トレンドの採用手法5選|採用市場の変化・選び方のポイントも解説
採用手法には、求人サイトやダイレクトリクルーティングなど、さまざまな種類があります。時代によって適した採用手法は変わるため、採用担当者には時勢を読む意識が求められるといえるでしょう。
本記事では「トレンドの採用手法5選」のほか、トレンドを意識した採用手法の選び方、トレンドが変化する背景について解説します。近年どのような手法が主流になっているのかチェックしたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.採用手法のトレンドが変化している背景
- 1.1.少子高齢化により労働人口が減少している
- 1.2.有効求人倍率が変化している
- 1.3.インターネット・IT技術が普及している
- 1.4.働き方が多様化している
- 1.5.人材の定着率に課題がある
- 2.トレンドの採用手法5選
- 2.1.ダイレクトリクルーティング
- 2.2.リファラル採用
- 2.3.ソーシャルリクルーティング
- 2.4.アグリゲーションサイト
- 2.5.求人サイト
- 3.トレンドを意識した採用手法の選び方
- 3.1.採用の目的と計画を定める
- 3.2.採用課題を洗い出す
- 3.3.定番の採用手法と組み合わせて活用する
- 3.4.競合他社の採用事例を参考にする
- 4.まとめ
採用手法のトレンドが変化している背景
採用手法は時代によって、主流となる手法が異なります。近年は少子高齢化の影響や、IT技術が普及した影響などにより、革新的なWeb採用サービスが生まれ、多くの企業に活用されています。まずは、採用手法のトレンドが変化している背景を詳しく見ていきましょう。
少子高齢化により労働人口が減少している
日本は現在、少子高齢化により労働力人口が減少しています。1人の求職者を複数の企業が取り合うような状況が続いており、採用難易度が高くなっているのです。
採用活動をする企業は、数ある競合のなかから自社が選ばれるように、工夫する必要があります。そのため、従来とは異なる求職者へのアプローチ方法を模索する企業が増えているのです。
有効求人倍率が変化している
有効求人倍率とは、求職者に対する求人数の割合です。倍率が1を上回ると求職者数よりも求人数の方が多く、下回ると求職者数の方が多くなります。
有効求人倍率は年によって変化します。以下のグラフは、厚生労働省が発表した有効求人倍率の推移を表したグラフです。
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年1月分)について」
有効求人倍率は令和元年を境に急落。その後少し上がりますが、新型コロナウイルス感染症が流行した影響により、令和5年以降も緩やかに下がり続けています。
しかし倍率が1以上であることは、以前として変わっていません。つまり採用市場は、求職者が有利な「売り手市場」が続いているのです。
売り手市場が続くなかで、自社に適した人材を採用し続けるため、従来通りの採用手法に頼るだけでなく、新しい取り組みが必要となっています。
インターネット・IT技術が普及している
インターネットやIT技術が普及したことも、採用手法の変化に影響しています。従来は応募書類を郵送でやり取りし、面接は求職者が企業へ直接赴いて、対面で行なうスタイルが一般的でした。
しかし近年では、インターネットやIT技術の普及に加えて、新型コロナウイルス感染症が流行した影響もあり、採用活動のオンライン化が進んでいます。応募書類をWeb上でやり取りし、面接もオンラインツールで実施できるようになりました。
採用活動のオンライン化が進んだ結果、遠方に住んでいる人材とも気軽にコンタクトが取れるようになっています。企業側・求職者側ともに、アプローチできる範囲が広がるのはメリットです。そのため、Webを駆使した採用活動が目立ってきています。
働き方が多様化している
ライフスタイルの多様化とともに、労働者の働き方が多様化しています。働き方の多様化も、採用手法の変化の要因といえるでしょう。
従来は正社員としてオフィスへ毎日出勤し、週5日8時間 仕事をする働き方が一般的でした。しかし近年では、リモートワークやハイブリッドワーク、時短勤務制度、フレックス勤務制度など、勤務形態が多様化しています。
さらに、厚生労働省が副業や兼業を後押ししていることから、パラレルワークをする労働者も少なくありません。こうした背景により、それぞれの働き方に適した採用方法を選択する必要が出てきているのです。
人材の定着率に課題がある
採用活動は「人材を採用して終わり」ではありません。採用した人材が無事入社し、自社に定着するまでが採用活動です。
人材の定着率が悪く、頭を悩ませる企業は今も昔も多いもの。多くの採用担当者や、採用サービスの提供会社が、定着率アップにつがなる手法を求めて、あれこれと手を尽くしている状態です。
企業と求職者に認識の相違があり、人材が自社に定着せず早期離職してしまうことを「採用のミスマッチ」といいます。多くの企業が採用のミスマッチを防止するため、ダイレクトリクルーティングなどの新しい手法を試すようになってきています。
採用のミスマッチを防止する対策については、以下の記事でも解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
▼採用ミスマッチの理由とは? 早期離職を防ぐための4つの対策
トレンドの採用手法5選
ここからは、トレンドの採用手法5選を紹介します。それぞれの特徴とメリット・デメリットを紹介しますので、自社に適した採用手法を探してみてください。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、企業がスカウトメールなどを使って、求職者へ直接アプローチする採用手法のこと。企業が欲しい人材へ的確にアプローチできる手法として、近年注目されています。
▼ダイレクトリクルーティングのメリット
- 欲しい人材へ効率よく的確にアプローチできる
- ほかの手法に比べて採用のミスマッチを防止しやすい
- 業務経験やスキルが豊富で、即戦力となれる人材を採用できる可能性が高い
- 非公開求人として求職者へアプローチできるため、あまり公にしたくない役職・業務の採用にも使いやすい
- 「具体的な転職活動はしていないが、良い条件の求人があったら応募したい」という転職潜在層にもアプローチできる
▼ダイレクトリクルーティングのデメリット
- 採用までに時間が必要な場合がある
- スカウトメールを作成して送付する手間がかかる
- 応募者を多数獲得したい業務やポジションの採用には向いていない
- 人事・採用担当者の文章力や、スカウトメールの運営力によって成功率が左右される
なお、ダイレクトリクルーティングについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事がおすすめです。費用やサービスの選び方なども解説していますので、ぜひご覧ください。
▼ダイレクトリクルーティングとは?従来の採用方法との比較・サービスの選び方
リファラル採用
リファラル採用とは、自社の社員から知人・友人を紹介してもらい、選考を実施して採用する手法です。一般的に、人材を紹介してくれた社員には、紹介インセンティブ(紹介報酬)が支払われます。
▼リファラル採用のメリット
- 候補者の人柄や能力をある程度把握した状態で選考できる
- 自社社員からの紹介なのでマッチ度の高い人材を採用しやすい
- 紹介インセンティブ以外の費用がかからないためコストを抑えやすい
- 「具体的な転職活動はしていないが、良い条件の求人があったら応募したい」という転職潜在層にもアプローチできる
▼リファラル採用のデメリット
- 採用する人材に偏りが出る可能性がある
- 継続的・安定的に人材を採用するのが難しい
- 不採用とする際に、候補者と社員の人間関係に配慮したフォローが必要
なお、リファラル採用については、こちらの記事で詳しく解説しています。成功のポイントや注意点も解説していますので、ぜひ参考にしてください。
▼リファラル採用とは? メリットやデメリット、成功のポイントを解説
ソーシャルリクルーティング
ソーシャルリクルーティングとは、SNSを使って採用ターゲットにアプローチする手法です。ほとんどのSNSが無料で使えるため、採用コストを抑えられるメリットがあります。
▼ソーシャルリクルーティングのメリット
- 採用コストを抑えられる
- 企業や仕事の魅力を自由に発信できる
- 自社を知らない層や転職潜在層にも情報を届けられる
- ユーザーの投稿を通して、人柄やポテンシャルを把握できる
▼ソーシャルリクルーティングのデメリット
- 炎上のリスクに注意が必要
- 求人サイトなどに比べて効果がすぐに出にくい
- ユーザーの警戒心を解くためのコミュニケーション能力が必要
なお、ソーシャルリクルーティングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。運用のポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
▼ソーシャルリクルーティングのメリットは? 注意点や運用のポイントを解説
アグリゲーションサイト
アグリゲーションサイトとは、Web上に公開されている情報を特定のテーマごとに収集して整理し、ユーザーの需要に応じて提供するサイトのこと。
Web上に散在した情報を1つのプラットフォームでまとめて検索・閲覧できるため、効率よく情報収集できるのが特徴です。
求人情報の代表的なアグリゲーションサイトには、indeed(インディード)が挙げられます。近年、アグリゲーションサイトで仕事探しを効率良く進める求職者が増えています。
▼アグリゲーションサイトのメリット
- 基本的に無料で情報掲載できる
- 多くの求職者に利用されているため求人を閲覧してもらいやすい
- 有料の場合でも費用を抑えやすく、複数の職種での同時採用に使いやすい
▼アグリゲーションサイトのデメリット
- 利用している企業が多いため求人情報が埋もれやすい
- サイト内の表示順位を上位に保つためには、頻繁な情報更新が必要
- クリック課金型の場合、応募がなくてもクリックされると費用がかかる
求人サイト
求人サイトは定番の採用手法ではありますが、現在も主流な手法として、多くの企業から活用されています。株式会社キャリアデザインセンターが行なったアンケート調査によると、中途採用に使われた手法は「求人サイト(掲載型)」の割合がもっとも高く、70%を超える結果となりました。
出典:株式会社キャリアデザインセンター【2023年11月】中途採用活動状況アンケート調査結果
求人サイトは、定番かつ主流な採用手法といえます。新しい採用手法と組み合わせて活用すれば、効率良く人材を採用できる可能性が高いでしょう。
▼求人サイトのメリット
- サイト側で魅力的な求人原稿を作成してくれる
- 求人の閲覧率や応募率などのデータを分析し、自社の採用活動に活かせる
- 求職者に利用ユーザーが多く、求人掲載から採用までスピーディーにできる可能性が高い
- 「具体的な転職活動はしていないが、良い条件の求人があったら応募したい」という転職潜在層にもアプローチできる
▼求人サイトのデメリット
- 求人の掲載数や掲載期間に定めがある
- 掲載期間中に採用できなくても費用がかかる
- 料金プランによっては、サイト内での求人表示順位が低くなる可能性がある
トレンドを意識した採用手法の選び方
続いて、トレンドを意識した採用手法の選び方のポイントを5つ解説します。以下の5つを念頭に置いておくと、自社に適した手法を選べるでしょう。
採用の目的と計画を定める
採用手法を決定する前に、自社の採用目的と、採用計画を定めましょう。「どのような人材を・何人・いつまでに採用したいのか」を明確にすると、適切な手法を選びやすくなります。
たとえば「営業経験のある人材を採用したい」場合、以下のような手法が考えられるでしょう。
- 営業経験を有した人材の採用に強い求人サイトを選定して利用する
- ダイレクトリクルーティングを利用し、人材の経歴を見てスカウトをかける
目的と計画を定めると、適した採用手法が自然と見えてきます。
採用課題を洗い出す
採用の目的と計画を明確化すると同時に、採用課題を洗い出すことも大切です。自社の採用課題を洗い出し、解決につながる手法を選びましょう。
採用コストがかかりすぎている場合は、コストを抑えられる手法に。求める人物像に合致する人材へのアプローチが不足している場合は、マッチ度の高い求職者へアプローチしやすい手法にするなど、課題解決につながる手法を選定します。
定番の採用手法と組み合わせて活用する
前述したように、どの採用手法にもメリットとデメリットがあります。トレンドの手法だからといって、必ず自社に適しているとは限らないのです。
トレンドの採用手法は、定番の採用手法と組み合わせて活用しましょう。複数の採用手法を組み合わせることにより、効率よく人材を確保できる可能性が高くなります。
競合他社の採用事例を参考にする
手法選びに迷ってしまったときは、競合他社の採用事例を調べて参考にするのがオススメです。なるべく同業種で、組織規模が同程度の企業を参考にするとよいでしょう。
競合他社が「どのような人材を・何人程度・どのような方法で」採用に成功したか調べて参考にすると、自社の採用戦略に活かせる点が見えてきます。
「トレンドの採用手法を導入した際、どの程度の成果が出そうか」をイメージすることも可能となるでしょう。競合調査をすることで、不適切な採用手法を選んでしまう確率が低くなるといえます。
まとめ
トレンドの採用手法5選と採用手法の選び方を解説しました。近年はIT技術の普及や、働き方の多様化などにより、トレンドの手法が変化しています。
しかしトレンドの手法だからといって、必ずしも自社に適しているわけではありません。採用の目的や課題を洗い出し、自社に適した手法を選定することが大切です。
また、時代の変化とともに新たな手法がいくつも登場していますが、求人サイトなど定番の手法も多く活用されています。トレンドの手法と定番の手法を組み合わせて活用すれば、人材を安定的に確保しやすくなるでしょう。
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