
人事向けセミナー&交流会「巻き込まれる人事」から「仕掛ける人事」へ │セミナーレポート
イベント概要
2026年9月17日、渋谷スクランブルスクエアにて、事業部人事・HRBP向けセミナー&交流会「『巻き込まれる人事』から『仕掛ける人事』へ」を開催し、約40社の企業の皆さまにご参加いただきました。本レポートでは当日のプログラム内容とともに、会場の盛り上がりや参加者の皆さまの様子をお届けします。
「巻き込まれる人事」から「仕掛ける人事」へ
〜数百万件のスカウトデータと現場の実践例から読み解く、生成AI時代のミドル・ハイクラス採用〜
◆事業部人事として「要件がズレる」「現場を巻き込めない」という課題にどう向き合うか
◆生成AIは、事業部人事の仕事と“採用の場”をどう変えていくのか
◆若手ハイクラス/ミドル層の採用市場トレンドについて
◆同じ悩みを持つ参加者と情報交換できる人事交流会を同時開催
目次[非表示]
- 1.イベント概要
- 2.基調講演
- 2.1.セッション1:スカウト・レジュメ検索データで読み解く若手ハイクラス・ミドル採用市場 有田 誠/エン株式会社 中途採用 求人広告・DR事業部 統括部長
- 2.1.1.企業の人材探しの基準は、経験“職種”から“能力”や“詳細な業務経験”へ
- 2.1.2.企業が求人媒体で人材を探す際のキーワードに変化が
- 2.1.3.「その経験が欲しい」の先に、何を伝えるか
- 2.1.4.ミドルには、年収を示せば伝わるのか
- 2.2.セッション2:すりあわせるって大変だ 採用活動における「ズレ」との向き合い方 河上 翔紀/株式会社トラックレコード プロフェッショナルサービスグループ グループ長
- 2.2.1.“要件・条件”ではなく“どんな人を・どんな理由で”採るのか
- 2.2.2.すり合わせがもたらした、現場の「変化」
- 2.2.3.すり合わせの質を支えるのは、日々の一次情報
- 3.パネルディスカッション~生成AIは事業部人事の仕事と“採用の場”をどうかえていくのか~
- 4.人事交流会
- 4.1.講演の後は、人事担当者同士の交流会へ
- 4.2.人事交流会の様子
- 5.開催後にアンケートを実施
- 5.1.参加者の満足度は92%!
- 6.自社の採用ターゲット・母集団形成を見直したい方へ
- 7.共催セミナー・イベントのパートナーを募集中
基調講演
セッション1:スカウト・レジュメ検索データで読み解く若手ハイクラス・ミドル採用市場 有田 誠/エン株式会社 中途採用 求人広告・DR事業部 統括部長
企業の人材探しの基準は、経験“職種”から“能力”や“詳細な業務経験”へ
600万円台・800万円台へのスカウトは、2023年度と比べて3倍以上に伸びている――。
これはエン株式会社の有田誠氏が、若手ハイキャリア向け転職サイト「AMBI」・ハイクラスミドル世代向け転職サイト「ミドルの転職」に蓄積された数百万件のスカウトデータを紹介する中で触れた変化の一つです。企業が「誰に声をかけるか」そのものが変わっているとの説明でした。
さらに、企業が人を探す切り口にも変化が。職種名だけでなく、具体的な経験や能力を見て候補者を探す動きが強まっているといいます。
企業が求める人材像が、より詳細に、より細かくなっている傾向があります。

2026年9月17日、エンとトラックレコードが共催した「『巻き込まれる人事』から『仕掛ける人事』へ」。有田氏からは「AMBI」「ミドルの転職」に蓄積されたスカウト・レジュメ検索データをもとに、若手ハイクラス・ミドル層の採用市場について解説がありました。そこで扱われたのは、企業の採用行動だけではありません。候補者がキャリアや仕事選びをどう考えているかという、受け取る側の意向についても語られました。
企業が求人媒体で人材を探す際のキーワードに変化が
それでは企業は今、どんな言葉で候補者を探し、誰に声をかけているのか。
まず有田氏が示したのは、「ミドルの転職」の2023年度から2026年度上期までの年収別スカウト受信数。600万円台・800万円台へのスカウトが大きく伸びるなど、企業が実際にどの層へ働きかけているのかが、媒体上での行動に表れています。
ただ、数字や順位の変化を見れば、全てが分かるわけではありません。有田氏が説明の中で例として挙げたのが、「AMBI」の検索キーワードランキングの中の「カスタマーサクセス」でした。

上記は、若手ハイキャリア向け転職サイト『AMBI』を利用した企業が、人材データベースを検索する際に使用したキーワードのランキングです。2025年では4位にランキングしていた「カスタマーサクセス」というキーワードが、2026年にはランク外になっています。
ただ有田氏によると、「カスタマーサクセスという職種の需要がなくなっているわけでは、決してない」ということです。職種名だけではなく、たとえばアップセルがどれくらいできるか、といった具体的な能力から人材を見る動きが出てきている。結果として、「カスタマーサクセス」というキーワードが検索ランキングから外れた、というのが実態である、と語ります。
ある職種名での検索が変わっても、その仕事への需要がなくなったとは限らない。企業が必要な人を探す言葉を変えているだけの可能性がある、と言います。
また有田氏は、若手キャリアでは転職前後で職種が異なる人が約60%にのぼることにも触れました。つまり若手の転職においては、同職種を選ぶ人より職種転換をはかる人の方が多いということになります。
この事実から、若手の採用を検討する企業が職種の枠を越えて候補者の経験や能力を見ることで、これまで検索条件の外にいた人との接点は広がると予想されます。結果として、多くの候補者と出会える可能性が高まる、ということができます。
カスタマーサクセス経験者を探すのか。既存顧客への提案を通じて売上を伸ばした人を探すのか。二つは重なる部分があっても、同じ条件ではありません。
以上のことから、いつもの職種名で候補者が見つからないとき、スカウトの量を増やす前に考えたいことがあります。必要な経験を持つ人を、検索条件の段階で外していないだろうか、ということです。
「その経験が欲しい」の先に、何を伝えるか
では、必要な経験を持つ人が見つかったら、何を伝えればいいのか。ここで有田氏は、キャリアビジョンの調査に関するデータを紹介しました。
「現在、キャリアビジョン(仕事で実現したいことや将来のありたい姿)はありますか?」という設問に対する回答データです。有田氏は、AMBIユーザーへの調査結果として「若手ハイクラスの77%が明確なキャリアビジョンを持たない」と整理しています。
この結果を、キャリアへの関心が低いという話に読み替えることはできません。分かるのは、仕事で実現したいことや将来像が、必ずしも明確ではないということだけです。
有田氏がそこで示したのは、「次のキャリアの具体性を候補者に示すことが有効である」ということでした。自社で得られる経験を具体的に提示することが、若手ハイキャリアへの訴求になるという見立てです。実際、スカウト文面にて入社後の活躍イメージや成長機会の提示を行った場合、応募率が向上した、というデータが紹介されました。
企業が伝えたいのは、これまでの経験をどう生かしてほしいか。しかし、候補者が考えたいのは、その仕事を経験した後、自分がどうなれるか、です。
たとえば、アップセルの経験に期待しているなら、どんな顧客を担当し、どこまで提案を任せるのか。既存の営業方法を実行する役割なのか、それとも仕組みからつくる役割なのか。同じ「経験を生かせます」でも、その中身によって、候補者が思い描く次のキャリアは変わります。
スカウトは、企業が候補者を評価した理由を通知するだけのものではありません。本人がまだ具体化できていない、次の選択肢を示す機会にもなるのです。

ミドルには、年収を示せば伝わるのか
一方、経験を重ねたミドル層はどうか。ミドルにおいては、年収や役職の提示が一番の訴求である、と考える方は多いのではないでしょうか。
有田氏は、「ミドルの転職」ユーザー2,126人に聞いた「転職の軸」調査も紹介しました。「仕事選びで最も重視する軸」を尋ねた結果から、年齢が上がるほど「年収」より「仕事内容」が重視されると整理しています。
年収が重要ではない、という意味ではない。ただ、条件の提示だけでは、候補者が知りたいことに答えきれない可能性がある。
何を任せられるのか。どんな体制で働くのか。これまでの経験を、どの課題の解決に使ってほしいのか。
若手のキャリアビジョンと、ミドルの仕事選び。異なる調査ですが、有田氏の話から見えてくるのは、どちらに対しても仕事内容を具体的に語る必要があるということです。
若手には、自社でどんな経験を得られるか。ミドルには、どんな仕事で経験を発揮してほしいか。
企業が知りたい「何ができる人か」と、候補者が知りたい「ここで何ができるか」は、別の問いと考えるべきです。
セッション2:すりあわせるって大変だ 採用活動における「ズレ」との向き合い方 河上 翔紀/株式会社トラックレコード プロフェッショナルサービスグループ グループ長
“要件・条件”ではなく“どんな人を・どんな理由で”採るのか
もっとも採用は、採用担当者だけで行うものではありません。現場としっかり合意形成をした上で進める必要があります。しかし現実では、それが思いのほか難しいケースがほとんどです。
「いい人が来ない」「もっと早く採用したい」「応募数が少ない」──すり合わせを行ったはずなのに現場からこうした声が上がるのは珍しくありません。そんなとき人事と現場の間では、「どんな人を・いつまでに・何人」のどこかで認識のズレが生じている、とトラックレコードの河上翔紀氏は語ります。期初に立てた採用計画と、事業部が日々直面する変化との間で、認識が少しずつ離れていくためです。
ここで「経験年数の条件を緩めませんか」と要件の話から入ってしまうと、現場との解像度が合わず議論は平行線になる。だからこそ、まずは現場が求める人物像と任せたい仕事を理解する必要があります。
河上氏はそのための問いとして、「ポジションが必要な理由」、「入社後半年で期待する成果」、「仕事を担う体制や権限」などを挙げました。それらを明らかにした上で初めて、入社時に必要な能力を考えるという順番です。
さらに、求める人材を実際に採用できそうかは、現場と一緒に確かめる。共に候補者のプロフィールを見て、会いたいか、その理由は何かを話す。条件を変えたときの候補者の顔ぶれや対象人数も確認する。こういったすり合わせが重要であると語ります。
すり合わせがもたらした、現場の「変化」
このような方法で、実際に現場と共に進行された採用活動として、「シニアのセキュリティエンジニアを3か月で1人採用したい」という前提から始まった実例が紹介されました。
当初の見立てでは、1人の採用に必要なスカウトは約300件。しかし、一緒に媒体の候補者データベースを確認すると、その要件で送れるスカウトは月50件程度。300件のスカウトを送るとなると、それだけで約6か月かかる計算になります。
では、採用要件を緩めたのか。
この事例の場合、選ばれたのは逆の方法でした。要件を維持して必要な専門性を優先。その分、時間がかかることは容認する。難しさが共有されたことで、現場もリファラルやSNSでの発信に積極的になるなど、協力体制に変化が見られた、といいます。
一緒にデータを見る目的は、現場に条件緩和を認めさせることではない。何を優先し、そのために誰がどう動くかを一緒に決めることである、と同氏は強調します。
すり合わせの質を支えるのは、日々の一次情報
このようなすり合わせの質を支えるのは、現場に関する日々の情報キャッチアップです。その内容は、なにも採用関連に限りません。例えば現場の事業戦略は何か。成長のボトルネックになっていることは何なのか。どんな仕事が増え、どんな能力を持つ人材が足りていないのか。
このような情報を得ることで、現場と同じ目線で語ることが可能になります。結果として信頼関係が生まれ、採用活動の品質自体も向上していきます。
一方採用のプロとして、市場の情報を日々キャッチアップしていくことも、もちろん必要です。急成長企業はどんな採用活動をしているか。候補者の転職動機はどのように変化しているか。こういった情報を保有していることもまた、現場の信頼感につながっていきます。

パネルディスカッション~生成AIは事業部人事の仕事と“採用の場”をどうかえていくのか~
AIがスカウトを「送る側」だけでなく「選ぶ側」にも活用されたら
イベント後半のパネルディスカッションでは、生成AIによって採用媒体や人事の仕事がどう変わるのかが議論されました。会場では、AIによるスカウト文面の自動生成機能も紹介されました。
候補者ごとに文面を考え、送る作業は、これからさらに効率化されていくことが予想されます。ただ、AIを使うのは企業だけではありません。求職者側でもAI活用が進む可能性は充分にあります。

「100件、200件届いているスカウトの中から、『あなたにマッチしているのはこの5件です』って、5件しか表示しないみたいなことが近い将来に来るんだろうなと思っています」
AIの活用が進めば、企業が大量にスカウトを送れるようになる一方で、候補者は大量に読まなくてもよくなります。そうなれば、送信数を増やすだけでは、候補者との接点は増えないかもしれません。
パネルでは、大規模な候補者プールの中でAIによる最適なマッチングを行う方向と、クローズドな場で顔を合わせ、直接話せる接点の方向へ、採用の場が二極化するのではないかという見方も示されました。単に「求職者にスカウトが送れる」だけの採用媒体は、今後存在意義を持ち続けられないかもしれません。キャリア形成を支える存在へ、どう変わるのかが問われていきます。
では、AI活用によって人事の存在意義はどう変わっていくのか。書類選考や日程調整のような実務は、AIが進行するようになるでしょう。その中で、人である人事担当者にしかできないこと。例えば候補者に「この会社は自分を本気で採用したいと思っている」と感じてもらう関係づくり。そういった、AIでは代替できない業務の重要性が、増していくのではないでしょうか。
河上氏は自身が「ご飯好き」であることに触れながら、候補者が一番食べたそうなお店をすぐ見つけるようなことも、人にしか担えないし、それが価値になるかもしれないと話しました。AIが文面を作れても、「なぜあなたなのか」「どんな仕事を任せたいのか」まで自動的に決まるわけではありません。
企業の「誰を探しているか」は候補者が「何を求めているか」につながる
今回見えてきたのは、企業が「誰を探しているか」と、候補者が「何を求めているか」を、別々に考えてはいけないということです。
AIによって検索やスカウトが効率化されても、自社が誰を、なぜ採りたいのかは決めなければならない。そして候補者には、その経験を生かして「ここで何ができるのか」を伝える必要があります。
「あなたの経験が欲しい」で留まらず、「その経験を生かして、ここで何を一緒につくれるか」まで伝えられるか。データを実際の採用につなげるために、考えたい問いです。
人事交流会
講演の後は、人事担当者同士の交流会へ
講演とパネルディスカッションの後には、参加した人事・採用担当者による交流会も実施。
本イベントは、事業部人事・HRBPなど、同じミッションを持つ担当者同士がつながり、採用のリアルな悩みや工夫を共有する場として企画されました。交流会では、中途採用の悩みや現場の巻き込み、採用業務での生成AI活用をテーマに、情報交換できる場が設けられました。
人事交流会の様子
軽食やドリンクを片手に、参加者同士で活発な情報交換や率直な意見交換が行なわれていました。また、登壇者であるトラックレコード社の河上翔紀氏や、エン社の有田誠氏とも交流いただき、大いに盛り上がる場となりました。






開催後にアンケートを実施
参加者の満足度は92%!
開催後、参加者にご回答いただいたアンケートにて、非常に満足している26%とやや満足している66%を合わせ、満足度は92%に及びました。

自社の採用ターゲット・母集団形成を見直したい方へ
「自社が求める人材は、採用市場にどれくらいいるのか」「どんな企業・職種の経験者まで対象を広げられるのか」「候補者に何を伝えれば、次のキャリアとして具体的にイメージしてもらえるのか」。エン株式会社では、「AMBI」「ミドルの転職」などのデータや実際の候補者像を見ながら、採用要件やターゲット設計、母集団形成、候補者へのアプローチを一緒に整理するご相談を受け付けています。
採用市場の実態を踏まえながら、自社に合った採用の進め方を考えたい企業さまは、ぜひご相談ください。
共催セミナー・イベントのパートナーを募集中
エン株式会社では、採用市場のデータや現場の事例をテーマにしたセミナー・イベントを、一緒に企画・開催いただけるパートナー企業さまを募集しています。共催をご検討の際も、お気軽にお声がけください。



















