VUCAとは?VUCA時代に求められる企業変化、人材の採用・育成方法
新型コロナ感染症の流行、大規模災害の発生、IT技術の発展…予測困難な事象の発生が続く現代は、なかなか未来の予測ができなくなりました。そのような状況を表す「VUCA」は、ビジネスシーンでも注目を集めており、現代の様相を表しています。
そこでこの記事では、VUCAの用語を詳しく解説するとともに、VUCAの時代を乗り切るために企業に求められる変化や必要な人材とスキルを解説。さらに、VUCAの時代に適した人材を採用・育成する方法についても、求人専門のコピーライターである筆者がご紹介します。
目次[非表示]
- 1.VUCAとは
- 2.企業がVUCA時代を生き抜くために
- 2.1.ビジョンの明確化
- 2.2.イノベーションの創出
- 2.3.対応できる組織づくり
- 2.4.デジタル人材の採用・育成
- 3.VUCA時代に必要な人物像
- 3.1.リーダーシップを持った人材
- 3.2.情報収集力を持った人材
- 3.3.仮説思考力を持った人材
- 4.VUCA時代に適した採用・育成
- 5.まとめ
VUCAとは
VUCAとは先行きが不透明な状況を意味します。つまり、VUCA時代とは変動が激しく、将来の見通しがつかない時代という意味です。
もともとはアメリカで使用されていた軍事用語ですが、2016年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で使われたことをきっかけに注目される言葉となりました。
VUCAは4つの英語の頭文字を取った言葉です。以下では4つの言葉について見ていきます。
V:変動性
Vは変動性を指し、英語で言えば「Volatility」のことです。AIやビッグデータ、IoTなどテクノロジーは凄まじい勢いで進化を遂げています。特に感染症の拡大により、テクノロジーは大きな影響を受けました。ビジネスシーンにおいても、オンラインミーティングやリモートワークへの移行、営業・マーケティング手法のデジタル化といった変化を迎えています。
そうしたテクノロジーの発展により、社会の仕組み、市場の状況、消費者・顧客のニーズや価値観などは短期間でめまぐるしく変化していきます。この変動性が将来の予測を難しくしているのです。
U:不確実性
Uは不確実性を指し、英語で言えば「Uncertainty」のことです。現代は自然環境や制度が不確かなものになっています。例えば新型感染症の流行や大規模災害の発生、年功序列制や終身雇用制度の崩壊―――こうした不確実な事象は、未来もまた不確実に思わせるものです。
C:複雑性
Cは複雑性を指し、英語で言えば「Complexity」のことです。グローバル化が叫ばれて久しい現代では、各国の法律や文化、ルール、習慣が錯綜しています。そのため、例えば日本で成功したビジネスが海外でそのまま通用するとは限りませんし、逆も言えます。さらに、世界経済が日本にも大きな影響を及ぼすようになったことも特徴です。グローバル社会となった今、世界規模の課題が複雑に絡み合っています。
A:曖昧性
Aは曖昧性を指し、英語で言えば「Ambiguity」のことです。一つの事象に対して複数の解釈が見られる状態を言います。ビジネスシーンにおいては例えば、IT技術の発展で業界区分が曖昧になったことで、どの業界の常識を適用すべきかわからない、といったこともあるでしょう。“絶対的な答え”がないまま、物事に対峙しなければならないシチュエーションは増えています。
企業がVUCA時代を生き抜くために
将来の予測が難しくなったこのVUCA時代。企業が事業を存続し、さらなる発展を遂げるためにどのような対応を取れば良いのでしょうか。以下では、企業がVUCAに向き合う方法をご紹介します。
ビジョンの明確化
VUCA時代には未来の予測が困難な中で、変化する環境に適応することが求められます。軸となるビジョンがなければ、その場しのぎの対応になってしまうでしょう。企業が存続していくためには、経営層が明確なビジョンを持っていること、そしてビジョンが組織に十分に浸透しており、従業員それぞれが“自分事”として捉えていることが大事です。
イノベーションの創出
VUCA時代の現代において、“先例に倣う”だけでは事業存続は望めません。過去の常識や成功体験にとらわれてしまっていては、事業の先細りも考えられるでしょう。環境が変化していく中で、商品・サービスが顧客にとって必要でなくなってしまったり、より良い商品・サービスが生まれて選ばれなくなったり、といったことが起こり得るためです。
そのため今企業に求められるのは、イノベーションの創出です。イノベーションとは、革新的なアイデアや技術によって、新たな価値を創造することを指します。イノベーションを起こす条件は、一つが多様な人材を集めて意見交換の場をつくること、一つが企業全体で失敗を恐れずチャレンジする姿勢を持つことです。
対応できる組織づくり
雇用形態、労働時間、オフライン/オンライン勤務など―――人々の働き方も変化してきたVUCA時代。例えば、業務委託やフリーランス、リモートワークや時短勤務などの働き方も盛んです。だからこそ、どのような人材でも活躍できる環境を整えるために、新しい組織づくりが求められます。
そのため、新卒一括採用、終身雇用、年功序列など、従来のマネジメントから、幅広いキャリアや価値観を認めながら、活躍人材により魅力を感じてもらえるマネジメントに移行していかなければなりません。
デジタル人材の採用・育成
技術革新が盛んなVUCA時代に、最新技術を用いて商品・サービスの開発・改善が行なわれることも珍しくありません。そのため例えばデータサイエンティスト・AIエンジニアなどのデジタル人材を採用・育成することで、自社の商品・サービスの価値向上に寄与してもらえるでしょう。
▼「デジタル人材とは?」をまとめた記事はコチラ
VUCA時代に必要な人物像
VUCA時代は想定外の出来事が起こることも多く、そういった場面で柔軟に、スピーディーに対応できる人材が企業に求められます。ここでは、VUCA時代の人材要件をご紹介します。
次の章でVUCA時代の採用・育成について触れますが、どのような人材がVUCA時代の貴社を導いてくれるかぜひ考えてみてください。
リーダーシップを持った人材
環境の変化が見られたときに、組織を先導する力が必要です。リーダーシップを細分化すると、目指す未来=目的・目標を示すこと、次のアクションの意思決定や判断を行なっていくこと、メンバーが理解・共感できるように伝えること、などが挙げられます。
情報収集力を持った人材
VUCA時代にはこれまでのジャンル・領域にとらわれない商品・サービスが多数あり、一部の専門的な知識だけでは賄うことができません。そして、現代は情報社会でもあります。
そのため「信頼性の高い情報を選べるか?」「事象に対して柔軟に様々な解釈ができるか?」「トレンドを取り入れているか?」といった情報収集のスキルが欠かせません。
仮説思考力を持った人材
VUCA時代に仮説思考が求められる背景には、AI技術の発展があります。日本の半数の仕事はAIやロボットに取って代わられると言われています。データの数値化、単純作業を人間よりも正確にこなせるためです。
そこでデータをもとに動くAIやロボットにできない仕事を考えれば、データが十分に集まっていない課題への取り組みや、数値化できないアイデアの創造が挙げられるでしょう。そうした仕事には多くの「判断」が求められるため、仮説思考力を持った人間が必要です。
確実性のある仮説を考えて望ましい状態に近づけることができる。実際の状況と異なったときに、速やかに対応策を考えることができる。そういった仮説思考力を持った人材がVUCA時代に必要です。
VUCA時代に適した採用・育成
予測不可能なこの時代において、従来のビジネススキルだけでは対応できなくなってきています。そこで企業が行なうべきことは、VUCA時代に適した人材の採用・育成です。ここからは、その具体的な方法をご紹介します。
採用基準の見直し
前章ではVUCA時代に必要なスキルをお伝えしました。そこで、現在の採用基準がVUCA時代に適しているか見直してみるのも良いでしょう。とはいえ、すべてのスキルを持った人材はほとんどいません。
そのため「企業のビジョン・風土に合っているか?」「事業・組織の状況に合っているか?」などを考慮し、優先して必要なスキルを選定します。その際は「経験・知識・スキル」や「性格・価値観」に分けて整理していきましょう。
また、採用基準は都度見直すことをおすすめします。そのためには、活躍している既存社員の特徴を把握すること、そして今後活躍する社員のデータを蓄積していくことが大切です。
▼状況の変化が激しい時代だからこそ、そのときどきにどのような社員が活躍していたか把握することが重要です。そこで、社員データの蓄積・活用ツールをご紹介します。よろしければご覧ください。
スキルアップの支援
いかなる状況であっても、そして状況の変化が起ころうとも、その状況を乗り切ることができるスキルをポータブルスキルと呼びます。コミュニケーション能力、学び続けるスキルなど、様々なスキルが該当します。従来の研修に組み込みこともできれば、スキル習得のための研修を別途行なうこともできるでしょう。
しかし、社内に十分な教育リソースがあるとは限りません。そこでおすすめなのが、eラーニングシステムの利用です。例えば『エンカレッジ』であれば、900講座以上の中から企業の状況によって必要なスキルを学ばせることができます。
やりがいの提供
前述の通りVUCA時代には様々な働き方があります。そこで、企業が人材に選ばれ続けるためには、従業員がやりがいを持って働いていることが大切です。「自分がここで働く意味」を感じてもらえるよう、その企業“ならでは”のやりがいを生み出し、繰り返し伝えましょう。
■企業らしさが活きたやりがいの一例
ある企業が成し遂げたいビジョンは、最先端のIT技術の活用×地域の伝統の技術による地域経済の活性化。そのビジョンに共感している従業員が、IT技術の活かし方を考えるミッションに取り組むことで、ビジョンに近づくやりがいを感じられる。
求人専門のコピーライターを4年間手がけてきた筆者から、仕事のやりがいの魅力的な伝え方をご説明します。それは、「商品・サービスの特徴」×「企業・組織風土の特徴」×「仕事の特徴」をかけ合わせることです。
よくあるのが「仕事の特徴」のみを取り上げたものです。例えば、営業職で業績目標を達成する達成感だけをアピールするよりも、「商品・サービスがこうだからこそ目標の追い方がこうなる」「こういう志向の職場だからこそ達成するとこうなる」という説明を加えたほうが、より独自性のあるやりがいとなるでしょう。
そして、従業員が十分なやりがいを感じられるかどうかは、企業のビジョン、制度、ノウハウ、風土に大きく左右されます。従業員のマインドセットや頑張りに頼りすぎず、環境を整えていくことも必要です。
まとめ
将来の予測が難しく、めまぐるしく環境が変化していく「VUCA時代」。企業は人材の採用・育成についても考え直す必要がある点についてご理解いただけたでしょうか。
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