人材育成ロードマップの目的とは? 作成手順と運用のポイント
ビジネスのグローバル化が進行する今、事業の成長やイノベーションの創出につなげるために人材の多様性が求められています。業務に関する基礎能力・専門知識だけでなく、物事に取り組む姿勢や意欲、他者との協調性など、人材の持つ根源的な意識・行動に関する能力も重要となりつつあります。
企業がビジネス環境に適応していくには、自社における人材需要の変化を踏まえたうえで、従業員の能力・スキルを更新し続けることが必要です。そこで役立つのが“人材育成ロードマップ”です。
人事・採用担当者のなかには「人材育成ロードマップとは何なのか」「どのように人材育成ロードマップを作成するのか」と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
この記事では、人材育成ロードマップの目的や作成手順、運用時のポイントについて解説します。
なお、人材育成の重要性が高まる背景や基本の進め方については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
目次[非表示]
- 1.将来のビジョンを描く“人材育成ロードマップ”とは
- 2.人材育成ロードマップを作成する目的
- 3.人材育成ロードマップの作成手順
- 3.1.①企業理念や経営方針を明確にする
- 3.2.②人材の要件を設定する
- 3.3.③人材育成計画書を作成する
- 3.4.④人材育成計画を現場に定着させる
- 4.人材育成ロードマップを運用するポイント
- 5.まとめ
将来のビジョンを描く“人材育成ロードマップ”とは
人材育成ロードマップとは、企業理念・経営方針・人事戦略などに基づいて自社が求める人材の能力・スキルを育成するための中長期的な計画を指します。
人材育成の手順や道筋を明らかにすることで、組織が一体となって目標達成に向けた計画的な教育・指導に取り組めるようになります。
また、将来に求められる能力・スキルを明らかにして目指す方向性を社内で共有すると、育成対象者のモチベーション向上にもつながると考えられます。
なお、人材育成の課題についてはこちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
人材育成ロードマップを作成する目的
人材育成ロードマップを作成する目的には、主に以下の3つがあります。
▼人材育成ロードマップを作成する目的
- 人材育成の計画を関係者間で共有する
- 人材育成に具体性を持たせる
- 育成対象者の自発的な成長を促す
人材育成ロードマップを作成すると、人材育成の目的や目標、育成する能力・スキル、育成内容などを明確にできます。経営層や人事・採用担当者、現場の管理者、育成対象者と計画を共有することで、各部門・担当者間での認識の齟齬をなくして、それぞれの役割に沿って効率的に育成に取り組めます。
また、関係者間で人材育成の課題・ニーズを把握して具体的な計画を立てることによって、取り組みの方向性が明らかになり、積極的な行動や意識づけにつながります。これにより、育成対象者の自発的な成長を促せるようになり、スキルの習得による成長意欲を維持しやすくなると期待できます。
人材育成ロードマップの作成手順
人材育成ロードマップを作成する際は、企業理念や経営方針などを踏まえて求める人材像を明らかにするとともに、現場への定着化を促す必要があります。
①企業理念や経営方針を明確にする
人材育成ロードマップは、企業理念や経営方針などと連動させて作成する必要があります。企業理念や経営方針を明確にして「何を実現するためにどのような人材が必要なのか」を考えることが重要です。
デジタル化やグローバル化などによって経営環境が変化すると、人材に求められる能力・スキルも変化します。企業が進む方向性や将来のビジョンを明らかにして組織全体で共有することで、人材に関する課題を抽出できます。
その結果、「自社にどのような人材が必要になるのか」「現在どのようなスキル・能力が不足しているのか」を考えて、将来的な人材需要を踏まえた育成計画を立てられます。
②人材の要件を設定する
企業理念や経営方針を踏まえて、自社が必要とする人材の要件を設定します。
採用時点で求める人材の要件を設定することで、将来的に習得してほしいスキル・能力とのギャップが明らかになり、人材育成の具体的な計画を立てられます。
▼人材の要件を設定するポイント
- 経営層や人事・採用担当者だけで決めずに、現場の管理者・従業員へヒアリングして、必要な人材像が乖離していないか確認する
- 知識・スキル・能力だけでなく、意識や行動面、ビジネス力(革新性・問題発見力など)も含めた要件を設定する
- 5年後、10年後などの将来の産業構造の変化を踏まえて、中長期的に求められる能力を検討する
③人材育成計画書を作成する
企業理念に基づいて人材の要件を設定したあとは、育成内容や手順などを詳細に定めた人材育成計画書を作成します。
▼人材育成計画書の項目
- 育成するスキル・能力の種類
- 各スキル・能力を育成する方法
- 育成期間と進行のプロセス
- 育成期間ごとの目標と習得基準
人材育成計画を作成する際は、育成対象者のスキル・能力のレベルや階層に応じたキャリアモデルを想定したうえで、各育成のプロセスで実践する手法を検討することが重要です。
④人材育成計画を現場に定着させる
作成した人材育成計画書の内容を実践するためには、現場に定着させる取り組みが必要です。
▼人材育成計画を定着させる取り組み例
- 説明会や資料の配布を行う
- 計画段階で各部署に周知する
また、人材育成計画を実行したあとは、計画どおりに進行できているか進捗状況を定期的に確認して、評価・改善を繰り返すことも重要です。
人材育成ロードマップを運用するポイント
人材育成ロードマップの運用する際のポイントには、次の3つが挙げられます。
▼人材育成ロードマップを運用するポイント
- 育成期間に余裕をもたせる
- 教育担当者へのサポートを行う
- 人的コストを意識する
人材育成は計画どおりに進むとは限らないため、ロードマップを作成する時点で余裕を持たせておく必要があります。育成対象者が目標とするスキル・能力を習得するのにどの程度の時間がかかるのかを想定して、育成スケジュールを立てることがポイントです。
また、人材育成ロードマップのとおりに進行しても、教育担当者によって指導の質に差が出る可能性があります。指導の質を高めるために、教育担当者に対する研修やサポートを行うことも重要です。
さらに、人材育成ロードマップの運用にあたっては、教育担当者と育成対象者が持つ本来の業務が圧迫されてしまう可能性があります。人材育成にどれくらいの時間・リソースがかかるのかを考慮したうえで計画を立てることがポイントです。
なお、人材育成に必要なスキルについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ
この記事では、人材育成ロードマップについて以下の内容を解説しました。
- 人材育成ロードマップの概要
- 人材育成ロードマップを作成する目的
- 人材育成ロードマップの作成手順
- 人材育成ロードマップを運用するポイント
人材育成ロードマップを作成すると、人材育成の目的や目標、道筋が明らかになり、計画的に教育・指導に取り組めるようになります。
運用する際は、育成期間に余裕をもたせるとともに、教育担当者への研修やサポートを実施することや、育成にかかる時間とリソースを考慮して計画を立てることがポイントです。
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