採用担当者の仕事とは?基本から人事採用のプロになる方法まで徹底解説
採用担当者とは、企業に必要な人材を採用するポジションです。
企業によっては学生を採用する「新卒採用担当者」と、キャリア採用をする「中途採用担当者」に分かれていたり、1人の採用担当者がどちらも兼任していたりします。
「ヒト・モノ・カネ・情報」は企業の4大経営資源と言われますが、その中でも「ヒト」は特に重要だと言われています。人材なくして企業は成長できません。人材は企業の競争力を生み出す源泉でもあります。
だからこそ、そんな重要な人材の採用を任せる「採用担当者」のポジションも、重要度は高いと言えます。しかし、重要度が高いにもかかわらず「採用担当者向けの体系化された育成制度」を用意できている企業は希少です。
本記事にたどり着いた方には、独学で採用業務を担当・兼任していたり、採用担当を任されたものの何から手を付けたら良いのか迷っていたりする方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、年間100以上の面接を担当する人事採用担当者が、「採用担当者の仕事内容」「人事担当者との違い」といった基礎的な知識をご紹介。さらに、「採用担当者の選び方」や「採用のプロフェッショナル」と呼ばれるために身につけたい知識・スキルについても徹底解説します。
本記事だけで、採用担当者の基礎知識から応用知識まで学べる、採用担当者マニュアルとなっています。ぜひご参考ください。
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目次[非表示]
- 1.採用担当者とは?人事担当者との違い
- 1.1.採用担当者と人事担当者の違い
- 2.採用担当者を選ぶポイントとは?
- 2.1.採用担当者が果たすべき2つの役目
- 2.2.見極めに適した採用担当者を選ぶポイント
- 2.3.魅力づけに適した採用担当者を選ぶポイント
- 3.採用担当者に求められる5つのスキル
- 4.採用担当者の仕事内容(基本編)
- 5.採用担当者の仕事内容(応用編)
- 5.1.経営戦略・事業戦略と採用を紐づける
- 5.2.採用基準・採用要件の言語化
- 5.3.採用戦略の策定
- 5.4.応募が集まる求人の傾向を把握
- 5.5.採用課題の解決
- 6.採用担当者が参考にしたい採用成功事例
- 7.採用担当者が無料でスキルアップする方法
- 8.まとめ
採用担当者とは?人事担当者との違い
企業に必要な人材を採用するのが採用担当者です。採用手法の選定、求人票の作成、あるいは求人を作成してもらうための取材設定、福利厚生シート等への記入、面接設定、面接同席者への依頼、内定出しなど、仕事内容は多岐にわたります。
採用担当者は、大きく分けて2種類。1つは、採用をはじめとした人事業部を専門で担っている採用担当者。採用がメインミッションとなり、採用目標なども背負っているため、必然的に採用に多くの時間・工数を投下しやすく、ノウハウも蓄積できます。
もう1つは、本業が別にあり採用を兼務している採用担当者。人事部門というものがなく、社長や現場担当者が採用・面接も兼任しているケースです。他にやるべき業務や目標があるため、採用だけに時間を割けず、いかに効率的に採用活動を行なうかが重要視されます。
採用担当者と人事担当者の違い
人事担当者は主に人事部門に所属し、以下の5つを主軸としたミッションに取り組みます。
採用 |
自社に必要な人材を獲得するために様々な検討を行ないます。例えば、求める人材に合わせた採用手法の選択、数ある求人の中で自社に応募してもらうための求人選択、選考辞退を防止しつつ内定承諾率を高める面接改善などが該当します。 |
育成(人材開発) |
従業員のスキルや知識を向上させるために、適切な研修内容や学習の機会を提供します。また、従業員が将来をイメージできるように、適切なキャリアプランを考えるのも、人事の大切な役目です。 |
評価 |
能力・成果を適切に評価する制度を策定します。納得度が高い評価制度であれば、従業員満足度も向上しやすく、従業員の定着率アップにも期待できます。また、評価と報酬が連動していることも重要です。 |
配置 |
適材適所を実現するため、従業員の配属・異動を検討します。個人の希望や適性に応じて配置を決めるだけでなく、経営目標や事業優先度を考慮した部門をまたぐ異動なども、関係者と相談しながら決定します。 |
定着 |
従業員の離職を防止する取り組みです。例えば、入社者と人事による定期面談の機会を設けたり、ハラスメントなど上司に直接相談できないときの問い合わせ先を設置したり。従業員が安心して長く働けるための仕組みづくりを行ないます。 |
人事業務の詳細や、考えるポイントとフレームワークは以下の記事でご紹介しておりますので、あわせてご一読ください。
▼人事マネジメントとは?考えるポイントとフレームワークを解説
こうした一連の人事業務の中で、「採用」のみを担当するのが採用担当者です。人事部門で採用のみを専任で任されている採用担当者もいれば、本業と兼任している採用担当者もいます。例えば、欠員発生時に営業部長が採用担当者も兼務するケースなどがあります。
採用担当者を選ぶポイントとは?
求職者にとって採用担当者は、初めて出会う応募企業の「中の人」です。だからこそ、採用担当者は「会社の顔」として企業の印象を左右します。採用担当者次第で、採用の成功率が上がることも、下がることもあるので誰にでも任せられるわけではありません。
そこで「採用担当者の役目」を整理し、役目を果たすためにどのような能力・スキル・考え方を身につけている人であれば、より高いパフォーマンスを発揮できるのかを解説します。
現在、採用担当者を任されている方は、採用担当者としてより活躍するための心構え・目標スキルとしてご参考ください。
採用担当者が果たすべき2つの役目
▼採用担当者の役目の整理表
採用担当者の役目は多岐にわたりますが、今回は特に重要な2つの役目に絞ってご紹介します。採用担当者の役目の中でも特に重要なのが、『見極め』と『魅力づけ』です。
『見極め』とは、自社に必要な人材を見極める力。募集する職種・ポジションで長く活躍するために「入社時点で身につけておいてほしいスキル・知識・考え方・価値観」を言語化したり、それを面接で判断する質問内容や方法を考えたりします。
採用担当者が果たすべきもう1つの役目が、『魅力づけ』です。現在の採用市況は「売り手市場化」が進んでおり、1人の求職者が複数社から内定をもらいやすい、求職者に有利な時代と言われています。応募者も複数の企業から内定をもらう可能性が高く、いかに自社を選んで入社してもらうかが課題となります。そのために、採用担当者には、求人や面接で自社を選んでもらうための『魅力づけ』をする能力が求められます。
見極めに適した採用担当者を選ぶポイント
見極め |
情報収集 |
評価判定に必要な情報を導き出す。社内へのヒアリングで必要な採用要件を洗い出したり、判定に必要な本人の本音を聞きだしたり、本質を類推するための情報を得る能力が重要。 |
評価・合否決定 |
採用基準の項目の判定を行ない、合否を決定する。採用担当者間で評価のズレが出ることを防ぐため、評価方法・面接質問内容・質問回答に対する評価軸などをあらかじめ明文化しておく能力。 |
自社にとって必要な人材を見極めるには、応募者だけでなく、社内の関係者(配属部署の従業員)などから評価・判定に必要な情報を聞き出す力が求められます。
例えば増員募集の場合は、入社後の受け入れキャパシティを考慮して、「入社時点で必須で身につけておいてほしい経験・スキル」「あったら嬉しい経験・スキル」を分解して考えなければなりません。そのためにも、「得た情報を客観的に見て判断する力」も求められます。
人物タイプでいうと、冷静に会話ができ、ものごとを客観視してとらえられる方が、見極めに適した採用担当者と言えるでしょう。先入観を持って面接を進めると、応募者の本質的な姿を見誤ってしまい、活躍できる素養がある人を不合格としてしまう可能性もあります。
魅力づけに適した採用担当者を選ぶポイント
魅力づけ
|
情報提供 |
応募者が必要となる情報を提供し、入社の意思決定を支援する。応募者の選考基準や転職軸を把握するのが重要になる。 |
魅力づけの実施 |
会社・仕事に良い印象をもってもらい、入社への動機を形成する。採用担当者に好印象を持ってもらうことはもちろん、新たな気づきの発見や入社後の将来像がイメージできるような情報を提供する必要がある。 |
貴社が欲しいと思う人材は、他社も欲しいと思うはずです。他社よりも自社を選んでもらうためにも、求人や面接で「この会社に入社したい」「この人たちと働いてみたい」と応募者の心を動かすのが「魅力づけ」のポイントです。
こうした「魅力づけ」を行なうための鍵となるのが、応募者に対するヒアリングです。応募者がどういう基準で選考を受けているのか、転職で何を叶えたいと考えているのかを把握しましょう。その上で、自社に入社することで前職の不満は解消されるのか、転職軸は叶うのかを、具体的にアピールすることが入社決定を後押しします。
例えば、「ワークライフバランスを大切にしている応募者」が相手なら、自社の休日休暇制度の詳細・有給取得率・月平均の残業時間などで魅力となるポイントをアピールします。「前職の評価制度に不満を抱いていた応募者」が相手なら、自社の評価制度の公平性や、同じ境遇で入社した中途入社者のキャリアモデルケースなどで魅力となりそうなポイントをアピールします。
応募者の転職軸を知るためにも、応募者のホンネを引き出さなければなりません。ホンネを話してもらうためには、採用担当者との関係構築はマストとなります。そのため、「魅力づけに適した採用担当者」には、相手の気持ちを察してコミュニケーションを取れる人が向いていると言えるでしょう。
きちんと情報提供ができ、誠実に接することのできる人が「魅力づけ」に適した人物タイプです。採用担当者が現場に詳しくない場合は、配属部署の先輩社員にヒアリングを行なったり、面接に同席させて仕事の魅力などを語ってもらったりするのも有効な手段です。ぜひ参考にしてください。
採用担当者に求められる5つのスキル
- 応募者や関係部署などとの調整力
- 採用手法や業務フローなど外部環境の変化への適応力
- 自社の魅力や募集職種などの魅力を自分の言葉で語る力
- 相手への見え方まで考えて情報伝達できるコミュニケーション力
- 関係部署の協力を取り付けるなど周囲を巻き込んでいく力
これらが採用担当者に求められるスキルです。ただし、採用担当者が一人ですべてのスキルを身につけていなくても良いということは覚えておきましょう。
採用担当者が現場に詳しくないため「募集職種の魅力を自分の言葉で語る」のが難しい場合は、現場に詳しい社員に面接同席してもらうという手段もあります。「最新の採用手法・採用市況への適応力」は、採用担当者が身につけていなくても、採用支援会社に任せるという手段もあります。
「忙しくて採用だけに専念できない…」「採用に不慣れで不安が多い…」という場合は、中途採用向けの求人サイト『エン転職』をぜひご活用ください。営業の他に、求人の取材に特化したディレクター・求人の作成に特化したコピーライターの3名体制で、採用担当者の負担を最小限にしつつ、手厚くご支援します。まずはお気軽にご相談ください。
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採用担当者の仕事内容(基本編)
採用担当者の仕事は大きく以下の5つにわけられます。順番に解説していきます。
- 採用計画を立てる
- 採用手法を検討する
- 求人作成
- 書類選考
- 面接
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採用計画を立てる
採用計画とは、「どの部署に、いつまでに、何人、どんな人を採用するのか」といった採用活動の指標となる計画のことを意味します。
「採用計画は年間の採用計画を立てる大企業や中堅企業しか必要ないのでは?」と考えている経営者・人事・採用担当者もいらっしゃるかもしれませんが、中小零細企業にも採用計画は必要です。欠員募集でさえも、都度、採用計画を立てるべきだと断言できます。
理由は大きく3つ。
■採用のタイムリミットを決めるため
募集する職種が売上に直結するポジションなら、その人手が不足としている状態は機会損失が起き続けているということになります。また欠員募集の場合は、抜けた穴が埋まるまで同じ部署の負担が大きくなり、時間が経つほど既存社員の退職リスクも高まります。
だからこそ、「いつまでに採用するのか」を明確にするのが重要です。
例えば、採用手法の代表格である「ハローワーク」は無料で掲載できますが、短期間で応募を集めることには向いていません。そのため、「良い人がいれば採用したい」といった優先度の高くない採用や、通年で募集しているポジションの採用であればハローワークが有効ですが、緊急度の高い採用には別の採用手法が適しています。このように、適切な採用手法を選択するためにも、採用計画を検討する必要があります。
■採用基準・採用要件を言語化するため
例えば欠員募集の場合、「辞めた人とまったく同じ経験・知識・スキルを持つ人」がすぐに採用できるとは限りません。1名採用するのに時間を無限にかけられるわけではないので、「採用のタイムリミット」と相談の上、現実的な採用ラインを決める必要があります。
だからこそ、「どんな人を採用するのか」を採用計画で事前に決めておくことが重要です。
経営者・人事・採用担当者が募集ポジションに詳しくない場合、配属部署の協力も欠かせません。先輩となる社員に「どこまで教えられるのか」を確認し、必要最低限の採用要件を洗い出すことで、入社後の活躍・定着度を高められます。
■採用の振り返りをしやすくするため
事前に計画を立てることで、採用活動が終わった後に振り返りができるのもメリットの1つです。採用活動を行なうたびに改善が図れるため、より効果的な採用活動をするためにも計画を立てて動くようにしましょう。
採用手法を検討する
採用計画で「どの部署に、いつまでに、何人、どんな人を採用するのか」が決まったら、その人を「どんな手法で採用するのか」を考えるのが次のステップです。
現在、採用手法にはさまざまな選択肢があります。求人サイト、求人誌、人材紹介サービス、合同説明会などにといった従来の採用手法に加え、最近ではダイレクトリクルーティングやアルムナイ採用など新たな採用手法も登場しました。こうした採用手法には向き・不向きがあり、自社に合ったものを選ぶ必要があります。
自社に合った採用手法を選ぶポイントは、採用活動ごとに見直しをかけることです。同じ採用手法でも利用するサービス・媒体が変われば、強みは異なります。例えば、「求人サイト」と一言でまとめても若手人材の採用に強い求人サイトもあれば、主婦層の採用に強い求人サイト、特定の職種経験者の採用に強い求人サイトもあります。
「過去に事務採用で使ったので、営業採用も同じ媒体でいいか」と理由なく同じ採用手法を繰り返し使っていると、採用効果を最大化できないかもしれません。
各採用手法のメリットやデメリット、どんな企業にオススメかは以下の記事でご紹介しております。採用手法を選択する際は、あわせてご参考ください。
▼10の中途採用手法を比較|自社に合った採用手法の選び方
求人作成
求人作成の方法は大きく2種類あります。
・採用担当者自身で作成する(ハローワーク等の求人票)
・採用支援会社に作成してもらう(求人サイト等の求人広告)
「採用に不慣れで自信がない」「採用に時間をかけられない」「応募がなかなか集まらないポジションの募集」などでは、採用支援会社に求人作成を任せるのがオススメです。
理由は求人作成において、「待遇の相場観」と「他社求人との差別化」が重要だからです。求人が世にあふれる今、求人を掲載すれば間違いなく他社と比較されます。比較された上で自社求人に応募してもらうためには、まず「待遇の相場」を知ることが重要です。
給与が相場よりも高いのであれば、それだけで採用を有利に運べる強みになります。反対に給与が相場と同程度、あるいは相場を下回るのであれば、「他の差別化方法」を検討しなければなりません。他社求人がどんな採用ターゲットを狙っていて、どんな打ち出しをしているのか。自社の条件と近い他社企業が、過去にどんな打ち出しで採用成功しているのか。こうしたノウハウは採用支援会社に蓄積されているため、相談するのが確実です。
特に『エン転職』は求人広告の質の高さを証明する「求人広告賞」に4年連続選ばれています。求人広告で他社と差別化を図りたいのであれば、以下のお問い合わせ窓口からお気軽にご相談ください。
▼エン転職の料金表・特徴をまとめたパンフレットは以下からダウンロードいただけます。
書類選考
求人に応募が集まったら、書類選考です。書類選考の目的は、「新卒採用」と「中途採用」で異なります。
新卒採用は応募者に「社会人経験」がありません。経験で評価することが難しいため、新卒採用の書類選考では「文章力」「表現力」「意欲」「基本的な文章作成マナー」「文字の丁寧さ」などを確認するケースが多いです。
一方で中途採用の応募者は「何らかの社会人経験」を備えているケースが多いと思います。そのため、中途採用の書類選考では「経験」「スキル」「知識」などが募集職種にマッチしているかに比重を置いて確認することが多いです。
職歴を確認するポイントは、「自社の仕事とマッチするか」という観点です。例えば、営業職を募集する場合。自社の営業がテレアポ主体の営業スタイルなのに、訪問主体の営業を経験してきた人を採用しても、すぐに活躍できるとは限りません。もしテレアポ主体の新規営業が中心の会社であれば、1日何件電話をしていたのか、テレアポのトークはどのように考えていたのか?受付で断られないようにどんな工夫をしていたのか?等が知りたいところ。
書類で読み取れない場合は、面接での深堀りが必要です。面接で質問すべきことを洗い出すのも、書類選考の重要な役目です。
面接
書類選考で通過した人と、面接を設定します。面接の役目は主に2つ。『見極め』と『魅力づけ』です。「採用担当者の役割」でご紹介した見極めと魅力づけを、面接では特に意識しましょう。
■面接で見極める3つのポイント
- 見極めたい項目を決める(例:職務適性、コミュニケーション能力、主体性など)
- 見極めたい項目を、どのような質問で見極めるか決める
- 質問に対してどのような回答があれば「〇」とするかを明文化して、評価のズレをなくす
■面接で魅力づけを行なう4つのポイント
- 面接で、応募者の選考基準や転職軸を確認する。
- 応募者の転職軸が、自社に入社して叶うかを具体的に説明する。
- 面接で、どんな質問にもハッキリと答え、ごまかさない。
面接で、応募者と既存社員の質疑応答の時間を設ける。
見極めたい項目に応じた100の面接質問を以下の記事でご紹介しておりますので、貴社の求める人物像に合わせてご活用ください。
▼【面接官必見】採用面接の質問100選!見極めたい能力別の質問を紹介
▼より詳細な見極め項目別の「面接質問集120選」の資料を以下から無料でダウンロードいただけます。ぜひ、実際の面接に持ち込んでご活用ください。
採用担当者の仕事内容(応用編)
「基本編」の仕事内容が出来るようになれば、採用担当者としては一人前です。ただ、採用担当者の仕事は奥深く、出来るようになったほうが良いことは他にもあります。
そこで今回は、「人事・採用担当者のプロフェッショナルになりたい」「人事採用担当者として他社でも通用するようにキャリアの幅を広げたい」と考える方のために、より難易度が高く、出来るようになれば多くの企業から必要とされる採用担当者の仕事内容を応用編としてご紹介します。
経営戦略・事業戦略と採用を紐づける
「経営戦略」と「採用」は密接に結びついています。例えば、企業が「5年で売上を10倍にする」という経営目標を掲げたとします。採用担当者は、5年で売上を10倍にするための「採用計画」を考えなければなりません。
- 5年で売上を10倍にするためには、1年目で新卒を●名採用する必要がある。
- 新卒採用だけでは足りないので、中途採用で●名を採用する必要がある。
- 採用した人材を育成するリーダークラスが既存社員の昇進だけでは足りないので、
中途採用で●名採用する必要がある。 - 1年経過時点で合計●名採用するのが目標。足りなければ2年目から追加の採用手法を検討する必要がある。
- 追加の採用手法として適切なのは●●。なぜなら、●●だから。
中長期で採用計画を立てる必要があるため、短期の採用計画より難易度が高まります。その分、身につけられれば経営戦略を達成するために必要な人員計画を経営者に納得度高く説明できるようになるため、重宝されるようになるはずです。
採用基準・採用要件の言語化
自社に必要な人材を言語化するのは意外と難易度が高いです。「どんな経験・能力がないと活躍しないのか」だけでなく、「どんな性格・価値観じゃないと早期離職する危険性が高いのか」といった点まで考慮する必要があるためです。
また、現場に「求める人物像」をヒアリングすると、あれもこれもと条件が追加されてスーパーマンのような人を思い浮かべる傾向があります。しかし、求める能力が多いほど採用は難しくなり、適切な待遇相場も高くなります。採用する上で採用要件を必要最低限に絞るのも、採用担当者の役目です。
採用基準・採用要件を言語化するには、以下の2つのステップを意識しましょう。
STEP1. 採用目的の明確化
目的というゴールがないままに走り出すのではなく、事前に「採用によって何を実現したいか」を決めておきましょう。
採用目的のすり合わせは上の図に沿って進めていただくとスムーズです。まずは募集職種を決め、採用によって実現したいことを明確にします。その際に、実現したいこと(採用目的)を具体的にするのが大切なポイント。内容によって採用すべき人材が異なってくるからです。
たとえば、同じ売上拡大という目的でも、「新商品を開発して売上を伸ばしたい」という場合では“顧客の声をもとに、商品開発へのアイデアが出せる人”が適任かもしれません。
一方で「営業組織のマネジメントまで担当して売上を伸ばしてほしい」というケースでは、“社員育成の経験がある人や、すぐに管理職に抜擢できるような経験豊富な人”が良いでしょう。
このように、採用目的を明確にすると組織ニーズにフィットする人材も明らかになります。
STEP2. 採用要件のすり合わせ
目的が決まったら、次は採用要件をすり合わせます。採用要件とは、採用する上で必須となる知識やスキル、資格などのこと。ひとことでいうと、「この知識やスキル、資格などがないと業務遂行が困難」というものを指します。
ここでポイントとなるのが、「入社後に教えられる要素は採用要件にはしない」ことです。まずは任せる業務内容を明確にし、採用要件となる知識やスキルなどを洗い出しましょう。その後、入社後の教育で補える知識等を省き、残ったものを採用要件とします。
採用戦略の策定
採用計画が「どの部署に、いつまでに、何人、どんな人を採用するのか」を検討するのに対して、採用戦略はその人を「どのように採用するのか」を検討します。求人が無数にある中で、求める人材に応募し、入社してもらうための戦略を考えます。
前述の「待遇の相場観」や「他社求人の打ち出し」などへの知識も求められるため、採用担当者の業務の中でも非常に難易度が高い仕事内容です。
いきなり自分で採用戦略を考えられるようになることはありません。採用支援会社を利用する中で、打ち合わせを重ね、相場観や他社の打ち出し、成功事例を蓄積していきましょう。
採用戦略を立てるために今すぐできることとしては、「自社の魅力の整理」が挙げられます。自社のどこが求職者にとって魅力に映るのかを把握することで、採用戦略が立てやすくなります。
以下の表を参考に、魅力を洗い出してみると抜け漏れを防止できます。採用担当者ご自身で思い浮かばない場合は、中途入社した社員にヒアリングすると「前職と比較した自社の魅力」が分かるはずです。
▼自社の魅力の整理表
採用戦略の詳しい考え方やより詳細な立て方は、以下の記事をご参照ください。
▼採用戦略とは何か?│戦略の立て方とメリットを徹底解説!
▼「採用戦略とは?戦略の立て方とメリットを解説!」の資料は以下から無料でダウンロードいただけます。
応募が集まる求人の傾向を把握
先ほど「採用支援会社に求人作成を任せるのがオススメ」と解説しましたが、より採用担当者としてスキルアップを目指すなら、どういう求人広告・求人票に応募が集まるのかをご自身で把握しておくのが良いと思います。
ハローワークなどで採用担当者ご自身で求人票をつくるときに役立つのはもちろん、求人作成を採用支援会社に任せる際も良し悪しの判断をしやすくなります。
応募が集まる求人広告のポイントは3つ。「分かる・できそう・やってみたい」です。
■ポイント1. 分かる
求人広告は仕事の広告なので、大前提「仕事内容がよく分かる」ことが重要です。しかし、この前提が満たせていない求人は少なくありません。例えば、求人の仕事内容欄に仕事の概要しか書いていないケースが非常に多いです。
仕事内容は求人を読んで「1日働いている姿をイメージできる」のが理想です。また、「扱う商品・サービス」や「顧客の詳細」についても記載するのが有効です。社名を変えたら他社でも使える仕事内容ではなく、自社の仕事の広告になるように工夫しましょう。
■ポイント2. できそう
求人広告では不安払しょくも重要です。その代表格が「教育制度」です。仕事選びは人生を左右する決断。新しい会社で自分が通用するかは気になるポイントです。特に「未経験者採用」の場合は、どのように一人前になるかは知りたい情報です。
また、仮に「経験者採用」であっても、会社が変われば仕事の進め方は変わるため不安が伴うものです。入社後にまずどんな仕事を担当するのか、どのような流れで仕事を教えてもらえるのか、独り立ちまでどれくらいの期間を予定しているのかなどを記載するのがオススメです。
■ポイント3. やってみたい
世の中には求人が無数にあるので、ただ仕事を説明するだけだと応募は期待できません。求人を読んだ求職者に「この会社に入社したい!」「この仕事をやってみたい!」と思わせるだけの魅力が必要です。
前述の「自社の魅力の整理表」をもとに、求人に記載する魅力を検討しましょう。
今回ご紹介した「応募が集まる求人広告の書き方」はあくまで基本となるノウハウです。より詳細なコツが知りたい方は以下の記事もあわせてご一読ください。
▼求人広告の書き方│求職者にアンケート調査して分かった効果を出す方法
▼求人の記載例も交えて解説した「求人広告の書き方」の資料を以下から無料でダウンロードいただけます。
採用課題の解決
採用が上手くいかないときに原因を特定して、原因に応じた適切な解決策を選択できる採用担当者は多くの企業からも必要とされます。
例えば、求人掲載しても採用が決まらなかったとき、何が原因として考えられるでしょうか。以下は原因と解決策の一例です。
■原因①:求人が見られていなかった
└解決策①:求人の露出量を増やすために掲載プランを上げる
└解決策②:スカウトメールの配信数を増やして求人を直接届ける
└解決策③:求人の検索結果画面を見直して、目に留まりやすくする
■原因②:応募数が少なかった
└解決策①:求人で狙うターゲットを明確にする
└解決策②:求人の打ち出しが同業他社と被らないように差別化する
└解決策③:求人の情報量を増やし、魅力づけの要素も補強する
■原因③:面接前の辞退が多かった
└解決策①:求人で充分に応募意欲が上げられていないため、求人を見直す
└解決策②:面接回数・提出物を減らして選考負担を軽減する
└解決策③:オンライン面接を導入して、求職者の移動負担・移動コストを削減する
■原因④:面接後の辞退が多かった
└解決策①:面接官の態度・進め方に問題がないか確認する
└解決策②:面接で充分な魅力づけができていないか見直す
└解決策③:本音を引き出す能力を伸ばすために面接官用の研修を用意する
このように採用課題には無数の打ち手があります。選択肢が多いほど改善に向けた対策の幅も広がるため、採用課題の解決策も身につけておくのがオススメです。
採用課題一覧と、よくある採用課題の解決策は以下の記事にまとめておりますので、あわせてご覧ください。
▼採用課題一覧|主要な7パターンの解決策と具体的な企業事例を公開
▼「採用課題一覧|14の解決策と事例を公開!」の資料を以下から無料でダウンロードいただけます。
採用担当者が参考にしたい採用成功事例
採用担当者にとって「採用事例」ほど学びになる教材はありません。
たとえ業界、募集する職種、エリアが違っても「採用課題をどのように解決したのか」は参考になる要素を多く含んでいます。
以下のサイトでは、「応募数が少ない」「応募者の質に課題がある」「地方採用で応募が集まりづらい」など様々な採用課題を抱えていた企業が、採用成功した事例をご紹介しています。抱えていた採用課題と解決策の詳細、実際に掲載された求人広告と応募数・入社数まで公開しているため、参考になるはずです。ぜひご覧ください。
▼採用成功事例│エン転職を利用した採用担当者の声
採用担当者が無料でスキルアップする方法
採用担当者のスキルアップにオススメなのが「人事・採用担当者向けのお役立ち資料」です。「人事・採用担当者向けのお役立ち資料」 とは、人事・採用担当者・経営者が学びたいノウハウを凝縮してまとめた資料です。本サイトでも、採用・面接・退職防止・入社後の活躍度向上などのノウハウをまとめた資料を「100本以上」公開しています。
しかも、ダウンロードはすべて無料です。ぜひ目を通してみて、気になったものはすべてダウンロードしてみてください。
▼採用・人事・労務に関するお役立ち資料一覧
まとめ
いかがでしたでしょうか?
本記事だけで採用担当者の基本的なマニュアルになりますので、ぜひブックマークしてご活用ください。
何度かご紹介してきましたが、本記事で解説している内容をいきなりすべて採用担当者ご自身で出来るようになる必要はありません。「待遇の相場観」や「勝ち目のある求人の打ち出し」「他社との差別化方法」などは、採用支援会社を利用する中で学べます。
また採用業務を別業務を兼務しているのであれば、今回ご紹介している仕事内容をいかに切り出せるかが重要になります。
そこでご利用いただきたいのが、私たちです。このサイトを運営している私たちは、日本最大級の転職サイト『エン転職』の運営会社です。採用のスペシャリストとして様々なノウハウを持っておりますので、採用計画を立てるところから採用担当者の方々を支援することが可能です。
「求人媒体を使ったことがないのだけれど…」「自社の採用活動に合った採用手法を提案してほしい」など、ご掲載以外の相談にもしっかりとお応えします。採用にご興味をお持ちの方は、お気軽に下記の問い合わせフォームよりご連絡ください。
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