プロパー社員とは? 意味や特徴、他の社員との摩擦を防ぐ方法も解説


「プロパー社員」のイメージ画像


社員の雇用形態を表す言葉に「プロパー社員」という呼び方があります。プロパー社員は、主に「新卒入社の社員・正社員・自社社員」などを指して使われる言葉です。
 
しかし企業や業界により、プロパー社員の意味が異なるため、文脈によっては誤解を生む可能性があります。プロパー社員にどのような意味や特徴があるのかを把握し、話している相手と認識の相違が生じないよう注意する必要があるでしょう。
 
本記事ではプロパー社員について、わかりやすく解説します。プロパー社員の意味やメリット・デメリットに加えて、プロパー社員と他の社員との間に生じやすいトラブルや、トラブルを回避する方法もご説明しますので、ぜひ参考にしてください。


目次[非表示]

  1. 1.プロパー社員とは?
    1. 1.1.「プロパー」の意味
    2. 1.2.プロパー社員には3パターンある
  2. 2.プロパー社員のメリット
    1. 2.1.企業への帰属意識や愛着が強い
    2. 2.2.社内での人脈が広い
    3. 2.3.待遇面で優遇されている
  3. 3.プロパー社員のデメリット
    1. 3.1.保守的な考え方になりやすい
    2. 3.2.非プロパー社員との間に摩擦が生じる可能性がある 
  4. 4.プロパー社員と他の社員との摩擦を防ぐ方法
    1. 4.1.給与制度を見直す
    2. 4.2.公平性・透明性の高い評価制度をつくる
    3. 4.3.社内のコミュニケーションを促す
    4. 4.4.プロパー社員以外への研修を十分に実施する
  5. 5.まとめ


プロパー社員とは?

プロパー社員は、企業によって使い方が異なる言葉です。主に以下のような意味合いで、よく使われています。

  • 新卒で入社した社員
  • 正規雇用の社員(正社員)
  • 自社で雇用している社員


「プロパー」の意味

英単語の「proper(プロパー)」には「適切な・妥当な・正しい・固有の」といった意味があります。日本のビジネスシーンで使われるプロパーは、この英単語をもとに生まれた和製英語です。
 
ビジネスシーンでは「プロパー社員」として使われるほか、以下のような使用例もあります。
 
● 特定の学問・分野の専門家や精通している人材
例:医学のプロパーに取材する
 
● ファッション業界における正規価格で販売する商品
例:プロパー商品
 
● 銀行などが保証協会を利用せずに直接行なう融資
例:プロパー融資


プロパー社員には3パターンある

前述したように、プロパー社員には主に3パターンの使い方があります。


▼新卒で入社した社員
 
プロパー社員のもっとも広く使われている意味合いは、「自社に新卒で入社した社員」「社会人になって1年目から同じ企業で働いている社員」です。新卒入社した社員を、中途入社の社員と区別するために使われています。


▼正規雇用の社員(正社員)
 
プロパー社員を「正規雇用の社員(正社員)」という意味で使っている企業もあります。この場合は契約社員・派遣社員・パート・アルバイトなどの非正規雇用の人材と、正社員を区別するために使われています。


▼自社で雇用している社員
 
プロパー社員を「自社で直接雇用している社員」という意味で使うケースもあります。グループ企業から出向している人や、協力会社から来て常駐している人などが社内にいる場合、他社で雇用されている扱いとなる社員と「自社で直接雇用している社員」を区別するため使われます。


プロパー社員のメリット

続いて、プロパー社員のメリット・デメリットを解説します。以降で解説するのは、プロパー社員を「新卒入社した社員・正社員」といった意味合いで使う場合のメリット・デメリットです。まずはメリットを詳しく見ていきましょう。


企業への帰属意識や愛着が強い

プロパー社員を「新卒入社した社員」といった意味で使う場合、プロパー社員には「自社への帰属意識や愛着、愛社精神が強くなりやすい」などの特徴があります。
 
新卒入社した社員は、社会人になってからずっと同じ企業で働き続けている状態であるため、「自分はこの企業に育てられた」「長い間この企業に貢献してきた」といった気持ちをもちやすい傾向があるからです。
 
プロパー社員には自社の理念・業務・商品・サービスなどに対して、誇りをもって働いている人が多いともいえます。企業の中心的存在であるため、多くのプロジェクトで頼りになるでしょう。


社内での人脈が広い

新卒入社した社員や、企業にコミットする時間が長い正社員には、社内での人脈が広くなりやすい特徴もあります。「社内に同期で入社した仲間が多い」「先輩や後輩との関係性を築きやすい」などのメリットがあるため、業務を進める際に周囲の協力を仰ぎやすいでしょう。


待遇面で優遇されている

一般的にプロパー社員は、給与などの待遇面で優遇されやすい傾向があります。プロパー社員と呼ばれる社員は、正規雇用であることが多いため、給与・賞与・ボーナスの金額や福利厚生制度などが充実しているケースが多いのです。
 
また、プロパー社員は「新卒入社して企業に長く務める」というケースが多く、勤続年数がほかの雇用形態の社員に比べて長くなりやすいため、退職金も高くなる傾向があります。


プロパー社員のデメリット

続いて、プロパー社員を「新卒入社した社員・正社員」といった意味で使う場合のデメリットを詳しく見ていきましょう。


保守的な考え方になりやすい

新卒入社して長く務めている社員には、「社内での人脈が広い」「帰属意識が高い」などのメリットがある一方、保守的な考え方になりやすいデメリットもあります。同じ会社に勤めている期間が長く、他社を知らない状態だと、視野が狭くなりやすいからです。
 
プロパー社員の比率が多い部門では、革新的なアイデアが生まれにくくなったり、新しい商品・サービスが開発されにくくなったりする可能性があります。外部機関による研修を定期的に行なうなど、プロパー社員の視野を広げる取り組みが必要といえるでしょう。


非プロパー社員との間に摩擦が生じる可能性がある 

前述したように、プロパー社員は給与などの待遇面で優遇されている傾向があります。その分、仕事で負う責任も重くなりますが、非プロパー社員が以下のような不満を感じるケースも少なくありません。

「プロパー社員と非プロパー社員の評価方法に差があり、プロパー社員が不当に優遇されているのではないか?」
「プロパー社員しか知らない業務ノウハウがあるから、非プロパー社員よりも成果が出やすく、会社から評価されやすいのではないか?」 など……
 
また、プロパー社員同士の人間関係が強固である場合、ほかの社員が疎外感を抱き、「プロパー社員だけが知っている暗黙のルールが存在するのでは?」と不安を感じるケースもあるでしょう。
 
非プロパー社員との間に摩擦が生じないようにするため、評価制度の透明性を高めたり、社内のコミュニケーションの場を増やしたりするなどの工夫が必要です。


プロパー社員と他の社員との摩擦を防ぐ方法

ここからは、プロパー社員と非プロパー社員の摩擦を防ぐ方法を4つ解説します。下記の取り組みを実施すると、組織を円滑に運営できるでしょう。


給与制度を見直す

プロパー社員と非プロパー社員の摩擦を防ぐ方法のひとつに、給与制度の見直しが挙げられます。たとえば自社の給与制度に年功序列が反映されている場合、新卒入社のプロパー社員と中途入社の社員では、能力や業績が同程度であっても、中途社員の給与が低くなってしまいます。
 
こうした状況では「業績に応じた給与が得られない」「能力やスキルを高めても相応な昇給が見込めない」といった理由により、優秀な非プロパー社員が離職しやすくなります。
 
従来通りの給与制度を見直し、年功序列だけでなく成果の有無も給与に反映させるシステムを導入したり、スキルや資格によって手当を給付するシステムを新設したりして、従業員満足度の高い給与制度をつくりましょう。
 
なお、成果主義的な給与制度の導入をお考えの場合は、以下の「職務給制度」の記事が参考になります。職務給制度の特徴や、メリットなどを詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
 
▼職務給制度とは? 職能給・基本給との違いやメリット、移行手順も解説

  職務給制度とは? 職能給・基本給との違いやメリット、移行手順も解説 本記事では職務給制度について、職能給・基本給との違い、メリット・デメリット、移行手順、移行時のポイントなどを解説します。「職務給制度って何?」「職務給への移行を検討している」という方は、ぜひ本記事を参考にしてください。 エン・ジャパン株式会社


公平性・透明性の高い評価制度をつくる

人事評価制度を見直して、公平性・透明性の高い評価制度をつくるのも、プロパー社員と非プロパー社員の摩擦解消に効果的です。評価の基準や方法を見直し、従業員へしっかりと周知徹底しましょう。
 
また、従業員の不公平感を払しょくするためには、評価制度の客観性を保つことも重要です。評価者の主観に頼った評価方法とならないよう、評価プロセスの一部に他者の視点を取り入れる「360度評価」を導入するのもよいでしょう。
 
「360度評価」は評価対象と関わるさまざまな立場の社員が、多面的に対象者を評価する方法です。対象者の上司・同僚・部下など、異なる立場の社員がそれぞれの視点で対象者を評価するため、客観的な評価が可視化されます。


社内のコミュニケーションを促す

社内のコミュニケーションを活性化させ、プロパー社員と非プロパー社員の人間関係を円滑にする取り組みもおすすめです。

  • 社内イベントやレクリエーションを実施する
  • 社員同士の交流会や懇親会などを行なう
  • 気軽にコミュニケーションをとれるチャットツールを導入する

 
上記のような取り組みのほか、プロパー社員/非プロパー社員の比率が偏りすぎないよう、人員配置に配慮することも大切です。バランスの良い人員配置を行なうと、部署内の人間関係が良好に保たれます。


プロパー社員以外への研修を十分に実施する

中途入社の社員や非正規雇用の社員などに、十分な研修や講習を実施し、業務の知識・スキル・ノウハウが学びやすい環境を提供するのも、摩擦解消に効果的です。
 
学びの機会を提供することにより、非プロパー社員も成果を上げやすくなるため、企業から評価される機会が増えます。結果的に「プロパー社員ばかりが高く評価されている」といった不公平感を払しょくできるでしょう。


まとめ

プロパー社員の意味やメリット・デメリット、プロパー社員と非プロパー社員のトラブルを回避する対策方法などを解説しました。「プロパー社員」の意味は、企業によって少しずつ異なります。主に使われているのは、以下のような意味合いです。

  • 新卒で入社した社員
  • 正規雇用の社員(正社員)
  • 自社で雇用している社員

 
上記のうち、特に多いのは「新卒で入社した社員」をプロパー社員とするケースです。この場合、プロパー社員には「企業への帰属意識が強い」「社内での人脈が広いためスムーズに業務進行しやすい」などのメリットがあるので、重宝している企業も多いでしょう。
 
しかし近年は、少子高齢化による労働人口減少の影響で、新卒採用の難易度が上昇しています。新卒採用で十分な人員を確保できなかった企業が、不足分を第二新卒で補うケースも増えているほどです。


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