DXを推進するデジタル人材|スキル基準、活躍事例、採用のポイントを紹介
デジタル技術を活用したビジネスモデルの変革―――DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は、企業にとって早急に取り組みたい課題。そこで必要なのが、デジタル人材の存在です。
本記事ではデジタル人材の「スキル基準」や「活躍事例」のほか、求人専門のコピーライティングを4年間手がけてきた筆者から「デジタル人材を採用するポイント」についても解説します。
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目次[非表示]
- 0.1.デジタル人材の具体例
- 0.2.IT人材、DX人材との違い
- 0.3.経産省が定めるデジタルスキル基準
- 0.4.デジタル人材の活躍事例
- 1.企業がデジタル人材を登用するメリット
- 1.1.DX推進に寄与
- 1.2.市場における競争力の向上
- 2.デジタル人材が不足している理由
- 2.1.ニーズ増大による不足
- 2.2.デジタル人材の採用競争が激化
- 3.デジタル人材採用のポイント
- 3.1.必要なスキルを選定する
- 3.2.魅力付けを図る
- 4.デジタル人材の採用事例
- 4.1.品川区の事例
- 4.2.長崎県の事例
- 4.3.三弘紙業株式会社の事例
- 5.まとめ
デジタル人材とは
最新のデジタル技術を活用して、企業に“新しい価値”を提供できる人材のことを「デジタル人材」と言います。ここで言う技術とは、AI(人工知能)、ビッグデータ、IoT(モノのインターネット)、5Gなどのことです。
ここからは、「具体的にデジタル人材がどんな職種を指すのか」「IT人材・DX人材との違い」をご説明します。
デジタル人材の具体例
デジタル人材の具体的な職種を挙げると、DXプロジェクトの推進・管理を行なう「プロデューサー」「ビジネスデザイナー」。ほかにはビッグデータの分析を行なう「データサイエンティスト」、システム設計を行なう「アーキテクト」、システム開発を行なう「AIエンジニア」もあります。
また、分かりやすく使い心地が良いデザインの設計・改善を行なう「UI/UXデザイナー」、デジタルシステムの実装やインフラ構築を行なう「エンジニア・プログラマー」もデジタル人材の一例として挙げられます。
IT人材、DX人材との違い
- IT人材との違い
中小企業庁の定義によれば、IT人材とは「IT活用、情報システム導入の企画・推進・運用を行なう人材」となっています。似た言葉ではありますが、違いとしてはデジタル人材が「価値提供者」であるのに対し、IT人材は「運用者」であるという点にあります。
- DX人材の違い
DX人材とは名の通りDXを推進する人材のことを指します。DX人材はデジタル人材のように、必ずしもデジタル技術を有しているとは限りません。デジタルに関する専門スキルを持っておらず、ビジネス戦略やプロジェクト進行のスキルに優れた人材もまた、DX人材であるためです。
反対に、デジタル人材はDXに関する知識・スキルを持っていないこともあります。すなわち、デジタル人材とDX人材の違いは「提供する価値」と「所有スキル」です。
経産省が定めるデジタルスキル基準
「デジタルスキル基準」は、DX推進スキル・マインドの指針である「DXリテラシー標準」と、専門的な人材の採用・育成の指針である「DX推進スキル標準」の二つで構成されると言います。具体的には以下の図をご覧ください。
▼「DXリテラシー標準」の全体像
引用元:経済産業省|ニュースリリース|「デジタルスキル標準」をとりまとめました!
▼「DX推進スキル標準」の人材類型の定義
引用元:経済産業省|ニュースリリース|「デジタルスキル標準」をとりまとめました!
デジタル人材の活躍事例
デジタル人材が活躍することで、どのようにDXが進められていくのか、まだあまり想像がつかない方も多いでしょう。DXを推進する人材の育成、組織づくりに取り組んだ、人材大手のエン・ジャパンの事例をご紹介します。
DX推進グループでグループマネージャーを務める高橋氏は、学生時代に理系であり、プログラミングの授業を受けたことがあるデジタル人材です。
彼が当時所属していた組織では、Excelでキャパシティ管理を行なっていました。しかし忙しくなるほどに、多くの人々がアクセスすることで、Excelは不安定に。そこで、ノーコード・ローコードで、すなわちエンジニアでなくても、簡単に業務アプリを作成できるツールを利用することにしました。
また、さらなるDX推進に向けて組織づくりにも着手。社内公募制度や社内留学制度を用いて開発経験を問わず人材発掘を行ないました。そうすることで、意欲のある多様な人材が集まるためです。開発経験を不問とする一方、人材選定の際は“現場経験”を最重視しました。これは、業務アプリの作成可否や、必要な機能について、現場目線で話ができる人材を集めたいという考えからでした。
参考:ITmedia|ビジネスオンライン|「自分たちでやるしかなかった」――エン・ジャパンのDX推進リーダーが語る、人材・組織づくりの秘訣とは
企業がデジタル人材を登用するメリット
デジタル人材とDX推進の関連性について「デジタル人材がどうDXを進めるのか想像がつかない」「そもそもDXがよくわからない」という企業もあるかもしれません。本章ではデジタル人材が企業にもたらすメリットをお伝えします。
DX推進に寄与
そもそも企業がDX推進を行なう必要性は「2025年の崖」という問題に関係しています。経産省によると、企業のDXが進まない理由は複数に分かれます。事業部門ごとに独自に構築されてしまったシステム。そして、システムの過剰なカスタマイズによる複雑化・ブラックボックス化。そして、システムを利用する現場からの抵抗もあるでしょう。
こうした問題を放置することで、2025年以降に年間最大12兆円の経済損失が生じると予測されているのです。迫りくる2025年以降、経済的損失を出さないために、企業にとってDX実現は必要不可欠なもの。そこで、DXを推進するカギとなるデジタル人材に注目が集まっています。
参考:経済産業省|DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~
この背景を踏まえた上で、企業はデジタル人材から、DX推進という価値を提供してもらえるメリットがあります。例えば、デジタル化の取り組みによって、作業時間の削減や人件費の削減など、生産性の向上が見られるでしょう。さらに、ヒューマンエラーを防止する施策により、業務の正確性の改善も見込まれます。
市場における競争力の向上
スマホの普及やSNSの利用によって、消費者の行動や価値観が激しく変化している昨今。AI、IoT、ICT、クラウドなどデジタル技術の発展によって、次々に新しい商品やサービスが生まれ続けています。海外企業の市場参入も盛んです。
競争が激化しているからこそ、企業に求められるのは、ビジネスモデルの変革、商品やサービスの創造です。そのため、デジタル技術を用いて企業に新たな価値を提供するデジタル人材は、市場における競争力をもたらす存在です。
デジタル人材が不足している理由
現状、デジタル人材は、量・質ともに充実している状態ではありません。実際に、政府が推進する「デジタル田園都市国家構想」の基本方針を確認すると、DX推進を担うデジタル人材の不足数は「230万人」に及んでいます。ここでは、デジタル人材が大幅に不足している理由をご説明します。
ニーズ増大による不足
経産省の調査によると、まずIT人材の需要が供給を上回っている状況です。さらに、AIエンジニアについては求人数以上に潜在ニーズが潜んでいる可能性があります。そして、デジタル人材全体の需要ですが、コロナ禍をきっかけにネット系やEC系、物流系において急速なDX推進が必要となり、ニーズが増大しているとのことです。
デジタル人材の採用競争が激化
エン・ジャパンのアンケート調査によると、人材不足を実感する企業は82%であり、中でも人材不足が著しい職種トップ2の一つに「エンジニア」が入っています。人材が不足している部門がある企業のうち、今後の対応として第一位に「人材採用を強化」を挙げています。
▼エン・ジャパン|2022年「企業の人材不足」実態調査―人事向け情報サイト『人事のミカタ』アンケート―
ここで採用市場を見てみると、10年以上前からずっと「売り手市場」が続いている状況です。有効求人数を有効求職者数で割った「有効求人倍率」は、2024年2月で1.26倍となっています。
1倍を超えているということは、求職者よりも採用したい企業のほうが多く、採用が難しい市況であるということです。多くの企業が採用を取りやめていたコロナ禍初期の2020年でも、1倍を超えていたことから、「売り手市場」の解消はなかなか見込めないことが分かります。
▼有効求人倍率の推移
引用元:厚生労働省|一般職業紹介状況(令和6年2月分)について
また、厚労省の調査によれば、コロナ禍で一時的に人手不足が解消された業種もあるものの、再び人手不足の状況は大きく変わりません。少子化や高齢化が加速していくことを考えれば、デジタル人材のニーズ増大も踏まえると、採用激化は避けられないでしょう。
▼人手不足の動向
引用元:厚生労働省|2023年度第6回雇用政策研究会 関係資料集
デジタル人材採用のポイント
企業がDX推進を進めたいと考えていても、社内にリソースがない場合もあるかと思います。そこで本章では、デジタル人材の採用に向けて、求人専門のコピーライターとして4年間求人に携わってきた筆者から、ぜひ実行していただきたいポイントをお伝えします。
必要なスキルを選定する
採用を始めるにあたってまずは、企業側で自社の課題を検討し、「デジタル人材に期待すること」を決めておくことが重要です。その上で、技術的なスキルやビジネススキルの中で、どのスキルを持っていれば良いか選定していきます。
DX推進者の採用となると、様々なスキルを持った人材からの応募が考えられるため、“採用軸”を持っていることが大事になります。ただ優秀な人材を採ろうとするのではなく、企業にとって必要な価値を提供してもらえるかを考えて採用を進めていきましょう。
魅力付けを図る
魅力付けの一環として、上記で整理した「デジタル人材の採用によって実現したいこと」を伝えることが大切です。企業のビジョンと求職者のできること・やりたいことが一致しているときに、さらなるシナジーを生み出すことができるためです。
また、ビジョン実現のために提供できる“環境”もきちんと提示しておきましょう。その際に「裁量があります」と記載するのではなく、その度合いを示しておくと、求職者にはより魅力的に映ります。
例えば「提案・相談は誰にすれば良いか」「どのような場合に稟議が必要か」「予算はどうなっているか」といった情報を記載することができれば、求職者がDX施策を進めるイメージを持ちやすくなります。
デジタル人材の採用事例
ここからは、デジタル人材を実際に採用した自治体や企業の事例をご紹介します。採用時のポイントもあわせてご紹介していますので、ぜひご覧ください。
品川区の事例
品川区はエン・ジャパンを通じて、情報戦略担当やシステム標準化担当を募集し、デジタル人材2名の採用に成功しました。採用に至ったポイントの一つは、求人に「品川区でDX推進が必要な理由・背景」「入庁者に期待している役割」「意見発信ができる環境」「これまでのプロジェクト例」を詳細に記載していたこと。分かりやすい求人で、1008名もの応募につながっています。
▼品川区公募の採用成功レポートはコチラ
長崎県の事例
長崎県はエン・ジャパンを通じて、DX推進アドバイザーやメタバース活用アドバイザーを募集。プロ人材2名を採用できています。採用に至ったポイントの一つは、求人で「自身の知見が長崎県の発展につながること」「長崎発の成長企業をより増やせること」といった魅力をアピールしていたこと。デジタル人材の採用において、求職者へのメリット提示が有効だとわかります。
▼長崎県公募の採用成功レポートはコチラ
三弘紙業株式会社の事例
次にご紹介するのは、ダンボール回収事業を行なう三弘紙業株式会社という企業の事例です。『エン転職』で運行管理システムに関わる社内SEを募集し、エンジニア・社内SE業務の経験を持つデジタル人材の採用に成功しました。
3年前にシステムを導入したばかりの同社では、これからシステムを整えていく必要がありました。そこで求人では、役員からも直接頼られるやりがいをアピール。デジタル人材の採用に向けて「その企業でDX推進を図る意味」をいかに提示できるかが重要です。
▼三弘紙業株式会社の採用成功事例の詳細はコチラ
まとめ
企業のDXを推進するデジタル人材は、デジタル技術が急速に発展した今、欠かせない存在となっています。
求人でのデジタル人材の採用を考えているなら、おすすめなのが『エン転職』です。デジタル人材に企業や仕事の魅力を感じてもらい、長く活躍してもらうにはいくつかポイントがあります。その点、『エン転職』であれば、取材専門の「ディレクター」と求人専門の「コピーライター」に相談することができるため、積極的に採用を進めていくことができます。
前章でご紹介したデジタル人材の採用事例以外にも、多数の採用実績がありますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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