役職手当の相場とは? 金額の決め方やメリット・デメリットを解説


「役職手当の相場」のイメージ画像


役職手当とは、役職に応じて支給される賃金のことです。一般的に役職手当は、役職が上がるほど金額も高くなります。
 
しかし役職手当は、金額を具体的に法律で定められているわけではないため、「役職手当の相場はどのくらいなんだろう?」と疑問に感じる方も多いでしょう。
 
本記事では役職手当の相場や金額の決め方、注意点などを解説します。役職手当のメリット・デメリットもご説明しますので、「役職手当を導入すべき?」「金額はどうしよう?」とお困りの方は、ぜひ本記事をお役立てください。


目次[非表示]

  1. 1.役職手当とは?
  2. 2.役職手当の相場
    1. 2.1.部長クラスの役職手当相場:8万~10万円
    2. 2.2.課長クラスの役職手当相場:5万~8万円
    3. 2.3.係長クラスの役職手当相場:2万~3万円
    4. 2.4.主任クラスの役職手当相場:5千~1万円
  3. 3.役職手当を決定する方法
    1. 3.1.①  業界・業種ごとの相場を調査する
    2. 3.2.②  役職手当の基準値を決める
    3. 3.3.③  ほかの役職とのバランスをとる
  4. 4.役職手当を決めるときの注意点
    1. 4.1.最低賃金を下回らないよう注意する
    2. 4.2.役職手当は頻繁に変更できない
    3. 4.3.就業規則に必ず明記する
  5. 5.役職手当のメリット
  6. 6.役職手当のデメリット
  7. 7.まとめ


役職手当とは?

役職手当とは、役職に応じて支給される賃金のことです。一般的に役職が上位になるほど、金額も高くなります。役職手当は課長や部長などの役職に就任し、責任範囲が増えたり、業務の難易度が上がったりすることへの対価といえるでしょう。
 
ただし「役職手当を導入するかどうか」「役職手当の金額」などの条件が、法律で定められているわけではありません。そのため企業の方針により、役職手当を導入していないケースもあります。また同じ役職であっても、業界や地域、会社により支給額は変わります。


役職手当の相場

前述したように、役職手当は法律によって具体的な金額が定められているわけではありません。企業の裁量で自由に金額を決められるため、どの役職にどの程度の手当を支給するか、判断に迷う方も多いでしょう。
 
ここからは、役職手当の平均的な金額相場を紹介します。貴社の支給額を決める際の参考にしてください。


部長クラスの役職手当相場:8万~10万円

東京産業労働局が行なった賃金調査によると、部長クラスの役職手当の金額相場は、8万~10万円前後でした。組織の従業員規模が大きくなるほど、役職手当も高額になる傾向があります。
 
また、部長クラスの役職手当は「同一役職の支給額が異なる場合」のほうが、平均値が高くなる傾向もあるようです。

部長クラスの役職手当の平均相場




従業員の規模

同一役職の支給額が同じ場合

同一役職の支給額が異なる場合

10~49人

73,443円

90,851円

50~99人

80,714円

107,998円

100~299人

111,675円

126,224円


参照:東京労働局「中小企業の賃金・退職金事情(2023年/令和5年版)」


課長クラスの役職手当相場:5万~8万円

東京産業労働局が行なった調査によると、課長クラスの役職手当の相場は、5万~8万円前後でした。課長の役職手当も部長と同様に、従業員が多くなるほど手当も高額になる傾向があります。

課長クラスの役職手当の平均相場




従業員の規模
同一役職の支給額が同じ場合
同一役職の支給額が異なる場合
10~49人

46,620円

52,143円

50~99人

50,252円

54,670円

100~299人

86,985円

70,007円

 
参照:東京労働局「中小企業の賃金・退職金事情(2023年/令和5年版)」



係長クラスの役職手当相場:2万~3万円

係長クラスの役職手当も見ていきましょう。東京産業労働局が行なった調査によると、係長クラスの役職手当の金額相場は、2万~3万円前後でした。
 
また、先述した部長・課長クラスの役職手当の相場と異なり、係長クラスの相場は「同一役職の支給額が異なる場合」において、従業員規模と金額が連動しない結果となっています。

係長クラスの役職手当の平均相場




従業員の規模
同一役職の支給額が同じ場合
同一役職の支給額が異なる場合
10~49人

25,443円

27,828円

50~99人

25,438円

15,911円

100~299人

28,345円

23,143円

 
参照:東京労働局「中小企業の賃金・退職金事情(2023年/令和5年版)」


主任クラスの役職手当相場:5千~1万円

主任クラスの役職手当は、公的機関による調査資料がありません。しかし平均相場は5千円~1万円前後といわれています。主任はほか3つの役職に比べて責任範囲が狭いため、手当の金額も低く抑えられているケースが多いようです。


役職手当を決定する方法

続いて、役職手当の金額を具体的に決める方法について解説します。


①  業界・業種ごとの相場を調査する

役職手当は、企業の裁量で自由に支給額を決められます。「初めて導入するから参考になる値を知りたい」「役職手当の金額を改めて見直したい」などの場合は、自社と同じ業界・業種の金額相場を調べてみるとよいでしょう。
 
東京産業労働局の調査によると、役職手当の産業別の平均額は以下のようになっています。


役職手当の平均支給額(役職別)

産業名

部長クラス
課長クラス
係長クラス

建設業

106,137円

85,323円

52,299円

製造業

78,350円

50,607円

17,757円

情報通信業

98,804円

73,989円

19,194円

運輸業・郵便業

38,229

36,344円

20,455円

卸売業・小売業

69,007円

44,615円

22,282円

金融業・保険業

146,881円

98,164円

15,691円

不動産業・物品賃貸業

101,030円

49,338円

23,846円

学術研究・専門技術サービス業

80,209円

33,866円

30,596円

宿泊業・飲食サービス業

50,000円

45,556円

36,333円

生活関連サービス業・娯楽業

83,888円

50,667円

26,154円

教育・学習支援業(学校教育を除く)

52,143円

32,320円

22,850円

医療・福祉

74,250円

28,500円

16,667円

サービス業(他に分類されないもの)

88,898円

69,088円

31,533円


参照:東京産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(2022年/令和4年版)」
 
また、参照した調査結果には、上記のほかに産業別かつ従業員規模別の平均支給額も掲載されています。自社の業界・従業員規模に当てはめて参考にするとよいでしょう。


②  役職手当の基準値を決める

参考になる金額をチェックしたら、役職手当の基準値を決めます。役職手当の定め方には、法的なルールがないため、自社の手当において「どの役職に・どの程度の金額を支給するのか」を決める必要があります。
 
一般的に手当を支給する役職は、以下のような基準で定められます。

  • 業務量
  • 業務の範囲
  • 責任の範囲や重さ
  • 抱えている部下の人数

 
まずは上記の基準をもとに、業界別・従業員別の平均相場も参考にしながら、大まかな支給額を仮設定しましょう。


③  ほかの役職とのバランスをとる

一般的に役職手当は、役職が上位になり責任が重くなるほど、金額も高くなります。役職手当の最上位と最下位を定め、役職ごとに適切な金額の差をつけましょう。
 
必要以上に最上位を高額にしたり、最下位を低額にしたりすると、従業員が不満を抱く可能性があります。役職手当が従業員のモチベーションアップにつながるよう、適切なバランスで金額を設定しましょう。


役職手当を決めるときの注意点

役職手当を決めるときの注意点を3つ解説します。役職手当を決めるときは、金額だけでなく以下の要素にも注意しましょう。


最低賃金を下回らないよう注意する

役職手当は基本給にプラスして支給される賃金です。基本給とは勤続年数やスキルなどによって算出される給与のベースとなる賃金のことです。
 
この基本給に役職手当・通勤手当・時間外手当などの各手当をプラスしたものが、給与の総額となります。
 
役職手当を支給する場合、給与の総額は上がりますが、あくまでも「手当」なので基本給が最低賃金を下回らないよう注意しましょう。


役職手当は頻繁に変更できない

基本的に、役職手当は頻繁に変更できないものです。特に企業側の都合で役職手当を減額にする場合、従業員の反発を招く可能性があります。役職手当を変更するときは、減額する場合・増額する場合ともに、従業員から合意を得るようにしましょう。


就業規則に必ず明記する

賃金に関する事項は、労働基準法により、就業規則に明記するよう定められています。役職手当は賃金の一部なので、就業規則に必ず記載しましょう。

  • 賃金の決め方
  • 昇給に関する事項
  • 賃金の計算方法および支払方法
  • 賃金の締め切りと支払いの時期

 
上記のような内容を就業規則に必ず記載し、手当の内容や金額を変更するときは、労働基準監督署へきちんと届け出しましょう。


役職手当のメリット

役職手当の主なメリットは「従業員のモチベーションが上がる」ことです。役職が上位になるほど支給される賃金も高くなるため、従業員にとっては「日ごろの頑張りが給与に反映されている。きちんと報われている」と感じられるでしょう。

従業員のモチベーションが上がると、離職防止にもつながります。役職手当を導入し、適切な支給金額を設定すれば、従業員の定着率向上に役立つでしょう。


役職手当のデメリット

役職手当の主なデメリットは、以下の2つです。

  • 人件費が増える
  • 役職ごとに適切な支給額を決めるのが難しい

 
役職手当を支給するポジションが少ない場合は、人件費が大きく変わることもなく、金額の設定も簡単です。しかし役職の数が多い場合は、人件費が増加するほか、支給額を決めるのも難しくなるでしょう。
 
役職手当を支給するときは、支給対象となるポジションの数をある程度絞り込み、金額を調整する必要があります。


まとめ

役職手当の相場や金額の決め方、注意点などを解説しました。役職手当は社員のモチベーション向上につながります。
 
役職手当を導入したり見直したりするときは、自社と同じ業界・従業員規模の役職手当の平均相場を調べて、支給額の参考にするとよいでしょう。
 
また、役職手当の整備は、管理職の定着率向上・採用力の強化にもつながります。少子高齢化による労働人口減少が進む日本社会では、管理職クラスの採用が年々難しくなっています。
 
管理職クラスの人材が「この企業で長く働きたい」「この企業に入社してみたい」と感じられるように、役職手当を整備しておきましょう。


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