人材育成がうまく進まないのはなぜ? 課題を踏まえた解決策とは

人材育成がうまく進まないのはなぜ? 課題を踏まえた解決策とは

少子高齢化が進む今、人材の確保と育成は企業にとって重要な課題の一つとなっています。厚生労働省によると、76%以上の事業所が人材育成に問題があると感じている一方、能力開発計画を策定している事業所は1割強にとどまっています。

▼事業内における職業能力開発計画作成の有無

事業内における職業能力開発計画作成の有無

画像引用元:厚生労働省『人材開発政策の現状と課題について

このように、人材育成に対する意識と実態は大きくかけ離れていることが分かります。企業の人事・採用担当者のなかには、「人材育成を進めたいけれど、何から始めればよいか分からない」「社内全体の意識が低く、人材育成に積極的になってくれない」などと悩みを持つ方もいるのではないでしょうか。

この記事では、人材育成を阻む課題と解決策について解説します。

なお、中小企業における人材育成の課題については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。

出典:厚生労働省『人材開発政策の現状と課題について

目次[非表示]

  1. 1.人材育成を阻む3つの課題
    1. 1.1.指導者側の知識・スキルが不足している
    2. 1.2.人材育成のための体制を構築できていない
    3. 1.3.従業員側の意欲が低い
  2. 2.人材育成の課題を踏まえた解決策
    1. 2.1.①中堅リーダー層・管理職への育成を行う
    2. 2.2.②企業理念を基に人材育成ロードマップを作成する
    3. 2.3.③PDCAを回して成長を自覚させる
  3. 3.まとめ

人材育成を阻む3つの課題

人材育成の必要性を認識していても、社内の育成体制や指導者側の問題、従業員による意欲の低さなどによって思うように教育・指導が進まないことがあります。

指導者側の知識・スキルが不足している

人材育成に関する課題の一つに、人材育成を行う指導者側の知識・スキルが不足していることが挙げられます。

指導者側に教育・指導に関するノウハウがない場合、場当たり的な育成しか行えず、従業員による習得が進まない可能性があります。

また、育成内容が基礎的な業務のスキル・知識の伝達にとどまってしまい、高度な知識・スキルを持つ専門人材の育成が難しくなるケースも考えられます。

人材育成のための体制を構築できていない

企業全体の人材育成に対する意識が低く、育成のための体制が整備されていないことも課題の一つです。

人材育成に割ける人員・時間・予算を確保することが難しい場合、必要な能力・スキルの習得が進まなくなります。人材育成の体制は、各部署や従業員個人のレベルで構築することは難しいため、経営層や人事・採用担当者含めて全社的に取り組むことが求められます。

従業員側の意欲が低い

人材育成の体制を社内で構築できていても、従業員側の意欲が低い場合には育成がうまく進まないことが考えられます。

意欲が低い原因の一つに、人材育成の目的と道筋があいまいになっており、知識・スキルの習得に必要性ややりがいを感じてもらえないことが挙げられます。

厚生労働省がまとめた『人材開発政策の現状と課題について』によると、能力開発を行う主体を“企業主体”とする割合が約7割を超えており、“労働者個人が主体”とするよりも高くなっています。

▼能力開発の責任主体

能力開発の責任主体

画像引用元:厚生労働省『人材開発政策の現状と課題について

従業員側の意欲が低い場合、人材育成に取り組んでも仕事に対するモチベーションが上がらず、離職につながることもあります。

出典:厚生労働省『人材開発政策の現状と課題について

人材育成の課題を踏まえた解決策

人材育成を進めるには、指導者側の知識・スキルの強化を図るとともに、社内全体で取り組むための体制づくりと意識の向上を図ることが重要です。

①中堅リーダー層・管理職への育成を行う

指導者側の知識・スキルが不足している場合には、中堅リーダー層・管理職への育成を行う必要があります。

チームのリーダーやマネージャーなどには、業務に関する基礎的な知識・スキルの指導だけでなく、以下のような対応が求められます。

▼指導者に求められる対応

  • 部下の強み・弱みや職務への適性を把握して、一人ひとりに合った教育内容と手法を検討する
  • 部下が効率的にスキルを習得できるようにアドバイスやフォローを行う
  • 部下と円滑なコミュニケーションをとって目標の進捗管理や質問・悩みへの回答を行い、モチベーションを維持する

中堅リーダー層・管理職への育成を行うポイントは、以下のとおりです。

▼中堅リーダー層・管理職へ育成を行うポイント

  • 勤務年数やキャリアプランに応じた育成手段を用意する
  • 企業理念やビジョンを周知して管理職への意識改革を行う
  • 指導者向けの外部の育成研修やワークショップに参加してもらう

なお、指導者に求められる人材育成のスキルについてはこちらの記事をご確認ください。

②企業理念を基に人材育成ロードマップを作成する

人材育成に関する課題を明らかにして全社的な取り組みを推進するために、企業理念や経営方針に基づいた人材育成ロードマップを作成することが有効です。人材育成ロードマップとは、人材育成の目標や育成内容、手順などを具体的に示した中長期的な計画を指します。

人材育成を推進するには、「なぜ人材育成に取り組む必要があるのか」「人材育成によって何を目指すのか」などの目的とビジョンを明らかにしたうえで、社内全体で共通の認識を持つことが重要です。

人材育成ロードマップを作成することで、人材育成の重要性に対する社内の意識が高まり、育成体制の構築を進めやすくなります。

▼人材育成ロードマップを作成するポイント

  • 企業理念や経営方針に基づいて、将来に必要とする人材の要件を明確にする
  • 現状で不足している知識・スキルと将来的な目標を照らし合わせて、具体的な育成計画を立てる
  • 育成計画を踏まえて指導者となる人材や予算、育成時間を確保する

なお、人材育成ロードマップの作り方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

③PDCAを回して成長を自覚させる

人材育成に対する従業員側の意欲を向上させるには、PDCAを回して成長を自覚させることが重要です。

▼人材育成におけるPDCA

PDCA
内容
Plan(計画)
  • 業務内容や役割に求められるスキルを洗い出して、具体的な目標を設定する
  • 目標のスキルを習得するための手順や手法、期間を定める
Do(実行)
  • 計画に沿って教育や研修を行う
  • 指導者によるフォローを行いながら、従業員が実際の業務でスキルを活用する場を設ける
Check(評価)
  • 定期的にスキルの習得状況を確認して、目標の達成度合いを評価する
  • よかった点や改善点をフィードバックして、次の行動をアドバイスする
Action(改善)
  • Do(実行)とCheck(評価)を繰り返して、問題の原因を追及する
  • 目標の達成度合いや習得スピードなどを見ながら、育成方法を見直す

人材育成ロードマップで定めた育成計画を進行するなかで、定期的に従業員による振り返りと指導者によるフィードバックを行うことにより、成長度合いを自らが実感できるようになり、意欲の維持・向上につなげられます。

また、指導者がよい点・改善が必要な点などをアドバイスして、従業員が自発的に考えて行動する習慣を身につけることで、効率的なスキルの習得に結びつくと期待できます。

さらに、人材育成の施策に対する効果測定を実施すると、育成内容または手法の課題を発見して改善策を検討できるようになります。

まとめ

この記事では、人材育成について以下の内容を解説しました。

  • 人材育成を阻む3つの課題
  • 人材育成の課題を踏まえた解決策

人材育成を進めるには、指導者側の知識・スキルの強化を図るとともに、社内全体で取り組むための体制づくりと意識の向上が必要です。

そのためには、中堅リーダー層・管理職への育成に取り組むほか、人材育成ロードマップを作成して目的とビジョンを明らかにすること、継続的にフィードバックを行いPDCAを回すことがポイントといえます。

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