HRと人事の違いは?仕事内容、必要スキル、HR Techを事例付きで解説
「HR」や「HR Tech(HRテック)」という言葉を耳にする機会が増えたと感じる、経営者・人事・採用担当の方は多いと思います。
本記事では、HRとは何か、人事部との違い、そしてHR職やHR業界が担う5つの重要な分野についてご紹介します。
さらに、最新のトレンドであるHR Tech(HRテック)についても解説。注目される背景や具体的なサービス事例をご紹介します。HRについての要点を学べますので、ぜひご参考ください。
目次[非表示]
- 1. HRとは?
- 2. HRと人事部の違い
- 3.HR職・HR業界が扱う5つの分野
- 4.HR担当者の仕事内容と求められるスキル
- 4.1.HR担当者の仕事内容
- 4.2.HR担当者に求められるスキル
- 5.HRの重要度が高まる理由
- 5.1.少子高齢化と労働人口の減少
- 5.2.働く人のニーズの多様化と価値観の変化
- 6.HR Tech(HRテック)とは?
- 7.HR Tech(HRテック)が注目される背景
- 8.HR Tech(HRテック)の事例
- 9.まとめ
HRとは?
HRとは、「Human Resource(ヒューマンリソース)」の略称。直訳すると「人的資源=人材」のことです。HR業界とは人材業界を意味します。
人的資源全般に関わる業務をHRと呼ぶこともあります。HRは、戦略的な意味合いを多く含んでおり、「採用・育成・評価・配置・定着」といった「人材に関する業務を最適化することで企業を成長させる」ことを目的とするケースが多いです。
HRと人事部の違い
人的資源全般に関わる業務をHRと呼ぶため、「人事部」と混同されがちです。企業によってはHR業務=人事業務として扱っているケースも散見されます。
しかし、実際は微妙な違いがあります。人事業務のより戦略的な側面にフォーカスを当てたものを、HRとするケースが多いです。人事部は組織において人事に関連する具体的な業務を担当する部門を指し、採用の他、給与計算、人員異動、社員育成、労務管理などを含みます。一方で、HRはこうした個々の業務を連動させて目標(例えば経営目標など)の達成を目指します。
採用・育成・評価制度の見直し…これら単体は人事業務です。これに対して、「5年で会社の売り上げを10倍にする」という経営目標に対して、「いつまでに何人採用するのか」「何名のリーダー以上のポジションを育成する必要があるのか」「リーダーを生むための評価制度を変える必要があるのか」、全業務を連動させて人事戦略を考えるのがHRの業務です。
「人事戦略」については以下の記事でも解説しておりますので、ご覧ください。
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HR職・HR業界が扱う5つの分野
HR職・HR業界の代表例として、「採用・育成・配置・労務管理・評価・定着」があげられます。それぞれ付随する仕事や、HRサービスが登場しています。
採用 |
適切な人材を見つけるための採用活動や面接、選考プロセスを計画・実施します。 |
育成 |
従業員のスキルアップや能力開発のための教育プログラムを企画・実施します。 |
労務管理 |
従業員の勤怠管理や労働法令の遵守、給与計算などの労務業務を担当します。 |
評価 |
従業員が適切に昇給・昇格できるような評価制度を設計します。 |
定着 |
労働条件・労働環境の改善など、従業員が働きやすい環境を整えます。 |
HR担当者の仕事内容と求められるスキル
HR担当者の仕事内容は、前述の「採用・育成・労務管理・評価・定着」からさらに細分化されるため、多岐にわたります。その中でも、一番多くの割合を占める「採用の仕事内容」と「HR担当者に求められるスキル」を以下でご紹介します。
HR担当者の仕事内容
HR担当者の仕事内容の一例として以下が挙げられます。
採用 |
・経営者・現場と採用したい人材のヒアリング |
HR担当者に求められるスキル
HR担当者に求められるスキルの代表例として、以下の7つが挙げられます。
・採用市況の知識
求職者の動きが活発な時期、求人掲載数が減る時期など、中途採用には毎年一定の傾向があります。こうした採用市況を理解していると、採用を有利に運べます。
・採用戦略の策定
求人が世にあふれている昨今。採用の成功率を高めるためにも、採用を戦略的に考える重要性が増しています。採用戦略の策定スキルを身につけることで人事としての希少価値が高まります。
・応募が集まる求人広告の書き方
ハローワークなどを利用する場合は、HR担当者自身で求人票を作る必要があります。求人サービスを利用する場合は、求人作成を任せられますが、HR担当者が求人の良し悪しを分かっていると質の高い求人を作成してもらいやすくなります。
・面接官の心得
面接官の立ち居振る舞いは、応募意欲を大きく左右します。だからこそ、面接を担当するHR担当者が面接官としての心得を身につけておくことは内定承諾率に影響します。
・見極めたい項目に応じた面接質問
欲しい人材のイメージはあっても、面接でどう見極めるかが決まっていないと、採用が上手くいきません。見極めたい項目に応じて、どんな質問をするのが適切か学ぶことが大切です。
・面接辞退・内定辞退防止法
面接辞退・内定辞退が起きやすくなっています。せっかく応募してくれた候補者を逃さないためにも、面接辞退や内定辞退を防止するテクニックは優先して身につけたいスキルの一つです。
・退職防止法
早期離職もHRの取り組み次第では、軽減できます。採用が難しくなっているからこそ、退職を減らすノウハウも学びたい要素です。
▼各スキルの詳細は以下の記事でご紹介しておりますので、併せてぜひご覧ください。
HRの重要度が高まる理由
昔から企業の4大経営資源として「ヒト・モノ・カネ・情報」は大切だと言われていました。特にその中でも「ヒト=人材」は、企業の最大の資産と言われています。適切な人材を確保することが、企業の競争力を高めるために不可欠だからです。
これまでも「人材」は重要視されてきましたが、近年はさらにHRの重要度が増していると言われています。その理由を以下でご紹介します。
少子高齢化と労働人口の減少
最大の理由は、「少子高齢化」と「労働人口の減少」です。少子高齢化が進む日本では、若い労働人口は減少傾向にあります。つまり、人材の希少化が進んでいるということです。しかも、少子高齢化には改善傾向が見えません。これは、今後ますます採用が難しくなるということを意味します。
採用が難しくなるからこそ、これまでと同じ採用活動では人材を獲得しづらくなっていくことが予想されます。だからこそ、人的資源の最適化を戦略的に考える、HRに注目が集まっています。
働く人のニーズの多様化と価値観の変化
労働市場の変化により、以前より転職市場は活発になっています。転職軸となる求職者のニーズも多様化。例えば新型コロナウイルス感染拡大以降は、「在宅勤務」や「副業」の需要が高まりました。
他にも、昔と比べて「昇進を望まない人」も増えていると言われ、マネジメントをしなくても昇給していくポジション(ハイプレーヤー等)などの新たなキャリアモデルを構築する企業も増えています。こうした変化に対応するためにも、意識的にHRに注力する必要が増しています。
HR Tech(HRテック)とは?
HR Tech(HRテック)とは「Human Resource(ヒューマンリソース)」と「テクノロジー(Technology)」を組み合わせた造語です。
「採用・育成・労務管理・評価・定着」の領域に情報技術などのテクノロジーを活用することで、効率化や抜本的な改革を図ることを意味します。
近年、人事業務の効率化やデータ分析、従業員のエンゲージメント向上など、さまざまなHR領域でテクノロジーが活用されています。
HR Tech(HRテック)が注目される背景
HR Techが注目される背景には、テクノロジーの進化とデータ活用の重要性が挙げられます。
テクノロジーの進化
例えば、「ビッグデータの活用」や「人工知能(AI)」の活用により、従業員データの蓄積・分析が容易になりました。活躍している従業員の傾向から、採用基準を作ることで見極め精度を高めるのにもHR Techが役立ちます。
Web会議システムの品質向上は、リモートワークを加速させ、HR領域でも「自宅で出来る仕事は出社しないことにして生産性を高める動きもあります。
「ChatGPT」や「Bard」などのAIチャットの登場は、求人作成やスカウトメールの作成時間を短縮できる可能性を秘めています。
さらにこうした、HR Techの恩恵を「クラウド技術」の発展により以前より安価に受けられるようになりました。
データ分析の重要性
少子高齢化・労働人口の減少が進む日本では、採用が難しくなっています。その中で、採用成功率を高めるためにデータ分析の重要度が増しています。
また、採用が難しくなるからこそ、既存社員を最適な配置にすることでの生産性向上も有効です。そのために、人事部門で既存の従業員の得意分野・志向性などのデータ分析を行なう企業も増えています。
HR Tech(HRテック)の事例
HR Techの事例としては、以下のようなものがあります。
採用支援ツール『engage』
無料でHR Techサービスを試すのにオススメなのが、『engage(エンゲージ)』。
40万社以上が利用する、国内No.1の利用者数を誇る採用支援ツールです。求人掲載、採用サイトの作成、求職者へのDM(ダイレクトメッセージ)の送信などがすべて無料で利用できます。
オンライン適性検査『TALENT ANALYTICS』
オンライン適性検査『TALENT ANALYTICS』とは、面接で見極めるのが難しい「候補者の価値観・性格・思考特性・ストレス耐性」を、分かりやすいグラフにしてくれます。
例えば、以下のような情報がグラフで視覚化されます。
■タイプ どんな性格で、どんなコミュニケーションを得意・苦手とするか
■原動力 何を原動力としていて、どんなストレスに強い・弱いか
■指向 どんなキャリアを指向していて、どんな職務に適性が高い・低いか
■注意点 回答結果に虚偽傾向がないか
募集したい職種で「実際に現在活躍している従業員」にあらかじめ適性検査を受けてもらい、その人の検査結果と波形が近い人を採用することで、活躍人材を採用できる可能性を高められます。
▼オンライン適性検査「TALENT ANALYTICS」は以下の記事でも詳細を解説しておりますのでご覧ください。
入社後の離職リスク可視化ツール『HR Onboard』
『HR Onboard』とは、入社後の離職リスク可視化ツールです。入社者への毎月のアンケートにより、退職の予兆を素早くキャッチ。社員一人ひとりの状況について、図のように、天気マークでそれぞれ「要フォロー」「やや注意」などが分かります。
フォローすべき人材が明確になるだけでなく、「こんな点にギャップを感じています」という具体的な内容や、それに対する「取るべきアドバイスや行動」も表示されるため、ケアの仕方での悩みも解消されます。長年かけて培ってきた独自の採用ノウハウを駆使して開発したツールです。
まとめ
近年の採用難を機に、HR Techの活用に注目が集まっています。HR Techを採用活動に取り入れていきたいが、何から始めるべきか、何が自社に必要なのか分からないという方は、ぜひエン転職にご相談ください。
事例としてご紹介した、HR Techサービス「engage」「TALENT ANALYTICS」「HR Onboard」はすべて、エン転職を運営するエン・ジャパンが開発したサービスです。
エン・ジャパンは人材総合支援会社としてこの他にも、「採用・育成・配置・労務管理・評価・定着」で役立つ様々なサービスを展開しております。どんなサービスが貴社に合うかからご相談に乗れますので、お気軽に以下お問い合わせ窓口からご相談ください。
また、エン・ジャパンが運営する日本最大級の会員数を誇る求人サイト『エン転職』のサービス詳細・料金表は以下からご確認いただけます。