「残業したくない」という人の本音や残業削減に必要な取り組みを紹介
近年、厚生労働省が推進する「働き方改革」の影響により、長時間労働を是正する取り組みが注目されています。残業削減に取り組む企業が増えているため、労働者の働き方は、少しずつ変化しているといえるでしょう。
また、労働者の仕事への考え方も時代とともに変化しているため、「残業が多い会社よりも、自分に適したワークライフバランスで働ける会社に勤めたい」と考えて就職先を選ぶ人も多くなっています。
本記事では、上記のように「残業したくない」と考える労働者の本音や、残業削減に必要な取り組みなどを解説します。残業の平均時間や、一般的に「長い」と感じる残業時間など、残業についてさまざまな観点から解説しますので、従業員の定着率にお悩みの方はぜひご覧ください。
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「残業したくない」という人は比較的多い
総合人材サービスを展開するエン・ジャパンが、残業についてのアンケートを実施。12,000件を超える回答が寄せられ、その結果を集計したところ、「残業したくない」と考えている労働者は比較的多いと判明しました。
下記のグラフは「転職活動をするうえで、残業の有無や平均時間は、企業選びにどの程度影響しますか?」という質問への回答を集計したものです。
また、上記の質問への回答を年代別にまとめたものが、以下のグラフとなります。20代から40代以上まで全年代において「とても影響する」と回答した人の割合が多くなっています。
出典:エン・ジャパン「アンケート集計結果 第95回『残業』について」
上記の回答について理由を伺ったところ、「残業の有無や平均時間が企業選びに影響する」と答えた理由として、次のような意見が挙げられていました。
残業が前提になっていて、「みなし残業代を越えないようタイムカードを切らされる」というような職場で働いていました。 |
基本的には「その環境で本当に自分自身をスキルアップさせられるか」を重要視しますが、やはり残業の平均時間も少し見ます。 |
上記のアンケート調査の結果から「残業の有無や平均時間が、労働者の企業選びに大きく影響する」「残業に対してネガティブな印象をもつ人がいる」といった様子がうかがえます。
もちろん繁忙期など特定の事情がある場合は、法律で定められた範囲内の残業であれば、仕方ない部分もあるでしょう。しかし、残業をなるべく削減できるように対策している企業のほうが、人材を確保しやすい側面もあるようです。
「残業したくない」と感じる主な理由
続いて、労働者が「残業したくない」と感じる代表的な理由を3つ解説します。
人間関係など職場の環境が悪いから
下記のような理由で職場の環境が悪く、「残業せずに早く帰りたい」と感じている労働者は多くいます。
- 社内の人間関係が悪くてギスギスしている
- 上司からハラスメントを受けていてつらい
- チームメンバーに威圧的な人がいて仕事しづらい
また、このほかにも「職場の衛生環境が悪い」「快適に仕事できる作業環境が整っていない」などの理由で、心地よく仕事ができない状況に悩んでいるため、残業してまで働きたくないと感じている人もいます。
自分に適したワークライフバランスで働きたいから
従来の日本社会は、「終身雇用を前提として企業に尽くし、1日8時間フルタイム出社で勤務する」というような働き方が一般的でした。しかし近年は、社会のグローバル化や少子高齢化などの影響により、労働者の働き方や仕事への価値観が多様化しています。
時代が変化するなか、「自分に適したワークライフバランスで働きたい」と考える人も増えています。1日の時間を仕事だけに費やすのではなく、家族との時間や自分の時間も大切にしたいと考えているため、残業を避ける傾向があります。
人事評価やキャリア形成につながらない仕事をしたくないから
「残業したくない」と思う労働者のなかには、評価されない仕事や、キャリアアップにつながらない仕事で残業するのは嫌と感じている人もいます。
逆に言えば、人事評価においてプラスの評価をされる仕事や、自分自身が望むキャリアアップのために重要な仕事ならば、ある程度は残業をしてもよいと考えている人もいるということです。
「長い」と感じる残業時間
続いて、残業時間について深掘りします。平均的な残業時間や、一般的に「長い」と感じる残業時間はどのくらいなのか解説しますので、参考にしてください。
平均的な残業時間
厚生労働省が発表した資料「毎月勤労統計調査 令和5年12月分 結果確報」によると、一般労働者の月平均残業時間は13.9時間、パートタイム労働者の月平均残業時間は2.3時間でした。ただし残業時間は、業種や職種によって大きく異なります。
また、厚生労働省の調査は、事業者を対象に行なわれているため、「勤怠管理システムに登録されていない」などの理由で、従業員の残業時間を事業者が正確に把握できていないケースもあります。平均値はあくまでも目安として考えたほうがよいでしょう。
20時間未満なら比較的「短い」と感じる人が多い
一般的に、残業時間が月20時間未満の場合は、「短い」と感じる傾向があります。残業時間が月20時間未満であれば、1日当たりの残業時間は1時間未満と短いからです。
サービス残業が無く、きちんと勤怠管理されている残業時間が1日当たり1時間未満なのであれば、比較的「短い・適正である」と感じる人が多いでしょう。
30時間を超えると「厳しい」と感じる人が増える
残業時間が月30時間を超えると「厳しい・キツイ」と感じる人が増えます。残業時間が月30時間以上だと、1日当たりの残業時間が1時間を超えるケースが多くなるからです。
たとえば定時が18時である場合、1.5時間の残業をすると、退社するのは19時30分となってしまいます。自宅と勤務先に距離がある場合、帰宅時間が20時を超えてしまうケースもあるでしょう。
「繁忙期などの影響で、一時的に残業時間が増える」といった状況も考えられます。その場合は一時的であるため、労働者側も受け入れやすい傾向ですが、時期に関係なく月30時間を超えてしまうと「体力的・精神的につらい」と感じる人が多くなります。
残業時間が多いと退職者が増加する可能性も
残業時間が毎月のように多いと、退職者が増加する可能性があります。エン・ジャパンが実施したアンケート調査によると、退職を決めた理由のTOP10に「残業・休日出勤などがあり拘束時間が長かった」がランクインしています。
また、退職者の約7割が「本当の退職理由を会社側へ伝えていない」という結果も出ています。
上記のアンケート結果から、「残業時間の長さによって退職を決意する労働者もいるが、その本音を会社側へ伝えていない可能性がある」という状況がうかがえます。
残業時間の長さが退職の決め手となってしまわないように、日ごろから残業削減の取り組みを実施したほうがよいでしょう。
残業を減らすためマネジメント層に必要な取り組み
ここからは残業を減らすため、企業のマネジメント層に必要な取り組みを3つ解説します。
職場環境を良好にする
従業員の残業を減らすためには、職場環境を整える必要があります。たとえば職場のコミュニケーションを活性化させ、業務の相談や引き継ぎをスムーズに行なえるようにしたり、チームメンバー同士の協力体制を構築したりすると、仕事が円滑に進むようになるでしょう。
また、職場で使っているデジタル機器や仕事道具などを、定期的に点検したり新しいものへ入れ替えたりして、従業員にとって快適な環境を整えるのも効果的です。
適正な仕事量をアサインする
管理職がチームメンバーへ仕事を割り振る際、その仕事量が適正かどうか、きちんと見極める必要があります。管理職側が勤務時間内では到底終わらないような、多すぎる仕事量を割り振った場合、部下側は仕事を終わらせるために残業するほかなくなってしまうからです。
残業を前提として仕事量を決めるのではなく、部下が勤務時間内でこなせる適正な仕事量をアサインするようにしましょう。
適正な仕事量をアサインするためには、部下一人ひとりの能力やスキル、得意・不得意分野をきちんと把握する必要があります。日ごろから部下と適切なコミュニケーションをとり、現状を把握しましょう。
どうしても残業を減らせない場合は?
「業務上、慢性的な人手不足がなかなか解消できない」
「ほかの業種に比べて繁忙期が比較的長い」
このような事情があり、どうしても残業が減らせない企業もあるでしょう。
どうしても残業を減らすのが難しい場合は、採用時に「残業をしてでも稼ぎたい」「稼げるなら残業をすることに抵抗がない」という人材を選んで自社とのマッチ度を高め、退職者を減らす手段も有効です。
株式会社識学が労働者へ行なったアンケート調査によると、金銭的な理由により「できれば残業したい・どちらかと言えば残業したい」と考える人が、全体の2割程度いることが明らかとなっています。
出典:HR pro「残業代がないと生活が苦しい…」ダラダラ残業をする人が5割近くいる実態。「残業している人の方が稼いでいる」との声も
上記のアンケート調査では「できれば残業したい・どちらかと言えば残業したい」と回答した理由として、「給料が増えるから」「残業代なしでは生活が苦しいから」などの意見が挙げられていました。
何らかの事情で、どうしても残業を削減するのが難しい場合は、採用面接などのタイミングで残業をどのくらい許容できるか求職者へ確認し、「残業をしてもよい」という人材を採用すれば、残業による退職を避けられるでしょう。
まとめ
「残業したくない」と考える人の本音や、残業削減に必要な取り組み、残業の平均時間などを解説しました。残業時間の長さは、従業員のモチベーションや健康状態にかかわります。
残業時間が毎月のように長く、従業員の負担が大きい場合、退職の決め手となってしまう可能性があるため注意しましょう。
ただし何らかの事情があり、残業時間を減らすのが難しい場合は、「残業に抵抗がない」「残業をしてでも稼ぎたい」と考えている人材を採用するのもひとつの手です。
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