HRと人事の違いは?仕事内容、必要スキル、HR Techを事例付きで解説

「HR」や「HR Tech(HRテック)」という言葉を耳にする機会が増えたと感じる、経営者・人事・採用担当の方は多いと思います。
HRとは、従業員を「コスト(費用)」ではなく、企業の価値を高める「リソース(資源・資本)」として捉え、戦略的にマネジメントする仕組みや活動のことです。
本記事では、HRの基礎知識や、これからのHRが取り組むべき最重要テーマについてご紹介します。
さらに、最新のトレンドであるHR Tech(HRテック)についても解説。注目される背景や具体的なサービス事例をご紹介します。HRについての要点を学べますので、ぜひご参考ください。
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HRとは?
HRとは、「Human Resource(ヒューマンリソース)」の略称。直訳すると「人的資源=人材」のことです。HR業界とは人材業界を意味します。
人的資源全般に関わる業務をHRと呼ぶこともあります。HRは、戦略的な意味合いを多く含んでおり、「採用・育成・評価・配置・定着」といった「人材に関する業務を最適化することで企業を成長させる」ことを目的とするケースが多いです。
HRと人事部の違い
人的資源全般に関わる業務をHRと呼ぶため、「人事部」と混同されがちです。企業によってはHR業務=人事業務として扱っているケースも散見されます。
しかし、実際は微妙な違いがあります。人事業務のより戦略的な側面にフォーカスを当てたものを、HRとするケースが多いです。人事部は組織において人事に関連する具体的な業務を担当する部門を指し、採用の他、給与計算、人員異動、社員育成、労務管理などを含みます。一方で、HRはこうした個々の業務を連動させて目標(例えば経営目標など)の達成を目指します。
採用・育成・評価制度の見直し…これら単体は人事業務です。これに対して、「5年で会社の売り上げを10倍にする」という経営目標に対して、「いつまでに何人採用するのか」「何名のリーダー以上のポジションを育成する必要があるのか」「リーダーを生むための評価制度を変える必要があるのか」、全業務を連動させて人事戦略を考えるのがHRの業務です。
「人事戦略」については以下の記事でも解説しておりますので、ご覧ください。
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HRMとは?
HRM(Human Resource Management/人的資源管理)とは、従業員を「企業の成長に不可欠な経営資源(資本)」と捉え、その価値を最大化するための総合的なマネジメント手法です。
経営目標を達成するために、「どのような人材が必要か」「どうすればその人材が能力を最大限に発揮できるか」を定義し、組織文化や制度設計を通して実行に移す「戦略人事」そのものを意味します。
単にルールを守らせるための管理ではなく、従業員のエンゲージメントを高め、自律的なキャリア形成を支援し、ビジネスの成果に直結させるプロセスだといえます。
PM(人事管理)からHRM(人的資源管理)への変化
かつての人事の主流であったPM(Personnel Management/人事管理)と、現代のHRMには、その根本的な「役割」に大きな違いがあります。この変化を理解することは、2026年の組織戦略を考える上で非常に重要です。
PM(人事管理) | HRM(人的資源管理) | |
焦点 | 勤怠管理、給与計算、労務手続き、適正な人員配置など「定常業務」の効率化 | 人材の採用戦略、育成、評価、組織開発、エンゲージメント向上など「経営課題」へのアプローチ |
目的 | ルールの遵守、トラブルの防止、人件費の適正化(コスト管理) | 人的資本の最大化による企業価値の向上、イノベーションの創出 |
考え方 | 人員を「欠員が出たら補充するリソース」と見なす側面がある | 人員を「企業成長のための資産」と見なし、投資対効果(ROI)を追求する |
HRMの代表的なモデル
HRMを実務に落とし込む際、指針となるのがいくつかの「HRMモデル」です。これらは、組織が人をどのように捉え、どのように戦略と結びつけるかを体系化したものです。現在こうした古典的モデルは、AIの活用や人的資本経営の浸透によって、新たな解釈を加えながら再評価されています。そこで、代表的な3つのモデルについて解説します。
・ミシガン・モデル
1980年代に提唱された、「ハード型」HRMの代表格です。「人は組織の戦略を遂行するためのリソースである」という考え方が強く、経営戦略と人事システム(採用・評価・育成・報酬)の完全な一致を重視します。
現代においては、AIによるスキルデータの可視化(スキルベース採用)や、人的資本のROI(投資対効果)を追求するデータドリブンな人事戦略の基盤となっています。
・ハーバード・モデル
ミシガン・モデルに対し、従業員の主体性や心理的側面を重視する「ソフト型」のモデルです。株主だけでなく、従業員、政府、地域社会といった「ステークホルダー(利害関係者)」への影響を考慮し、長期的なコミットメントを引き出すことを目的とします。
現代の「ウェルビーイング」や「DEI&B(多様性・公平性・包括性・帰属意識)」、従業員体験(EX)の向上を重視する流れの源流です。
・ウルリッチ・モデル
HRの第一人者、デイビッド・ウルリッチが提唱した、人事が果たすべき「4つの役割」を定義したモデルです。人事を単なる管理部門ではなく、経営の「戦略パートナー」や変革を促す「チェンジ・エージェント」として位置づけました。
現在では、AIが「管理のエキスパート」の役割を代替することで、人間である人事がより「戦略パートナー」や「従業員のチャンピオン」へ集中する形へと進化しています。
HR職・HR業界が扱う5つの分野
HR職・HR業界の代表例として、「採用・育成・配置・労務管理・評価・定着」があげられます。それぞれ付随する仕事や、HRサービスが登場しています。
採用 | 適切な人材を見つけるための採用活動や面接、選考プロセスを計画・実施します。 |
育成 | 従業員のスキルアップや能力開発のための教育プログラムを企画・実施します。 |
労務管理 | 従業員の勤怠管理や労働法令の遵守、給与計算などの労務業務を担当します。 |
評価 | 従業員が適切に昇給・昇格できるような評価制度を設計します。 |
定着 | 労働条件・労働環境の改善など、従業員が働きやすい環境を整えます。 |
HR担当者の仕事内容と求められるスキル
HR担当者の仕事内容は、前述の「採用・育成・労務管理・評価・定着」からさらに細分化されるため、多岐にわたります。その中でも、一番多くの割合を占める「採用の仕事内容」と「HR担当者に求められるスキル」を以下でご紹介します。
HR担当者の仕事内容
HR担当者の仕事内容の一例として以下が挙げられます。
採用 | ・経営者・現場と採用したい人材のヒアリング |
HR担当者に求められるスキル
HR担当者に求められるスキルの代表例として、以下の7つが挙げられます。
・採用市況の知識
求職者の動きが活発な時期、求人掲載数が減る時期など、中途採用には毎年一定の傾向があります。こうした採用市況を理解していると、採用を有利に運べます。
・採用戦略の策定
求人が世にあふれている昨今。採用の成功率を高めるためにも、採用を戦略的に考える重要性が増しています。採用戦略の策定スキルを身につけることで人事としての希少価値が高まります。
・応募が集まる求人広告の書き方
ハローワークなどを利用する場合は、HR担当者自身で求人票を作る必要があります。求人サービスを利用する場合は、求人作成を任せられますが、HR担当者が求人の良し悪しを分かっていると質の高い求人を作成してもらいやすくなります。
・面接官の心得
面接官の立ち居振る舞いは、応募意欲を大きく左右します。だからこそ、面接を担当するHR担当者が面接官としての心得を身につけておくことは内定承諾率に影響します。
・見極めたい項目に応じた面接質問
欲しい人材のイメージはあっても、面接でどう見極めるかが決まっていないと、採用が上手くいきません。見極めたい項目に応じて、どんな質問をするのが適切か学ぶことが大切です。
・面接辞退・内定辞退防止法
面接辞退・内定辞退が起きやすくなっています。せっかく応募してくれた候補者を逃さないためにも、面接辞退や内定辞退を防止するテクニックは優先して身につけたいスキルの一つです。
・退職防止法
早期離職もHRの取り組み次第では、軽減できます。採用が難しくなっているからこそ、退職を減らすノウハウも学びたい要素です。
▼各スキルの詳細は以下の記事でご紹介しておりますので、併せてぜひご覧ください。
HRの重要度が高まる理由
昔から企業の4大経営資源として「ヒト・モノ・カネ・情報」は大切だと言われていました。特にその中でも「ヒト=人材」は、企業の最大の資産と言われています。適切な人材を確保することが、企業の競争力を高めるために不可欠だからです。
これまでも「人材」は重要視されてきましたが、近年はさらにHRの重要度が増していると言われています。その理由を以下でご紹介します。
少子高齢化と労働人口の減少
最大の理由は、「少子高齢化」と「労働人口の減少」です。少子高齢化が進む日本では、若い労働人口は減少傾向にあります。つまり、人材の希少化が進んでいるということです。しかも、少子高齢化には改善傾向が見えません。これは、今後ますます採用が難しくなるということを意味します。
採用が難しくなるからこそ、これまでと同じ採用活動では人材を獲得しづらくなっていくことが予想されます。だからこそ、人的資源の最適化を戦略的に考える、HRに注目が集まっています。
働く人のニーズの多様化と価値観の変化
労働市場の変化により、以前より転職市場は活発になっています。転職軸となる求職者のニーズも多様化。例えば新型コロナウイルス感染拡大以降は、「在宅勤務」や「副業」の需要が高まりました。
他にも、昔と比べて「昇進を望まない人」も増えていると言われ、マネジメントをしなくても昇給していくポジション(ハイプレーヤー等)などの新たなキャリアモデルを構築する企業も増えています。こうした変化に対応するためにも、意識的にHRに注力する必要が増しています。
これからのHRが取り組むべき最重要テーマ
労働人口の減少が加速し、AIが日常的なツールとなった昨今。HRの役割は、単なる「管理」から、不確実な環境下で組織の適応力を最大化させる「デザイン」へと変化しています。
「スキルベース組織」の構築
2020年代前半に注目された「ジョブ型雇用」ですが、現在は個人の能力を軸に組織を編成する「スキルベース組織」への移行が本格化しています。変化の激しい現代では、「職務に人を割り当てる」のではなく、「プロジェクトに必要なスキルを、社内外からパズルのように組み合わせて解決する」柔軟性が求められています。
具体的な取り組みとしては、スキルズインベントリー(従業員のスキルのデータベース化)や社内副業の活性化などが挙げられます。
人的資本経営の「実践」
2023年月期決算から、上場企業に対して人的資本の開示が義務化されましたが、現在はさらに進み、投資対効果(ROI)の証明が重要となっています。投資家や経営層は、研修時間の追加や女性管理職比率の向上といった数値だけではなく、その施策が売上や利益に貢献できたかが重視しているためです。
具体的な取り組みとしては、ピープル・アナリティクス(従業員データの分析・活用)やリスキリング(従業員のスキル再開発)の高度化などが挙げられます。
従業員の「帰属意識」
今注目されているのが「DEI&B」という概念です。多様性(Diversity)、公平性(Equity)、包括性(Inclusion)の「DE&I」という考え方に、最近は「帰属意識(Belonging)」が加わっており、HRの最重要課題となっています。
正社員やフリーランス、副業などさまざまな雇用形態の人材が働く中で、「自分はこの会社・組織の一員である」という帰属意識を強く持ってもらわなければ、従来の生産性を維持することは難しいでしょう。その具体的な取り組みとして、意思決定プロセスや情報の透明化、雇用形態を問わない称賛・表彰、外部人材の育成支援などが挙げられます。
HR Tech(HRテック)とは?
HR Tech(HRテック)とは「Human Resource(ヒューマンリソース)」と「テクノロジー(Technology)」を組み合わせた造語です。
「採用・育成・労務管理・評価・定着」の領域に情報技術などのテクノロジーを活用することで、効率化や抜本的な改革を図ることを意味します。
近年、人事業務の効率化やデータ分析、従業員のエンゲージメント向上など、さまざまなHR領域でテクノロジーが活用されています。
HR Tech(HRテック)が注目される背景
HR Techが注目される背景には、テクノロジーの進化とデータ活用の重要性が挙げられます。
テクノロジーの進化
例えば、「ビッグデータの活用」や「人工知能(AI)」の活用により、従業員データの蓄積・分析が容易になりました。活躍している従業員の傾向から、採用基準を作ることで見極め精度を高めるのにもHR Techが役立ちます。
Web会議システムの品質向上は、リモートワークを加速させ、HR領域でも「自宅で出来る仕事は出社しないことにして生産性を高める動きもあります。
「ChatGPT」や「Bard」などのAIチャットの登場は、求人作成やスカウトメールの作成時間を短縮できる可能性を秘めています。
さらにこうした、HR Techの恩恵を「クラウド技術」の発展により以前より安価に受けられるようになりました。
データ分析の重要性
少子高齢化・労働人口の減少が進む日本では、採用が難しくなっています。その中で、採用成功率を高めるためにデータ分析の重要度が増しています。
また、採用が難しくなるからこそ、既存社員を最適な配置にすることでの生産性向上も有効です。そのために、人事部門で既存の従業員の得意分野・志向性などのデータ分析を行なう企業も増えています。
HR Tech(HRテック)の事例
HR Techの事例としては、以下のようなものがあります。
オンライン適性検査『TALENT ANALYTICS』
オンライン適性検査『TALENT ANALYTICS』とは、面接で見極めるのが難しい「候補者の価値観・性格・思考特性・ストレス耐性」を、分かりやすいグラフにしてくれます。
例えば、以下のような情報がグラフで視覚化されます。
■タイプ どんな性格で、どんなコミュニケーションを得意・苦手とするか
■原動力 何を原動力としていて、どんなストレスに強い・弱いか
■指向 どんなキャリアを指向していて、どんな職務に適性が高い・低いか
■注意点 回答結果に虚偽傾向がないか
募集したい職種で「実際に現在活躍している従業員」にあらかじめ適性検査を受けてもらい、その人の検査結果と波形が近い人を採用することで、活躍人材を採用できる可能性を高められます。
▼オンライン適性検査「TALENT ANALYTICS」は以下の記事でも詳細を解説しておりますのでご覧ください。
入社後の離職リスク可視化ツール『HR Onboard』
『HR Onboard』とは、入社後の離職リスク可視化ツールです。入社者への毎月のアンケートにより、退職の予兆を素早くキャッチ。社員一人ひとりの状況について、図のように、天気マークでそれぞれ「要フォロー」「やや注意」などが分かります。

フォローすべき人材が明確になるだけでなく、「こんな点にギャップを感じています」という具体的な内容や、それに対する「取るべきアドバイスや行動」も表示されるため、ケアの仕方での悩みも解消されます。長年かけて培ってきた独自の採用ノウハウを駆使して開発したツールです。
まとめ
近年の採用難を機に、HR Techの活用に注目が集まっています。HR Techを採用活動に取り入れていきたいが、何から始めるべきか、何が自社に必要なのか分からないという方は、ぜひエン転職にご相談ください。
事例としてご紹介した、HR Techサービス「TALENT ANALYTICS」「HR Onboard」は、エン転職を運営するエン株式会社が開発したサービスです。
エン株式会社は人材総合支援会社としてこの他にも、「採用・育成・配置・労務管理・評価・定着」で役立つ様々なサービスを展開しております。どんなサービスが貴社に合うかからご相談に乗れますので、お気軽に以下お問い合わせ窓口からご相談ください。
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