経験者採用|経団連の方針・中途採用やキャリア採用との違い・成功のコツ

「経験者採用」のイメージ画像


経験者採用とは、企業が採用活動で「すでに社会人経験のある人材」や「募集業務に対して一定の経験や知識のある人材」を採用することです。

2022年11月7日の日本経済団体連合会(経団連)定例記者会見で、今まで中途採用と呼ばれていた採用方法を、経験者採用という表記へ改める方針が発表されました。
 
本記事では経験者採用と中途採用・キャリア採用の違い、メリットとデメリット、経験者採用を成功させるコツについて解説します。
 
中途採用が経験者採用と表記変更されることで、採用の現場では混乱が生じやすくなっています。経験者採用について理解を深め、採用活動をスムーズに進めましょう。


目次[非表示]

  1. 1.「経験者採用」とは?
    1. 1.1.経団連が「経験者採用」に表記変更した理由
  2. 2.企業が経験者採用を実施する目的
  3. 3.経験者採用と似ている用語との違い
    1. 3.1.経験者採用と中途採用の違い
    2. 3.2.経験者採用とキャリア採用の違い
  4. 4.「経験者採用」表記の課題・現場の動向
    1. 4.1.「中途採用」よりも汎用性が低い
    2. 4.2.認知度が低く検索されにくい
  5. 5.経験者採用(キャリア採用)を行なうメリット
    1. 5.1.専門知識・経験が豊富な人材を採用できる
    2. 5.2.人材育成コストを削減できる
    3. 5.3.企業の生産性向上につながる
    4. 5.4.自社の課題解決につながる
    5. 5.5.既存社員の成長につながる
  6. 6.経験者採用(キャリア採用)を行なうデメリット
    1. 6.1.給与が高くなりやすい
    2. 6.2.柔軟性に欠けている場合がある
    3. 6.3.伸びしろがない可能性がある
  7. 7.経験者採用に適した採用手法
    1. 7.1.転職サイト
    2. 7.2.ダイレクトリクルーティング
  8. 8.経験者採用(キャリア採用)を成功させるポイント
    1. 8.1.業務内容などの条件を明確にして募集する
    2. 8.2.入社後の待遇面を充実させる
    3. 8.3.さまざまな採用手法を活用する
    4. 8.4.スキルと人柄の両方を確認する
    5. 8.5.成長できる機会を与える
  9. 9.まとめ


「経験者採用」とは?

経験者採用とは、企業が採用活動で「すでに社会人経験のある人材」や「募集業務に対して一定の経験・知識のある人材」を採用することです。

つまり、今まで中途採用と呼ばれていた採用方法が、日本経済団体連合会(経団連)の方針により、経験者採用へと表記変更される流れになっているのです。以降で、経団連がなぜ「経験者採用」という言葉を使うよう企業へ促す方針にしたのかご説明します。


経団連が「経験者採用」に表記変更した理由

経団連は2022年11月7日、定例記者会見のなかで、従来使われてきた中途採用という言葉を「経験者採用」へ改める方針であると明らかにしました。
 
長い間「中途採用」は、新卒採用以外の採用方法を総括して表す言葉として使われてきましたが、「中途」というワードに対し、ややネガティブな印象を抱くケースがあることから、「経験者採用」に表記を統一しようという方針を固めたとのことです。
 
時代の流れとともに、日本社会で続いてきた新卒採用・終身雇用といった風潮が変化し、労働者がより自分に適した働き方や職場を求めて、転職をするのも当たり前となってきています。
 
採用方法や採用のタイミングなども多様化しているため、「新卒採用ではない」といった意味の含まれる「中途採用」という言い方が、近年の採用市場にそぐわなくなっているとの判断もあるようです。


企業が経験者採用を実施する目的

企業が経験者採用を実施する主な目的には、以下の2点が挙げられるでしょう。

  • 業務経験や知識、スキルが豊富な人材を確保するため
  • 育成コストを抑えつつ業績向上を目指すため

 
経験者採用を実施することにより、業務経験や知識、スキル、ノウハウなどが豊富な人材を採用できる可能性があります。実務経験のある人材を確保できれば、社内の業務プロセスの改善や、生産性向上などが期待できるでしょう。
 
また経験者採用は、新卒採用とは異なり、すでに社会経験のある人材を確保できるメリットもあります。新人研修などの育成プロセスをある程度は省けるので、人材育成にかかる人的コストや時間的コストを削減できます。経験者採用を実施することにより、育成コストを抑えながら業績アップを目指せるでしょう。


経験者採用と似ている用語との違い

続いて、経験者採用と似ている用語との違いを解説します。中途採用・キャリア採用・経験者採用の意味をご説明しますので、適切に使えるようにぜひチェックしてください。


経験者採用と中途採用の違い

前述のように、経団連は従来使われてきた「中途採用」という言葉を「経験者採用」へと表記変更する方針を発表しました。つまり経団連の方針としては、経験者採用は中途採用とほぼ同じ意味で使う言葉ということです。
 
しかし「経験者採用」という言葉を自社の採用活動で使用するかどうか、またどういった意味合いで使うかといった詳細については、企業にゆだねられている部分があります。経団連の方針が発表されてから、まだあまり時間が経っていないこともあり、採用の現場では混乱が生じやすくなっているようです。
 
「経験者」というワードが含まれているため、「中途採用で未経験者可の求人」に対して、経験者採用と表記するのはそぐわないと判断する企業もあります。求職者が求人を見たときに「業務未経験だと応募できないのか…」と勘違いしてしまう事態を防ぐため、募集業務の経験・知識のある人材を採用するときに限り、経験者採用と表記するケースが見受けられます。


経験者採用とキャリア採用の違い

キャリア採用とは、企業が即戦力を採用したいときに行なう採用のことを意味します。募集業務の経験・知識をもち、入社後にすぐ活躍できるスキルがある人材を採用したいときに行われます。
 
つまり求人が「キャリア採用」として打ち出されている場合、業務未経験者は応募資格がないということです。経団連の方針とはやや異なりますが、「経験者採用」という言葉を「キャリア採用」と同様に扱う企業も一定数あります。
 
即戦力人材を採用したいときの具体的な手順や、おすすめの採用手法については、以下の記事で詳しく解説しています。即戦力人材の採用にお困りの方は、こちらもあわせてご覧ください。
 
▼即戦力とは? 採用手順や手法、活躍人材を見極めるポイント

  即戦力とは? 採用手順や手法、活躍人材を見極めるポイント 本記事では即戦力採用について、採用手順・採用手法・即戦力人材を見極めるポイントなどを解説しています。「即戦力を採用して教育コストを抑えたい」「すぐに活躍できる人材が欲しい」とお悩みの方は、ぜひご覧ください。 エン・ジャパン株式会社


「経験者採用」表記の課題・現場の動向

経団連の方針により、経験者採用という表記が推進されるようになりましたが、前述したように採用の現場では、まだ戸惑いの声も上がっています。経験者採用と表記することにより浮かぶ課題と、採用現場の動向を解説します。


「中途採用」よりも汎用性が低い

今まで一般的に使われていた「中途採用」という言い方は、「新卒採用以外のほぼすべての採用」を意味する汎用性の高い言葉でした。たとえば以下のような採用シーンは、すべて「中途採用」に該当します。  

  • 第二新卒の採用
  • 新卒採用以外の未経験者可の採用
  • 新卒採用以外の業務経験者の採用

  しかし「経験者採用」には経験者という言葉が入っているため、「新卒採用以外の未経験者可の採用」に対して使用すると、求職者を混乱させる恐れがあります。  

求人上で「経験者採用」という言葉を見た求職者が、「募集業務の経験がある人材しか応募できないんだな…」と誤解し、応募を控えてしまう可能性が考えられるでしょう。  

求職者が誤解するのを防ぐため、「新卒採用以外の未経験者可の採用」を行なうときには「経験者採用」という表記を使用しないようにしている企業もあります。


認知度が低く検索されにくい

「経験者採用」という表記は、経団連が方針を発表してから時間が経っていないこともあり、まだ一般に広く浸透したとは言い難い状況です。「中途採用」のほうが、求職者からの認知度が高く、仕事を探す際の検索キーワードとしてもよく使われています。  

「経験者採用」は、求職者が検索キーワードとして使用するケースがまだ少ないため、求人に「経験者採用」と表記すると、かえって自社の求人情報を見つけてもらいにくくなる可能性があります。  

中途採用を経験者採用と言い換えることには、上記のような課題があるため、「中途採用に当たるすべての求人を、経験者採用へ言い換えるのはまだ難しい」と判断している企業が多いようです。

そこで現実的な対応策として「“中途採用”の使用頻度を下げつつ、求職者の誤解を招かない範囲で“経験者採用”を使う」としているケースが多く見受けられます。


経験者採用(キャリア採用)を行なうメリット

続いて、企業が経験者採用を行なうメリットを5つ解説します。


専門知識・経験が豊富な人材を採用できる

経験者採用を行なうと、募集業務に必要な専門知識や、経験が豊富な人材を採用できる可能性が高くなります。同業他社で業務経験を積み、知識やスキルを身に着けた人材が入社すれば、自社の事業成長に良い影響をもたらすでしょう。
 
また、経験者採用は新卒採用と異なり、すでに社会人経験がある人材を対象とする採用方法です。社会人として最低限必要なマナーや、モラルをきちんと身に着けた人材を採用できるメリットもあります。


人材育成コストを削減できる

前述したように、経験者採用は募集業務の専門知識や、経験が豊富な人材を採用できる可能性が高い採用方法です。経験者採用を行なうことで、新人研修など人材育成にかかる時間的・人的なコストを削減しやすくなります。
 
人手不足により既存社員が多忙で、人材育成に割けるリソースがない企業にとって、コストをかけずに人員を増やせるのは大きなメリットといえます。


企業の生産性向上につながる

経験者採用は、入社後すぐに業務を任せられる人材を採用できる可能性が高いので、企業の生産性向上にもつながります。業務経験や知識の豊富な人材であれば、入社後早い段階で、効率的に仕事をこなせるようになるからです。
 
また、同業他社で学んできたことを自社の既存社員へ教えてくれるケースもあります。新たな技術や考え方がもたらされ、社内でイノベーションが起こる可能性もあるでしょう。


自社の課題解決につながる

経験者採用によって、募集業務の知識や経験、スキルなどが豊富な人材を確保できると、自社の課題解決につながります。ノウハウを豊富に有する人材が、自社の業務に参加することで、業務の進め方などにおける課題を解決でき、業務円滑化および効率化が叶うでしょう。


既存社員の成長につながる

経験者採用で業務経験やスキルが豊富な人材を確保することは、自社の既存社員の成長にもつながります。経験者採用によって確保した人材から得たノウハウにより、既存社員がスキルアップできるケースがあるからです。社内に業務経験が豊富な人材を増やすことにより、既存社員もスキルアップでき、組織全体に良い影響がもたらされるでしょう。


経験者採用(キャリア採用)を行なうデメリット

企業が経験者採用を行なうデメリットについても解説します。以下の状況が起こる可能性を念頭に置いて採用活動をすれば、大きな失敗は避けられるでしょう。


給与が高くなりやすい

募集業務の経験・知識がある人材を採用できる可能性が高いことは、経験者採用のメリットです。しかし経験・知識のある人材を確保しやすい反面、待遇が良くなければ求人に募集が集まりにくいというデメリットもあります。
 
求職者が前職と同業・同職種で仕事探しをしている場合、「前職よりも給与などの待遇面が良い職場で働きたい」と考えているケースがほとんどでしょう。ある程度は良い待遇を用意しなければ、優秀な人材を確保するのは難しくなります。


柔軟性に欠けている場合がある

同業・同職種での勤務期間が長い人材は、専門的な知識や経験が豊富である反面、柔軟性に欠けている場合があります。

  • 自分のやり方が確立されていて、新しい職場になってもやり方を変えられない
  • 前職での作業方法が染みついていて、新しい手順に適応するのが難しい

知識や経験があるからこそ、上記のような状況になることも予想されるため、採用選考の段階で、柔軟性のある人材かどうか見極める必要があります。


伸びしろがない可能性がある

経験者採用の場合、前職までの段階で、その人材のキャリアがピークに達しているケースがあります。新卒採用や未経験者を採用するときに比べて、自社に入社してからの伸びしろが少ない可能性があるのです。
 
以下のような場合、経験者採用によって採用した人材では、適さない可能性もあることを覚えておくとよいでしょう。

  • 自社で長期的に人材を教育・育成したい場合
  • 既存社員の人材教育スキルを伸ばしたい場合 など


経験者採用に適した採用手法

経験者採用に適した採用手法を2つ紹介します。経験者採用を行なうときは、求める人材へ的確にアプローチできる採用手法を選ぶことが大切です。


転職サイト

経験者採用を実施するなら、転職サイトに自社の求人広告を掲載するのがおすすめです。転職サイトには、異業種への転職を希望する人だけでなく、同業・同職種への転職を希望する人も多く会員登録しています。
 
求人で自社の魅力をしっかりとアピールすれば、募集業務の知識・経験をもつ人材の目に留まる可能性が高くなるでしょう。
 
効果的な転職サイトに求人を掲載したいとお考えの方には、「エン転職」がおすすめです。エン転職は1100万人以上の会員数を誇る、日本最大級の転職サイトです。
 
単に会員数が多いだけでなく、同職種を5年以上経験した人材が多いという点もエン転職の強みです。

エン転職会員の同職種の経験年数

 
またエン転職には、さまざまな職種を経験した人材が多く会員登録しています。各職種の「5年以上の経験者比率」は以下の通りです。

職種5年以上の経験者比率

 
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ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングとは、企業がスカウトメール機能などを使って、欲しい人材へ直接アプローチする採用手法です。企業が能動的に求職者へ働きかける手法なので、求人を広く公開して応募を待つより、欲しい人材へ的確にアプローチできます。

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▼エン転職ダイレクトとは?特徴・料金・他社サービスとの違いを解説!

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経験者採用(キャリア採用)を成功させるポイント

経験者採用を成功させるポイントを4つ解説します。以下のポイントを押さえておくと、自社に適した人材を採用できるでしょう。


業務内容などの条件を明確にして募集する

経験者採用を行なうときは、入社後に担当してもらいたい業務内容や、人材へ求めるスキルなどの条件を明確にして募集を行ないましょう。
 
実務に必要な能力・資格・業務経験などを明確化し、しっかりと求職者へ伝えることが大切です。人材に求める条件を明確化し、きちんと求人上で伝えれば、募集業務に適した求職者からの応募を獲得できる可能性が高くなります。


入社後の待遇面を充実させる

先にも述べたように、経験者採用では募集業務の経験・知識がある人材を確保しやすい反面、待遇が良くなければ求人に募集が集まりにくいという側面があります。優秀な人材を確保するためには、待遇面を充実させておく必要があるでしょう。
 
給与・賞与・福利厚生制度などを充実させることで、優秀な人材を惹きつけられる可能性が高くなります。同業他社の求人をチェックして、募集業務の給与相場などを確認し、相場から大きく外れない程度の待遇を用意するとよいでしょう。


さまざまな採用手法を活用する

経験者採用を効率よく成功させるには、複数の採用手法を活用するのが効果的です。経験者採用に有効な採用手法には、以下のようなものがあります。

  • 転職サイト
  • リファラル採用
  • アルムナイ採用
  • ダイレクトリクルーティング

採用活動にかけられる予算や時間を考慮しつつ、複数の採用手法を試すことで、募集業務の経験・知識が豊富な人材と出会える確率が高くなります。


スキルと人柄の両方を確認する

経験者採用で、入社後に長く定着・活躍してくれる人材を採用するためには、求職者のスキルと人柄を両方チェックすることが重要です。
 
業務遂行能力やスキルがある人材であっても、その人の考え方や価値観などが自社にフィットしなければ、「この会社は自分に合わないな…」と感じられ、早期離職されるリスクがあります。
 
採用選考の段階で、人材のスキルと人柄を両方チェックし、自社にスキルフィットするだけでなく、カルチャーフィットできる人材かどうかも見極めましょう。
 
自社にカルチャーフィットする人材を採用する方法については、以下の記事で詳しく解説しています。カルチャーフィットを踏まえた選考を実施するため、ぜひご覧ください。
 
▼カルチャーフィットとは? 採用に取り入れる手順や見極め方を解説

  カルチャーフィットとは? 採用に取り入れる手順や見極め方を解説 本記事ではカルチャーフィットを採用時に重視するメリットや、採用に取り入れる手順などを詳しく解説します。カルチャーフィットを重視した採用を行なう際のポイントも紹介しますので、ぜひチェックしてください。 エン・ジャパン株式会社


成長できる機会を与える

経験者採用によって確保した人材は、募集業務に対する一定以上の経験値をもっています。しかし、前職までに培ってきた業務経験があるからといって、自社で何も育成を行なわないのはもったいないことです。
 
経験者採用で入社した本人が、即戦力として従来の業務をこなすだけでなく、「新しい知識やスキルを増やしたい」と前向きに考えている可能性もあるので、成長の機会を適切に与えましょう。

  • 今までの業務に関連する、新しい仕事にも挑戦してもらう
  • 今までの業務経験を活かして後進を育成してもらう

 
上記のように成長機会を提供することで、よりスキルや経験値の高い人材となり、自社に貢献してもらえるでしょう。


まとめ

経験者採用とは、企業が採用活動で「すでに社会人経験のある人材」や「募集業務に対して一定の経験・知識のある人材」を採用することです。今まで中途採用と呼ばれていた採用方法が、経団連の方針により、経験者採用へと表記変更される流れとなりました。
 
経験者採用には、業務経験や知識の豊富な人材を確保できるなどのメリットがあります。適した採用手法を実施し、待遇面を充実させるなどの取り組みを行なえば、自社で活躍してくれる人材を採用できるでしょう。


 
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