採用基準のつくりかた/図で分かる失敗しないポイント
- 採用基準をつくりたいが、何から着手すればいいのか分からない
- 採用基準はあるが、見直したいと考えている
- 自社採用が初めて
- 採用に不慣れで分からないことが多い
- 募集をかけてもなかなか採用に至らない
- どんな人を採用するべきか明確でない
本記事では、そんなお悩みにお答えします。いざ採用活動をスタートさせても、採用基準があるのとないのとでは、採用の質が大きく変わります。そもそも採用基準とは何か。どのような必要性・メリットがあるか。採用基準を作る手法やステップ、注意点などもご紹介。ぜひご活用ください。
目次[非表示]
- 1.なぜ採用基準をつくる必要があるの?
- 2.採用基準をつくるメリットとは?
- 2.1.採用成功確率を高めることができる
- 2.2.早期離職による損失を防ぐことができる
- 3.採用基準をつくる3つの方法
- 4.「採用目的」から採用基準をつくる4ステップ
- 4.1.採用体制の構築
- 4.2.採用目的のすり合わせ
- 4.3.採用要件のすり合わせ
- 4.4.評価項目・評価方法の決定
- 4.5.転職市場を踏まえてブラッシュアップ
- 5.「コンピテンシーモデル」を活用した採用基準のつくりかた
- 5.1.コンピテンシーとは?
- 5.2.コンピテンシーの項目を洗い出すポイント
- 6.「適性検査」を活用した採用基準のつくりかた
- 7.採用基準をつくる上での注意点
- 8.まとめ
なぜ採用基準をつくる必要があるの?
そもそも採用基準とは、自社にとって必要な人材を採用するための「選考における指標」のことです。なぜそのような指標を設ける必要があるのか、その理由をいくつかご紹介します。
ミスマッチを防ぎ、入社後活躍の可能性を高めるため
「せっかく人材を採用できても、すぐに辞めてしまう…」というご経験はありませんか。これは、採用基準がない、もしくは適切ではないために起こっている可能性があります。人材の価値観や能力について、明確な線引きをせず採用してしまうと「社風が合わない」「期待していたほど活躍してくれない」といったミスマッチが生まれ、早期退職につながってしまうのです。
面接官による個人差を生まないため
採用基準が明確でないと、話してみた時の「感覚」で合否を決めてしまう可能性があります。
また、採用担当者の人数が多い場合は、より注意が必要です。採用担当者が1名の場合、採用の目線のずれは発生しづらいです。ところが採用担当者が複数名になるほど、それぞれの価値観や判断が違うことによって選考結果にも違いが生まれてしまうことがあります。こうした行き違いを防ぐためにも、採用基準を定めることが大切です。
募集時の転職市場に応じて採用基準を変えるため
採用時の市況感によって、採用の難易度は変わります。たとえば「有効求人倍率」が高い時期は、人材を求める企業も増え、競争は激しくなります。そのため「例年と同じだから」と目線が高い状態で選考すると、なかなか望む人材とは出会えず、ひいては他社に人材を奪われてしまう可能性も。転職市場の動向にあわせた、適切な採用基準を設けることが重要です。
採用基準をつくるメリットとは?
企業にとって採用基準をつくるメリットはズバリ、効率的な採用活動ができるようになることです。「人材の適性や相性を見極めるのに時間がかかってしまう」「採用しても活躍せず離職してしまう」など、時間や労力をムダにしては非効率。
採用基準をつくることで、より効率的・効果的に求める人材を採用することができます。
採用成功確率を高めることができる
採用基準をつくると「求める人物像」が明らかになります。どのような人物に対して求人情報を届けるべきか。その人物にとって、自社の何が魅力となり得るか。
面接では、どのように見極め・魅力づけすればいいか。「求める人物像」に的を絞って戦略を立てられるため、結果的に応募数も増え、採用成功しやすくなります。逆に「求める人物像」とは異なる人材に対してもスピーディーな見極め・判断ができるので、企業と求職者、双方にとって有意義な採用活動となるでしょう。
早期離職による損失を防ぐことができる
早期離職による損失の規模をご存知でしょうか。エン・ジャパン株式会社の『入社後活躍研究所』が2019年に発表したデータによると、入社後3ヶ月間で社員1名が退職した場合の損失額は187.5万円。
求人の掲載費、人事担当者の人件費、教育研修費などの金額的な損失はもちろん、面接や内定面談にかけた時間の損失、退職者が出たことによる社員のモチベーション低下、連鎖的な退職など、二次的な損失も多く存在します。膨大な損失を生まないためにも、採用基準には重要な意味があるのです。
採用基準をつくる3つの方法
それでは、さっそく採用基準づくりに取りかかってみましょう。とはいえ、採用基準のつくり方はさまざま。ここでは代表的な3つのつくり方をご紹介します。「最も良い方法のみを実践する」というより、それぞれの手法を組み合わせながら自社にとって最適な採用基準をつくることが大切です。
「採用目的」から採用基準をつくる4ステップ
採用の目的から採用基準をつくる方法を解説します。採用基準をつくる上で、採用目的はとても重要です。
たとえば営業募集ひとつとっても、採用目的しだいで採用基準は変わります。採用目的が「新商品の開発」であれば、「営業しながら顧客の声を集め、主体的にアイデアを提案できる人材」が必要だとわかります。一方、採用目的が「営業組織のマネジメント」であれば、必要なのは「既存社員の育成を任せられる経験豊富な人材」となるでしょう。
採用目的を考えずに採用活動を進めてしまうと、採用基準がズレてしまう可能性が高いです。そこで、採用目的から採用基準を導く4つのステップを紹介します。
採用体制の構築
はじめのステップは、採用体制の構築。採用におけるニーズを各部署に聞いて回ったり、書類選考・面接などの担当者を決めたり、あらかじめ関係者に協力を仰いでおくことで、滞りなく選考できる体制を作っておきます。その際、経営層や役員、現場社員へ「どのような人材を求めているか」をヒアリングし情報を集めておくと、採用目的を考えるうえで役立ちます。
採用目的のすり合わせ
次に、採用目的を明確にします。 「採用体制の構築」で収集した情報をもとに「今回の採用で実現したいことは何か」を明確にしましょう。ポイントは、「その採用目的は今回の募集職種でしか果たせないのか?」を考えることです。
たとえば不動産営業の募集で、採用目的を「来客対応数の最大化による売上アップ」とした場合。一見、営業を増員するだけで果たせる採用目的のように思えます。一方、「営業が事務作業に追われて営業活動に専念できていない」といった実態があれば、営業ではなく事務職の採用を優先させるほうが本来の目的を早期に達成できるかもしれません。
このように、現場状況や募集職種から採用目的を考え、明確にすればするほど、有意義な採用基準をつくることができます。
採用要件のすり合わせ
次に、採用要件を明確にします。採用要件とは、採用目的を果たすうえで人材に求められる「経験・知識・資格・スキル」のこと。こう聞くとなんでもかんでも出来るヒーローのような人物を設定したくなりますが、現実的ではありませんよね。求める条件が増えるほど、採用難易度も高くなります。
そこで確認したいのが「実際に任せる仕事」と「自社で用意している教育制度」です。自社で教える余力や制度はないが、その仕事を全うするために欠かせない経験・知識・資格・スキルこそ、採用要件といえます。事例を参考にしながら、自社採用と照らし合わせて考えてみましょう。
評価項目・評価方法の決定
最後に、ステップ3で決めた採用要件をどう見極め、評価するかを決めます。
まずは評価する項目を策定しましょう。これまでのステップで導き出した採用要件から、見極めるべきポイントを定めます。その際、一般的な評価項目と照らし合わせながら策定することをおすすめします。
※一般的な評価項目(一例)
- 業務に必要な知識・スキル・経験
- コミュニケーション能力
- 主体性
- 協調性
- 論理的思考力
- 人間性や価値観
- 意欲
次に、これらの項目をどのように評価するかを決めます。選考の関係者が共通認識を持てるよう、「質問内容集」や「評価チェックシート」などの仕組みをつくると評価もズレにくいです。
評価にあたり、履歴書・職務経歴書から見えやすい特徴と見えにくい特徴があります。そのため、「知識やスキルに関しては適性テストで見極め」「コミュニケーション能力は面接&チェックシートで評価」と、評価方法を使い分けると効果的な選考ができます。
転職市場を踏まえてブラッシュアップ
採用基準ができたら、妥当な設定かを見直し、必要に応じて調整しましょう。社内で採用目的や採用要件をすり合わせるうち、気づけば目線が上がり、採用難易度を高くしているケースがあるためです。
調整方法として有効なのが、転職市場のリサーチ。同時期に掲載されている求人の中でも、同じ募集エリア・職種の求人を調べ、自社募集と見比べてみましょう。給与や福利厚生など自社より条件の良い求人が多ければ、転職市場では不利だということ。採用基準の引き下げを検討する必要があるかもしれません。
どうしても判断がつかなければ、採用基準が妥当か否かを「採用支援会社」に相談してみるのも有効です。採用から入社後活躍までをサポートする『エン転職』に、ぜひお気軽にお問い合わせください。
「コンピテンシーモデル」を活用した採用基準のつくりかた
「コンピテンシーモデル」を活用した採用基準の作り方を解説します。社内を見渡すと、必ず一人は高い業績や成果を上げている人がいるものです。そんな“デキる人材”からヒントを得て採用基準をつくる手法です。
コンピテンシーとは?
コンピテンシーとは「高業績者のモデルケース」のこと。高い業績を出す人に共通している「思考の傾向」や「行動特性」を評価することです。
コンピテンシーには決まった定義があるわけではありません。属する業界や募集職種、部門や役職によって、求められる業績や成果も異なるためです。自社独自のコンピテンシーを見極め、採用基準をつくる必要があります。
コンピテンシーの項目を洗い出すポイント
コンピテンシーモデルによる採用基準をつくるうえで大切なのは、モデルとなる高業績者の「行動」ではなく「思考」を分析することです。
たとえば、毎日お客様に電話をかけノルマを達成した営業社員がいたとします。ですが「毎日電話した」という行動だけに着目して採用基準をつくっても、採用した人材が同じ成果を出せるとは限りません。「毎日電話をする」という行動は、その日の体調や意欲によってムラが生まれる可能性もあるためです。
一方、「毎日電話をした。なぜなら、その中でお客様と関係を築き、ニーズをつかめると思ったから」といった思考は、揺るぎにくいものです。高業績者の思考から「戦略思考」「計画力」といったコンピテンシー項目を洗い出すことで、活躍可能性の高い人材の見極めにつながります。
「適性検査」を活用した採用基準のつくりかた
「コンピテンシーモデルは難しくて良く分からない…」という方のために、適性検査を使った採用基準のつくり方を解説します。適性検査は、コンピテンシーモデルを簡単に調べる方法のひとつです。
まず自社で活躍している社員にあらかじめ適性検査を受けてもらい、その傾向値を掴んでおきしょう。次に選考中の人材にも同様の適性検査を受けてもらいます。既存の社員と近しい結果が出た人材を採用すれば、勘に頼ることなく活躍可能性の高い人材を採用することができます。
エン・ジャパンのオンライン適性検査『Talent Analytics』なら、面接では見抜きにくい「知的能力」や「思考特性」「性格・価値観」を発見できます。採用基準づくりにぜひお役立てください。
採用基準をつくる上での注意点
採用基準をつくる上では、いくつか注意するべき点があります。せっかく採用基準をつくっても、配慮が足りなかったり、不要な応募資格を設定してしまったりしては本末転倒。注意点をしっかりおさえた上で、採用基準を定めるようにしましょう。
基本的人権の侵害・就職差別につながる事項はNG
そのつもりがなくても、作った採用基準が「基本的人権の侵害」や「就職差別」となっている場合があります。以下のように、本人の適性や能力と関係のない項目は採用基準から除外しましょう。
- 本籍や出生地
- 家族構成や家族の職業など、家族に関すること
- 健康状態や既往歴
- 家の間取りや借家、持ち家などの住宅状況
- 思想や信条、尊敬する人物、愛読書・雑誌・新聞
- 宗教や支持政党
- 人生観や生活信条
※出典:厚生労働省・都道府県労働局
これらの項目は、面接での質問もNG。一つでも求職者にたずねた場合には、人権侵害や就職差別とみなされます。
「採用基準」と「応募資格」は違う
「採用基準」=「応募資格」というわけではありません。採用基準に定めた項目であっても、応募資格にそのまま記載するだけでは効果的な採用につながらないケースがあります。
たとえば「コミュニケーション能力が高い人」を採用したい場合を例に挙げます。コミュニケーション能力の高さ・低さには明確な指標がなく、人によって基準が異なります。そのため、たとえば「コミュニケーション能力が高い方」という応募資格を見て、採用条件を満たしている人が「自分はそんなに能力が高くないし…」と萎縮してしまう可能性もあるのです。
このように、人によって採用基準に差がでる項目は「応募資格」に記載するのではなく、面接や適性検査で見極めるなど、異なる対応が必要です。
まとめ
採用基準の必要性やメリットを理解し、実際に採用基準をつくり、採用の場で活かすまでの道のりは想像以上に長く、難しいものです。自社の採用活動を早期に改善したいなら、採用支援会社を活用することをおすすめします。
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