選考辞退を防止する14の対策
本記事はここまでで、選考辞退の種類やそれぞれの原因、引き起こしている背景を紹介してきました。選考辞退と向き合っていかなければ中途採用で成功するのは難しい時代ということをご理解いただけましたでしょうか。
ただ、選考辞退を防ぐために対策することは可能です。以下では14の辞退対策を紹介しています。ぜひ、参考にして中途採用にお役立てください。
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求人で「動機づけ」まで行なう
選考辞退を防ぐには、「衛生要因」だけでなく、「動機づけ要因」でもしっかりと魅力づけすることが大切です。これら衛生要因と動機づけ要因とは何なのか。以下で説明します。
■衛生要因とは
仕事の「不満足」に関わる要因です。たとえば、給与・賞与、勤務時間、休日休暇、福利厚生、職場の立地・作業空間・最新テクノロジーの活用など。これらの魅力は、「不満足」を予防する大事な役目です。でも、満たせば満たすほど、より多くを望まれるようになります。
■動機づけ要因とは
仕事の「満足」に関わる要因です。たとえば、仲間の支援や切磋琢磨ができる職場の人間関係、仲間から認められて褒められること、達成感を抱けること、成長感を味わえること、責任を伴う裁量があること、貢献している実感があること、独自の正義を追求できていることです。これらの魅力は、仕事の満足感に通じます。
採用活動を行なう際、「衛生要因」だけの魅力で募集すると、「この企業・仕事だからこそ、働きたい」という気持ちを醸成することがなかなかできません。結果、選考辞退につながってしまうんです。
重要なのは「動機づけ要因」。仕事を通してどんなやりがいを感じられるのかを、求人でしっかり伝えることが大切です。求職者に納得して応募してもらうことで、辞退率軽減につなげることができます。
面接日程をスピーディーに決める
求職者が複数の企業に応募するのが一般的なので、他社で選考通過や内定の連絡を受けたことが辞退理由となるのは、珍しくありません。つまり、他社よりもスピーディーに選考を進めることは、辞退を防ぐ上で重要なポイントという訳です。
辞退対策として、スピーディーな選考を実施している企業は多くあります。実際、エン・ジャパンが独自に行なったアンケートによると、応募から内定出しまでの期間が「2週間以内」という企業が約50%という結果でした。
スピーディーに選考するためのポイントは、応募があったらすぐに複数の面接候補日を送り、応募者が選べるようにすること。そうすれば、面接の日程がスムーズに決まりやすくなります。
また、面接官の人数を減らすことも大事なポイント。複数の面接官を設けようとすると、全員の都合があう日程がなかなか見つからず、面接候補日をすぐに送れません。応募があってからかなり先の日程になってしまうこともあるでしょう。その場合は、できる限り面接官の人数を減らすことをオススメします。
面接前日に、連絡(電話・メール)をする
面接の日程調整がスムーズにできたとしても、日程連絡のやりとりから面接日まで長く間が空いてしまうケースもあるかもしれません。その場合、面接があることを忘れてしまう求職者もいます。
その防止策として有効なのが、面接前日に電話やメールで連絡をとっておくこと。たとえば、「明日は面接となります。〇〇さまとお会いできることを楽しみにしています」などと送ることで、面接の辞退を防げます。
面接地に柔軟性を持たせる
応募者の住む家から面接地までの距離が遠いと、移動する時間や費用などがかかり、面接地にいくことが難しくなります。また、最近では新型コロナウイルスの感染防止のために、できる限り外出を控えている状況です。移動時間が長い面接地に行くことに不安を抱かれてしまい、辞退につながる可能性が高まります。
だからこそ、面接地に柔軟性を持たせることが大事です。多拠点で事業を展開する企業であれば、応募者の最寄りの支店や支社でも面接を行なえるようにしましょう。また、わざわざ来社しなくても済むように、パソコンや携帯電話、タブレットなどを活用したオンライン面接を取り入れることも、ぜひ検討してみてください。
面接回数を減らす
面接回数が多いと、それだけ応募者の負担が増えるだけでなく、選考内容に疑問を持たれる可能性もあります。仮に、求職者が同じくらいの志望度で複数の企業を受けていた場合、面接1回で合否判定となる企業の選考を優先的に進めるのは不思議ではありません。面接回数をできる限り減らすことをオススメします。
紙の履歴書の郵送をなくす
応募者の経歴をより詳しく知りたいといった理由から、紙の履歴書の郵送を必須にするケースもあるでしょう。ですが、必須にするデメリットもきちんと認識しておくことが大切です。
現在、エン転職をはじめとした転職情報サイトに求人を出す企業の多くが、転職情報サイトに登録された「Web履歴書」のみで書類選考を行なっています。Web履歴書に加えて、紙の履歴書を買いに行き、手書きでイチから作成するとなると、求職者の負担が大きくなるため、辞退の可能性が高くなるという訳です。
こうしたデメリットを踏まえた上で、紙の履歴書の郵送を必須にすべきかを検討しましょう。
クチコミを活用する
エン・ジャパンが求職者に行なったアンケートでは、「面接日の当日に辞退しようと決めた理由は何ですか?(複数回答可)」の問いに、「ネット上でよくない評判や噂を見た」という回答が第2位という結果でした。また実際、「転職活動の中で、企業に関するクチコミを見ますか?」の質問には、約9割の求職者が「見る」と回答しています。
それだけ、選考に進む企業を選ぶ上で、クチコミが大きく左右しているということです。だからこそ、自社のクチコミの内容をきちんと把握することが重要。その上で、有効に活用することで、選考辞退を減らすことができます。
求職者がクチコミで重視して確認しているのは、「良い内容だけでなく、悪い内容もあるか」「詳細な情報であるか」「クチコミの投稿時期は新しいか」という点です。良い内容・悪い内容を含めた詳細で(リアルで)、最近の情報を得ることで、「ありのままの企業の姿」を知りたいと考えています。
企業にしてみると、「悪い内容のクチコミがあるのは良くないのでは?」と思われるかもしれませんが、実はそうではありません。むしろ、悪い内容がなく、良い内容のクチコミしかないと、信ぴょう性に欠けてしまいます。また、クチコミの内容が少なかったり、あっても古かったりする場合でも、信ぴょう性があるとは言えません。
そのため、詳細で新しい良い・悪いどちらのクチコミも増やせるように、社員などに働きかけることが大切です。そうすることで、求職者により注目してもらい、選考辞退を防げます。
面接で応募者を企業のファンにする
エン・ジャパンが求職者に行なったアンケートでは、面接によって「入社したくない」と思った経験のある人は79.9%。一方、面接によって「入社したくなった」と思った経験のある人は67.4%でした。約7割~8割の求職者が、面接の内容次第で入社を決めているといえます。面接で求職者の志望度を上げることは十分に可能です。
そのために重要なのが、面接で求職者に「魅力づけ」を行なうこと。かといって、一方的に会社や仕事の魅力を伝えても、それが求職者にとって魅力になるとは限りません。まずは、さまざまな角度で質問して得た応募者の資質や性格を把握することが大事。応募者一人ひとりに合わせて、自社の情報を正直に話しましょう。
そうすることで、応募者の「入社したい」という気持ちを高められ、企業のファンになってもらうことができます。
面接で応募者の悩みを解消する
応募者の悩みを解消することも、面接でできる魅力づけです。多くの求職者は、前職や現職に対して何かしらの悩みを抱え、それを解消するために転職活動を行なっています。そのため、「この会社に入れば悩みを解消できる」と応募者に理解してもらえれば、志望度が上げられるはずです。
たとえば、応募者が「前職では年功序列で成果を評価してもらえない」と悩んでいるなら、成果をきちんと評価する制度内容を詳しく紹介する。「前職では残業が多くて仕事中心の生活になっている」という悩みなら、残業が少ない事実とそれが可能な体制を説明する。求職者の悩みに寄り添って、入社で解消できることを伝えましょう。
求人情報と面接での説明に乖離をなくす
「面接で詳しく知った仕事内容・勤務地・給与が希望とあわなかった」、「面接での説明内容と求人情報に齟齬があった」というのは、求職者が面接後に辞退する理由として多くあがった内容です。求人内容からイメージしたことと、面接で知った内容にギャップがあると、応募者に不信感を抱かれてしまい、辞退につながってしまいます。
求人で掲載した情報と、面接で説明する内容には、違いが出ないように努めましょう。面接官となる人は、掲載した求人の内容に必ず目を通して、理解しておくことが大切です。
応募者が来社した時の対応方法を社員に浸透させる
応募者は社内の雰囲気の良さも重視しています。もし、面接で企業にうかがった際、出会った社員の誰からも挨拶されなかったらどうでしょうか。実際には社員同士で元気よく挨拶する明るい雰囲気だとしても、それが伝わらず、求職者はマイナスイメージを抱いてしまうでしょう。
そのため、応募者がいつ面接を受けに来るのか、その際には「元気よく挨拶して迎えましょう」などとルールを決めておくことが大切です。こうした対応方法を、いかに社内に浸透させられるかで、求職者に伝わる印象が大きく変わります。
面接で、応募者と既存社員の質疑応答の時間を設ける
応募者からすると、社長や役員、人事担当者などの面接官が相手だと、「これを聞いたら選考に影響するのでは?」と考えてしまい、質問できないこともあるものです。「残業の実態はどうなのか」「給与は上がっていくのか」などが、聞きづらい質問にあたるでしょう。
そこで、募集職種と同じ現場の社員に、自由に質問できる場を設けることが有効です。その際には、質問しやすい雰囲気づくりも大切。たとえば、面接官が席を外した状態で、現場の社員に質問できるようにすると良いでしょう。不安をしっかり解消することで、辞退を防げます。
会社の雰囲気が分かるように、選考に社内見学を取り入れる
仕事内容や雇用条件だけでなく、「どんな人が働いている?」「どのような職場環境?」といったことも、応募者は気にしています。でも、面接を受けるだけでは、なかなか感じ取ることができません。
応募者に会社の雰囲気をより理解してもらうために、社内見学を取り入れる方法があります。面接前後に社内を案内して、どんな様子なのかを見学できる時間を設けることで、会社の理解を深めてもらえるはずです。
ただし、注意点も。応募者の社内見学があることを、既存社員に伝えて協力をお願いしておくことです。知らされていなかった既存社員が「急に応募者が来ても仕事があって挨拶する余裕もない」となれば、求職者に実際の雰囲気よりも悪く伝わってしまいかねません。既存社員に社内見学の日程とその際の対応方法を伝えて、実施しましょう。
面接で「自社の良い部分」も「課題の部分」も説明する
もしかすると、仕事や組織などの「課題」を伝えることに抵抗を抱かれる企業は少なくないかもしれません。実は、選考辞退を減らす、有効な手法なんです。これは、「RJP(リアリスティック ジョブ プレビュー/Realistic Job Preview)」とも呼ばれています。直訳すると、「現実的な仕事情報の事前開示」です。
自社の良い部分だけでなく、悪い部分(課題)も含めて、仕事や組織などの実態を伝えることで、応募者から信頼を得られます。内定を出した後の承諾率が上がったという事例も少なくありません。
また、ありのままの情報提供は、ミスマッチ防止にも役立ちます。選考辞退が減るだけでなく、入社後の定着率の向上まで効果があることが確認されているのです。
選考辞退を防止した事例
エン転職を運営するエン・ジャパンは、単に応募を集めるための求人を作るのではなく、選考辞退を防止する方法も一緒に考えています。実際に、数多くの企業で、選考辞退を防いできました。その中から2社、事例を紹介します。
株式会社コンヴァノ:負のスパイラルを食い止め、面接来社率3倍・採用数4倍に
ネイルサービスチェーンの経営を手がけているのが、株式会社コンヴァノです。同社の大きな特徴は、施術が早いこと。通常のネイルサロンでは2~3時間かかるところを約1時間でネイルを完成できます。この強みを武器に、積極的に新規出店を行ない、2018年にはマザーズ市場に上場も果たしました。
ただ、事業が急拡大する一方、採用・育成をはじめとした体制整備が追い付かない状況に。社員の負担が増えたことで、退職者が増加。退職者からの辛辣なクチコミが多数寄せられたそうです。求職者にとってクチコミは選考を受けるかを判断する重要な情報になります。面接前の辞退も多く発生していました。
ようやく採用できても、今度は入社後のギャップで早期離職の連続。一般的なネイルと違う短時間での施術となる仕事の特徴や、仕事の厳しい部分が理解されないまま入社してしまったことが原因でした。まさに、負のスパイラルに陥ってしまっていたんです。
こうした状況を打開すべく、エン・ジャパンとともに行なったのが、入社する方の定着・活躍までを見据えた採用活動です。改革を始めるにあたり最も注力したのは、エン転職の『クチコミ』の活用。既存社員の不満も知った上で改善に取り組むため、辛辣なクチコミが増える覚悟で、社員の生のクチコミを集めました。
その結果、社員の採用・育成が最優先課題と捉えることができ、出店ペースを落とすことを決定。現場の負担を減らせるように、採用・育成専門の部署を立ち上げ、新入社員の教育店舗もオープンしました。
求人では、入社後のギャップを防ぐため、誠実な情報開示を徹底。エン転職の求人の特徴である『仕事の厳しさ』の項目では、過去の退職理由まで正直に記載しました。
エン転職に掲載される『クチコミ』にも向き合いました。『企業コメント』では、辛辣なコメントを真摯に受け止めた上で、改善できたことやこれから改善していく内容を、社員に対する想いとともに伝えています。
エン・ジャパンとともに進めた取り組みの結果、他の採用メディアより面接来社率は3倍、採用数は4倍に。定着率も20%以上アップする結果となりました。
※本事例を詳しく紹介したページがありますので、こちらも合わせてご覧ください。
株式会社アウテック:覚悟を問う求人で内定率67%に向上
株式会社アウテックは、ハイヤーと旅行を組み合わせたプランニングサービスを手掛けています。旅行コースの企画し、ハイヤーでの送迎・ご案内まで携わるのが、プランナーの仕事です。時には、ハリウッドスターといった海外のVIPをおもてなしすることもあり、「英語×旅行」というのが魅力となって、多くの応募を集められることが期待できました。
実際に求人を掲載すると、応募が多く集まり、多数の採用も実現できたのですが、「内定率が低い」「早期に退職してしまう」といった状況に。仕事の厳しい部分を理解していない憧れ応募が多かったことで、実際の仕事とのギャップが大きくなってしまったことが原因でした。
そこで、エン・ジャパンの提案により、同社は応募数が減ったとしても、求人に仕事の厳しさを正直かつ詳細に伝えることを決意。求人の『仕事の厳しさ』の項目では、入社してしばらくは仕事を楽しむ余裕がないほどさまざまなプレッシャーがあること、肉体的な負担が大きいことが、情景が目に浮かぶほど具体的に伝えられています。
結果、内定率が大幅にアップ。一次面接からの内定率は67%となり、3名中2名に内定を出せることに。さらには、仕事の厳しさを理解した上で応募していることにより、早期離職を軽減につながりました。
※アウテックの事例を詳しく紹介したページがありますので、こちらも合わせてご覧ください。
まとめ
求職者が複数の企業から内定をもらいやすい「売り手市場」が続いている状況です。選考辞退に向き合うのが当たり前となり、人材の獲得競争が激しくなっているからこそ、「1名の応募者」をいかに辞退させないかが重要となっています。
もし、選考辞退で採用活動に悩んでいましたら、一度エン転職に相談しませんか。エン転職を運営するエン・ジャパンは、応募を集めることをゴールにしていません。中途採用を行なう企業ごとの課題を的確にとらえ、選考辞退を防止する方法を一緒に考えます。ぜひ、以下のサイトまで、お問い合わせください。
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