部下に退職相談されたらどうする? 人事・採用担当者の対応と離職の予防策
部下から退職の相談があったとき、どのように対応すればよいのか悩まれる方もいるのではないでしょうか。
活躍を期待していた部下が突然退職するとなると、引き止めたいと考える方もいると思います。しかし、無理に引き止めるのは、企業のイメージ低下につながる可能性もあるため注意が必要です。
人事・採用担当者は、退職理由や本人の意思を踏まえて、退職を回避する方法がないか模索します。回避が難しい場合は、お互いに気持ちよく退職手続きができるように対応することが求められます。また、退職の原因が企業にある場合には、職場環境の見直しや改善に努めることも大切です。
この記事では、部下から退職について相談されたときの対応と、退職を防止するためのポイントを解説します。
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目次[非表示]
- 1.部下から退職したいと相談されたときの対応
- 1.1.①親身にヒアリングする
- 1.2.②退職スケジュールを決める
- 1.3.③トラブル防止のために退職届の提出を促す
- 1.4.④後任を決める
- 1.5.⑤退職までのフォロー
- 2.部下の退職を防止するポイント
- 2.1.①部下とのコミュニケーションを積極的にとる
- 2.2.②部下の許容量に合わせた仕事を任せる
- 2.3.③正当な評価制度を設ける
- 3.まとめ
部下から退職したいと相談されたときの対応
部下から退職の相談があった場合は、本人の意思を尊重したうえで、事情からヒアリングしましょう。主な対応として、以下が挙げられます。
①親身にヒアリングする
部下から突然退職を切り出されたとき、驚きとショックな気持ちを隠しきれず、つい感情的になってしまいがちですが、落ち着いて親身にヒアリングすることが大切です。
感情的にならず、冷静に「なぜ退職したいのか」理由をヒアリングします。その際、部下の話をさえぎったり、否定したりしないように注意します。また、「退職されるのは困る」「最後までプロジェクトをやり遂げてもらいたい」など、会社都合を押しつけないことも重要です。
ヒアリングするなかで、部下が現状に不満を持っていることを把握できれば、その問題を解決することで退職を回避できることもあります。会社側で改善策を話し合い、本当に退職したいのかを確認します。
②退職スケジュールを決める
部下とよく話し合った結果、退職の意思が変わらない場合は、退職の手続きを進めます。
退職までに年次有給休暇を消化する際は、残りの日数を考慮したうえで、退職日を決定します。その際、退職の申し出から社内規定で定められた期間で退職できるように、最終出社日までのスケジュールを組むことが重要です。
なお、退職の申し出については、民法第627条では2週間前までと定められていますが、会社規定では1〜3ヶ月前までと定められているのが一般的です。
▼民法第627条
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用元:e-Gov法令検索『民法』
出典:e-Gov法令検索『民法』
③トラブル防止のために退職届の提出を促す
退職日が決定したら、部下に書面で退職届を提出してもらいます。
退職届は自己都合退職の証明になるため、必ず提出を求めることが重要です。自己都合退職では、失業保険が支給されるのは3ヶ月経過後になりますが、会社都合退職の場合、退職後すぐに失業保険が支給されます。
退職届を提出してもらい、自己都合退職か会社都合退職かを明確にすることで、失業保険をめぐる部下とのトラブル防止につながります。
④後任を決める
退職する部下の後任を探して、担当している業務を別の従業員に引き継ぐように調整します。社内に後任がいない場合は、人員配置の見直しや新たな採用を検討する必要があります。
後任を決める際は、部下が対応していた業務内容や仕事の流れ、取引先などについてまとめた資料を作成してもらうと、スムーズに引き継ぎがしやすくなります。不明点を残して退職後の部下に連絡を取ったり、引き継ぎミスによって取引先に迷惑をかけたりしないように注意が必要です。
⑤退職までのフォロー
退職日までは、退職する部下とほかの従業員が良好な人間関係を保てるようにフォローすることも欠かせません。
普段の業務で関わりのある部署・従業員との挨拶の場を設けたり、ほかの従業員の業務負担が増えないようにサポートしたりして、円満に退社できるようなフォローが求められます。
なお、退職することが確定したら「退職面談」をするのも有効です。退職の手続きを終えたあとや、退職する直前に実施することが多く、退職者からホンネを引き出しやすいというメリットがあります。ヒアリングできた本音をもとに、業務や職場の改善を図ります。
退職面談の進め方は以下の記事で解説しておりますので、あわせてご覧ください。
▼退職面談で人材定着の手がかりを得る! 質問の流れと注意点とは
部下の退職を防止するポイント
部下が一度退職を決意すると、引き止めても受け入れてもらえないことがほとんどです。退職を防ぐためには、日頃から従業員が不満を溜め込まないような風通しのよい職場づくりや、過度な業務負担がかからないように業務のバランスを調整するなどの対策が必要です。
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①部下とのコミュニケーションを積極的にとる
日ごろから部下とコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことが重要です。
職場の上司や同僚などに声をかけづらい職場環境では、部下が不安に感じたり、居心地の悪さを感じたりする可能性があります。普段からコミュニケーションを取ることで、部下が悩みや不満などを抱えていないか気づくきっかけを得られます。
▼部下とのコミュニケーション例
- 始業・終業前に挨拶や雑談をする
- 定期的に上司との面談を設ける
- ほかの従業員と交流を持てる機会をつくる
部下とのコミュニケーションを取ることで「退職の兆候」を察知して、フォローできることもあります。具体的な退職の兆候については以下の記事でご紹介しておりますので、ご覧ください。
▼従業員が退職する兆候とは? 見極めるポイントと対策法
②部下の許容量に合わせた仕事を任せる
部下の許容量に合わせて仕事を任せることも重要なポイントの一つです。
業務量が多く、長時間労働や休日出勤が増えると、ストレスが溜まり、企業に対する不満につながりやすくなります。また、入社して間もない部下に責任のある仕事を任せたり、必要なサポートを行わなかったりする場合、部下が不安や疎外感を抱きやすくなります。
業務過多や業務のストレスによる退職を防ぐには、部下のキャパシティに合わせて仕事を割り振ることが重要です。
▼部下のキャパシティに合わせた仕事の任せ方
- 入社後に研修・教育を実施して、徐々に仕事に慣れてもらう
- 実務を始めたばかりの時期は、先輩や管理者が仕事をフォローする
- 部下の業務スキル・習得度に合わせた仕事を振る
なお、人が定着しない職場の特徴は以下の記事でご紹介しておりますので、あわせてご覧ください。
▼人が定着しない職場の特徴とは? 定着率向上を図るための4つの対策
③正当な評価制度を設ける
待遇面での不満による退職を防ぐには、正当な評価制度を設けることが必要です。
部下が「仕事内容や成果に対して正当に評価してくれない」と不満に感じた場合、退職につながるケースがあります。
給与や賞与の算定基準となる人事評価については、明確な基準を設けて客観的に評価することが重要です。人事評価の根拠や基準を示して、成果の大きい部下に対して評価に応じた待遇を設けることで、モチベーションの維持・向上が期待できます。
▼成果に応じた待遇の例
- 期間内の成果に応じて賞与を増やす
- 勤務態度や仕事への意欲に応じて報酬を決める
なお、従業員の定着・活躍率を向上させるオンボーディングについてはこちらの記事で解説しています。
まとめ
この記事では、部下に退職を相談されたときの対応について、以下の内容を解説しました。
- 部下から退職したいと相談されたときの対応
- 部下の退職を防止するポイント
部下から退職を相談されたときは、退職理由を親身になって聞くとともに、職場環境や業務などで改善できるところがないかを話し合うことが大切です。退職の意思が変わらない場合は、社内規定に沿って適切に退職の手続きを進めていく必要があります。
優秀な人材の退職は、企業にとって大きな損失となります。退職を防ぐためには、日ごろから部下の悩み・不満に気づける環境づくりや、働きやすさ・モチベーションを維持できるような体制の整備が求められます。
なお、部下の退職を防ぐには、採用の段階で入社前・入社後のギャップを防ぐことも欠かせません。入社後に活躍・定着する人材を採用したいとお考えであれば、ぜひ『エン転職』をご活用ください。
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