定着率とは? 計算方法や離職率との違い、高い企業の特徴、向上させる方法


「定着率」のイメージ画像


人事における定着率とは、入社した従業員が企業にどのくらい定着しているかを表す数値のことです。定着率が高い企業は、従業員が自社で安心して長く働ける環境が整っていると判断されます。
 
その逆に、定着率が低い企業は離職が多く、従業員が何らかの原因で長く働けない状況であると判断されます。定着率が低いと、採用活動や人材育成にかかるコストが増えるため、企業としては定着率を向上させる必要があるといえるでしょう。
 
本記事では、定着率について詳しく解説します。定着率の計算方法や平均値、定着率が高い企業の特徴、向上させる方法などを説明しますので、「自社の定着率を上げたい」とお考えの方は、ぜひご覧ください。


目次[非表示]

  1. 1.定着率とは?
    1. 1.1.離職率との違い
  2. 2.定着率の計算方法
    1. 2.1.定着率を計算するタイミング
  3. 3.定着率の平均値
    1. 3.1.日本国内全体の平均値
    2. 3.2.就業形態別の平均値
    3. 3.3.業界・業種別の平均値
  4. 4.定着率を高める効果とメリット
  5. 5.定着率が高い企業の特徴
    1. 5.1.同業他社に比べて待遇が良い
    2. 5.2.人事評価制度が適切である
    3. 5.3.経営状況が安定している
    4. 5.4.人間関係が良好で風通しも良い
    5. 5.5.従業員のワークライフバランスに配慮している
  6. 6.定着率を向上させる方法
    1. 6.1.従業員満足度調査で課題を洗い出す
    2. 6.2.従業員の労働環境を見直す
    3. 6.3.給与や福利厚生など待遇を見直す
    4. 6.4.人事評価制度を見直す
    5. 6.5.人材育成・キャリアサポートを行なう
    6. 6.6.柔軟な働き方を実現させる
    7. 6.7.コミュニケーションを活発化させる
  7. 7.まとめ


定着率とは?

人事における定着率とは、「入社した従業員が企業にどのくらい定着し、働き続けているか」を表す数値のことです。定着率が高い企業は、従業員が安心して長く働ける環境が整っているため、離職が少ないと判断されます。
 
その逆に定着率が低い企業は、従業員が何らかの原因で長く働けない状況であるため、離職者が多くなります。定着率が低いと、人材採用や人材育成にかかるコストが増加するので、企業としては自社の定着率を向上させ、離職者を減らすことが重要です。


離職率との違い

定着率と混同されやすい言葉に、離職率があります。離職率とは「従業員が一定期間にどのくらい離職したか」を表す数値のことです。つまり、定着率と離職率は「定着率が低い=離職率が高い」という関係性となります。
 
また、定着率と離職率は合計で100%になります。たとえば、定着率が70%だった場合の離職率は30%です。離職率については、以下の記事でより詳しく解説していますので、気になる方はぜひご覧ください。
 
▼離職率の平均や計算方法は?高い会社の特徴と従業員を定着させる離職対策

  離職率の平均や計算方法は?高い会社の特徴と従業員を定着させる離職対策 業界別や性別ごとの最新の「平均離職率」や「計算方法」を公開。さらに、具体的な離職防止策を20種類ご紹介します。貴社の定着率アップに、ぜひお役立てください。 エン・ジャパン株式会社


定着率の計算方法

定着率の計算方法は、以下の通りです。


定着率(%)= 現在の従業員数 ÷ 入社時の従業員数 × 100



たとえば、入社時の従業員数が100人で、現在の従業員数が80人という場合の計算式は「80÷100×100=80%」となります。
 
ただし、定着率を算出する際、計測期間中に中途入社した従業員は計算に含みません。そのため正確な数値を算出したい場合は、以下の計算式を用います。


定着率(%)=(〇年前の入社人数-〇年間の離職人数)÷ 〇年前の入社人数 × 100


たとえば、直近5年間の定着率を計算したい場合において、5年前の入社人数が100人で、5年間の離職人数が30人だったとします。

この場合の計算式は「(100-30)÷100×100=70%」となります。つまり定着率は、計測期間によって数値が変動するということです。


定着率を計算するタイミング

定着率は、年単位で計算されるのが一般的です。厚生労働省などの公的機関では、年度初めの4月から、年度終わりの3月までを一区切りとするケースが多くあります。
 
また、新卒者の定着率を算出する場合は、入社してから3年後の数値を用いて計算するのが一般的です。ただし業界・業種によっては従業員の入れ替わりが激しく、離職者が多い場合もあるので、もっと短い期間で定着率を計算する企業もあります。
 
「自社の定着率を計算し、数値に応じた対策をとりたい」という場合は、自社の定着率だけ参考にするのでなく、同業他社の数値や、同業界の平均値なども考慮したほうがよいでしょう。


定着率の平均値

前述したように、定着率は業界や業種などによって、大きな差異があります。ここからは「国内全体の定着率・就業形態別の平均値・業界業種別の平均値」を紹介します。


日本国内全体の平均値

厚生労働省が発表した資料「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、日本国内全体の定着率は約85%でした。定着率を男女別に見ると、以下の数値となっています。

男性の定着率

約86.7%

女性の定着率

約83.1%

国内の定着率の平均値

約85%


参照:厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況」
 
なお、この定着率は正規雇用労働者・非正規雇用労働者をどちらも含めた数値です。定着率は、就業形態によっても変動します。


就業形態別の平均値

前項と同様の資料をもとに、就業形態別の平均値を見てみましょう。厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、一般労働者(正社員)とパートタイム労働者の定着率は、以下の数値となっています。

一般労働者
(正社員)

約88.1%

パートタイム労働者

約76.9%

国内の定着率の平均値

約85%


参照:厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況」


業界・業種別の平均値

業界・業種別の定着率の平均値は、以下の通りです。

業界・業種別の数値を見ると、サービス業の定着率が低くなりやすい傾向がうかがえます。原因のひとつとして、ほかの業界・業種に比べると非正規雇用労働者が多い点が挙げられるでしょう。

業界・業種

定着率

鉱業・採石業・砂利採取業

93.7%

建設業

89.5%

製造業

89.8%

電気・ガス・熱供給・水道業

89.3%

情報通信業

88.1%

運輸業・郵便業

87.7%

卸売業・小売業

85.4%

金融業・保険業

91.7%

不動産業・物品賃貸業

86.2%

学術研究、専門・技術サービス業

90.0%

宿泊業・飲食サービス業

73.2%

生活関連サービス業・娯楽業

81.3%

教育・学習支援業

84.8%

医療・福祉

84.7%

複合サービス事業

89.0%

サービス業(他に分類されないもの)

80.6%

 
参照:厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況」 


定着率を高める効果とメリット

企業が定着率を高めることには、以下のようなメリットがあります。

  • 採用コスト・育成コストを削減できる
  • 優秀な人材に長く働いてもらえる
  • 業務生産性が向上する

 
入社した人材が自社に定着しやすくなれば、採用活動や育成にかかるコストを削減できます。定着率が高い企業には、優秀な人材や自社に適した人材に、安定して長く働いてもらえる環境が整っているため、業務生産性も向上するでしょう。


定着率が高い企業の特徴

定着率が高い企業には、どのような特徴があるのでしょうか。ここからは、定着率が高い企業の代表的な特徴を5つ解説します。


同業他社に比べて待遇が良い

定着率が高い企業の特徴のひとつに、同業他社と比べて、従業員の待遇が良い点が挙げられます。

  • 給与・賞与が同業他社の相場に比べて高い
  • 休日数が多めで有給休暇も取得しやすい
  • 福利厚生制度が充実している

 
上記のように、同業他社に比べて待遇が良い企業は、従業員満足度が高く、定着率も高い傾向があります。


人事評価制度が適切である

人事評価制度が適切で、公平性が担保されている企業も、定着率が高い傾向にあります。従業員の成果や努力が、きちんと人事評価に反映される体制を構築しましょう。
 
成果や努力が、人事評価にきちんと反映される状況下では、従業員が達成感・充実感を得やすくなります。結果的に、従業員のモチベーションやエンゲージメントも高まりやすくなるため、安定的に長く働いてもらえるのです。


経営状況が安定している

経営状況が安定している企業も、定着率が高めです。業績が良好で、経営状況が安定している企業は、従業員に支払う給与水準も標準~高めな傾向があるため、給与などの待遇面で、人材が流出するリスクを減らせます。
 
また経営状況が良好な企業は、新規事業や新しいプロジェクトの立ち上げも、積極的に実施できます。業績が低い企業に比べると、従業員のスキル向上・キャリア形成を図りやすいため、「この会社には将来性がある」と評価され、長く働いてもらえる傾向があります。


人間関係が良好で風通しも良い

社内の人間関係が良好で風通しの良い企業も、定着率が高くなります。風通しの良い企業は、上司と部下の関係性も良好であるほか、チーム内のコミュニケーションも円滑なケースが多いでしょう。
 
「仕事で何か困ったとき、上司へ気軽に相談できる」
「大変なときお互いに支え合える同僚やチームメンバーがいる」
「会議で意見を言っても頭ごなしに否定されないため、安心して発言できる」
 
このように従業員同士の人間関係が良く、心理的安全性がきちんと保たれている企業は、居心地が良いので定着率も高くなります。


従業員のワークライフバランスに配慮している

企業側が従業員のワークライフバランスに配慮している企業も、定着率が高くなります。たとえば以下のような取り組みをしている企業は、従業員が働きやすい環境を整えられているため、定着率が高くなりやすいでしょう。

  • 長時間労働を是正するための取り組みを行なっている
  • 在宅勤務やフレックスタイム制など、柔軟な働き方を取り入れている
  • 有給休暇や産休育休など、休暇制度を活用しやすい雰囲気を醸成している
  • 定期的にストレスチェックを行なって、従業員のケアに努めている


定着率を向上させる方法

ここからは、定着率を向上させる方法を7つ解説します。自社の現状をしっかりと分析し、改善すべき優先度が高い部分から着手するとよいでしょう。


従業員満足度調査で課題を洗い出す

自社の現状を分析し、課題点を洗い出す方法として、従業員満足度調査(ES調査)が有効です。従業員が企業に対して感じている不安・不満・疑問などを、専用アンケートや専用ツールによって調査し、自社の課題点を洗い出しましょう。
 
調査を行なったら結果を集計し、社員の不安や不満が蓄積されている項目を抽出して、改善対策の優先順位をつけていきます。優先度の高い課題から改善策を実行し、定着率アップにつなげましょう。


従業員の労働環境を見直す

労働環境は従業員満足度に直結するため、不満を感じている人が多い場合は、早めに見直したほうがよいでしょう。

  • 有給休暇を取得しやすい体制を構築する
  • 残業を減らすため「ノー残業デー」を導入する
  • 休日出勤を削減するため週休二日制を導入する
  • 業務目標を見直して従業員が無理しなくてもよい体制をつくる
  • 業務分担や業務プロセスなどを見直して従業員の負担軽減を図る

 
上記のような改善を実施し、従業員が長く勤めやすい環境を整えましょう。


給与や福利厚生など待遇を見直す

「同業他社よりも給与・賞与が低い」「福利厚生制度が充実していない」など、従業員の労働条件に問題がある場合は、待遇を改善しましょう。

  • 給与・賞与を相場に合わせる
  • 資格取得支援制度を導入する
  • 誕生月休暇を導入するなど休暇制度を充実させる
  • 住宅手当や在宅手当などの各種手当を充実させる

 
こういった待遇改善を実施し、従業員の満足度を向上させましょう。待遇を見直すときは、従業員に「会社からどのような補助があると嬉しいか?」などをアンケート調査するのもおすすめです。


人事評価制度を見直す

「従業員の成果や取り組みを評価に反映しにくい」といった課題がある場合は、人事評価制度を見直しましょう。成果や努力が正当に評価されなければ、優秀な人材が他社へ流出してしまう可能性があります。
 
人材の流出を防ぐためにも、人事評価制度の公平性や客観性を担保することは重要です。評価項目・評価基準・評価方法を見直して、適正な評価制度を構築しましょう。


人材育成・キャリアサポートを行なう

人材育成やキャリアサポートを積極的に行なうことも、定着率アップにつながります。人材育成やキャリアサポートを実施すると、従業員が「この会社で働いていればスキルアップできる・成長できる」と感じられるため、前向きな気持ちで長く働きやすくなります。

  • キャリア面談の機会を設ける
  • キャリアデザインの研修を行なう
  • メンター制度などの育成制度を導入する

 
上記のような取り組みを行なうほか、人事異動の際に、従業員の希望をある程度は実現するのもよいでしょう。


柔軟な働き方を実現させる

テレワークやフレックスタイム制などを導入し、柔軟な働き方を実現させることも、従業員の定着率アップに有効です。現代は労働者の価値観や、生活スタイルが多様化しています。
 
従来通りのフルタイム出社勤務だけでなく、多様な働き方ができる組織体制を構築することにより、従業員が自身の望むワークライフバランスに合わせて、長く働き続けられるでしょう。


コミュニケーションを活発化させる

社内のコミュニケーションを活発化させ、風通しを良くする取り組みも大切です。社内のコミュニケーションが円滑になると、業務上のやり取りや相談もしやすくなるため、従業員が悩みや不安などをひとりで抱え込むリスクを防げます。
 
コミュニケーションを活発化させる取り組みには、以下のようなものが挙げられます。導入できそうなものから取り入れるとよいでしょう。

  • フリーアドレス席をつくる
  • 社内でイベントを実施する
  • 社内でサークル活動を行なう
  • 休憩室やリフレッシュスペースを設置する
  • 上司と部下の1on1ミーティングを定期開催する
  • 相談窓口を設置して気軽に相談できる環境をつくる
  • 社内SNSなどのコミュニケーションツールを導入する


まとめ

定着率の計算方法や平均値、定着率が高い企業の特徴、向上させる方法などを解説しました。定着率とは、「入社した従業員が企業にどのくらい定着し、働き続けているか」を表す数値のことです。
 
定着率が高い企業は、従業員が安心して長く働ける環境が整っていると判断されます。「採用活動や人材育成にかかるコストを削減できる」などのメリットがあるため、定着率はなるべく高いほうがよいでしょう。

定着率を高めるには、「労働環境や待遇を見直す」「社内のコミュニケーションを活発化させる」などの対策方法があります。また、このほかにも「自社とマッチ度の高い人材を採用する」ことも、定着率向上につながります。


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