給与相場レポート│人事・採用担当が知りたい職種 × スキル別の年収実態
「給与」は求人で誰もが必ず見る項目です。
特に「経験者採用」においては前職の給与と比較されるため、相場を押さえておくことが欠かせません。
相場より給与を高く設定すれば、その分、応募は集まりやすくなります。
相場より給与が低い場合は、給与以外で差別化する方法を検討する必要があります。
いずれにせよ正しい給与相場を知ることで対策が立てやすくなり、採用の成功率を高めることができます。そこで今回、「中途採用をするため、給与相場を知りたい」「経験者採用のために、スキルに見合った年収を設定したい」という方に向け、12職種の給与相場とスキルの相関をまとめました。ぜひご確認いただき、貴社の採用活動にお役立てください。
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目次[非表示]
- 1.年収の平均はいくら?
- 1.1.男女別・平均年収の内訳
- 1.2.平均年収の推移
- 2.雇用形態別(正社員・非正規雇用)の平均年収はいくら?
- 3.年収の中央値はいくら?
- 4.職種×スキル別の給与相場
- 4.1.法人営業(IT)のスキル別給与相場
- 4.2.法人営業(メーカー)のスキル別給与相場
- 4.3.経理財務のスキル別給与相場
- 4.4.人事のスキル別給与相場
- 4.5.IT(Web/アプリケーション)職のスキル別給与相場
- 4.6.IT(ネットワーク)職のスキル別給与相場
- 4.7.エンジニア(機械設計)職のスキル別給与相場
- 4.8.施工管理のスキル別給与相場
- 4.9.飲食店の店長・店長候補のスキル別給与相場
- 4.10.物流ドライバー(長距離・宅配)のスキル別給与相場
- 4.11.介護職(施設・訪問)のスキル別給与相場
- 4.12.地方企業の管理職のスキル別給与相場
- 5.給与相場が低くても採用成功する方法
- 5.1.給与が仕事内容に見合っていることをアピールする
- 5.2.給与以外が転職軸の人を狙う
- 6.給与が相場よりも低くても採用成功した事例
- 7.まとめ
年収の平均はいくら?
2023年時点の、国税庁が公開している最新の調査によると、2021年の平均年収は「443万円」でした。男女別にみると、男性が「545万円」、女性が「302万円」です。
男女別・平均年収の内訳
「給与・手当」と「賞与」の内訳は以下の通りです。
項目 |
平均年収 |
基本給・手当 |
賞与 |
全体平均 |
443万円 |
377万円 |
67万円 |
男性 |
545万円 |
460万円 |
86万円 |
女性 |
302万円 |
262万円 |
41万円 |
平均年収の推移
日本人の平均年収の推移を表にまとめました。「平均年収」は増加傾向になります。2011年から2021年にかけて、平均年収は34万円増加しました。
調査年 |
平均年収 |
2011年 |
409万円 |
2012年 |
408万円 |
2013年 |
414万円 |
2014年 |
415万円 |
2015年 |
420万円 |
2016年 |
422万円 |
2017年 |
432万円 |
2018年 |
441万円 |
2019年 |
436万円 |
2020年 |
433万円 |
2021年 |
443万円 |
雇用形態別(正社員・非正規雇用)の平均年収はいくら?
国税庁の調査によると、正社員の平均年収は508万円。パート・アルバイト・契約社員・派遣社員などを含む非正規雇用社員の平均年収は198万円になります。
雇用形態別の平均年収を全体・男女別にまとめると以下になります。
雇用形態 |
正社員 |
非正規雇用社員 |
平均年収(全体) |
508万円 |
198万円 |
平均年収(男性) |
567万円 |
267万円 |
平均年収(女性) |
389万円 |
162万円 |
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年収の中央値はいくら?
「平均年収が高くて参考にならない」と思った経営者・人事・採用担当者の方も多いと思います。ここまでの年収はあくまで「平均値」です。
例えば、「年収200万円の人が9人」と「年収1億円の人が1人」いた場合の平均年収は、1180万円です。年収が際立って高い人がいると、平均年収は大きく引き上げられます。そのため、給与相場が知りたい場合、平均年収では参考にならないケースも少なくありません。
「中途採用で経験者の給与設定をするのに、年収相場が知りたい」という場合は、「年収の中央値」を参考にするのがおすすめです。年収の中央値とは、年収額を数値準に並べた、「真ん中」にある数値を指します。どれだけ年収上限と下限に差があっても、真ん中を見るので中央値のほうが給与相場の参考になります。
年収の中央値の最新版は、厚生労働省が公開しているデータから算出できます。
性別 |
年収の中央値 |
男性 |
約301万円 |
女性 |
約237万円 |
※参照元:令和4年賃金構造基本統計調査の概況
※国税庁と厚生労働省の調査は計測・抽出条件が異なります。
職種×スキル別の給与相場
ここまで給与相場データをご紹介してきました。しかし、給与相場は「職種」や「求めるスキル」によっても大きく異なります。求人募集の際の給与設定で相場を参考にしたのであれば、「職種×スキル別の給与相場」を押さえる必要があります。
そこで、12職種の給与相場とスキルの相関をまとめました。12職種を首都圏・東海圏・近畿圏ごとに分け、「最高年収帯」と「最低年収帯」をご紹介します。
また、年収別に入社決定者のスキルや経験・役職・特徴なども併せてお伝えします。中途採用で提示給与を検討される際に、ぜひご参考ください。
出典元:転職賃金相場2023
・調査対象期間:2023年4月~8月
・対象エリア:首都圏・東海・近畿
└「地方企業の管理職」は本社と勤務地の両方が左記以外のエリアであるもの
・データ出典元:国内主要求人メディア、人材紹介会社
・集計方法と掲載内容
└上記対象期間・エリアに該当する求人情報における職種ごとの
①募集時最低年収の中央値
②募集時最高年収の上位15%位
を各社集約。その最低値~最高値の範囲をグラフ化。また、人材紹介会社の情報
をもとに、首都圏における、一定の年収帯ごとの採用が決定した者の特徴を定性情報として記載
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法人営業(IT)のスキル別給与相場
ITの法人営業は、最低年収は250万円、最高年収は1500万円と、非常に幅広い給与相場となっています。首都圏については、2021年度と比較すると、最低年収が上昇しました(前回の最低年収幅は200~570万円)。年収とスキルの相関は、IT業界での法人営業経験や管理職経験。また、外資系企業や企業規模によって大きく変動しています。 IT営業経験者を採用する場合は、同業界の経験の他、前職の企業規模、役職有無によって判断するとよいでしょう。
法人営業(メーカー)のスキル別給与相場
メーカーの法人営業は、地域によって最高年収に差が出ています。近畿圏では2021年度調査で最高年収の上昇があったものの、今回は大幅に低下していま
した(前回最高額は1500万円)。また、3エリアすべて最低年収は前回より上昇するなど、1年間での変動が多く見られました。また、経験者採用については、400~599万円。マネジメント経験を求めるのであれば600万円以上の給与相場を想定するとよいでしょう。
経理財務のスキル別給与相場
経理財務は、経験年数の他、上場企業での経験や決算・IR経験があるかにより給与が大きく変動しています。過去経験とともに、入社後に任せたい担当領域の幅によって想定するとよいでしょう。
人事のスキル別給与相場
人事は、企業規模やグローバル展開など領域の幅によって、大きな給与差があります。人事業務経験者は400万円以上、労務実務経験やマネジメント経験がある場合は600万円以上が想定されます。
IT(Web/アプリケーション)職のスキル別給与相場
Web・アプリケーション職は、プロジェクト規模やプロジェクトマネジメント経験による給与想定がよいでしょう。また2021年度と比較すると最高年収が全エリアで上昇(300~500万円)。前回よりも経験者採用の案件が増えたためだと考えられます。
IT(ネットワーク)職のスキル別給与相場
ネットワーク職は、最低年収は200万円、最高年収は1416万円と、非常に幅広い給与相場となっています。また、マネジメント経験によって給与差が出ている一方、専門性が必要なポジションは、マネジメント経験と同等の給与想定となるなど、他職種とは異なる傾向にあります。
エンジニア(機械設計)職のスキル別給与相場
機械設計のエンジニア職は、専門性を求められることが多いため、エリアよりも、経験年数や企業、プロジェクト規模によって年収差が出ています。この点をポイントに想定するとよいでしょう。
施工管理のスキル別給与相場
施工管理は、実務に必要な資格を取得しているかの他、現場監督やマネジメント経験によって差が出ています。また、担当領域が広くなる大手企業を担当したかにより想定するとよいでしょう。
飲食店の店長・店長候補のスキル別給与相場
コロナ禍による極めて大きな打撃を受けていた外食産業。コロナ以前から深刻な人手不足に陥っていたため、追い打ちをかける大きな課題となっていました。
ただ、2021年度調査と比較すると、全エリアの最低年収が上昇するなど、少しずつ回復傾向にあるようです。店長職は、従業員の教育やシフト・労務管理、シフトの穴埋め、繁忙期の人材不足など長時間労働の要因が多くなっています。そのため、システム化することでの負担軽減など、売上・利益管理や従業員の教育など、店長本来の業務に専念できる環境を整えることが採用力強化に繋がると言えそうです。
物流ドライバー(長距離・宅配)のスキル別給与相場
▼物流ドライバー(長距離)▼
人材不足の代表的な職種である物流ドライバー。コロナ禍であっても物流ドライバーの有効求人倍率は2.62倍(2022年11月)。さらに人手不足感は高まる傾向にあります。大型ドライバー経験者であれば、役職ありのポジションとして600万円以上を想定するといいでしょう。高い給与設定が難しい場合は、長時間労働が大きな課題となっているため、副業可や時短など、職場環境・労働環境の整備がポイントとなります。また、経験者だけでなく未経験者として若手層や女性の採用を検討していくことも、新たな人材確保のためには必要となっていきそうです。
▼物流ドライバー(宅配)▼
ネット通販の普及や、コロナ禍による影響も大きく反映し、宅配などの小口配送荷物は急増。慢性的な人材不足を加速させています。また、全配達の約2割が再配達となる現状があるため、長時間労働を助長している状況です。ただ、全産業と比較して1~2割低い給与相場があるため、人材確保が非常に難しくなっています。職場・労働環境、待遇の改善の他、将来的なキャリアプランを設けるなど、ステップアップできる環境を整えることが求められます。
介護職(施設・訪問)のスキル別給与相場
2022年10月度の「介護サービス職」の有効求人倍率は3.79倍。過去最も高かった4.80倍(2019年12月)に比べると低下したものの、いまだに人材不足は深刻です。
コロナ禍により異業種・異職種から介護業界に人材が流入し、一時期よりは人材不足が緩和しました。しかし、全国の約6割の事業所が人材不足を感じており、平均給与も全産業平均より低い状況です。人材不足が続くと長時間労働となり離職にも繋がるため、業務を分解して無資格・未経験でもできる仕事は未経験者に任せるなどの取り組みを開始するケースも出てきました。給与設定とともに、環境改善など早期離職への防止策も急務となります。
地方企業の管理職のスキル別給与相場
地方企業の管理職は、最低年収400万円から最高年収1500万円と幅広い結果に。2021年度と比較すると最低・最高年収ともに上限額が上昇しています。大手企業、部長クラス以上は600万円以上想定となり、経験業種や職種によっても大きく差が出ています。
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給与相場が低くても採用成功する方法
職種 × スキル別の給与相場をご紹介してきました。自社で提示している給与設定が高いのか、低いのかを判断する目安としてください。
もし「自社の給与相場が低い」と感じたら、最初に「給与を相場に合わせられないか」を検討しましょう。いきなり相場を大きく超えようとは考えなくても構いません。給与が相場より1万円低かった企業が相場に合わせただけで、応募数が数十倍になった…というケースもあります。
ただ、「既存社員との兼ね合いで急に給与設定を引き上げるのは難しい…」という経営者・人事・採用担当者の方も多いと思います。そこで、給与相場が低くても採用成功する方法を2つご紹介します。
給与が仕事内容に見合っていることをアピールする
月給10万円の仕事と言われたら、「給与が低い」と感じる方は多いと思います。しかし、もしその仕事内容が「毎日好きな映画を見て、好きにレビューを書くだけ」だったとしたら、「やりたい!」という人は多いのではないでしょうか?
給与で大事なのは高い・低いよりも、「仕事内容に見合っているか」です。給与は相場より低いけど仕事内容が簡単という場合は、「簡単な仕事でそこそこの給与がもらえる」という大きな魅力になります。
「仕事内容が給与に見合っているか」という視点で、自社のアピールポイントにならないか検討してみましょう。
給与以外が転職軸の人を狙う
以下はハローワークが調査した、「応募するにあたり重要視する求人票の項目」です。
実は「賃金」は3番目。1番は「仕事内容」、2番は「就業場所」です。その他にも、休日、就業時間(残業)、事業内容など、さまざまな項目があります。
ここから分かるのは、給与は確かに大事ですが、「数ある転職軸の1つでしかない」ということです。例えば、仕事の楽しさ・面白さ重視で仕事を選ぶ人を狙って、仕事の魅力を伝える。何をするかより誰と働くかを重視する人を狙って、一緒に働く仲間の魅力を伝える。ワークライフバランスを何よりも大切にする人を狙って、残業の少なさ、休みの多さ、有給休暇の取りやすさを伝えるなど。
給与が相場より低くても、給与が転職理由の第一位ではない人を狙って採用活動をすることで、成功率を高められます。まずは自社の魅力が何なのかを分析することから始めましょう。
より詳細な「応募が集まる求人広告の書き方」は以下の記事でご紹介しておりますので、あわせてご覧ください。
▼求人広告の書き方|求職者にアンケート調査して分かった効果を出す方法
給与が相場よりも低くても採用成功した事例
以下で中途採用向け求人サイト『エン転職』に掲載した、採用成功した企業をご紹介しています。中には、給与が相場よりも低かったにもかかわらず、求人の工夫で応募を集めることに成功した事例もあります。
実際に掲載された求人広告とその応募数や面接数、内定数、入社数も公開しておりますので、参考になる事例が必ずあるはずです。ぜひご覧ください。
▼応募の数を改善した企業事例▼
▼応募の質を改善した企業事例▼
まとめ
給与が相場より高いか、低いかで採用難易度が変わります。本記事をもとに募集職種の給与相場を調べ、採用対策にお役立てください。
その上でもし給与相場が低かったとしても、それで採用できなくなるわけではありません。給与は誰もが求人で見る項目であり、重要度の高い項目でもありますが、「数ある転職軸の1つ」でしかないということも覚えておきましょう。
給与・待遇で魅力づけできなくても、求人を工夫すれば採用成功する可能性は十分にあります。求人の工夫で採用成功率を高めたいとお考えであれば、ぜひ『エン転職』にご相談ください。
『エン転職』は日本最大級となる1000万人の会員を保有する、中途採用向け求人サイトです。
『エン転職』の強みの1つとして、「求人広告の質の高さ」があげられます。業界内でも珍しく、営業とは別に、取材専門の「ディレクター」と求人専門の「コピーライター」を自社で雇用・育成。プロの目線で、企業や仕事の魅力が最大限伝わる求人を作成します。
求人広告の質が高いため、『エン転職』は「求人広告賞」を2018年から2021年まで4年連続受賞中。過去18回の開催のうち、半数を超える通算10回をエン転職が受賞しています。
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