人事研修の目的と内容|習得すべき能力や無料でスキルアップする方法も解説
企業の4大経営資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」。その中でも「ヒト」が何よりも重要だと言われています。この「ヒト」を採用する人事・採用担当は、企業の成長のために非常に重要なポジションと言えるでしょう。
しかし、重要なポジションであるにもかかわらず、人事担当者としての「基本的な知識」や「心構え」「テクニック」などを学ぶ機会が少ないと感じている方は多いのではないでしょうか。
多くの企業の人事研修は、実務を通して仕事を教える「OJT」。教える先輩人事も独学で学んできたケースが多く、体系的な人事研修を受けたことがある人事担当者は極少数です。「急な欠員募集で採用を兼務することになっただけで人事でもない」という方もいらっしゃるかもしれません。
そこで本記事では、人事・採用担当者として何を学んだら(学ばせたら) 良いのか、何を身に付けたら(身に付けさせたら)良いのか分からないとお悩みの方に向けて、人事研修の目的・人事として身につけたい知識・能力、無料でスキルアップする方法を解説していきます。
目次[非表示]
- 1.人事部の業務と役割
- 2.人事研修の目的と内容
- 2.1.人事研修の目的とは?
- 2.2.人事研修の主な内容
- 2.3.人事研修がなぜ重要なのか?
- 3.人事研修の設計段階
- 4.効果的な人事研修を作成する2つのポイント
- 5.人事研修で身につけたい知識とスキル
- 5.1.募集時期による採用市況の違い
- 5.2.応募が集まる求人広告の書き方
- 5.3.面接官の心得と質問方法
- 5.4.面接辞退・内定辞退の防止方法
- 5.5.退職防止方法
- 6. 参考になる他社人事の成功事例
- 7.無料で人事がスキルアップする方法
人事部の業務と役割
はじめに人事部の主な業務と役割を紹介します。下記の業務内容に沿った知識やスキルが身につく研修を実施しましょう。
採用戦略の策定
採用戦略とは、経営方針や事業目標を達成するために必要な人材を、どのように採用するか定めた戦略のことです。人事担当者は、マネジメント層や現場社員の意見を取り入れながら、採用戦略を策定して実行します。
採用戦略については、以下の記事で詳しく解説しています。具体的な策定方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
▼採用戦略とは何か?│戦略の立て方とメリットを徹底解説!
採用業務の遂行
人事担当者は策定した戦略に基づき、採用業務を実行します。
- 求人サービスの選定
- 求人の作成・掲載
- 企業説明会の実行
- 書類選考や面接の実施
- 内定者の入社手続き
上記のように、採用業務は多岐にわたります。人材を選考するスキルだけでなく、プレゼンテーション能力など幅広いスキルが求められます。
人材教育・人事評価
採用した人材の教育・育成や評価も人事担当者の役割です。自社での仕事を通して、従業員一人ひとりがキャリアアップしていけるよう、適切な教育プログラムを企画・管理して実行します。また、公平・公正な人事評価システムを構築し、人材の適性に配慮しながら人員配置も行ないます。
人事研修の目的と内容
前述したように、人事の役割には「採用・配置・育成・評価・定着」があります。多様な業務をこなすにあたり、人事担当者のスキルアップは欠かせません。ここからは人事研修の主な目的と内容を紹介します。
人事研修の目的とは?
人事研修の主な目的は、人事担当者のスキルアップです。人事研修を行なうことで、担当業務の精度を高め、採用成功・人材育成につながるスキルや知識が身につきます。
人事担当者の数ある業務のなかでも、とりわけ採用業務に関する知識・スキルを向上させることは重要です。採用した人材がしっかりと自社に定着し、活躍できなければ「採用に成功した」とは言えません。
企業が経済成長するためには、必要な人材をしっかりと揃えて育成することが不可欠なので、人事研修を実施して自社の採用成功率を向上させる必要があります。
人事研修の主な内容
人事研修は種類によって、学ぶ内容が異なります。たとえば採用業務の研修では、人材採用に必要な基礎知識・採用選考の流れ・人材を見極めるノウハウなどを学びます。人事担当者が従事する業務には、法律の知識も必要であるため、労働基準法をはじめとする労働関連の法律を学ぶケースもあります。
また、人事担当者は採用選考や人事評価などを行なうため、他者とのコミュニケーションが多発する役割です。コミュニケーションやプレゼンテーションの方法が、研修内容に組み込まれていることもあります。
人事研修がなぜ重要なのか?
人事研修が重要な理由は、「採用難易度が高まっているため」です。採用難易度を測る指標の1つに厚生労働省が毎月発表している「有効求人倍率」があります。
有効求人倍率は、「1人の求職者につき何件の求人があるのか」を示したものです。倍率が1倍以上なら、求職者の数より、人材を求めている企業数のほうが多い状態。つまり、1人の求職者を複数社でとりあう採用が難しい状態と言えます。
以下が、2023年記事執筆時点の有効求人倍率です。
新型コロナウイルスの影響以降、有効求人倍率は低下しましたが、それでも1倍以上。徐々に増えています。背景にあるのは、「少子高齢化」とそれに伴う「労働人口の減少」です。
少子高齢化が進む日本では、若い労働人口は減少傾向にあります。つまり、人材の希少化が進んでいるということです。しかも、少子高齢化には改善傾向が見えません。これは、今後ますます採用が難しくなるということを意味します。
採用が難しくなるからこそ、これまでと同じ採用活動では人材を獲得しづらくなっていくことが予想されます。そのため、人事研修を通じて、最新の採用市況や採用対策などをインプットしていく必要性が増しているのです。
人事研修の設計段階
効果的な人事研修プログラムを構築するためのプロセスの一例として、以下のようなステップがあります。
効果的な人事研修の設計プロセス | |
研修ニーズの分析 |
人事が今何で困っているのかを把握します。例えば、応募が集まらないのか。応募の質に問題があるのか。面接や内定の辞退が多いのかなど、課題を特定。 |
研修内容の決定 |
発見した課題に対応した研修プログラムを策定します。 |
目標の設定 |
研修内容に効果があったかを把握するために、改善目標を定めましょう。 |
参加者の選定 |
人事研修プログラムの参加者を検討します。例えば面接を人事だけでなく、現場社員も担当するのであれば研修対象者になる可能性があります。 |
振り返り |
目標の達成率をもとに、研修内容や研修参加者を見直します。 |
効果的な人事研修を作成する2つのポイント
効果的な人事研修カリキュラムを作成するためには以下2点に留意します。
スキルベースの研修とコンテンツベースの研修を用意する
スキルベースの研修とコンテンツベースの研修の違い | ||
スキルベースの人事研修 |
実践的なスキルを学ぶ |
(例)面接ロープレ |
コンテンツベースの人事研修 |
理論や知識を学ぶ |
(例)面接官の心得の座学研修 |
実践的なスキルを重視する「スキルベースの人事研修」と、理論や知識を学ぶ「コンテンツベースの人事研修」を組み合わせることが大切です。
持続的な人事研修にするためのフォロー方法を検討する
選任の人事ではなく、他の業務と兼任している方が採用を担当するケースも多いと思います。例えば、普段は営業で、欠員が発生したときは営業もしながら採用活動を行なうなどです。
こうしたケースでは本業を続けながら、人事研修を受けられる方法を検討する必要があります。例えば、採用活動中は本業の量や目標を減らす判断をするのも有効です。
また、人事研修を動画化することで、いつでも好きな時に受けられるようにする方法もあります。スキマ時間でも人事研修を受けられるようになり、採用担当者の質が向上します。同様に「eラーニング(e-Learning / イーラーニング) 」を活用する手段もあります。パソコン、タブレット、スマートフォンからいつでも好きな時間で人事研修を受けることが可能です。
人事研修で身につけたい知識とスキル
人事研修で身につけたい知識は多岐にわたります。なかでもとりわけ重要な、採用業務に関する知識を以下にまとめました。
募集時期による採用市況の違い
「採用の事前準備」に役立つのが市況情報。実は、中途採用市況において人材の動きは毎年一定の傾向があります。傾向をまとめると大きく2種類。中途採用が活発な時期と、落ち着く時期です。
・中途採用市場が活発な時期(1月~4月、6月~7月、9月~11月)
・中途採用市場が落ち着く時期(5月、8月、12月)
活発な時期は「求職者は増えるが、採用を行なう企業(=ライバル)も増える時期」。落ち着く時期は「求職者は多少減るが、採用を行なう企業(=ライバル)も減る時期」。募集する職種・ポジション・採用要件・企業の採用力などによって、どちらで採用活動を行なうのが良いかは変わります。詳しくは、以下の記事をご参照ください。
▼中途採用に最適な時期とは?|効果が出やすいタイミングを徹底解説!
応募が集まる求人広告の書き方
続いて「求人掲載」のステップでは、「求人広告の書き方」を身につけることをオススメします。採用担当者として「応募が集まる求人の書き方」は、身に付けておいて損はないスキルです。ハローワークなどを利用する場合は、採用担当者自身で求人票を作る必要があります。
一方で、転職サイトなどの求人サービスを利用する場合は、サービス提供社に求人作成を任せられます。ただこの場合も、チェッカーとなる人事・採用担当者が求人の良し悪しを分かっていると、質の高い求人を作成してもらいやすくなるはずです。応募が集まる求人広告の書き方の詳細は、以下の記事をご参照ください。
▼求人広告の書き方│求職者にアンケート調査して分かった効果を出す方法
面接官の心得と質問方法
エン・ジャパンが求職者向けに行なったアンケート調査で、「求職者の67.4%が、面接を受けてこの会社に入社したいと思ったことがある」と回答しました。反対に「求職者の79.9%が、面接を受けてこの会社に入社したくないと思ったことがある」と回答しました。
面接官の立ち居振る舞いは、応募意欲を大きく左右します。だからこそ、面接を担当する人事・採用担当者向けに「面接官の心得」をレクチャーすることは非常に重要です。
ポイントは、面接で「見極め」と「魅力づけ」を意識すること。採用難が続く中で採用成功率を高めるためには、面接で見極めをするだけでなく、「この会社に入社したい」と思ってもらうための魅力づけをすることが重要になります。
また、人材を的確に見極めるための質問方法を学ぶことも重要です。欲しい人材のイメージがあっても、面接でどう見極めるかが決まっていないと、採用が上手くいきません。
入社後のミスマッチを防止するためにも、応募者をしっかり見極められるよう、面接での質問方法を工夫する必要があります。面接の質問方法については、以下の記事でも学んでいただけますので、ぜひ参考にしてください。
▼【面接官必見】採用面接の質問100選!見極めたい能力別の質問を紹介
面接辞退・内定辞退の防止方法
求人に応募が来たからといって安心はできません。採用競争率が高い今、求職者はまず間違いなく複数社に並行して応募しています。そして、1人の求職者が複数社から内定をもらいやすくなっています。
裏を返すと、面接辞退・内定辞退が起きやすくなっているということです。こうした事態を防ぐためには、他社より早く面接日程を組んだり、内定を出したり、自社に入社する魅力を伝えたりといった工夫が必要になります。面接辞退や内定辞退を防止するテクニックは優先して身につけたいスキルの一つです。より詳細な内定辞退の防止法は、以下の記事でご紹介しております。
▼内定辞退の原因は?すぐできる対策、辞退がゼロになった方法を公開!▼
退職防止方法
採用が難しくなっている今、せっかく採用できた人材が早期に離職してしまったら悲しいですよね…。こうした早期離職も人事の取り組み次第では、軽減できます。
例えば、「入社から数ヵ月は定期面談を行なう」「入社者の相談窓口を設ける」「採用段階で自社にマッチする可能性が高人を採用する」など。退職を防止するコツは以下の記事でもご紹介しておりますので、ぜひご参考ください。
▼離職率の平均は?離職を防ぐ20の対策を公開▼
参考になる他社人事の成功事例
人事にとって一番勉強になるのは、他社の人事の声です。採用で苦戦していた企業がどのように採用成功したのか。その過程には多くの学びがあります。
以下は「採用事例」と「人事・採用担当者の声」をまとめたサイトです。実際に掲載された「求人広告の画像」とともに、「応募数」「面接数」「内定数」「入社数」まで詳細に公開しているので、参考になると思います。
採用事例は「職種」や「採用のよくあるお悩み別」で検索することも可能です。特にオススメなのが「採用のよくあるお悩みを解決した事例」です。応募数で困っていた、応募者の質で困っていた、入社後の定着率で困っていた、採用に工数をかけられず困っていた、地方採用で困ってい…といったお悩みを解消した事例をご紹介しています。職種問わず行かせるノウハウが満載となりますので、ぜひご参考ください。
▼採用成功事例│エン転職を利用した採用担当者の声▼
無料で人事がスキルアップする方法
人事研修をゼロから自社で用意するのは大変です。一方で人事向けのeラーニングなどは費用が掛かります。そこでオススメなのが「人事向けのお役立ち資料」です。
人事向けのお役立ち資料とは、人事・採用担当・経営者が学びたいノウハウを凝縮してまとめた資料です。本サイトでも、採用・面接・退職防止・入社後の活躍度向上などのノウハウをまとめた資料を「70本以上」公開しています。
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