書類選考の通過ラインを決める5つの基準。判断のポイントと事前準備
求人に応募があった際には、すぐに面接に進まずに、初めに書類選考を実施して採用の候補者を絞り込むことが一般的です。自社が求める人材を見極める最初の選考プロセスとなるため、見落としやミスがないように客観的かつ統一した基準で判断することが求められます。
「書類審査の通過後に面接を実施したが、思っていた人材とは違った」「採用担当者によって判断のばらつきが生じてしまう」などの課題を持つ企業では、書類選考の評価基準やチェックポイントの見直しを検討することが重要です。
この記事では、書類選考の目的や通過ラインを決める基準と判断のポイント、スムーズに選考を進めるための準備について解説します。
なお、面接の評価基準についてはこちらの記事で解説しています。
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目次[非表示]
- 1.書類選考の目的
- 2.書類選考で通過ラインを決める基準と判断のポイント
- 2.1.①募集条件を満たしているか
- 2.2.②基本的なビジネスマナー
- 2.3.③転職理由・前職の勤続年数・転職回数
- 2.4.④文章の書き方
- 2.5.⑤自己PR・志望動機
- 3.スムーズな書類選考を行うための準備
- 4.まとめ
書類選考の目的
書類選考の目的は、面接を実施する候補者を絞り込むことです。エン・ジャパンが行った調査では、書類選考の目的として以下の回答が挙げられています。
▼書類選考の目的に関する調査
目的 |
回答した企業の割合 |
「全く対象外の応募者を外すため」 |
41% |
「採用できそうな人を絞り込むため」 |
29% |
面接での選考は、日程調整や採用担当者による質疑応答が必要になるため、候補者全員に実施するには時間と労力がかかります。効率的に選考を進めるには、書類選考の時点で採用につながる見込みのある候補者を絞り込むことが重要といえます。
また、面接までに候補者の情報を把握しておくと、面接での質問内容や評価項目を検討しやすくなり、自社にマッチする人材かどうかを見極める精度が高まることが期待されます。
書類選考で通過ラインを決める基準と判断のポイント
書類選考を行う際は、次の選考プロセスに進む通過ラインを定めて、統一した基準で判断ができるようにする必要があります。通過ラインを決める基準となる項目には、主に以下の5つが挙げられます。
①募集条件を満たしているか
1つ目は、募集条件を満たしていることです。
求人を出す際には、企業が求める人材の要件を募集条件として定めることが一般的です。保有する資格やスキル、前職での経験などの募集条件に当てはまっているかどうかは、書類選考においてもっとも基本的な判断基準となります。
②基本的なビジネスマナー
2つ目は、基本的なビジネスマナーについてです。エントリーシートや履歴書などの応募書類の書き方・丁寧さから、ビジネスマナーが備わっているかどうかを判断できます。
▼判断のポイント
- 応募書類に誤字脱字がないか
- 応募書類にまっすぐな折り目があるか
- カラーで鮮明な映りの証明写真が使用されているか
例えば、誤字脱字を確認することで、業務において注意深く確認する性格かどうかをある程度判断できます。
また、応募書類にしわがあったり、証明写真として不適切な写真や明らかに古い写真を使用していたりする場合は、粗雑な人柄と捉える見方もあります。
③転職理由・前職の勤続年数・転職回数
3つ目は、前職を退職した理由や勤続年数、転職回数についてです。
転職理由や前職の勤続年数、転職回数を確認することで、「早期退職の可能性があるか」「転職する目的を自社への入社で果たせるか」などを判断できます。
▼判断のポイント
- 転職理由に妥当性があるか
- 勤続年数が短く、転職回数が多すぎないか
転職回数が多い応募者に関しては、前職を退職した理由についての正当性をよく確認しておくことが重要です。
また、職種にもよりますが、一般的に勤務年数は1~3年程度、転職回数は20代で2~3回以上、30代で3~5回以上、40代で4~7回以上が基準とされています。
④文章の書き方
4つ目は、応募書類への文章の書き方です。
文章の書き方は、業務での資料作成や社内外の関係者とのメールでのやり取りに反映されるスキルでもあるため、書類選考の重要な判断基準の一つといえます。相手の立場に立った表現で、分かりやすく書かれているかどうかを基準に判断します。
▼判断のポイント
- 間違えた日本語を使っていないか
- 文章の構成やまとめ方などが整っており内容を理解しやすいか
- 見やすいレイアウトになっているか
- 専門用語ばかりを多用していないか
何を伝えたいのか要点を把握しやすく、読みやすい文章の場合には、理論的思考力・文章力・説明力があると考えられます。また、読み手に配慮された丁寧な構成や体裁から、誠実で几帳面な人柄と捉える見方もあります。
⑤自己PR・志望動機
5つ目は、自己PRと志望動機についてです。
自己PRと志望動機は、「自社への入社意欲があるか」「応募者の強みを自社の業務に生かせるか」などを判断するための項目となります。
▼判断のポイント
- 自己PRの内容において根拠とする経験やエピソードがあるか
- 自社の理念や商材への理解があるか、あるいは理解しようとする努力が見えるか
具体的な経験やエピソードを用いて自己PRをしている場合、自分の強みをどのように生かせるかを客観的に分析できていると考えられます。企業が求める人材かどうか、マッチ度を見極める基準の一つとなります。
また、一般的かつ抽象的な志望動機でなく、企業理念や商材などをよく調べられている場合には、自社への入社に対して熱意があると判断することが可能です。
スムーズな書類選考を行うための準備
書類選考をスムーズに進めるには、確認する項目と基準を統一化して、採用担当者による判断のばらつきを防ぐことが重要です。そのためには、以下の事前準備を行うことが欠かせません。
▼書類選考の事前準備
- 採用ペルソナを設計する
- 評価基準シートを作成する
自社が求める人物像を詳細に定義した採用ペルソナを設計することで、書類選考でチェックする項目と基準を検討しやすくなり、効率的に的確な判断を行えるようになります。
また、書類選考でチェックする項目と具体的な判断基準を一覧化した評価基準シートを作成しておくことも必要です。評価基準シートを活用すると、採用担当者の主観による判断を防いで客観的な視点で自社にマッチする人材を見極められます。
なお、採用ペルソナの設計方法や面接評価シートの作り方については、こちらの記事をご確認ください。
まとめ
この記事では、書類選考について以下の内容を解説しました。
- 書類選考の目的
- 書類選考で通過ラインを決める基準と判断のポイント
- スムーズな書類選考を行うための準備
書類選考によって自社にマッチする候補者を絞り込んで、効率的に選考を行うには、通過ラインの基準と判断のポイントを明確にしておく必要があります。
また、統一した基準で候補者を客観的に見極めるには、事前に採用ペルソナを設計したうえで、評価基準シートを作成しておくことも欠かせません。
ただし、求人に応募があった人のなかから、書類選考だけで自社が求める人材を厳選するのには限界があります。書類選考をスムーズに進めるには、自社にマッチする人材からの応募につながる求人情報を作成することも大切です。
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