人材とは?4つのジンザイの意味や採用・見極め・育成・定着の方法を解説
人材は、企業の経営に欠かせない資源の1つです。類語として「人財」「人罪」「人在」といった表記もありますが、それぞれ意味が異なります。
そこで本記事では、4つの「ジンザイ」の意味をそれぞれ解説。さらに、自社に合った人材の見極め方、採用・育成の仕方、定着率の高め方についても解説していきます。
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目次[非表示]
- 1.人材とは?
- 2.人材要件を定義する方法
- 2.1.人材要件の落とし穴
- 2.2.人材要件を考える4つのステップ
- 2.2.1.STEP1:採用目的のすり合わせ
- 2.2.2.STEP2:仕事内容のすり合わせ
- 2.2.3.STEP3:教育制度・育成キャパシティのすり合わせ
- 2.2.4.STEP4:採用要件のすり合わせ
- 3.人材を採用する方法
- 3.1.自社に合った採用手法を考える
- 3.2.成功率を高めるための採用戦略を考える
- 4.人材を育成する方法
- 5.人材の定着率を高める方法
- 6.まとめ
人材とは?
「人材」は才能があり、役に立つ人、有能な人物という意味を持ちます。人材の他にも、人財・人在・人罪 といった表記があるため、まずは4つ「ジンザイ」の違いから押さえておきましょう。
「人材」の意味
国語辞典を引くと、「人材」は「才能があって役に立つ人・有能な人物」と表現されています。才能があるという意味から、「人才」という書き方をするケースもあります。
こう書くと、「特筆した才能がある人のみを人材と呼ぶ」と捉えてしまう人もいらっしゃるかもしれませんが、それは誤解です。ここで言う才能とは、「適性」というニュアンスを持ちます。すなわち、仕事をしっかりとこなすだけの適性がある人物は、人材と言い替えられるでしょう。
採用時点で仕事をしっかりとこなすだけの能力を備えていない人でも、入社後の育成により仕事に対応できる人物であれば、適性アリとして人材と呼ぶことができます。
人材は、英語圏では「Human Resource」と表現されます。日本語で直訳すると「人的資源」。海外でも、人材は企業経営に欠かせない資源の1つとしてとらえられています。
「人財」との違い
人財は、「人は財産だ」という考えがより強まった言葉です。企業が従業員を大切に考えているということを伝えるために、あえて「人財採用」「人財育成」「人財開発」という言葉を使用している会社も少なくありません。人が財産としてとらえているので、採用・育成に対する投資も積極的で、「人的資本」という意味合いも強くなります。
ただし、「人財」はあくまで当て字です。本来の書き方は「人材」が正しいと言えます。「人財」と比較して「人材」は、人を材料としてとらえている=大切にしていないという考えを聞くケースもありますが、誤解です。人材も、人財も、等しく従業員を企業の大切な資産とする言葉です。
「人在」との違い
ジンザイを「人財」「人材」「人材」「人罪」にあえてわけて格付けして考えることがあります。「人財」が会社の宝として一番会社が大切にすべき人たち、「人材」が一定の役に立ち戦力になっている二番目に会社が大切にすべき人たちを指します。これに対して、「人在」は文字通り会社に在る(=存在している)だけで戦力としての活躍が期待できない人を指します。
「人罪」との違い
人罪は、ジンザイを4段階に分けたときの一番下。会社にいること自体が罪になり、マイナスの影響を生み出す人を指します。例えば、組織が一致団結している中で、団結力にかけて周囲のモチベーションまで下げてしまう人などは、「人罪」としてカテゴリー分けされてしまう可能性があります。
人材要件を定義する方法
「採用した人材が期待していたほど活躍しない」「活躍するようになるまで想定以上に時間はかかる」といったケースに心当たりはありませんか?
もし心当たりがあれば、人材の採用要件(=人材要件)が上手く定義できていないことが原因かもしれません。採用要件(人材要件)とは、自社が求める人物上の条件を明確に言語化したものを指します。
人材要件の落とし穴
例えば、「営業募集」で「経験者」を採用したいとします。そこで、採用要件(人材要件)を「営業経験3年以上」とした。これは正しい採用要件(人材要件)とは限りません。なぜ4年でも、2年でもなく、「3年の営業経験」とするか妥当性がないからです。
企業によって1年間で学べる内容は異なります。「3年の営業経験」を応募資格にすると、 3年たってもまったく売れない営業でも応募できてしまいます。反対に、入社1年目から誰よりも売り上げを上げていたスーパールーキーのような営業は応募できなくなってしまいます。
経験年数で人材の要件を考えると曖昧さがでるので、「何ができる必要があるのか」具体的な能力で採用基準を作りましょう。例えば、「営業経験が3年ある人」ではなく、「業界・商材知識さえ教えれば、テレアポから商談まで一人で自己完結できる人」といったイメージです。
人材要件を考える4つのステップ
人材の採用要件(=人材要件)を考える方法はいくつかありますが、今回は「採用目的」から人材を定義する方法をご紹介します。
STEP1:採用目的のすり合わせ
まず最初に「今回の採用で実現したい目的」を関係者間で統一します。例えば、営業を採用したい場合。目的が「増員による売り上げ向上」と「マネジメント層の不足によるリーダーの補強」とでは、採用すべき人物像が異なるはずです。
目的がつまづくと後工程がすべてズレてくるため、経営者・人事・現場担当者など、採用に関わる全員で共通認識を持つことが大切です。
STEP2:仕事内容のすり合わせ
目的の認識を統一したら、今回採用する人材に「任せる仕事内容」を洗い出しましょう。
STEP3:教育制度・育成キャパシティのすり合わせ
人材に任せる仕事内容を洗い出せたら、そのうちどこまでを教えられるか考えましょう。大切なのは入社した人材を指導する育成担当(OJT担当)にヒアリングして、「教えるキャパシティを考慮したうえで、どこまで現実的に教えられるか」を確認することです。
例えば、営業を採用するにしても「まったく教えるキャパシティがない」のであれば、「最初から業界・商品知識を備えた営業経験者」を採用する必要があります。「業界・商品知識は教えられるが、営業のイロハから教えている時間はない」のであれば、「営業経験者(業界は不問)」を採用するのも選択肢に入ります。
STEP4:採用要件のすり合わせ
「仕事内容ー教育制度」の方程式に従い、入社後に教えられない能力・知識・価値観を洗い出しましょう。教えられない能力・知識・価値観が、採用する人材にあらかじめ備えてもらいたい要件になります。
より詳細な採用要件(採用基準)の考え方は以下の記事でもご紹介しておりますので、併せてご参考ください。
採用基準のつくりかた/図で分かる失敗しないポイント
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人材を採用する方法
人材要件を整理して、自社に必要な人材を明確にできたら、条件に合致する人材の「採用」を目指します。「採用」のポイントは、「採用手法」と「採用戦略」です。
自社に合った採用手法を考える
狙った人材をどのような採用手法で獲得するのかをまず考えます。近年採用手法は多様化しており、それぞれ得意分野・苦手分野があります。自社の求める人材を採用するのに、どの手法が適正ているのかを検討しましょう。
以下に代表的な10の採用手法を簡単にまとめておきます。採用手法を選択する際にご参考ください。
求人サイト |
新卒採用向けの就活サイトや、中途採用向けの転職サイトが、求人サイトにあたります。求人サイトは不特定多数の大人数に、貴社求人を見てもらえるチャンスがあります。そのため、 母集団形成に特に適しているサービスです。 |
求人誌 |
フリーペーパーなどに代表される採用手法が求人誌。求人誌が設置されるエリアが限定的なため、求人サイトほど母集団形成に適しているとは言えません。その反面、コストを抑えて、勤務地近隣にお住まいの方からの応募を集めるのには適しています。 |
合同説明会 |
転職フェアや大学向けの合同説明会などがあります。職種別・業界別フェアなど、特定分野に絞ったフェアなどもあるので、自社の狙う人材に適した合同説明会を選択すると、より効果的です。 |
ハローワーク |
ハローワークとは厚生労働省が管理する職業紹介事業です。最大の魅力は、無料で利用できること。ただその反面、求人掲載企業数=ライバルの数も多く、多くの母集団を形成するのには向いていません。 |
採用ホームページ |
自社HPに求人掲載する、採用HPを作成するといった手段で、応募を募る方法です。採用ホームページは、求人サイトなどにURLを記載することで、求人では伝えきれなかった会社・仕事の魅力を補足するツールとして活用するのが有効です。 |
人材紹介 |
人材紹介会社のエージェントに、求職者を紹介してもらうサービスです。 人材紹介は母集団を大量に集めるというより、「求める経験・知識・能力・スキルが高い募集で、マッチ度の高い人材を厳選して集める」ことに向いています。 |
ダイレクトリクルーティング |
求人サイト・ハローワーク・人材紹介などが「応募や紹介を待つ」サービスなのに対し、ダイレクトリクルーティングは企業が自社にマッチした人材に、直接スカウトメールなどでアプローチする「攻め」の採用手法だと言われています。 |
リファラルリクルーティング |
自社社員などから知人・友人を紹介してもらい、採用に繋げる手法です。昔で言うところの「縁故採用」に近いですが、より制度を整え、全社的な取り組みとして行なうのが、リファラルリクルーティングです。 |
インターン採用 |
インターンシップとは、学生が希望する企業で職場体験することができる制度です。企業側は新卒採用開始前に優秀な学生を発掘したり、自社の魅力をアピールしたりできるメリットがあります。 |
アルムナイ採用 |
一度、退職した社員を再び自社で採用する手法です。出戻り採用などとも言われています。元々、自社で仕事をしていた人材を再雇用するので即戦力としての活躍が期待できます。 |
より詳細な採用手法の違い、メリット・デメリット、向いている企業については以下の記事で解説しておりますので、あわせてご参考ください。
▼10の中途採用手法を比較|自社に合った採用手法の選び方
成功率を高めるための採用戦略を考える
「採用戦略」とは、自社を成長させる人材を採用するための戦略を指します。競合求人が多数ある中で、いかに求める人材からの応募を集めるのかを戦略立てて考えます。
採用戦略を考えることで、人材の採用成功率が高まるだけでなく、選考・内定辞退が減少したり、入社後の早期離職を防止したりする効果にも期待できます。
詳しい採用戦略の立て方は、以下の記事や資料をご参考ください。
▼採用戦略の立て方を分かりやすく解説した「採用戦略とは?戦略の立て方とメリットを解説!」の資料は以下から無料でダウンロードいただけます▼
▼採用戦略とは何か?│戦略の立て方とメリットを徹底解説!
人材を育成する方法
人材育成の主流は「OJT」と言われています。「On-The-Job Training」の略称で、「実務を通した教育」という意味で使われることが多いです。
また対をなす言葉として、「OFF-JT」があります。「Off-The-Job Training」の略称で、実務から離れた機会(座学など)で行なう教育研修のことを差します。
教育の課題や狙いなどに合わせて両者をバランス良く組み合わせることが、人材育成では大切です。
OJTに適した業務・OFF-JTに適した業務
OJTは習熟・経験を必要とする能力を養うために実施することが適しています。そのため、マニュアル化しづらく、状況に応じて判断が必要な営業職や勘や習熟度が必要な機械加工といった技術職などにはOJTが向いています。
これに対して、「OFF-JT 」は機械的な判断が可能な業務や、多人数を対象とした指導に適しています。マニュアル化もしやすく、座学で一度に多くの人材を受け入れることが可能です。
人材を育成するOJTの4つのSTEP
OJTには4つのステップがあります。この流れをきちんと行なうことが、人材育成の効果が向上します。
Show(やってみせる) |
まずその仕事をやって見せること。このステップを踏むことで、仕事の全体像を理解してもらうのです。 |
Tell(説明・解説する) |
仕事をやってみせたのちに、その仕事はどういうものなのかを伝え、目的や背景をきちんと理解してもらいます。 |
Do(やらせてみる) |
このステップになって、ようやく実際にその仕事をやってもらう段になります。大切なのは、一人でやらせてみることを意識することです。 |
Check(評価・指導をする) |
やらせてみたら、その結果を評価します。できていなかったことについてのフィードバックすることはもちろん、できていたことへの感想なども重要です。その内容は具体であるほど効果が上がります。 |
より詳細なOJTのメリット・デメリットm成功のポイントは以下の記事で詳細に解説しております。あわせてぜひご一読ください。
▼OJTとは?うまくいくポイントやOJT向きの業務などを徹底解説!
人材の定着率を高める方法
人材は採用することがゴールではありません。採用した人が定着して、活躍して、企業の業績に貢献してこそ「採用成功」ということができます。そこで課題になるのが、いかに早期離職を防止するかです。
厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要」によると、離職率は13.9%でした。この離職を防ぐ方法として例えば以下のような手段が挙げられます。
- 報酬を上げる
- 福利厚生を充実させる
- 納得度が高い評価制度にする
- 上司(管理職)の教育を行なう
- 上司と定期面談する機会をつくる
- 人事と定期面談する機会をつくる
- 社員からの相談室を設ける
- 育成・研修方法を変更する
- 企業の方向性・ビジョンを共有する
- 称賛文化をつくる
- 多様なキャリアパスをつくる
- 柔軟な働き方を実現しやすい環境をつくる
- 仕事量を改善する
- 転勤可否を都度確認しておく
- 社内交流を活性化させる
- メンター制度をつくる
- 企画から社員が行なう社内プロジェクト
- 定期的にストレスチェックを行なう
- 風通しの良い環境にする
- 企業理念の浸透を行なう
人材の定着率を上げる20の手法は以下の記事で解説しておりますので、ぜひご参考ください。
▼離職率の平均は?離職を防ぐ20の対策を公開
▼退職を防ぐ20の具体策を個別に解説したより詳細な資料を以下から無料でダウンロードいただけます。ぜひご参考ください。
まとめ
「人材」の表記方法には様々な種類がありますが、その多くには「人材」を企業の成長に欠かせないものとして捉えています。特に近年は少子高齢化・労働人口の減少によって、人材の希少性はますます高まっています。
人材採用にかけるコスト・時間も徐々に増えているという調査もあるため、人材採用を以下に最適化するかは多くの企業にとって優先課題となります。
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『エン転職』を利用するかどうかは、採用戦略を考えてからご判断いただければと思います。まずはお気軽にご相談ください。
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