カルチャーフィットとは? 採用に取り入れる手順や見極め方を解説
「カルチャーフィット」とは、会社の文化や価値観、雰囲気などに人材が適している様子を表す言葉です。カルチャーフィットできる人材を採用すると、人材定着率が向上したり、社内のコミュニケーションが円滑になったりするなどのメリットがあります。
本記事ではカルチャーフィットについて、採用時に重視するメリットや、採用に取り入れる手順などを詳しく解説していきます。カルチャーフィットを重視した採用を行なう際のポイントも紹介しますので、「自社に長く定着し活躍してくれる人材を採用したい」とお考えの方は、ぜひチェックしてください。
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目次[非表示]
- 1.カルチャーフィットとは?
- 1.1.スキルフィットとの違い
- 1.2.カルチャーフィットが注目されている理由
- 2.採用でカルチャーフィットを重視するメリット
- 2.1.採用のミスマッチを防止できる
- 2.2.社内の人間関係が良好になる
- 2.3.生産性向上につながる
- 3.カルチャーフィットを重視した採用を実施する手順
- 3.1.自社のカルチャーを明確にする
- 3.2.カルチャーフィットする人材の人物像を明確にする
- 3.3.自社のカルチャーを対外的に発信する
- 3.4.カルチャーフィットを踏まえた選考を実施する
- 4.カルチャーフィットを採用で重視するときのポイント
- 4.1.多様性に配慮する
- 4.2.面接の見極め精度を上げる
- 4.3.社内見学・1日インターンなどを実施して見極める
- 4.4.採用サイトを活用してカルチャーフィットさせる
- 5.まとめ
カルチャーフィットとは?
「カルチャーフィット」とは、会社がもつ独自の企業文化や価値観、雰囲気などに、人材がフィットしている様子を表す言葉です。カルチャーフィットする人材は、その会社に居心地の良さや働きやすさを感じやすいため、長く定着・活躍しやすくなります。
それに対して、カルチャーフィットしない人材を採用してしまうと、本人が会社にミスマッチを感じて早期退職したり、社内の人間関係に悪影響が生じたりするなどの問題が起こりやすくなります。
カルチャーフィットする人材を採用できると、「社内の人間関係が良好に保てる」「業務が円滑になり生産性向上につながる」などのメリットがあるため、採用時に重視されるようになっているのです。
スキルフィットとの違い
カルチャーフィットと似ている言葉に「スキルフィット」があります。スキルフィットとは、人材の保有スキルや経験が、業務に適している様子を表す言葉です。
人材がスキルフィットするかどうかは、保有資格や経歴を確認するなどの方法で見極められます。スキルフィットする人材を採用できれば、企業の業績アップ・生産性向上につながるでしょう。
しかしスキルフィットだけを重視して選考すると、自社の文化に適さない人材を採用し、人間関係の悪化などのトラブルを招く恐れがあります。採用選考をするときは、スキルフィットの可否だけでなく、カルチャーフィットの可否にも配慮して内定を出す必要があるといえるでしょう。
カルチャーフィットが注目されている理由
近年、採用時にカルチャーフィットが注目されるようになった理由は、主に以下の3つです。
- 採用市場が求職者に有利な「売り手市場」になっている
- 転職が当たり前となり、中途採用が普及して雇用機会が増えている
- 働き方が多様化し、コミュニケーション難易度が上がっている
こちらのグラフは、厚生労働省が発表した有効求人倍率の推移です。グラフを見ると、平成26年頃から有効求人倍率が1.0を上回り、求職者数よりも求人数の方が多い状況となっています。
コロナ禍以降も倍率は1.0以上のままなので、採用市場は長らく、求職者にとって複数社から内定をもらいやすい有利な状況であるといえます。
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年7月分について)」
求職者にとって有利な状況ということは、企業にとっては人材獲得の競争率が高くなり、採用難が続いているということ。採用難のなかで何度も選考を繰り返すのは大変なので、自社に長く定着する人材を見極めるため、カルチャーフィットを重視する企業が増えているのです。
転職が当たり前な世の中となり、人材を雇用する機会が増えている点も、カルチャーフィットを重視する採用に拍車をかけています。
また昨今は、IT技術の普及やコロナ禍によるリモートワーク促進の流れなどにより、人々の働き方が多様化し、コミュニケーション難易度が上がっています。従業員が丸一日出社して顔を合わせている状態よりも、限られた時間のなかで円滑なコミュニケーションをとって業務を進めなくてはいけない場面が増えたからです。
意思の疎通がしやすい体制を構築する必要があるので、自社にカルチャーフィットする人材が重要になってきたといえます。
採用でカルチャーフィットを重視するメリット
続いて、採用でカルチャーフィットを重視する具体的なメリットを3つ紹介します。
採用のミスマッチを防止できる
カルチャーフィットを重視すると、採用のミスマッチ防止につながるため、人材の定着率を向上させられる可能性が高くなります。採用のミスマッチとは、業務内容や社風に関して、企業側と求職者の認識に相違が生じたまま、採用してしまうことです。採用のミスマッチが起こると、せっかく採用した人材が自社に馴染めず、早期退職するリスクがあります。
カルチャーフィットを重視した選考を行なえば、自社に馴染みやすい人材を採用できる可能性が自然と上がるため、ミスマッチ防止につながります。自社に長く定着し、活躍する人材を確保しやすくなるでしょう。
採用のミスマッチが起こる原因や、防止対策などは、以下の記事に詳しくまとめています。ミスマッチによる早期退職にお悩みの方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
▼採用ミスマッチの理由とは? 早期離職を防ぐための4つの対策
社内の人間関係が良好になる
カルチャーフィットを採用時に重視すると、社内の人間関係が良好になる可能性も高くなります。カルチャーフィットを重視した選考によって採用した人材は、価値観や考え方、性格特性などがお互いに近いため、人間関係の摩擦が生じにくいのです。社員同士のコミュニケーションが活発となり、お互いに摩擦ストレスの少ない環境で、円滑に業務遂行できるでしょう。
生産性向上につながる
自社にカルチャーフィットする人材を採用できると、生産性向上にもつながります。社内の人間関係が良好になり、コミュニケーションが活発化すると、業務も円滑に進めやすくなるからです。良い雰囲気のなかで、効率的に業務を遂行できるでしょう。
また、カルチャーフィットする人材は、自分が働いている企業の経営理念やビジョンに共感しやすいもの。同じ目標をもって、能動的に活躍してくれる人材が社内に多ければ、生産性がより向上し、企業の成長につながります。
カルチャーフィットを重視した採用を実施する手順
カルチャーフィットを重視するメリットがわかったところで、実際に採用選考へ取り入れる手順を解説していきます。いきなり何の準備もなく、求職者がカルチャーフィットするかどうかを見極めるのは、大変難しいものです。選考前の事前準備をしっかり行なっておきましょう。
自社のカルチャーを明確にする
まずは、自社にどのようなカルチャーがあるのかを明確化していきます。自社のカルチャーを把握していなければ、どんな人材がカルチャーフィットするのか判断できないからです。
従業員へアンケート調査を行なったり、面談などでヒアリングを実施したりして、自社に根付いたカルチャーへの理解を深めましょう。従業員へアンケートやヒアリングを行なうときは、「自社の良いところ・好きなところ・その理由」「仕事で大切にしていること」などを聞き出すと、カルチャーの明確化につながります。
また、マルチフォーカスモデルを使って、カルチャーを「見える化」するのもおすすめです。マルチフォーカスモデルとは、オランダの学者であるホフステード博士が開発した、組織文化を診断・可視化する分析方法のことです。
マルチフォーカスモデルでは、組織文化を8つの次元(切り口)で可視化します。以下の表に記された項目に沿って、自社を深掘りしてみましょう。
次元(切り口) |
分析内容 |
|
独立した6つの次元 |
組織の効果性 |
手段重視か、目標重視か |
顧客志向のあり方 |
内部論理か、顧客優先か |
|
仕事の進め方 コントロールのあり方 |
仕事の規律は厳格か、ゆるやかか |
|
組織の関心のあり方 |
職場の関心は上司か、専門性か |
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組織外との関わり方 |
組織はオープンか、クローズドか |
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マネジメントの哲学 |
従業員志向か、仕事志向か |
|
半独立の2つの次元 |
リーダーシップの受容度 |
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人と組織の一体感 |
カルチャーフィットする人材の人物像を明確にする
自社のカルチャーを明確化したら、その文化にフィットする人材はどのような特徴をもつ人間なのか、「カルチャーフィットする人材の人物像」を明確にしていきます。この「カルチャーフィットする人材の人物像」とはつまり、自社の採用ターゲットのことです。
どのような価値観、考え方、性格特性のある人材が自社に馴染みやすいのかを考え、採用したい人材の条件をわかりやすくまとめましょう。採用ターゲットを決めるときは、カルチャーフィットとスキルフィット両方に適した人材要件を考えておくことが大切です。
採用ターゲットの具体的な決め方は、以下の記事で詳しく解説しています。自社のターゲットがなかなか定まらずお悩みの方は、こちらもぜひご覧ください。
▼採用ターゲットを決めて訴求力アップ! 決め方やポイントを解説
自社のカルチャーを対外的に発信する
次に、自社のカルチャーを対外的に発信しましょう。社風や企業理念を求職者へ積極的に情報発信すると、自社にカルチャーフィットする人材からの応募が集まりやすくなります。
求職者は応募先を決めるとき、給与などの待遇面だけでなく、「社風は自分に合っているか」「人間関係に馴染めそうか」「社内の雰囲気は良好か」などのカルチャー面にも注目しています。企業文化を発信して、社内の様子をアピールし、自社に適した求職者の背中を押しましょう。
自社のカルチャーを訴求するときは、文字情報だけでなく画像・動画なども活用して、リアルな社員の声や社内の雰囲気を伝えるのがおすすめです。
こちらの記事では、社風を伝えるために採用動画を活用する方法について紹介しています。発信方法にお悩みの方は、ぜひチェックしてください。
▼採用動画のメリットとは? 求職者に響く動画を制作するコツと事例も紹介
カルチャーフィットを踏まえた選考を実施する
カルチャーや採用ターゲットの明確化、情報発信までを終えたら、いよいよカルチャーフィットを踏まえた採用選考を実施します。応募者が自社にカルチャーフィットするかどうか見極めたいときは、以下の方法がおすすめです。
- 適性検査で応募者の内面を数値化し、自社に適しているか評価する
- 面接でカルチャーフィットの可否を見極められる質問を行なう
適性検査とは、人材の価値観や性格・行動特性などを数値化できる検査です。スマホでも受検できる手軽さでありながら、人材を的確にタイプ分けし、カルチャーフィットしそうか否かの判断を手助けしてくれます。適性検査の実施にご興味のある方は、こちらの記事をぜひご覧ください。
▼エン・ジャパンの適性検査「TALENT ANALYTICS」とは?人材の見極めで悩む方、必見!
面接で応募者がカルチャーフィットするかどうか見極めたいときは、応募者を深掘りできるフレームワーク「STAR面接」を実施するのがよいでしょう。STAR面接は「Situation(状況)/Task(課題)/Action(行動)/Result(結果)」という4つの観点で、応募者の過去の行動を深掘りする面接方法です。
「どのような状況で/どのような思考をして/どのような行動をとる傾向があるのか」など、応募者の内面を把握しやすい方法として定評があります。STAR面接について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
▼誰でも応募者を深掘りできる面接フレームワーク│STAR面接とは?
応募者の内面を掘り下げられる質問をなるべくたくさん知りたい方は、以下の資料がおすすめです。見極めたい項目別の「面接質問集120選」を以下より無料でダウンロードしていただけます。ぜひご活用ください。
▼見極めたい項目別「面接質問集120選」
カルチャーフィットを採用で重視するときのポイント
カルチャーフィットを採用で重視するときのポイントを3つ解説します。より的確に人材を見極め、会社を成長させてくれる人を採用するために、以下の3点を押さえておきましょう。
多様性に配慮する
カルチャーフィットを重視して採用選考をすると、価値観や考え方、性格特性などに共通点のある人材を採用できるため、社内の人間関係に摩擦が生じにくくなります。これはメリットでもありますが、似たような特性をもつ人材ばかりが集まると、新しいアイデアが生まれにくくなるデメリットもあります。
採用選考でカルチャーフィットを重視することが、自社の成長を止めてしまう結果とならないよう気を付けなくてはなりません。カルチャーフィットとスキルフィットをどちらも意識しつつ、人材の多様性にも配慮して、バランスの良い採用を行なうよう心がけましょう。
面接の見極め精度を上げる
面接官の人材見極め精度を向上させることも大切です。企業文化はひと言で表すのが難しい多様な側面があるもの。個人の主観で企業文化に適した人材を見極めようとすると、面接官によって評価がバラバラになってしまい、本来採用するべき人材を取り逃がす可能性があります。
しかし、応募者が自社にフィットするか否かを、面接官たった一人だけで判断するのも難しいでしょう。カルチャーフィットする人材を見極めるためには、複数人の面接官が応募者を多面的に深掘りし、評価基準をそろえて合否を判断する必要があります。
面接で人材を見極めるポイントや、具体的な方法については、以下の記事で解説しています。面接の見極め精度を上げたい方は、ぜひご覧ください。
▼面接で人材を見極めるポイント|確認すべき内容や面接官のNG行動も解説
社内見学・1日インターンなどを実施して見極める
適性検査や面接のみでカルチャーフィットする人材を見極めるのが難しい場合は、社内見学や1日インターンなどを実施するのもよいでしょう。求職者と実際に長時間同じ場所で過ごし、仕事現場を見て回ったり、簡単な業務を一緒にこなしたりすることで、相手の適性を見極めるのです。
求職者としても、実際の仕事現場を見てリアルな社内の雰囲気を感じられるため、自分に合う職場かどうか判断しやすくなり、採用のミスマッチ防止につながります。
採用サイトを活用してカルチャーフィットさせる
自社の採用サイトを活用して、カルチャーフィットさせるのもおすすめです。先の見出しで、カルチャーフィットしやすい人材からの応募を集めるには、社風を対外的に発信することが大切だとお伝えしました。採用サイトはいろいろな媒体のなかでも、自社の社風を特に求職者へ伝えやすいため、積極的に活用しましょう。
採用サイトは、自社の情報を自由に発信できます。求人の業務内容や待遇面のほかにも、「配属部署の雰囲気」「自社で大切にしている考え方や理念」なども存分に伝えられます。
社内のリアルな様子を伝えるため、社員インタビューや仕事現場を動画で撮影し、掲載してもよいでしょう。入社後の様子が想像しやすいコンテンツを多く掲載すると、カルチャーフィットする人材からの応募を促進できます。
採用サイトについては、以下の記事で詳しく解説しています。採用サイトの立ち上げ方や、掲載するコンテンツの内容を知りたい方は、ぜひこちらもご覧ください。
▼採用サイト|掲載すべき効果的なコンテンツと作成時のポイント
まとめ
カルチャーフィットとは、企業文化や価値観、雰囲気、社風などに人材がフィットしている様子を指す言葉です。カルチャーフィットを重視して採用選考を行なうと、「採用のミスマッチを防止できる」「社内のコミュニケーションが円滑になり生産性アップにつながる」などのメリットがあります。
カルチャーフィットする人材を採用するには、以下のような手順で採用活動を進めるのがおすすめです。
- 自社のカルチャーを明確にする
- カルチャーフィットする人材の人物像を明確にする
- 自社のカルチャーを対外的に発信する
- カルチャーフィットを踏まえた選考を実施する
採用サイトを活用して社風を積極的に発信したり、面接の見極め精度を上げたりして工夫していけば、自社にカルチャーフィットする人材を採用できるでしょう。
入社後に活躍・定着する人材を安定的に採用したいとお考えの方は、ぜひ『エン転職』もご活用ください。『エン転職』は日本最大級となる1000万人の会員を保有する、中途採用向け求人サイトです。
『エン転職』では、求人に「仕事の厳しさ」「向いていない人」という項目を設けることで早期離職の防止や入社後のミスマッチの軽減を行なっています。
早期離職の原因のひとつは、入社後ギャップ。「思ったよりキツイ…」「求人には書いていなかった…」という不満が退職に繋がります。
あらかじめ仕事の厳しい側面を求人上で伝え、それでも働きたいと思わせる意欲を醸成。こうした取り組みにより、エン転職経由の入社者の定着率は格段に高いとご好評いただいております。
カルチャーフィットを重視した採用の取り組みを行ないつつ、『エン転職』も活用することで、自社に定着・活躍する人材を安定的に確保できるようになります。採用でお悩みの際は、以下のエン転職お問い合わせ窓口より、お気軽にご相談ください。
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