【2024年度】転職市場の動向とトレンドを解説
転職市場は社会情勢の影響を受けて、徐々に変化しています。人事・採用担当者には、市場の動向を読みとり、時代の流れに合わせた採用戦略を練る力が求められているといえるでしょう。
本記事では2024年における転職市場の動向と、トレンド予測を解説します。適切な採用戦略と計画を立てるため、市場の把握にお役立てください。
目次[非表示]
- 1.2024年における転職市場の動向
- 1.1.求人数が増えて転職市場は活発化
- 1.2.緊急度・重要度の高い採用は難易度が上昇
- 1.3.売り手市場のため辞退者が増加する傾向
- 1.4.未経験者歓迎の求人が増加する傾向
- 1.5.全年齢で6割以上の求職者が異業種業務に挑戦
- 1.6.新規求職者数の増加は横ばい
- 1.7.在宅勤務・フルリモート勤務の人気継続
- 1.8.並行応募が当たり前の時代に
- 2.2024年の転職市場におけるトレンド
- 2.1.人材獲得競争の激化により就労環境の改善が進む
- 2.2.あらゆる業界でDX化が推進される
- 2.3.賃上げを実施する企業が増加する
- 3.まとめ
2024年における転職市場の動向
まずは、2024年における転職市場の動向を8つの情報に分けて解説します。
求人数が増えて転職市場は活発化
2024年は求人数が増え、転職市場が活発化する見込みです。以下のグラフは厚生労働省が毎年算出している有効求人倍率の推移です。有効求人倍率は、1を超えると「求職者数よりも求人数の方が多い状況」となります。
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年9月分)について」
グラフを見ると、有効求人倍率はコロナ禍により一時的に下落しています。しかしその後は、1以上をキープし続けているため、全産業で一定以上の求人が出ており、人手不足感があると予想されます。
求人数が多ければ、「チャンスがあるなら条件の良い仕事へ転職しよう」と考える求職者も出てくるため、今後も転職市場は活発化すると予測できるでしょう。
緊急度・重要度の高い採用は難易度が上昇
2024年以降、緊急度・重要度の高い採用は、難易度が上昇する傾向にあります。以下の表はコロナ禍以前である2019年と、コロナ禍以後である2023年の、各媒体の求人数を比較したものです。
ハローワークの有効求人数 |
大手転職サイト5媒体の求人数 |
|
2019年8月 |
2,748,081 |
99,692 |
2023年8月 |
2,484,687(9.6%減少) |
252,587(253%増加) |
ハローワークの求人数がコロナ禍以前よりも9.6%減少しているのに対し、大手転職サイト5媒体の求人数は253%も増加しています。
つまり、転職サイトを使ってコストをかけても採用したい緊急度・重要度の高い採用や、ハローワークでは採用できないような難易度の高い採用を行なう企業が増えているということです。2024年もこうした状況が継続すると予想されます。
売り手市場のため辞退者が増加する傾向
日本社会は少子高齢化により、労働人口が減少しています。ひとりの人材を複数の企業で取り合う状況が続き、転職市場は求職者に有利な「売り手市場」となっています。
転職市場が売り手市場化すると、選考辞退・内定辞退が増えます。以下のグラフをご覧ください。
こちらのグラフは、エン・ジャパンが求職者へ行なったアンケート調査の結果です。2020年度と2022年度における求職者の辞退数と、辞退したタイミングを表しています。
グラフを見ると面接前・面接後・内定後のいずれも辞退数が上昇しています。ひとりの求職者を複数の企業が取り合う状況となっているため、ほかの企業での選考状況を理由に、辞退が発生しやすくなっていると考えられます。
労働人口の減少はすぐに解消できる問題ではないため、2024年以降も採用市場の売り手市場化は続き、辞退者が増加傾向となるでしょう。
未経験者歓迎の求人が増加する傾向
中途採用市場において、未経験者歓迎の求人が増加傾向にあり、2024年も増えると予想されます。以下のグラフは、エン・ジャパンが運営する中途採用向け求人サイト「エン転職」に掲載された「未経験者歓迎求人」の割合を表したものです。
エン転職に掲載された「未経験者歓迎求人」の数は、2023年で約80%を占めており、2020年に比べると約25%増加しています。
中途採用市場では、即戦力となれる業務経験者を募集する企業も多くあります。しかし即戦力人材は供給が限られているため、業務未経験の人材と比べて獲得競争が激しくなります。
自社の人手不足を早く解消するため、即戦力人材にこだわらず、未経験者を歓迎する企業が増えていると考えられます。
全年齢で6割以上の求職者が異業種業務に挑戦
未経験者歓迎の求人が増加するとともに、異業種業務に挑戦する求職者も多くなっています。こちらのグラフは、異業種からの転職割合を年代別に表したものです。
異業種からの転職割合がもっとも高いのは24歳以下です。しかし年代に関わらず、6割以上が異業種から転職している状況であるとわかります。
業務経験者を採用する難易度が上昇しているため、未経験者を歓迎する求人が増加していますが、企業側だけでなく求職者側も、「未経験業種に挑戦したい」というニーズをもつ人が一定数いると考えられます。
新規求職者数の増加は横ばい
転職市場における新規求職者数は、横ばいの状態が続くと予測されます。以下のグラフは、エン・ジャパンが運営する中途採用向け求人サイト「エン転職」の新規会員数の推移を表したものです。
エン転職は毎月6~7万人のペースで新規会員数が増加しており、総会員数は1120万人を突破しました。会員数は安定していますが、急激な伸びは見られない状況です。
会員数の増加以上に「採用を行なう企業数」が伸びているため、転職市場全体で採用難の状況が続く見込みです。
在宅勤務・フルリモート勤務の人気継続
コロナ禍以降、求人サイトでの検索キーワードの上位に「在宅」「フルリモート」など、在宅勤務に関するキーワードがランクインするようになりました。以下の表は、2023年9月時点における「エン転職」内の検索キーワードランキングです。
▼エン転職内の検索キーワードランキング(2023年9月時点)
キーワード |
2023年 |
2022年 |
2021年 |
2020年 |
2019年 |
フルリモート |
1位 |
2位 |
3位 |
3位 |
圏外 |
在宅 |
2位 |
3位 |
2位 |
2位 |
14位 |
完全在宅 |
5位 |
5位 |
4位 |
4位 |
圏外 |
在宅ワーク |
6位 |
圏外 |
圏外 |
圏外 |
圏外 |
リモートワーク |
17位 |
11位 |
13位 |
13位 |
圏外 |
リモート |
18位 |
7位 |
6位 |
6位 |
圏外 |
いずれのキーワードも、コロナ禍以前の2019年と比べて、順位が上昇しています。
また、表にはありませんが、2023年の検索キーワード4位に「土日祝休み」が上がっていることから、ワークライフバランスを重視する求職者が多くなっている様子もうかがえます。
2024年以降の転職市場も、ワークライフバランスを適切に保ちやすく、在宅勤務やリモートワークなど、柔軟な勤務形態を選択できる仕事の人気が継続すると考えられます。
並行応募が当たり前の時代に
求職者が複数の企業へ並行して応募する状況が、当たり前となっています。エン・ジャパンが行なったアンケート調査によると、約8割の求職者が、転職活動にあたり複数の企業へ応募していると判明しています。
前述したように転職市場は今、ひとりの求職者を複数社で取り合っている状況です。そのようななか、求職者が複数の求人へ並行応募しているため、企業にとっては選考辞退・内定辞退が起こりやすくなっています。
企業が人材を確保するためには、求職者から「自社を選んでもらうための工夫」が必要です。応募後の対応スピード・面接日程調整の流れ・面接官の対応などが他社と比較されやすくなっているため、重点的に対策しましょう。
2024年の転職市場におけるトレンド
続いて、2024年の転職市場におけるトレンドを3つ解説します。転職市場のトレンドを把握し、自社の採用に活かしましょう。
人材獲得競争の激化により就労環境の改善が進む
日本社会は今、少子高齢化による労働人口減少などの影響で、人材獲得競争が激化しています。採用難易度が高くなる状況のなかで、良い人材を確保するためには、求職者から選ばれるための工夫を行なわなくてはなりません。
より多くの人材から自社を選んでもらうため、以下のように従業員の就労環境を改善し、辞退防止・離職防止を図る企業が増えています。
- 従業員の給与・福利厚生など待遇を改善
- 昇格による転勤をなくして「地域限定社員」を導入
- 在宅勤務・リモートワークを取り入れ就労形態を多様化
こうした就労環境の改善は、今後も継続されていくでしょう。
あらゆる業界でDX化が推進される
DX化とはデジタル技術やデータを駆使し、製品・サービス・業務・組織などを変革して、自社の競争力を向上させることです。今後、あらゆる業界でDX化が推進され、業務効率化が急速に進められるでしょう。
たとえば飲食業・小売業では、配膳ロボットや無人レジを導入し、スタッフの業務削減を図る動きが増えています。
今まで人員を割いていた業務が効率化されることにより、販売施策の立案や人材マネジメントなど、より高度な業務に従事できる人材が重宝される流れとなるでしょう。人員補充の際には、こうしたDX化の流れを見越して、人材を採用する必要があります。
賃上げを実施する企業が増加する
日本政府は「2030年代半ばまでに最低賃金を1500円に引き上げる」という目標を掲げています。また2023年は、物価上昇の影響を受け、多くの企業が賃上げに踏み切りました。
2024年も引き続き、賃上げを実施する企業が増加する見込みです。人材獲得競争が激化するなかで自社求人に応募を集め、他社への人材流出を防止する必要があることから、待遇改善を行なう企業が増えるでしょう。
まとめ
2024年における転職市場の動向と、トレンド予測を解説しました。どの項目を見ても、企業の採用難が続くと予想されます。採用難易度が高まっているため、より良い人材を確保するには、今まで以上に工夫が必要となるでしょう。
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▼エン転職の料金表・特徴をまとめたパンフレットは以下からダウンロードいただけます。
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