【2024年11月】職種別の有効求人倍率と採用市場の動向を解説
有効求人倍率とは、求職者数に対する求人数の割合のことです。有効求人倍率をチェックすると、採用市場がどのような状況であるかわかります。
本記事では、厚生労働省が発表する最新のデータをもとに、職種別の有効求人倍率について解説します。有効求人倍率の推移から予想される採用市場の動向も解説しますので、採用活動を行なう際の参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.有効求人倍率とは?
- 1.1.有効求人倍率の定義
- 1.2.有効求人倍率の計算式
- 1.3.有効求人倍率を見るときの注意点
- 2.最新の有効求人倍率(2024年10月29日発表)
- 3.職種別の有効求人倍率(2024年10月29日発表)
- 3.1.専門的・技術的職業従事者の有効求人倍率
- 3.2.事務従事者の有効求人倍率
- 3.3.販売従事者の有効求人倍率
- 3.4.サービス職業従事者の有効求人倍率
- 3.5.生産工程従事者の有効求人倍率
- 3.6.輸送・機械運転従事者の有効求人倍率
- 3.7.建設・採掘従事者の有効求人倍率
- 3.8.運搬・清掃・包装等の従事者の有効求人倍率
- 4.有効求人倍率から予想される採用市場の動向
- 5.まとめ
有効求人倍率とは?
まずは、有効求人倍率とは何かをわかりやすく解説します。定義や計算式、チェックするときの注意点などを詳しく見ていきましょう。
有効求人倍率の定義
有効求人倍率とは、求職者数に対する求人数の割合のことです。厚生労働省が、全国の公共職業安定所(ハローワーク)に登録された求職者数と求人数をまとめ、有効求人倍率を算出し、毎月発表しています。
有効求人倍率が1倍を上回る場合/下回る場合の状況は、以下のように判断されます。
▼有効求人倍率の見方 | |
有効求人倍率が1倍を上回る |
求職者数より求人数のほうが多い状況 |
有効求人倍率が1倍を下回る |
求職者数より求人数のほうが少ない状況 |
求人者(求人を出す企業)としては、有効求人倍率が1倍を下回る状態のほうが、自社の求人に応募が集まりやすくなるため、採用活動の難易度が下がるでしょう。有効求人倍率は、採用市場がどのような状況であるかを測る指標のひとつとして、参考になる数値といえます。
有効求人倍率の計算式
有効求人倍率は、以下の計算式で求められます。
有効求人数÷有効求職者数=有効求人倍率
有効求人数とは、ハローワークに登録されている求人数のこと。有効求職者数とは、ハローワークに登録されている求職者数のことです。
たとえば有効求人数が1,000件、有効求職者数が500人の場合は「1,000÷500=2」となるため、有効求人倍率は2倍です。求職者1人に対して、求人が2件あると判断されます。
求人を出す企業の立場からすると、求職者1人を2件の求人で取り合っている状況とも言い換えられるでしょう。有効求人倍率が1倍を上回るほど、企業同士の採用競争は激しくなります。
有効求人倍率を見るときの注意点
前述したように有効求人倍率は、採用市場がどのような状況であるかを測る指標のひとつとして参考になります。ただし、ハローワークに登録された求職者数と求人数で算出されている点には注意が必要です。
昨今は求職者・企業ともに、ハローワーク以外の求人媒体を利用するケースが増えています。ハローワークの利用率が低下傾向となっているため、有効求人倍率に採用市場の実態が完璧に反映されているとは言い切れない状況です。
有効求人倍率は、採用市場の動向を確認する目安にはなりますが、あくまでも参考程度に留めておき、ほかの求人媒体が公表しているデータなども併せてチェックするとよいでしょう。
最新の有効求人倍率(2024年10月29日発表)
ここからは厚生労働省の資料をもとに、最新の有効求人倍率を紹介します。令和6年11月時点の最新データは、10月29日に発表された「一般職業紹介状況(令和6年9月分)」です。
令和6年9月分の有効求人倍率は、以下のような状況となっています。
▼令和6年9月分の有効求人倍率について |
|
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年9月分)について」
また、以下のグラフは有効求人倍率の推移を表したものです。新型コロナウイルス感染症の流行などによる影響で、令和元年から2年にかけて急落していますが、その後持ち直し、現在は1.0以上の数値で安定しています。
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年9月分)について」
この結果から、現在は求職者数よりも求人数のほうが多いため、「人材を確保する難易度が上がっている状況」であるとわかります。1人の求職者を複数の企業で取り合う状況が続いているので、採用活動を行なう際は、求職者を惹きつける工夫が必要といえるでしょう。
なお、求職者を自社に惹きつける方法については、以下の記事で詳しく解説しています。求人情報や面接で求職者を惹きつけ、志望度を高める方法を紹介していますので、ぜひご覧ください。
▼求人や面接で求職者を惹きつけ、内定承諾率を高める方法
職種別の有効求人倍率(2024年10月29日発表)
ここからは厚生労働省の資料をもとに、職種別の有効求人倍率を紹介します。自社が求人募集したい職種がどのような状況なのか、理解を深めましょう。
専門的・技術的職業従事者の有効求人倍率
製造技術職や医療関係職などの専門的・技術的職業従事者の有効求人倍率は、平均値が1.97倍とやや高めになっています。
特に高い職種は建築・土木・測量技術者の6.67倍で、人手不足感が強いと予想されます。詳細な有効求人倍率は、以下の通りです。
職種 |
有効求人倍率 |
製造技術者(開発) |
2.37 |
製造技術者(開発を除く) |
0.87 |
建築・土木・測量技術者 |
6.67 |
情報処理・通信技術者 |
1.67 |
その他の技術者 |
7.59 |
医師・歯科医師・獣医師・薬剤師 |
3.14 |
保健師・助産師・看護師 |
2.29 |
医療技術者 |
3.07 |
その他の保健医療従事者 |
2.19 |
社会福祉専門職業従事者 |
2.97 |
美術家・デザイナー・写真家・映像撮影者 |
0.16 |
その他の専門的職業 |
0.59 |
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年9月分)について」
事務従事者の有効求人倍率
一般事務職や営業事務職などの事務従事者の有効求人倍率は、平均値が0.42倍とやや低めになっています。事務職は求人数よりも、求職者数のほうが多い状況のようです。
業務内容にもよりますが、事務職の求人を募集したい企業にとっては、採用の難易度がやや低く、人材を確保しやすい状況といえるでしょう。事務職の詳細な有効求人倍率は、以下の通りです。
職種 |
有効求人倍率 |
一般事務従事者 |
0.32 |
会計事務従事者 |
0.61 |
生産関連事務従事者 |
1.62 |
営業・販売事務従事者 |
0.99 |
外勤事務従事者 |
3.32 |
運輸・郵便事務従事者 |
3.39 |
事務用機器操作員 |
0.27 |
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年9月分)について」
販売従事者の有効求人倍率
商品販売職や営業職などの販売従事者の有効求人倍率は、平均値が2.20倍とやや高めです。全体的に2倍を上回る数値となっており、人材確保の難易度が上がっている状況と予想されます。販売従事者の詳細な有効求人倍率は、以下の通りです。
職種 |
有効求人倍率 |
商品販売従事者 |
2.05 |
販売類似職業従事者 |
2.61 |
営業職業従事者 |
2.31 |
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年9月分)について」
サービス職業従事者の有効求人倍率
介護サービス職や飲食サービス職など、サービス職業従事者の有効求人倍率も、平均値が2.68倍と高めになっています。
特に高いのは介護サービス職業従事者で、3.59倍です。少子高齢化の影響により、サービス利用者に対して職員の数が足りていないため、人材をどう確保するかが全国的な課題となっています。
恐らく今後も介護サービス職の有効求人倍率は、高止まりするでしょう。なお、サービス職業従事者の詳細な有効求人倍率は、以下の通りです。
職業 |
有効求人倍率 |
家庭生活支援サービス職業従事者 |
1.05 |
介護サービス職業従事者 |
3.59 |
保健医療サービス職業従事者 |
3.24 |
生活衛生サービス職業従事者 |
3.06 |
飲食物調理従事者 |
2.57 |
接客・給仕職業従事者 |
2.00 |
居住施設・ビル等管理人 |
0.74 |
その他のサービス職業従事者 |
1.32 |
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年9月分)について」
生産工程従事者の有効求人倍率
製品製造や加工、検査などにかかわる生産工程従事者の有効求人倍率は、平均値が1.65倍となっています。特に高いのは機械整備・修理従事者の4.54倍です。
製造工程の役割などによって、有効求人倍率に大きな差異があるとわかります。生産工程従事者の詳細な有効求人倍率は、以下の通りです。
職業 |
有効求人倍率 |
生産設備制御・監視従事者(金属製品) |
1.08 |
生産設備制御・監視従事者(金属製品を除く) |
2.09 |
機械組立設備制御・監視従事者 |
0.84 |
製品製造・加工処理従事者(金属製品) |
2.29 |
製品製造・加工処理従事者(金属製品を除く) |
1.67 |
機械組立従事者 |
0.73 |
機械整備・修理従事者 |
4.54 |
製品検査従事者(金属製品) |
1.28 |
製品検査従事者(金属製品を除く) |
1.79 |
機械検査従事者 |
1.19 |
生産関連・生産類似作業従事者 |
0.99 |
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年9月分)について」
輸送・機械運転従事者の有効求人倍率
鉄道運転や自動車運転、航空機運転などにかかわる輸送・機械運転従事者の有効求人倍率は、平均値が2.30倍とやや高めになっています。
特に高いのは自動車運転従事者で、2.74倍です。ドライバー不足は年々深刻化しており、全国的に問題視されています。待遇などの改善により、人手不足が解消される可能性もありますが、今後しばらくは有効求人倍率が高止まりするでしょう。
輸送・機械運転従事者の詳細な有効求人倍率は、以下の通りです。
職業 |
有効求人倍率 |
鉄道運転従事者 |
1.11 |
自動車運転従事者 |
2.74 |
船舶・航空機運転従事者 |
0.63 |
その他の輸送従事者 |
0.78 |
定置・建設機械運転従事者 |
2.11 |
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年9月分)について」
建設・採掘従事者の有効求人倍率
建設現場や土木作業、採掘などにかかわる建設・採掘従事者の有効求人倍率は、平均値が5.79倍と非常に高くなっています。
全体的に3倍を超える倍率となっており、人手不足感が強い職種であることがうかがえます。建設・採掘従事者の詳細な有効求人倍率は、以下の通りです。
職業 |
有効求人倍率 |
建設躯体工事従事者 |
9.44 |
建設従事者(建設躯体工事従事者を除く) |
5.32 |
電気工事従事者 |
3.61 |
土木作業従事者 |
6.95 |
採掘従事者 |
5.34 |
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年9月分)について」
運搬・清掃・包装等の従事者の有効求人倍率
運搬・清掃・包装等従事者の有効求人倍率は、平均値が0.69とやや低めになっています。しかし、より細かく見ていくと、ほとんどの職種で1倍を上回っていることがわかります。運搬・清掃・包装等従事者の詳細な有効求人倍率は、以下の通りです。
職業 |
有効求人倍率 |
運搬従事者 |
1.09 |
清掃従事者 |
1.10 |
包装従事者 |
1.19 |
その他の運搬・清掃・包装等従事者 |
0.28 |
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年9月分)について」
有効求人倍率から予想される採用市場の動向
最後に、有効求人倍率から予想される、今後の採用市場の動向について解説します。ここまで紹介した数値を見るとわかる通り、有効求人倍率は1倍を上回る職種が多くなっています。
また、近年の有効求人倍率は1倍以上をキープしており、ほぼ横ばい状態です。この状況から、全職種で一定以上の求人が出ており、企業に人手不足感があると予想されます。
採用市場が求職者に有利な「売り手市場」となっているため、企業にとっては人材確保の難易度が上がっている状況です。一般的に、売り手市場になると、応募者の選考辞退や内定辞退が増加する傾向があります。企業としては辞退防止の対策を講じる必要があるでしょう。
中途採用市場においては、企業が採用難を乗り切るために、「未経験歓迎」の求人を出すケースが増えると予想されます。なお、中途採用に関する情報をより詳しく知りたい方には、以下の記事がオススメです。転職市場のトレンドも解説していますので、ぜひご覧ください。
▼【2024年度】転職市場の動向とトレンドを解説
まとめ
厚生労働省の資料をもとに、職種別の有効求人倍率などを紹介しました。近年は有効求人倍率が1倍以上となっているケースが多く、企業にとっては採用難易度が上昇している状況です。
自社に適した人材を確保し、採用成功率を高めるためには、「辞退防止の対策を講じる」「複数の求人サービスを組み合わせて活用する」などの工夫を行なう必要があります。
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