離職の原因とは?離職理由と6つの解決策を紹介
人事・採用部門でよくある悩みの一つに、「採用した従業員がすぐに離職してしまう」ことが挙げられます。厚生労働省によると、就職して3年以内の離職率は大学卒で31.2%となり、約3人に1人が早期離職していることが報告されています。
▼新規大卒就職者の就職後3年以内の離職率
画像引用元:厚生労働省『新規学卒就職者の離職状況を公表します』
早期離職による人材の流出は、採用・育成にかかったコストの損失につながるほか、企業イメージの低下や既存従業員の離職連鎖など、企業にとって大きなダメージとなる可能性があります。
人材の定着化を図るためには、従業員がどのような理由で離職するのか原因を知り、解決策を講じることが重要です。
この記事では、従業員が離職する原因と具体的な解決策について解説します。
出典:厚生労働省『新規学卒就職者の離職状況を公表します』
目次[非表示]
- 1.離職を招く原因
- 1.1.仕事の内容が自分に合わない
- 1.2.社内の人間関係がよくない
- 1.3.労働時間・休日・休暇の条件がよくない
- 1.4.賃金がよくない
- 1.5.ノルマや責任が重すぎる
- 2.入社3年以内の早期離職問題
- 2.1.入社3年以内の早期離職率
- 2.2.早期離職によるデメリット
- 3.離職を防いで定着化を図る6つの解決策
- 3.1.①能力・適性に合ったポジションに配置する
- 3.2.②社内の風通しをよくする
- 3.3.③働き方や福利厚生を充実させる
- 3.4.④公正かつ納得感のある人事評価基準を設ける
- 3.5.⑤採用段階で仕事・社風理解を促進する
- 3.6.⑥離職リスクをツールで可視化する
- 4.まとめ
離職を招く原因
内閣府の『平成30年版 子供・若者白書 特集 就労等に関する若者の意識 』によると、離職理由として多い上位5つに以下が挙げられています。
▼主な離職理由
理由 |
割合 |
|
1 |
仕事が自分に合わなかったため |
43.4% |
2 |
人間関係がよくなかったため |
23.7% |
3 |
労働時間、休日、休暇の条件がよくなかったため |
23.4% |
4 |
賃金がよくなかったため |
20.7% |
5 |
ノルマや責任が重すぎたため |
19.1% |
内閣府『平成30年版 子供・若者白書 特集 就労等に関する若者の意識 』 を基に作成
それぞれの理由について、詳しく解説します。
出典:内閣府『平成30年版 子供・若者白書 特集 就労等に関する若者の意識 』
仕事の内容が自分に合わない
仕事内容が合わないと感じられると、従業員の不満が溜まったり、やりがいを感じられなくなったりして離職につながりやすくなります。仕事内容が合わないと感じられるケースには、以下が挙げられます。
▼仕事内容が合わないと感じられるケース
- 求人情報とは違う内容の業務をさせられる
- 入社前に思っていた業務内容と違う
- 求人広告で仕事内容を充分にイメージさせられていない など
なお、仕事内容以外にも採用でミスマッチが起きるケースはあります。以下の記事で採用のミスマッチ理由をご紹介しておりますので、あわせてご覧ください。
▼採用ミスマッチの理由とは? 早期離職を防ぐための4つの対策
社内の人間関係がよくない
上司や同僚との人間関係が良好でなかったり、職場の雰囲気がよくなかったりすると、従業員が不安・ストレスを感じてしまい、離職につながるケースがあります。
▼社内の人間関係に問題があるケース
- 仕事のやり方が上司と合わない
- パワハラやセクハラを受けている
- コミュニケーションが少なく不安や悩みを相談できない など
労働時間・休日・休暇の条件がよくない
労働環境がよくない場合には、従業員の働くモチベーションが低下したり、プライベートとの両立が難しかったりして、離職を決断するケースも少なくありません。
▼労働環境に問題があるケース
- 残業や休日出勤が多い
- 有給休暇を取得しにくい
- 出産や育児、介護などで活用できる法定外福利厚生がない など
賃金がよくない
給与や賞与などの待遇面で不満を感じたり、ほかの従業員との不公平な差が生じたりすると、モチベーションの低下につながり離職に至ることがあります。
▼賃金に問題があるケース
- 同じ業種・職種の仕事よりも給料水準が低い
- 給与・ボーナス査定の公平な基準がない など
ノルマや責任が重すぎる
厳しいノルマや責任の重いプロジェクトを任せると、仕事に対してプレッシャー・不安を感じてしまい、ストレスによって離職につながる可能性があります。
▼ノルマや責任が重くなりやすいケース
- 入社したばかりの従業員に先輩従業員と同じ業務レベルを求める
- 業務量が多い
- 従業員の適性に合わない役割を任せる
入社3年以内の早期離職問題
新卒や20~30代などの若手社員の早期離職も防止したい問題です。
入社3年以内の早期離職率と早期離職が起こった場合のデメリットについてご紹介します。
入社3年以内の早期離職率
離職率は社員の「特性」によっても異なりますので、ここでは、学歴に絞って比較検討します。
※参照:厚生労働省「新規学卒者の離職状況」
上記の図は、直近令和2年のデータで、入社3年目までの社員の離職率を「中学卒」「高校卒」「大学卒」に分けて、分析しています。
■中学校 卒業者:52.9%
■高校 卒業者:37.0%
■大学 卒業者:32.3%
学年によって偏りはありますが、「入社3年で3割」が離職している状況です。
早期離職によるデメリット
早期離職が発生すると大きなコスト損失につながります。
例えば、あくまで一般的な数値になりますが、入社後3か月で社員1名が離職した場合、最大187.5万円のコスト損失につながると言われています。
また、以下のようなコスト以外の損失にもつながりかねません。
① 引継ぎの発生
離職によって抜けた人材の業務を肩代わりしたり、引継ぎを行ったり、実質的な負担が周囲の社員に掛かってしまうことがあります。この負担が大きいと、既存社員の業務にも支障が出て思うように業務を進められない状態に陥る可能性もあります。
② 既存社員のやる気低下
既存社員が新入社員につきっきりで教育したのに、「すぐに辞められてしまって時間の無駄だった…」といった感情になってしまうこともあります。こういったことが原因で、既存社員のモチベーションが低下してしまう可能性も考えられます。
③ 顧客からの信頼低下・顧客情報の損失
頻繁な担当者の変更が起こると、顧客からの信頼を失ってしまうことにつながりかねません。そうなると、取引の停止、顧客情報の損失などにもつながっていく可能性があります。
④ 退職の連鎖
退職者が次々に出ると、「そんなにすぐ人が辞めるということは、やはりウチは良くない会社なのだろうか」という疑念が生まれる可能性があります。こうした小さな積み重ねが、連鎖的な退職を引き起こす可能性も低くありません。
離職を防いで定着化を図る6つの解決策
従業員の早期離職を防いで人材の定着化を図るには、仕事内容や職場環境、待遇などの問題点を改善することが重要です。
具体的な解決策には、以下の6つが挙げられます。
①能力・適性に合ったポジションに配置する
「仕事内容が合わない」という不満を防ぐために、従業員の能力や適性に合ったポジションに人材を配置する必要があります。
人材配置を検討する際は、目に見えるスキル・職歴だけでなく、従業員一人ひとりの性格や長所・短所を見極めることが重要です。
また、選考段階で業務への適性を判断するとともに、仕事内容をイメージしてもらうための情報を提供することで、相互理解が深まり、入社後のミスマッチを防止できます。
②社内の風通しをよくする
同僚や上司などとの良好な人間関係を築くには、社内の風通しをよくするための対策が必要です。コミュニケーションを活発にするための機会を設けたり、不満や悩みを気軽に相談できる社内体制を整えたりして、従業員が安心して働ける環境をつくることがポイントです。
▼社内の風通しを良くするための対策
- 上司による定期的な面談を実施する
- 上司・同僚・部下などと交流する社内イベントを実施する
- 仕事への姿勢や成果に対して褒める言葉をかける
- メンター制度を導入する
③働き方や福利厚生を充実させる
従業員にとって働きやすい職場環境を整えて早期離職を防ぐために、働き方や福利厚生を見直すことも重要です。
従業員間での業務負荷の偏りをなくしたり、仕事とプライベートを両立しやすい制度を新たに導入したりする方法が挙げられます。
▼働きやすい職場環境を整備する方法
- 繫閑状況に合わせて従業員の業務量・スケジュールを調整する
- テレワークや時短勤務、フレックスタイム制などの多様な働き方を整備する
- プライベートとの両立や育児・介護をサポートする福利厚生を導入する(特別休暇、育児や介護の手当・休暇、託児所の設置など)
④公正かつ納得感のある人事評価基準を設ける
待遇に対する不満を防ぐために、給与・賞与の査定につながる人事評価の基準を公平かつ納得感のある内容にする必要があります。
仕事の成績(成果)・仕事の負荷・従業員の能力・保有スキルなどに応じて公正な人事評価基準を定めることで、不公平感の払拭やモチベーションの向上につながります。
⑤採用段階で仕事・社風理解を促進する
入社後のミスマッチを防ぐための対策の一つに、採用段階で仕事や社風について理解してもらうことが挙げられます。
離職理由の上位に「仕事の内容が自分に合わない」という項目が含まれているように、入社後のギャップを感じる求職者も少なくありません。
求人広告や面接の段階で、仕事のよい面だけでなく厳しい面もきちんと伝えて、自社の業務内容、社風などについて正しいイメージを持ってもらうことが重要です。
⑥離職リスクをツールで可視化する
ツールを活用して、従業員の離職リスクを把握することも有効な方法の一つです。
従業員の離職リスクを把握する際、紙面でアンケート調査を実施する方法もありますが、ツールを活用すれば集計・分析がしやすくなります。そのため、離職のリスクがある従業員への対策をスピーディに講じられます。
エン転職が提供している離職リスク可視化ツール『HR OnBoard』では、離職リスクの早期発見からフォロー実施まで一貫したサポートが可能です。
入社後1年間にわたって毎月3問ずつの質問を従業員に送信して、仕事や人間関係などの状況をヒアリングします。質問への回答はスタンプでできるため、従業員の負担も少なくなります。詳しくは、こちらをご確認ください。
なお、離職防止の取り組みは以下の記事でもご紹介しております。あわせてぜひご一読ください。
▼離職防止のための取り組みとは? 重要性と原因別の対策法
まとめ
この記事では、従業員の離職について以下の内容を解説しました。
- 離職を招く原因
- 離職を防いで定着化を図るための解決策
離職の理由にはさまざまな回答が見られますが、共通しているのは「入社前と入社後のギャップがある」ことです。離職を防いで定着率を高めるには、仕事内容や職場の雰囲気、仕事をするうえでの厳しさなどを分かりやすく伝えて、相互理解を深めることが欠かせません。
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なお、こちらの記事では、従業員の離職防止マニュアルをご覧いただけます。