リテンションとは?人事が知っておきたい具体的な20の施策と事例
経営者・人事・採用担当者の方々の名ヵには、「リテンション」というキーワードを耳にする機会が増えた方もいらっしゃるかもしれません。
「リテンション」は、企業経営においてますます重要性を増しています。そこで本記事では、リテンションとは何か、なぜ企業で注目されているのか、リテンション強化によってもたらされるメリット、そして実際に効果的な20の施策と事例について詳しく解説します。
リテンションの意味を理解し、組織の成長に欠かせない取り組みを始めましょう。
目次[非表示]
- 1. リテンション(retention)とは?
- 2.リテンション強化が企業で注目される背景
- 3.リテンション強化を行なうメリット
- 3.1.知識・ノウハウ・スキルの蓄積
- 3.2.組織の持続的な成長と競争力の獲得
- 3.3.採用コストの削減
- 3.4.顧客のリテンション強化
- 4.リテンションを強化する20の施策
- 5.採用活動でリテンション強化をした事例
- 6.まとめ
リテンション(retention)とは?
リテンションとは、「保持・維持」を意味する言葉です。企業において従業員や顧客が長期間にわたって継続的に関係を維持し留まることを指します。
そのため人事領域で使う場合は「人材の確保・定着」、マーケティング領域で使う場合は、「既存顧客の維持」という意味合いで使用されるケースが多いです。本記事では、人事用語としての「リテンション」について掘り下げていきます。
優秀な人材を自社に確保・定着するためのあらゆる施策を「リテンション」と言い、「給与・福利厚生の改善」に留まらず、「働きやすい環境・制度づくり」「ワークライフバランスの確立」「ダイバージェンス採用の推進」「風通しの良い風土づくり」「良好な人間関係の構築」「採用におけるミスマッチの防止」なども、リテンションの施策です。
リテンション強化が企業で注目される背景
・少子高齢化・労働人口の減少に伴う、人材の希少化(※)
・年功序列・終身雇用制度の崩壊(※)
こうした背景により、「転職をする人」が以前より珍しくなくなり、人材の流動性が高まっています。転職市場に多くの人材が増えました。しかし、人材の希少化も並行して進んでいるため、それを上回るほど「人材不足に悩む企業」も増えています。
つまり、従業員の離職率が高まっているのに、採用は難しくなっているということ。「人材」が減り続ければ、企業は存続できません。だからこそ、企業はリテンション強化による従業員の定着や顧客の継続利用を図り、組織の安定性と競争優位性を築くことが求められています。
少子高齢化・労働人口の減少に伴う、人材の希少化など「人手不足の原因と対策」については以下の記事でもご紹介しています。
また、「年功序列の崩壊と、今の日本に合った雇用システム」については以下の記事で詳しく解説しております。
リテンション強化を行なうメリット
リテンション強化によって、従業員の定着率が向上します。それだけでも大きなメリットですが、他にもさまざまなメリットがあります。
知識・ノウハウ・スキルの蓄積
社員が離職するということは、貴重な「知識・スキル・ノウハウ」が失われるということです。特に技術系の社員の「専門知識・スキル」、マニュアル化が難しい「俗人的なノウハウ」は、得難いもの。社員の定着率が高まることで、こうした知識・ノウハウ・スキルの流出を防ぎ、会社に蓄積することができます。
組織の持続的な成長と競争力の獲得
人材は企業の成長に欠かせません。従業員の退職が減り、採用数が上回れば、組織は成長し続けます。また、従業員の定着率が高まることで社内に蓄積される、知識・スキル・ノウハウは競争力の源泉となるものです。
採用コストの削減
従業員の定着率が高まることで、欠員募集にかかる採用コストも削減できます。削減できる採用コストは、外部コストと内部コストの2種類に分けられます。一般的には、採用サービスの利用費、求人の掲載費、人材紹介の成功報酬などの「外部コスト」をイメージしがちですが、採用のために動く「人事・現場・経営者の人件費」などの「内部コスト」も削減できます。
無駄な採用をしなくなることで、人事や現場担当者が他の業務に専念することは、企業の成長にも繋がるはずです。
採用コストの相場や内訳については、以下の記事で解説しておりますのでご参考ください。
▼採用コストの相場とは?|節約術や削減事例まで徹底解説
顧客のリテンション強化
従業員が辞めないということは、顧客からすると「担当者が変わらない」ということにも繋がります。長期間にわたって顧客との良好な関係を築くことで、顧客満足度も高まり、リピート購買率の向上にも期待できます。
リテンションを強化する20の施策
リテンションを強化する20の施策をご紹介していきます。
1. 報酬を上げる |
給与や賞与を上げる |
2. 福利厚生を充実させる |
住宅手当・家族手当など社員満足度が高い福利厚生を拡充する |
3. 納得度が高い評価制度にする |
昇給・昇格基準を明文化し、納得度を高める |
4. 上司(管理職)教育の実施 |
マネジメントスキルの向上の他、ハラスメント対策を行なう |
5. 上司と定期面談する機会をつくる |
定期的に上司と話す機会を設け、相互理解の場とする |
6. 人事と定期面談する機会をつくる |
上司に直接話しづらい相談の受け皿となる |
7. 社員相談室の設置 |
いつでも相談できる連絡窓口を社内で公開する |
8. 育成・研修方法の変更 |
最初に教える業務や独り立ちまでの期間が適正かを見直す |
9. 企業のビジョンの共有 |
企業のビジョンを定期共有し、将来に対する安心感を醸成する |
10. 称賛文化をつくる |
上司や同僚と些細なことでも褒めあう風土をつくる |
11. 多様なキャリアパスをつくる |
ジョブローテーション・キャリアチェンジなどキャリアの幅を本人の希望で広げやすいようにする |
12. 柔軟な働き方を実現しやすい環境をつくる |
時短勤務やフレックスタイム、在宅勤務(リモートワーク)などを設ける |
13. 仕事量を改善する |
入社直後の業務過多・業務過少を減らす |
14. 転勤可否を都度確認 |
転勤必須な場合は入社前時点で確認しておく |
15. 社内交流を活性化させる |
縦と横のつながりを広げやすい風土を作る |
16. メンター制度をつくる |
相談相手を立てることで気軽に相談しやすくする |
17. 企画から社員が行なう社内プロジェクト |
社員の主体性を育て、責任感を持ちやすくなる |
18. 定期的なストレスチェック |
従業員アンケート等で定期的にストレスチェックを行なう |
19. 採用基準を見直す |
ただ応募を集めるだけでなく、入社後に活躍・定着しやすい人物の採用要件を再検討する |
20. 採用段階で仕事の厳しい側面を伝える |
入社後ギャップを生まないために求人や面接で仕事の厳しい側面を事前に伝えておく |
採用活動でリテンション強化をした事例
■株式会社ウィル:総合職募集
同社は「入社した従業員の早期退職」に悩んでいました。そこで離職リスク可視化ツール『HR OnBoard』を導入。『HR OnBoard』では、過去3000社以上の退職予兆を元にした入社経過ごとの設問により、現場配属後の入社者の見えづらい心理状態をキャッチすることが可能です。チャットツールのような手軽に回答できる形式となっており、入社者の状況による適切なアドバイスも実施しています。
『HR OnBoard』の導入と導入後のエン転職による定期サポートを通して、採用面接のやり方などから改善。その結果、入社後にギャップを感じて早期退職を減らすことに成功しました。
▼株式会社ウィルの応募効果と、実際に掲載された求人広告はこちら
■エスティーティー株式会社:経理募集
同社は人材紹介サービスを利用して採用活動をしていたものの、中途入社者の活躍・定着に課題を抱えていました。
そこで、エン転職は、入社前に知っておかなければ早期離職につながってしまうような特徴も取材で徹底的にヒアリング。求人では『エン転職』の「仕事の厳しさ」項目を上手く活用しながら、求職者に同社の社風への理解を促進。結果、同社が求めていたような主体性を持った人材の採用に成功し、入社から2ヶ月以上たった時点でも活躍されています
▼エスティーティー株式会社応募効果と、実際に掲載された求人広告はこちら
その他にも、以下のサイトで「採用で従業員の定着率が改善した事例」を多数紹介しています。業界・職種問わず活かせるノウハウが詰まっておりますので、ぜひご参考ください。
▼定着率向上に成功した採用事例はこちら
まとめ
リテンション強化により、従業員の定着率を高めることには様々な恩恵があります。
知識・スキル・ノウハウの醸成、組織の持続的な成長、企業競争力の獲得、採用コストの削減、顧客満足度の向上など。代表例としてこうしたリテンション強化のメリットがありますが、日々忙しい人事・採用担当者としては、人が辞めないことで「採用に無駄な工数を割かなくていい」というのも大きなメリットになると思います。
従業員の離職率は、「採用段階の工夫」でも改善することが可能です。入社後に活躍・定着する人材を採用したいとお考えであれば、ぜひ『エン転職』をご活用ください。
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現在世にある多くの採用サービスが「入社後活躍」の重要性を語るようになりました。ですが、口にするのは簡単でも、サービスにまで落とし込めるかは別問題です。 エン転職は、サービス開始以来、この「入社後活躍」を信念として掲げ、実現するためのサービスを追求してきました。
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また、エン転職に掲載すると無料で利用できる離職リスク可視化ツール『HR OnBoard』については以下の記事で詳しくご紹介しています。入社後の離職リスクの察知に役立つツールになりますので、併せてぜひご覧ください。