プレイングマネージャーとは|役割や必要なスキル、課題への対策を解説
プレイングマネージャーとは、現場で売上などの成果を出す「プレイヤー」の役割と、部下のマネジメントを行なう「管理職(マネージャー)」の役割を両方担当する人のことです。
近年、多くの企業でプレイングマネージャーが増えています。しかしプレイングマネージャーは、業務スキルだけでなく、マネジメントスキルも必要な難しい役職であるため、誰でも簡単にこなせるわけではありません。
本記事では、プレイングマネージャーの具体的な役割や必要なスキル、抱えやすい課題への対策などを解説します。プレイングマネージャーが業務をスムーズに遂行するために必要な対策を紹介しますので、ぜひお役立てください。
目次[非表示]
- 1.プレイングマネージャーとは?
- 1.1.プレイングマネージャーの役割
- 1.2.管理職(マネージャー)との違い
- 2.プレイングマネージャーが増加している理由
- 3.プレイングマネージャーに必要なスキルと資質
- 3.1.時間・タスクを管理する能力
- 3.2.コミュニケーション能力
- 3.3.指導力・育成力
- 3.4.バランス感覚
- 3.5.成長意欲
- 4.プレイングマネージャーが抱えやすい課題
- 4.1.業務負担が多い
- 4.2.人事評価が難しい
- 4.3.上層部がマネジメント不足に気づきにくい
- 5.プレイングマネージャーを導入するときのポイント
- 5.1.組織の体制を整える
- 5.2.方針を明確に定めて周知させる
- 5.3.プレイングマネージャーへのサポートも実施する
- 6.まとめ
プレイングマネージャーとは?
プレイングマネージャーとは、現場の仕事を行なう「プレイヤー」の役割と、部下をマネジメントする「管理職(マネージャー)」の役割を両方担当する人のことです。
プレイングマネージャーは、現場で売上などの個人的な成果も追いながら、部下の教育やタスク管理、フォローなどもこなします。
プレイングマネージャーの役割
プレイングマネージャーには、主に2つの役割が期待されています。1つは現場のプレイヤーとして、売上金額や本数といった個人の業務目標を達成すること。もう1つは管理職(マネージャー)として、チーム全体を目標達成へ導くことです。
プレイングマネージャーは、現場のプレイヤーでありながら、チームをけん引する立場でもあります。チームメンバーに働きかけてモチベーションをアップさせたり、業務の進捗管理や人材育成を行なったりして、チーム全体を引っ張っていく力が必要な役割です。
管理職(マネージャー)との違い
プレイングマネージャーは、現場の業務と部下のマネジメントを両方こなす立場です。対して通常の管理職(マネージャー)は、部下のマネジメントだけに注力します。
通常の管理職(マネージャー)は、「チームの目標設定・方針の決定・人材教育・人員配置」などの役割をメインとしています。そのためチームの指揮をとることはあっても、個人的な成果を上げるために、現場でプレイヤーとして活動することは、基本的にありません。
プレイングマネージャーと管理職が両方いる組織の場合は、プレイングマネージャーが管理職(マネージャー)の下につくのが一般的です。
プレイングマネージャーが増加している理由
プレイングマネージャーを導入する企業は、1990年代から徐々に増加しているといわれています。ここではプレイングマネージャーが、企業から求められている理由を3つ解説します。
不景気により人件費削減が必要となったため
プレイングマネージャーは、1990年代初頭に起こったバブル崩壊がきっかけで、国内企業に普及したといわれています。日本はバブル崩壊後、不景気となったため、企業は人件費を削減しながら業績を向上させる必要に駆られました。
人員を整理して少ない従業員数で業績を上げるために、現場の業務(プレイヤー)と管理業務(マネージャー)を兼任するプレイングマネージャーが設けられるようになったのです。
IT化・グローバル化などの社会変化があったため
日本社会のIT化や、グローバル化などの変化も、プレイングマネージャーが増えている理由のひとつです。社会のIT化が進むにつれ、業務を効率化させて、より多くの成果を出すことが求められるようになりました。
また、社会のグローバル化が進むにつれて、企業同士の生存競争は年々激化しています。グローバル社会のなかで企業が長く存続するためには、時代の変化に迅速かつ柔軟に対応し、業務遂行や意思決定の速度を早めることが重要です。
こうした社会の変化に対応するべく、プレイングマネージャーという役割が、より注目されるようになりました。プレイングマネージャーには、経営層の意向をくみ取りつつ、現場を迅速に動かして成果を出す役割が期待されているのです。
評価システムが成果主義へ変化しているため
日本国内の企業では、年功序列を反映させた人事評価システムが、長らく活用されてきました。しかし年功序列制度には、社員の高齢化にともなって人件費が増幅するという問題点があります。
バブル崩壊後、企業は人件費をなるべく削減するため、人員整理や人事評価システムの改定など、試行錯誤を繰り返してきました。近年では景気後退を危惧して、長期的にみるとコストが増える年功序列ではなく、成果によって待遇を決める「成果主義の人事評価システム」を導入する企業が増えています。
プレイングマネージャーは、自身も現場で成果を出す立場であるため、成果主義と相性が良い役職として企業から重宝されています。人事評価システムの主流が、成果主義へ移行していることも、プレイングマネージャーが注目されている要因といえるでしょう。
プレイングマネージャーに必要なスキルと資質
ここからは、プレイングマネージャーに必要なスキルと資質を5つ解説します。「どのような人材をプレイングマネージャーに抜擢すべきか知りたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
時間・タスクを管理する能力
プレイングマネージャーは個人的な成果だけでなく、チームとしての成果を上げることも期待される役割です。そのため以下のように、多くの業務を担う必要があります。
- プレイヤーとして現場の業務をこなす
- タスクに優先順位をつけて部下へ仕事を割り振る
- 部下のスキルと業務進捗を見極めてフォローする
- チーム目標などを設定して達成に向けて人材教育する
プレイングマネージャーは業務量が多く、多忙になりやすいため、時間やタスクを管理する能力が必要です。自分と部下の力量を見極めながら、適切に仕事を割り振り、効率よく業務遂行する能力が求められます。
コミュニケーション能力
プレイングマネージャーには、コミュニケーション能力も不可欠です。チームメンバーの業務をサポートしたり、モチベーションを上げたりする必要があるため、他者と積極的に関わって信頼関係を築く能力が求められます。
指導力・育成力
プレイングマネージャーには、指導力や育成力も必要です。組織として業務目標を達成するために、チーム全体の指揮をとり、メンバーをけん引していく力が求められます。
- 自分のもつスキルや知見を部下へ教えられる
- 部下が成果を上げたとき適切に褒めてあげられる
- 部下が失敗したとき適切に叱ったりフォローしたりできる
上記のように、指導力と育成力を兼ね備えた人材が望ましいでしょう。
バランス感覚
プレイングマネージャーは、プレイヤーとマネージャー両方の役割を担当するため、バランス感覚も重要です。
どちらか片方へバランスが偏った場合、もう片方の業務がおろそかになってしまいます。自分自身を客観的に見て、おろそかになっている仕事はないか注意し、適切な業務バランスを保ち続ける必要があります。
成長意欲
プレイングマネージャーには、現場のプレイヤーとして個人目標を達成するだけでなく、チームメンバーを管理・育成する役割もあるため、多くの能力が必要です。
今までプレイヤーとして優秀な業績を収めてきた人物であっても、マネージャーとして初級者ならば、新たに身につけなくてはならないスキルが増えるでしょう。新たなスキルを学ぶための機会を「自分の成長機会」ととらえて、意欲的に取り組める人材が適しています。
プレイングマネージャーが抱えやすい課題
続いて、プレイングマネージャーが抱えやすい課題を3つ解説します。プレイングマネージャー本人だけでは解決できない課題もあるので、チェックしておきましょう。
業務負担が多い
プレイングマネージャーがもっとも大変な点は、プレイヤーとマネージャー両方の役割をこなすため、業務負担が多くなりやすいことです。
業務過多になりすぎると、プレイングマネージャーが心身の調子を崩してしまうケースも考えられます。チームのなかで業務分担の割合を見直し、プレイングマネージャーの負担をなるべく軽減する取り組みが必要です。
人事評価が難しい
一般的にプレイングマネージャーは、複数の業務目標を抱えています。たとえば以下のような目標です。
- プレイヤーとしての個人の売上目標
- プレイヤーとしての個人の行動目標
- マネージャーとしてのチームの売上目標
- マネージャーとしてのチームの行動目標
ひとりで複数の目標を抱えていると、評価基準を明確に定めにくいため、人事評価が難しくなります。
「個人の目標は達成したが、チームの目標は未達だった」といった事態や、その逆パターンが生じた場合に、業績をどう評価するのが妥当か、判断に迷うケースがあるでしょう。
上層部がマネジメント不足に気づきにくい
プレイヤーとして優秀な人材が、必ずしもマネジメントに向いているとは限りません。マネジメントスキルが不足している場合に、プレイングマネージャー本人が、足りていないスキルをプレイヤーとしての能力で補ってしまう場合があります。
マネジメントスキルをプレイヤーとしての能力で補ってしまった結果、「○○部門の業績は高いが、実はそのほとんどをプレイングマネージャーがひとりで上げていた」といった状態に陥るケースがあるのです。
この場合、成果自体は上がっているために、上層部がプレイングマネージャーのマネジメント不足に気づきにくくなります。結果的に、チームの組織力が向上されないまま、時間が過ぎてしまう可能性があるため要注意です。
プレイングマネージャーを導入するときのポイント
上記で説明した課題点を踏まえて、プレイングマネージャーを導入するときのポイントを4つ紹介します。
組織の体制を整える
まずはプレイングマネージャーの導入に向けて、組織の体制を整えましょう。プレイングマネージャーの業務負担を軽減させ、プレイヤーとマネージャー両方の業務をスムーズに遂行できる体制づくりを行ないます。
たとえば業務ルールやマニュアルを改善し、プレイングマネージャーがいない状況でも、チームメンバーが各々で業務を完遂できる環境を整えるとよいでしょう。
業務効率化を測ったり、メンバーの自律性を高めたりする取り組みが、プレイングマネージャーの負担軽減につながります。
方針を明確に定めて周知させる
先述したように、プレイングマネージャーには複数の目標が課されるため、人事評価が難しくなる側面があります。プレイングマネージャーの活動方針や評価基準は、なるべく明確に定めて、社内へ周知させましょう。
- プレイングマネージャーがどの業務へ重点的に取り組むか
- どの業務の評価比重を重くするか
上記のような方針や基準を明確に定めて社内へ周知させれば、人事担当者やプレイングマネージャーの上層部が、評価に迷わなくなります。
また、チームメンバーにも情報が共有されれば、業務割合を認識してもらえるため、プレイングマネージャーがひとりで多重業務となる事態を防ぎやすいでしょう。
プレイングマネージャーへのサポートも実施する
下記のように、プレイングマネージャー本人へのサポートを実施することも重要です。
- プレイングマネージャーへ定期的にOJTを行なう
- プレイングマネージャーの上司が定期的に面談を行なう
- プレイングマネージャーに研修やセミナーへ参加してもらう
プレイングマネージャーは多忙になりやすく、仕事に多くの悩みや課題感をもちやすい立場です。マネジメントを行なう役割だからといって、放置して見守るのではなく、会社としてプレイングマネージャーをしっかりサポートしましょう。
また、必要なスキルに関する研修や、セミナーを受講してもらうのもよいでしょう。プレイングマネージャー本人の成長機会を設けて、スキルアップしてもらうことにより、チームとしての成長にもつながります。
まとめ
プレイングマネージャーの役割や必要なスキル、抱えやすい課題にへの対策などを解説しました。プレイングマネージャーには、現場のプレイヤーとしての役割と、チームを管理するマネージャーとしての役割があります。
多くの業務を担当するため、プレイングマネージャーには「タスク管理能力・コミュニケーション能力・指導力」など多くのスキルが必要です。また、現場のプレイヤーとして成果を上げなくてはならないため、一定以上の業務経験も必要となります。
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