玉突き人事とは?メリット・デメリットと具体的な防止法


玉突き人事のイメージ


「玉突き人事」とは、空いたポジションの穴を埋めるために社員を連鎖的に異動させる人員配置の手法です。多くの場合、一時的な人員補充ができる反面、異動した当事者からは不満が生まれるケースも散見されます。


そこで本記事では、玉突き人事の基礎知識を解説するとともに、具体的な防止法を中心に解説していきます。


【Point!】

玉突き人事は異動者の離職リスクが高まるため、可能な限り避けたいところです。そのためには、採用段階から「定着する可能性が高い人材を採用する」ことが重要です。入社後の定着率が高い人を採用したいとお考えであれば、『エン転職』をご活用ください。エン・ジャパンが「入社1年以内の離職率」に関する調査を行なったところ、「エン転職」経由の入社者は「他サイト」より離職率が半分以下であることが判明しました。
 
 
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目次[非表示]

  1. 1.玉突き人事とは?
    1. 1.1.玉突き人事の語源
    2. 1.2.玉突き人事とジョブローテーションの違い
    3. 1.3.玉突き人事と通常の人事異動との違い
  2. 2.玉突き人事によるデメリット
    1. 2.1.異動者の能力が追い付いていない
    2. 2.2.異動者の適性があっていない
    3. 2.3.異動者の志向とあっていない
    4. 2.4.離職リスクが高まる
  3. 3.玉突き人事によるメリット
    1. 3.1.強制的な成長を促す
    2. 3.2.環境や課題の改善
  4. 4.玉突き人事を防止する方法
    1. 4.1.上司(管理職)の教育を行なう
    2. 4.2.上司と定期面談する機会をつくる
    3. 4.3.人事と定期面談する機会をつくる
    4. 4.4.前もって計画的な人事戦略を練る
    5. 4.5.その他、退職を防止する17のアイデア
  5. 5.まとめ


玉突き人事とは?

「玉突き人事」とは、空いたポジションの穴を埋めるために社員を連鎖的に異動させる人員配置の手法です。以下は、玉突き人事の一例です。


  • 「東京本社の営業部長」が急遽退職。
  • 「大阪支社長」を東京本社の営業部長に異動。
  • 「大阪支社の営業課長」を大阪支社長に昇進。
  • 「大阪支社の第1営業チームリーダー」を営業課長に昇進。
  • 「大阪支社の第2営業チームリーダー」が第1営業チームのリーダーも兼任。

 
このように一人の退職を機に、玉突き式に人事異動が繰り返されることを「玉突き人事」と言います。


玉突き人事の語源

配置転換とは。社員の勤務地・職種などを異動させる人事です。玉突き人事との大きな違いは、配置転換には「明確な目的や計画性」がある点が挙げられます。


たとえば、異動先事業の強化、異動者の昇進などを目的として配置転換を実施するケースが多いです。一方で玉突き人事は、突発的な欠員を埋めるために行なう移動となるため、多くの場合は計画的ではありません。


玉突き人事とジョブローテーションの違い

ジョブローテーションとは、社員の能力・スキルを向上させるために、定期的に職種・ポジションを変える人事異動です。ジョブローテーションは明確に期間が決まっているケースが多く、玉突き人事や配置転換と比較して、より計画的です。「例えば製造業の場合、製品が完成するまでにある複数の工程を、数年おきに異動して経験されるケースがあります。


複数の工程を経験することで、能力を高めるとともに、前後の工程を意識した仕事ができるようになる効果があります。また、目の前の業務だけではなく、全行程を俯瞰的にとらえられるようになるため、ポジションアップしていくためにもジョブローテーションは有効とされています。


玉突き人事と通常の人事異動との違い

玉突き人事と通常の人事異動は、大きく「目的」が異なります。

 
通常の人事異動は、「適切な人員配置による生産性向上・キャリア開発」が目的となるケースが多いです。異動候補者の経験・スキル・適性をよく吟味して、異動させるか否かを決定します。異動によって組織に好影響を与えたり、異動者本人の将来にも影響を与えたりするため、慎重に議論されます。

 
一方で、「玉突き人事」の目的は「早急な欠員補充」であるケースが多いです。
適性は検討されているものの、いち早く穴埋めすることが優先されるため様々な問題が生じます。

 
以下で、玉突き人事で発生する問題をご紹介します。


玉突き人事によるデメリット

玉突き人事は、主に欠員を補う目的で行なわれます。何よりも穴埋めまでのスピードが最優先されるため、様々な問題が生じます。その一例をご紹介します。


異動者の能力が追い付いていない

玉突き人事はその場しのぎの対処法として実施されるケースが多いです。異動者の能力を充分に吟味できていないことも多いため、異動後に能力不足に悩むことも少なくありません。特に「昇格」を伴う玉突き人事の場合、課長を部長に、リーダーを課長に、メンバーをリーダーに急遽引き上げたとしても、対応する能力が備わっていないことも考えられます。


異動者の適性があっていない

玉突き人事の結果、違う部署に異動するケースもあります。この時気を付けたいのが、「適性」のミスマッチです。例えば、営業部長として優秀だった方を、「商品企画」や「販促企画」の部長に異動させたとして必ずしも活躍できるとは限りません。それぞれ求められる適性が異なるためです。
 
しかし、玉突き人事はこうした適性を検討できないままスピード優先で抜擢することが多いため、適性のミスマッチも増えやすくなります。


異動者の志向とあっていない

もう1つ玉突き人事で気を付けたいのが、「志向」のミスマッチです。例えば、営業部長が人事部の部長に異動する場合。玉突き人事では、欠員補充が優先されるとはいえ、一度は異動者も承諾します。しかし、実際に働いてみて「本来やりたい業務と違った」ということが後から発覚することは少なくありません。


離職リスクが高まる

能力・適性・志向のミスマッチが発生している状態が長く続くと、離職の危険性も高まります。


特に「玉突き人事」が発生した部署では、急な対応に追われ、一時的に業務負荷がかかりがちです。異動者本人だけでなく、異動者を受け入れる部署の社員の負担も増えることを忘れてはいけません。

 
負担が増えれば、組織全体の士気やパフォーマンスを低下させることにも繋がります。そうなれば、玉突き人事をきっかけにさらなる「連鎖退職」が起きる可能性もあります。


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玉突き人事によるメリット

玉突き人事は多くのデメリットがありますが、一部メリットもあります。


強制的な成長を促す

玉突き人事は、異動者に新たな役割への適応を求めます。例えば、空いた部長のポジションに直下から順繰りに昇格する場合。課長を部長に、リーダーを課長に、メンバーをリーダーの役割を求めます。


また、営業部長を企画部長や総務部長に異動させるなど、同じポジションでもまったく違う職種としての役割を求めることもあります。

 
いずれにせよ異動者は、役割に対応するため、早期に成長しなければなりません。本来であれば昇格・ポジション変更するのに数年かかっていたものを、わずか数ヵ月で必要な能力を身に着け、結果的に組織も急成長する可能性もあります。


環境や課題の改善

問題を抱えた部署には、意図的に玉突き人事を行なうケースもあります。例えば、長年部長が変わっていない部署は、人間関係が固定化されがちです。そこに新たな部長を入れることで、人間関係がフレッシュになります。結果、部署が抱えていた課題が改善するなど、組織が活性化する効果にも期待できます。


玉突き人事を防止する方法

玉突き人事にはメリットがあることを解説しましたが、基本的には計画性に欠けて組織への負荷も大きいため、可能であれば避けたいものです。玉突き人事を防ぐためには、まず社員の退職を防止する必要があります。


退職相談をされてから、引き止めるのは簡単なことではありません。退職相談をする時点で、社員は退職意志を固めているケースがほとんどだからです。そのため、普段から退職を防止するフォローを行なうことが重要になります。

 
そこで、退職を防止する具体的な方法をご紹介します。


上司(管理職)の教育を行なう

上司と部下の折り合いがつかず、離職するキッカケになることも少なくありません。上司のスキルとして、管理を行なうマネジメントスキルはもちろんですが、部下とのコミュニケーションスキルも非常に大切です。

「上司としての心構えや心得」など、意識変革も含めた上司の教育が必要となります。



上司と定期面談する機会をつくる

業務内容の相談や年1~2回の評価面談だけでなく、部下の現状や悩みに寄り添い、部下の能力を引き出す定期面談の実施が有効です。


上司と部下が1対1で行なう対話「1on1」は、短いサイクルで定期的に実施し、「部下が上司に話して良かった」と思えることがゴールとなります。

 
部下の成長を促す「人材育成」のための時間であるため、「今」だけでなく「未来」のキャリアについても話すとよいでしょう。

 
今後についても相談できる環境をつくることで、上司と部下の信頼関係を作りやすく、良好な関係性を築く機会にもなるでしょう。


人事と定期面談する機会をつくる

上司と部下の面談で解決できればいいですが、話しづらいこともあるでしょう。悩みを打ち明けられる場所がないと、離職に繋がる可能性も高くなります。


そこで、上司以外、かつ全社に関わる部署として、人事との定期面談を実施することも有効です。


前もって計画的な人事戦略を練る

長期的な人事戦略を練ることは非常に重要です。社員のキャリアプラン(仕事に対する志向性)を把握したり、育成計画を検討したりすることで、「各組織の人事状況」を把握しやすくなります。急な欠員が出たときに、こうした情報をあらかじめ持っておくことで、誰を配置するのが適切かを判断しやすくなり、ミスマッチを防止できます。


人事戦略の考え方は、以下の記事で解決しておりますので合わせてご一読ください。


  人事戦略とは?│失敗しない立て方を事例つきで解説 近年、大手企業だけでなく、中小企業でも「人事戦略」の策定を行うケースが増えています。そこで今回は「人事戦略の定義」や「採用戦略や戦略人事との違い」「人事戦略が注目される背景」「人事戦略の立て方」について事例つきで分かりやすくご紹介します。 エン・ジャパン株式会社



その他、退職を防止する17のアイデア

  1. 報酬を上げる
  2. 福利厚生を充実させる
  3. 納得度が高い評価制度にする
  4. 社員からの相談室を設ける
  5. 育成・研修方法を変更する
  6. 企業の方向性・ビジョンを共有する
  7. 称賛文化をつくる
  8. 多様なキャリアパスをつくる
  9. 柔軟な働き方を実現しやすい環境をつくる
  10. 仕事量を改善する
  11. 転勤可否を都度確認しておく
  12. 社内交流を活性化させる
  13. メンター制度をつくる
  14. 企画から社員が行なう社内プロジェクト
  15. 定期的にストレスチェックを行なう
  16. 風通しの良い環境にする
  17. 企業理念の浸透を行なう

 
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まとめ

「玉突き人事」とは、空いたポジションの穴を埋めるために社員を連鎖的に異動させる人員配置の手法です。欠員補充を優先させるため、能力・適性・志向性のミスマッチが起きやすく、異動した社員が離職する危険性が高まります。


社員の成長を強制的に促すなど、玉突き人事によるメリットも一部ありますが、デメリットを鑑みると可能な限り避ける努力をしたほうが良いと言えるでしょう。

 
しかし、いざ「退職したい」と相談されてからは覆すのが難しいです。常日頃から退職懸念を生まないためのフォローをすることが重要になります。

 
また、採用段階で「退職しづらい自社とマッチした人を採用する」ことで退職を防止するという選択肢もあります。

 
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エン転職 採用ノウハウ編集部
「エン転職 採用ノウハウ編集部」は、HR業界で活躍している複数のメンバーで構成されています。構成メンバーは、現役の人事労務、1000社以上の企業を支援してきた採用コンサルタント、10年以上の経験を持つ求人専門のコピーライターなど。各領域の専門的な知識に基づき、企業の経営者・人事・採用担当者のお役に立てるように記事を執筆しています。 ※「エン転職 採用ノウハウ」はエン・ジャパン株式会社が運営している情報サイトです。
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