面接官トレーニングのメリットや強化すべきスキル、具体的な方法を解説
面接官には「好印象を与えるコミュニケーション能力」「相手の本質を見抜く質問力」「一般的なビジネスマナー」など、多様なスキルや知識が必要とされます。面接官のスキル・知識が不足していると求職者の志望度が下がるため、選考辞退や内定辞退につながるでしょう。
そこで本記事では、面接官のトレーニング方法について解説します。面接官トレーニングで強化すべきスキルや知識、具体的なトレーニング方法、ポイントなどを解説しますので、面接担当者のスキルアップにお役立てください。
目次[非表示]
- 1.面接官トレーニングを行なう目的
- 2.面接官トレーニングを行なうメリット
- 2.1.面接官の評価基準を統一できる
- 2.2.企業イメージの向上につながる
- 2.3.選考辞退・内定辞退の防止につながる
- 3.面接官トレーニングで強化すべき3つのスキル
- 3.1.本音を引き出して適性を見極める質問力
- 3.2.応募者を自社に惹きつける情報伝達力
- 3.3.好印象を与えるコミュニケーション能力
- 4.面接官トレーニングで会得すべき3つの知識
- 4.1.基本的なビジネスマナー
- 4.2.面接のやり方と流れ
- 4.3.聞いてはいけないNG質問
- 5.面接官をトレーニングする4つの方法
- 5.1.面接官向けの研修やセミナーを受講する
- 5.2.面接のロールプレイングを実施する
- 5.3.面接に関連する書籍を読む
- 5.4.面接官用のマニュアルや評価シートを作成する
- 6.面接官トレーニングを行なうときのポイント
- 6.1.認知バイアスの存在を意識する
- 6.2.自社の採用課題を洗い出して整理する
- 7.まとめ
面接官トレーニングを行なう目的
面接官へのトレーニングを行なう主な目的は、以下の3つです。
- 自社に適した求職者を見極める力をつけるため
- 求職者の本質・本音を引き出す力をつけるため
- 面接で自社を魅力づけできるようにするため
面接官は面接で適切な質問を行ない、求職者の本質を見極めて、自社に適した人材を確保しなくてはなりません。求職者から本音を引き出すには、高いコミュニケーションスキルや質問力が必要です。
また面接官には、面接の場で自社を魅力づけして求職者を惹きつけ、選考辞退や内定辞退を防止する役割もあります。求職者を惹きつけるには、自社の魅力を的確に伝達するスキルが必要です。
このように、面接官には多様なスキルが必要とされます。研修やロールプレイングなどのトレーニングを実施し、面接官のスキルアップを図りましょう。
面接官トレーニングを行なうメリット
面接官トレーニングには、以下のようなメリットがあります。
面接官の評価基準を統一できる
評価基準がバラバラのまま選考を進めると、面接官同士で話しがまとまらず、「本来採用すべき人材を不採用にしてしまった」などのトラブルが生じやすくなります。
面接官トレーニングで評価基準の設定や共有を行ない、合否を判断する基準が担当者の間で統一されることにより、適切な人材を採用しやすくなるでしょう。結果的に、採用ミスマッチの防止や、早期離職の防止につながります。
企業イメージの向上につながる
面接官は求職者にとって「企業の顔」といえる存在です。面接官の態度や対応は、企業イメージに直結するので、求職者に好印象を持ってもらえるよう配慮する必要があります。
面接官トレーニングでは、面接担当者が習得すべきマナーや、立ち振る舞いなどの研修も行います。面接官として、求職者とどのように向き合うべきかを学べるので、好印象を保つスキルが身につくでしょう。面接官の印象が良いと企業イメージが向上するため、求職者の志望度もアップします。
選考辞退・内定辞退の防止につながる
面接官の態度や対応が不適切だと、求職者の志望度が低下するため、選考辞退・内定辞退につながります。また、面接官が面接中に「自社で働くメリットや魅力」を求職者に上手く伝えられない場合も、志望度が下がり、辞退となる可能性が高くなります。
面接官トレーニングを行ない、面接担当者のコミュニケーションスキルやプレゼンテーションスキルなどを育成することにより、上記のような状況を防ぎやすくなるでしょう。辞退を防止して内定承諾率を上げられれば、必要な人材を早く確保できるようになります。
面接官トレーニングで強化すべき3つのスキル
面接官トレーニングで、重点的に強化すべきスキルは以下の3つです。
- 質問力
- 情報伝達力
- コミュニケーション能力
ここからは強化すべきスキルについて、詳しく解説します。
本音を引き出して適性を見極める質問力
面接官には応募者の本音を引き出し、適性を見極める質問力が必要です。面接を乗り切るために用意された言葉ではなく、応募者の本音に近い考えや価値観などをきちんと聞き出せるように、質問力を身につけましょう。
質問力を身につけるには、「面接の流れをある程度設計する」「見極めの核となる質問をいくつか用意する」などの取り組みが効果的です。
面接は漠然と質問しても、応募者の本質を見抜けません。フレームワークなどを活用して、ある程度は面接を構造化し、「全体の流れ・質問内容・評価基準」をあらかじめ設計しておいたほうが、無駄のない質問で応募者の本質を見極めやすくなります。
なお、フレームワークを活用して面接を構造化する手法は、「構造化面接」と呼ばれます。構造化面接については、以下の記事で詳しく解説していますので、面接の設計にお役立てください。
▼構造化面接とは? メリット・デメリットや質問例、注意点などを解説
応募者を自社に惹きつける情報伝達力
面接官は応募者の適性を見極めるだけでなく、面接を通して「応募者を自社に惹きつける役割」も担っています。応募者を自社に惹きつけ、志望度を上げるためには、自社で働く魅力をしっかりと伝える情報伝達力が必要です。
情報伝達力を向上させるなら、面接官にロールプレイング研修を実施するとよいでしょう。応募者役と面接官役を交代で行ない、以下のような課題に取り組むのが効果的です。
① 応募者のニーズ(自社や仕事に求めること)を聞き出し、ヒアリングしたニーズに沿って自社を魅力づけする練習 【例】応募者役が「仕事を通して○○のスキルを習得したい」と述べた場合 |
② 応募者が入社にあたって感じている不安や疑問を聞き出し、相手の気持ちに寄り添いながら解消する練習 【例】応募者役が「今後のキャリアプランに悩んでいる」と述べた場合 |
このように応募者役の回答に合わせて、柔軟に自社を魅力づけできるようトレーニングしましょう。
なお、面接で求職者を惹きつける方法については、以下の記事でより詳しく解説しています。求人情報で惹きつける方法も紹介していますので、こちらの記事もぜひご覧ください。
▼求人や面接で求職者を惹きつけ、内定承諾率を高める方法
好印象を与えるコミュニケーション能力
前述したように、面接官の印象は企業イメージに直結します。面接に参加した応募者に好印象を与えられるよう、コミュニケーション能力も向上させましょう。
コミュニケーション能力には、以下のような4つの要素が組み合わさっています。
▼コミュニケーション能力を構成する4つの要素 | |
言語(バーバル) ⇒言葉によるコミュニケーション |
① 自分の言いたいことを言葉で伝える力 |
非言語(ノンバーバル) |
③ 自分の言いたいことを非言語で伝える力 |
コミュニケーション能力を高めるには、上記4つの要素をすべて向上させる必要があります。面接官の研修内容に「話し方・聴き方」の要素を加えてコミュニケーション能力を育成しましょう。話し方・聴き方を練習する方法には、以下のような取り組みが挙げられます。
▼「話し方・聴き方」を鍛える練習方法の例 | ||
話し方 |
エレベータートーク |
エレベーターに乗り合わせた人と話す程度の短時間で、簡潔に言いたいことを伝える方法。 トークテーマをいくつか用意し、簡潔に話す練習を行なう。 |
結論から話す練習 |
トークテーマをいくつか用意し、「結論→理由→具体例」の順で話す練習を行なう。 結論から話すことで、手短に要件を伝えられるようにする。 |
|
聴き方 |
バックトラッキング |
相手の発言のうち重要な部分を自然な形でオウム返しする手法。 相手の言葉を繰り返すことで「しっかり傾聴している」という印象になる。 頻度やタイミングが自然になるよう練習する。 |
ペーシング |
話すテンポや声のトーン、相槌のタイミングなどを相手に合わせる手法。 これにより相手が心地よく話せるようになる。 頻度やタイミングが自然になるよう練習する。 |
面接官トレーニングで会得すべき3つの知識
面接官トレーニングで、重点的に会得すべき知識は以下の3つです。
- 基本的なビジネスマナー
- 面接のやり方と流れ
- 聞いてはいけないNG質問
ここからは会得すべき知識について、詳しく解説します。
基本的なビジネスマナー
面接官になったときは基本的なビジネスマナーを今一度、見直すようにしましょう。面接官が求職者の服装や言動を評価するように、求職者も面接官を評価しています。
「面接官の様子は求職者から見られている」という意識を持ち、改めてビジネスマナーを学んで、身だしなみや言動に気を付けましょう。
面接のやり方と流れ
面接官の経験が浅い場合は、面接のやり方と流れを学んでおく必要があります。面接の基本的な流れは、以下の通りです。
- アイスブレイクを行なう
- 面接官が企業や求人についての説明をする
- 求職者に自己紹介や自己PRをお願いする
- 面接官から求職者への質疑応答を行なう
- 求職者から面接官への質問を受け付けて回答する
- 連絡事項があれば伝達し、面接をクロージングする
基本的な流れは、上記の通りで問題ないでしょう。具体的な質問などは、企業や求人の内容に適したものをいくつか考えておく必要があります。一般的な面接の流れや質問例などは、以下の記事でより詳しく解説していますので、ぜひご一読ください。
▼【面接官向け】面接の流れ|入室から退室までの流れと質問例
聞いてはいけないNG質問
面接だからといって、求職者に何を聞いても良いというわけではありません。法令により禁止されている質問や、ハラスメントになる質問を投げかけないよう注意しましょう。
たとえば採用面接では、法令により「本人に責任がない事項」や「本来自由であるべき事項」に関する質問は禁止されています。以下の項目に関する質問は、避けたほうがよいでしょう。
- 両親や自分の出身地
- 両親や親戚の仕事内容
- 恋人の有無・結婚予定の有無
- 宗教・政治・思想に関する質問
なお、面接で求職者に聞いてはいけない質問については、以下の記事で詳しく解説しています。コンプライアンス違反をすることがないように、確認しておきましょう。
▼【質問例つき】面接で聞いてはいけないこととは? 令和の時代で禁止されている質問例を紹介!
面接官をトレーニングする4つの方法
面接官をトレーニングする主な方法には、以下の4つが挙げられます。
- 面接官向けの研修やセミナーを受講する
- 面接のロールプレイングを実施する
- 面接に関連する書籍を読む
- 面接官用のマニュアルや評価シートを作成する
それぞれの方法について、具体的に解説します。
面接官向けの研修やセミナーを受講する
面接官向けの研修やセミナーを受講すると、面接を行なうにあたり必要な知識を身につけられます。たとえば面接官向けの研修・セミナーには、以下のような内容のものがあります。
- 面接官の役割やマナー
- 採用市場の動向やトレンド
- 履歴書や職務経歴書の読み解き方
- 面接の評価基準や評価項目の決め方
- 面接で求職者を評価するときの注意点
強化したい知識・スキルに関する研修やセミナーを見つけて、積極的に受講してみましょう。
なお、日本最大級の中途採用向け求人サイト「エン転職」では、人事・採用担当向けのオンラインセミナーを毎年、多数開催しています。参加は無料ですので、ぜひご活用ください。具体的な内容や開催日時などは、以下のページでご確認いただけます。
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面接のロールプレイングを実施する
ロールプレイングを行なうと、面接本番を想定した、より本格的な訓練ができます。面接官役と応募者役に分かれてロールプレイングを実施し、話し方や聴き方、質問の仕方などを練習しましょう。
選考過程でオンライン面接をする場合は、本番と同じオンラインツールを実際に使って、ロールプレイングを行なうのもよいでしょう。
なお、ロールプレイング研修を行なうときは、録画して後から見直せるようにしておくと効果的です。面接官が各自の課題を客観的に理解し、改善策を練ることに役立ちます。
面接に関連する書籍を読む
必要な知識を重点的に増やしたい場合は、面接に関連する書籍を読むのもおすすめです。面接の関連書籍は、初級者向けから上級者向けまで多数出版されています。自身の知識レベルに適したものを選ぶとよいでしょう。
ただし重要なのは、書籍で得た知識を面接で実践することです。実際の面接で知識を活用することに意味があるので、読んだだけで満足しないように気を付けましょう。
面接官用のマニュアルや評価シートを作成する
面接官用のマニュアルや評価シートを作成すると、面接の質を向上させることに役立ちます。マニュアルや評価シートがあれば、面接官を初めて担当する社員でも、一定以上の質で採用面接をこなせるでしょう。
一般的に、面接官のマニュアルには、面接の流れや質問内容、注意事項などを記載します。評価シートには、人材を評価する際の項目や基準を具体的に記載しましょう。
面接評価シートについては、以下の記事で詳しく解説しています。作成するときのポイントや、無料サンプルもご用意しておりますので、ぜひご活用ください。
▼【無料サンプルあり】面接評価シートとは?作り方の手順と運用のコツ
面接官トレーニングを行なうときのポイント
最後に、面接官トレーニングを行なうときのポイントを2つ解説します。
認知バイアスの存在を意識する
認知バイアスとは、生きている間に自然と身につく偏見や固定観念のことです。代表的な認知バイアスには、以下のようなものがあります。
バイアスの種類 |
概要 |
確証バイアス |
自分の価値観や意見の正しさを信じ、反対意見などを過小評価してしまうこと。 |
類似性バイアス |
自分と似たような人や共通点がある人を好み、安心感を得る傾向のこと。 |
正常性バイアス |
いつもとは違う状況に置かれたとき、自分にとって都合の悪い情報を過小評価してしまうこと。 |
ステレオタイプバイアス |
性別や年齢、人種などの属性に対して固定観念や先入観があり、相手の考えや行動を決めつけてしまうこと。 |
偏見や固定観念などは、誰でも持っているもの。面接で人材をきちんと見極めるには、自分自身の中にあるバイアスの存在を認識したうえで、なるべく客観的な評価ができるようトレーニングすることが大切です。
自社の採用課題を洗い出して整理する
効果的な面接官トレーニングを実施するなら、まずは自社の採用課題を洗い出す必要があります。採用課題によって、行なうべきトレーニングや対策が変わってくるからです。
たとえば「面接後の選考辞退率が高い」場合は、面接官のマナーや質問の仕方などに問題がある可能性が高いでしょう。マナー研修などを行なって、選考辞退につながる要因を改善する必要があります。
しかし「入社後の早期離職が多い」場合は、面接の評価項目や、採用基準を見直すほうがよいかもしれません。評価項目や採用基準を見直す場合、評価シートの修正が必要になるでしょう。
このように採用課題によって、行なうべきトレーニングの内容や対策は変わります。まずは自社の採用課題を洗い出し、整理してみましょう。
まとめ
面接官トレーニングで強化すべきスキルや知識、具体的なトレーニング方法、ポイントなどを解説しました。面接官のトレーニング方法には、以下のようなものがあります。
- 面接官向けの研修やセミナーを受講する
- 面接のロールプレイングを実施する
- 面接に関連する書籍を読む
- 面接官用のマニュアルや評価シートを作成する
自社の採用課題を洗い出して必要なトレーニングを実施し、面接を通して「人材の見極め」と「惹きつけ」を行なえるようにしましょう。
なお、「人材の見極め」と「惹きつけ」に課題を感じている場合は、エン転職をご利用いただくのもおすすめです。エン転職とは1,100万人以上の会員数を誇る、日本最大級の中途採用向け求人サイトのこと。
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また、エン転職の求人には「仕事の厳しさ・向いていない人」という項目があります。求人にあえて「仕事の厳しさ・向いていない人」の情報を記載することにより、応募の段階で自社に適さない人材をフィルタリングできます。面接で人材を見極める難易度が下がり、採用ミスマッチの防止に役立つでしょう。
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