急な欠員が起こったら?企業側の対応手順と募集時の注意点
「急な欠員に困ったことがある」という企業は多いのではないでしょうか。人事部門の方であれば直ぐに穴埋めに向けて行動できるかもしれませんが、多くの企業では欠員が発生した部署の責任者・担当者が対処します。対処する方の採用の経験が少ないと、「何から手を付ければいいかわからない」という状況に陥りがちです。
かといって、「思いついた順で取り急ぎ対処する」のはおすすめできません。手順を誤ると「退職リスクが高い方」を採用してしまう可能性が高まるからです。
裏を返すとセオリーを守れば、欠員を解消しつつ、新たに採用した方の定着率を高めることができます。そこで今回は、急な欠員を繰り返さないための「欠員発生時の対応手順」や「欠員募集の効果的な進め方・ポイント」を解説します。
目次[非表示]
- 1.急な欠員が発生したときの対応手順
- 1.1.退職者の業務の棚卸し
- 1.2.配置転換による人員確保
- 1.3.新たな採用による人員確保
- 2.欠員募集時の注意点
- 2.1.採用要件の検討
- 2.2.採用スケジュールの確認
- 2.3.採用予算の確保
- 3.欠員募集を行なう手順
- 3.1.採用手法の検討
- 3.2.ターゲット像の検討
- 3.3.定着人材へのアプローチ
- 3.4.今後の欠員防止
- 4.定着につながった採用成功事例
- 5.まとめ
急な欠員が発生したときの対応手順
企業で急な退職があった場合など突発的な欠員に対して、とにかく“できること”から対応していくケースも多いのではないでしょうか。しかし実は、欠員のカバーにもきちんとした対応手順があるのです。
退職者の業務の棚卸し
まず最初に行なうのは、退職者の業務を改めて知ることです。退職者はその部署でどのような役割・ミッションを担っており、日々どのような業務をどのような割合で行なっていたのでしょうか。こうした業務の棚卸しを先んじて行なう理由は、この後の人員確保の手法を検討する際に重要だからです。
業務内容を詳しく把握するためには、現場へのヒアリングを行なうことが大切です。なお、現場としては欠員が出ていることで忙しくなっている可能性が高いため、「今後、現場の負担を減らすためのヒアリング」など、時間を取ってもらう理由をきちんと説明しましょう。
ヒアリング内容は、例えば営業職であれば、どの規模感の顧客を何社担当していたか、訪問頻度はどれくらいであったか、事務作業はどの書類を扱っており、どれくらい時間を割いていたかなど。具体的な業務内容を把握しましょう。
責任者が現場業務をどの程度把握できているかは職場によって異なります。そのため、できれば退職者の上司や同等クラスのメンバーに話を聞くことで、よりリアルな状況を理解できるでしょう。また、社員からの心象としても「うちの人事はきちんと現場を理解しようとしている」となり、今後の退職防止にもつながります。
配置転換による人員確保
退職者の業務を整理した上で、配置転換、いわゆる“玉突き人事”で、一時的に浮いた業務の穴埋めをするケースが少なくありません。配置転換による解消法には、役職を埋めるために昇進する“縦”のパターン、職種転換やミッション転換を行なわせる“横”のパターンがあります。
配置転換は欠員を比較的すぐに埋めることができるものですが、リスクも大きいです。状況や社員によっては「急に異動を言われても納得できない」「新しい仕事が自分に合わない」「急に役職が上がり心理的負担が大きい」といった思いや悩みを抱える可能性も大いにあります。そのため、安易に配置転換を行なうべきではない、というのが一般的な考えです。
もし配置転換による人員確保が必要な場合、企業の人事・採用担当が対象の社員と話し合い、今回の背景をしっかり理解してもらうこと。社員にとってのメリットを説明すること。転換後も話を聞いてフォローに入ること。配置転換を成功させるためにはこうした様々な配慮が必要でしょう。
新たな採用による人員確保
前述の通り、配置転換はあくまで一時的な問題の解消にしかならないケースが多いです。退職者の業務分を別の人が補っているので、負荷がかかり、中・長期的には連鎖退職につながる懸念があります。
そのため、急な欠員時には配置転換などで一時的に人員不足を補いつつ、新たな採用を行なうのが一般的です。スピーディーな人員確保の手法として、中途採用で欠員募集を行なうことも多いです。その際、上記の通りまず業務内容の棚卸しを行ない、現在の人員配置や業務分担を見直すことで、コスト・利益や、現場の負担軽減の観点から、“本当に採用すべき人材”を考えることができます。
例えば、営業職の退職があった場合。業務の大半を占めていた事務作業については派遣社員やアルバイトを採用し、営業活動に専念できる状況で営業経験者を採用する、というように業務の切り分けなども考えられます。
欠員募集時の注意点
この章では、求人専門のコピーライターとして4年の経験がある筆者から、欠員募集のために中途採用を行なうときの注意点をお伝えします。そもそも中途採用に不慣れな方や、「入社後の定着や活躍につながらない」と悩んでいる方も少なくないはずです。ぜひご参考ください。
採用要件の検討
採用要件とは、今回採用する人に「入社時点で求める経験・知識・スキルなど」のこと。欠員が発生したら、退職者とまったく同じ能力の人材を採用したいと考える方が多いでしょう。
しかし、退職者と同じ能力で採用要件を設定することが、必ずしも良いとは限りません。少子高齢化・労働人口の減少が著しい日本では、ただでさえ採用が難しくなっています。完全に経験が一致する人材はなおのこと希少です。
そんな希少な人材を採用しようと思うと、採用に時間がかかり、結果現場への負担が増えます。そのため、採用要件は現場とすり合わせたうえで、妥当なラインを決めるのが良いでしょう。
■例えば…
▼退職者
・業務Aと業務Bを担当
▼業務を教えられる人の有無
・業務A・業務Bともに教えられる人はいる
▼育成キャパシティ
・業務Aを教える時間はあるが、業務Bを教えられる人が役職者しかおらず育成に時間を割けない
▼入社時点で求める採用要件
業務Bの経験・知識・スキル
(業務Aについては入社時に担当できなくてもOK/入社後に教えていく)
採用スケジュールの確認
- 最終出勤日、退職日はいつか
- 退職者による引継ぎはあるか
- 新しい方に、いつまでに入社してもらう必要があるか
まずは該当部署とやり取りして、上記を確認しましょう。その上で、募集開始~選考の期間を決めていきます。中途採用では社員募集の場合、募集から内定までに、早くても1ヶ月前後かかってしまうケースが多いです。そこから、新しく入社される方が退職し、入社手続きを進めることを考えれば、さらに時間がかかることもあります。
しかし時間がかかるほど、現場の負担は大きくなるでしょう。とはいえ、現場の理解がなければ、例えば面接の参加などに協力してもらうことが難しくなってしまいます。そのため、現場と採用スケジュールをすり合わせ、理解してもらうことが大切です。
採用予算の確保
突発的な採用となるため、予算を把握・確保しに行くことも重要です。「今使用できる採用予算は?」「稟議を通すのに必要な期間は?承認が下りやすい金額は?」など、中途採用を進めるために整理しておく要素は多いです。なお、経営陣などの承認をいち早く得るべく、日頃からコミュニケーションを取り、連携を図ることも必要になってきます。
欠員募集を行なう手順
欠員補充のために中途採用を行なう際には、いくつかのステップがあります。以下で、順を追って説明していきます。
採用手法の検討
今回の採用においてスピードを重視するのか、コスト削減を重視するのか、工数の削減を重視するのか。どれも重要なことではありますが、企業によって最重視したい項目は異なるでしょう。
■例えば…
- スピード重視…採用したい人材に直接スカウトメールを送るダイレクトソーシング
- コスト重視…あらかじめ掲載単価が決まっている求人広告
- 工数重視…求人票の作成、人材選定、日程調整を任せられる人材紹介サービス
ターゲット像の検討
採用手法を決定したら、ターゲットを決めていきましょう。上記の通り、業務内容や現場の状況と合わせながら、企業の“採用力”や転職市場の市況感を加味して、採用要件を洗い出します。
任せたい仕事-教えるキャパシティ=採用要件
採用要件を決めるポイントは「入社後に教えられない経験や知識、資格、スキル、志向性が、入社時点でどの程度備わっているべきか」を考えることにあります。さらに、「マスト要件(必ず必要な条件)」と「ベター要件(できれば持っていてほしい条件)」を分けると、より具体的なターゲット像ができあがります。
なお、採用要件の検討フェーズのほか、採用活動の各段階について詳しく解説した記事が別途ございますので、よろしければこちらもご覧ください。
▼「採用活動とは?ToDoリストと各工程の成功率を高めるポイント」の記事はコチラ
定着人材へのアプローチ
採用手法や採用要件が決まれば、採用活動をスタート。その際に、入社後に定着・活躍できる人材にアプローチすることで、急な欠員を防止しやすくなります。アプローチ方法としてはいくつかありますが、ここでは求人に記載したい項目をご紹介します。
■業務難易度を適切に示す
例えば経理職の経験者採用において、「年次決算」とだけ記載されていても、「準備を手伝う」レベルなのか、「必要書類を作成し、取りまとめる」レベルなのか、求職者には伝わりません。「年次決算をどうするのか」まで具体的に記載しましょう。
■仕事の厳しさ・向いていないタイプを伝える
例えば事務職であれば、「営業から急ぎの依頼が来たときに優先度の判断に迷うなど、タスク管理の難しさを感じるかもしれません」など、仕事の厳しさや向いていないタイプを記載。入社後にギャップを感じそうな部分、つまずきやすい部分をあらかじめ伝えましょう。「思っていた仕事と違った」「自分にはこの仕事が向いていない」といった理由での退職を防ぐことができます。
今後の欠員防止
ここまで欠員補充への対応や採用のポイントをお伝えしてきましたが、根本的な解決のためには、今後の欠員を防ぐことが大切です。退職者の退職理由、現場の状況報告など、ヒアリング事項をもとに、「なぜ欠員が起こったか」の原因分析と対策立案・実行を行ないましょう。よくある退職原因、退職防止の取り組みをまとめた別記事もぜひご覧ください。
▼「社員の離職防止マニュアル|離職の原因と効果的な防止策を解説!」の記事はコチラ
定着につながった採用成功事例
急な欠員に悩む企業にとって、社員の定着は大きな課題でしょう。今回取り上げる株式会社ウィルは、求人サイト『エン転職』で総合職を募集し、定着率アップに成功しています。
同社は入社後の定着率に課題を感じていたため、毎月のWebアンケートツール『HR OnBoard』を導入。このシステムは社員の退職リスクをデータ計測するだけではなく、エン・ジャパンとの定期ミーティングでアンケートの数値化・改善アドバイスがあります。
そのアドバイスを踏まえて、同社は面接の担当者や方法を変更。応募された方に見せる資料も改良したことで、入社後のギャップによる早期退職を減らすことができました。
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まとめ
この記事をご覧になっているということは、急な欠員が出てしまい、お困りなのではないでしょうか。突発的な退職は完全に避けられるものではありませんが、今後の取り組み次第で、ある程度事前に防ぐことができます。
なお、求人での欠員補充を行なう際には『エン転職』がおすすめです。というのも、エン・ジャパンが「入社1年以内の離職率」に関する調査を行なったところ、「エン転職」経由の入社者は「他サイト」より離職率が半分以下であることが判明しました。
求人専門のディレクター・コピーライターから「欠員防止のために貴社ができること」「貴社で長く活躍できる人材」なども提案できますので、ぜひお気軽にご相談ください。
ほかにも『エン転職』には採用を成功に導く様々な特徴があります。『エン転職』の料金表・パンフレットダウンロード、サービスの詳細確認はこちらから行なえますのであわせてご覧ください。
▼エン転職のサービスページ