新卒の離職率とは? 離職理由や防止対策、人材不足を解消する方法も解説


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新卒の離職率は、3割程度が平均値といわれています。新卒で入社した人材の約3割が離職するというのは、割合が多いように感じられるかもしれません。
 
しかし日本における新卒の離職率は、30年近く同様の割合で推移しています。とはいえ、せっかく新卒で採用した人材が離職してしまうのは、企業にとって痛手でしょう。新卒の離職率を低く抑えるためには、離職の主な理由や、離職防止策を把握する必要があります。
 
本記事では新卒の離職率について、業界別・事業規模別・在籍期間別の割合や、離職につながる原因、離職防止策などを解説します。人材不足を解消する方法も紹介しますので、ぜひチェックしてください。


目次[非表示]

  1. 1.離職率とは
  2. 2.新卒の離職率は約3割
  3. 3.業界別・事業規模別・在籍期間別の新卒離職率
    1. 3.1.業界別の新卒離職率
    2. 3.2.事業規模別の新卒離職率
    3. 3.3.在籍期間別の新卒離職率
  4. 4.新卒が離職する主な原因
    1. 4.1.給与など待遇に不満がある
    2. 4.2.プレッシャーが多くストレスに感じる
    3. 4.3.仕事内容にやりがい・面白さを感じられない
    4. 4.4.人間関係や社風に馴染めない
    5. 4.5.悩みを相談できる人がいない
    6. 4.6.望んだキャリア形成ができないと感じる
    7. 4.7.入社後にイメージとのギャップを感じてしまう
  5. 5.新卒の離職を防止する対策
  6. 6.人材不足解消のため第二新卒を採用する企業が増えている
    1. 6.1.第二新卒の採用に注目が集まっている背景
    2. 6.2.第二新卒を採用するメリット
    3. 6.3.第二新卒採用のコツ
  7. 7.まとめ


離職率とは

離職率とは「常用労働者に対する離職者の割合」のことです。厚生労働省によると、常用労働者と離職者の定義は、以下のように定められています。

常用労働者

期間を定めずに雇われている者
1ヶ月以上の期間を定めて雇われている者

離職者

常用労働者のうち退職した、または解雇された者
常用労働者のうち他企業へ出向した、または出向復帰した者
 
※同じ企業内で別事業所へ転出した者を除く


また、離職率は以下の計算式で算出されます。


離職率=一定期間内の離職者数÷期初または前期末の常用労働者数×100(%)



離職率は計算するタイミングによって、数値が大きく異なります。そのため算出するときは、数年単位などに期間を絞る必要があります。
 
なお、離職率そのものについては、以下の記事で詳しく解説しています。「新卒採用に限らず、国内企業の平均的な離職率を知りたい」という方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
 
▼離職率の平均や計算方法は?高い会社の特徴と従業員を定着させる離職対策

  離職率の平均や計算方法は?高い会社の特徴と従業員を定着させる離職対策 業界別や性別ごとの最新の「平均離職率」や「計算方法」を公開。さらに、具体的な離職防止策を20種類ご紹介します。貴社の定着率アップに、ぜひお役立てください。 エン・ジャパン株式会社


新卒の離職率は約3割

厚生労働省が公表した資料によると、新卒の3年以内の離職率は約3割です。

就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が37.0%(前年度と比較して1.1ポイント上昇)、新規大学卒就職者が32.3%(同0.8ポイント上昇)となりました。

引用:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)を公表します」
 

新卒の離職率が30%を超えている状況に対して、「離職する新卒者が多すぎるのでは?」と感じる方もいるでしょう。しかし日本における新卒の離職率は、30年近く同じような数値で推移しているので、最近になって割合が特別に上がったというわけではありません。
 
とはいえ、新卒の離職率が高くなる状況は、企業としては避けたいでしょう。新卒の離職率が高いと、以下のようなデメリットが生じてしまいます。

  • 採用や教育にかけたコストが無駄になる
  • 企業のイメージダウンにつながる可能性がある
  • 新しい人材を確保するための時間とコストがかかる

 
上記のような事態が起こるのを避けるためには、新卒者の離職状況を把握し、離職防止の対策を講じる必要があります。


業界別・事業規模別・在籍期間別の新卒離職率

ここからは新卒の離職率について、より詳しく見ていきましょう。業界別・事業規模別・在籍期間別の新卒離職率を紹介します。


業界別の新卒離職率

厚生労働省が発表した資料によると、令和2年3月卒の業界別の新卒離職率は、以下のような数値となっています。
 
表を見ると高卒・大卒ともに、サービス業や教育・学習支援業の離職率が高めであるとわかります。その一方で電気・ガス・水道業などのインフラ業界は、離職率が低めです。

業界

新規高卒就職者の離職率

新規大学卒就職者の離職率

建設業

42.4%
30.1%

製造業

27.6%
19.0%

電気・ガス・熱供給・水道業

12.2%
10.5%

情報通信業

36.4%
27.9%

運輸業・郵便業

34.3%
28.3%

卸売業

39.7%
29.6%

小売業

48.3%
38.5%

金融業・保険業

31.7%
26.3%

不動産業・物品賃貸業

45.6%
35.9%

学術研究・専門・技術サービス業

35.8%
31.9%

宿泊業・飲食サービス業

62.6%
51.4%

生活関連サービス業・娯楽業

57.0%
48.0%

教育・学習支援業

48.1%
46.0%

医療・福祉

46.4%
38.8%


【参照】
厚生労働省「新規高卒就職者の産業分類別(大分類)就職後3年以内の離職率の推移」
厚生労働省「新規大卒就職者の産業分類別(大分類)就職後3年以内の離職率の推移」


事業規模別の新卒離職率

厚生労働省の資料によると、令和2年3月卒の事業規模別の新卒離職率は、以下のような数値となっています。高卒・大卒ともに、事業規模が大きくなるほど、離職率が低くなっていきます。

事業規模

新規高卒就職者の離職率

新規大卒就職者の離職率

5人未満

60.7%

54.1%

5~29人

51.3%

49.6%

30~99人

43.6%

40.6%

100~499人

36.7%

32.9%

500~999人

31.8%

30.7%

1000人以上

26.6%

26.1%


【参照】
厚生労働省「新規高卒就職者の事業所規模別就職後3年以内の離職率の推移」
厚生労働省「新規大卒就職者の事業所規模別就職後3年以内の離職率の推移」


在籍期間別の新卒離職率

厚生労働省の資料によると、令和2年3月卒の在籍規模別の新卒離職率は、以下のような数値となっています。高卒・大卒ともに、1年ごとの離職率は10%前後で推移しています。


新規高卒就職者の離職率

新規大学卒就職者の離職率

1年目

15.1%

10.6%

2年目

11.7%

11.3%

3年目

10.2%

10.4%


参照:厚生労働省「学歴別就職後3年以内離職率の推移」

 

新卒が離職する主な原因

続いて、新卒者が離職する主な原因を7つ解説します。


給与など待遇に不満がある

給与・賞与や休日数などの待遇面に不満があり、離職を決意する新卒者は多いものです。求人で待遇を確認した段階では、妥当に思えたとしても、実際に働き始めると予想外に業務量が多く「業務に対して待遇が割に合わない」と感じて離職するケースもあります。


プレッシャーが多くストレスに感じる

仕事をするうえで「目標の達成・納期の遵守」などにプレッシャーを感じ、ストレス過多となって離職する新卒者もいます。
 
特に営業職など、業績が具体的な数字で表れる部門は「営業ノルマを達成できるかわからない…」というプレッシャーを抱えて緊張状態が続き、心身に支障をきたすケースが多くあります。


仕事内容にやりがい・面白さを感じられない

仕事にやりがい・面白さを感じることができず、離職を検討する新卒者もいます。新卒採用の場合は、入社後に配属部署が決定するケースが多くあります。
 
その結果、「希望した業務と全く違う部署へ配属になってしまった」「適性がない仕事内容を担当することになってしまった」などの不満を抱えることになり、仕事にやりがいや面白さを感じられなくなってしまうのです。


人間関係や社風に馴染めない

会社の人間関係や社風に馴染めないことも、新卒者が離職する原因のひとつです。会社は毎日、長い時間を過ごす場所なので、周囲とコミュニケーションがうまく取れなかったり、企業文化にうまく馴染めなかったりすると苦痛を感じてしまいます。


悩みを相談できる人がいない

新卒で入社した新入社員は、周囲の上司や先輩社員がフォローしなければ、なかなか悩みや不安を相談できません。
 
「業務でわからないことがある」「人間関係に馴染めない」「キャリア形成に不安がある」などの悩みを抱えているにもかかわらず、相談できる人がいなくて孤立してしまい離職するケースもあります。


望んだキャリア形成ができないと感じる

キャリアアップに意欲的な新卒者の場合、「この会社では自分が望んだキャリア形成が叶わない」と感じて離職を検討する人もいます。たとえば、以下のような状況を目の当たりにした際、将来性に不安を感じて離職してしまうでしょう。

  • 上司や先輩社員の昇進スピードが非常に遅い
  • 企業側がフルタイム出社にこだわっており、働き方に柔軟性がない
  • 出産後に復帰した社員がおらず、子育てしながら仕事を続けるのが難しいと感じる


入社後にイメージとのギャップを感じてしまう

新卒者が入社前に求人・インターン・懇親会などで感じた企業の印象と、実際に働き始めたあとの社内の様子にギャップを感じて、離職する場合もあります。
 
「懇親会では和気あいあいとした雰囲気だったのに、入社してみたら人間関係がギスギスしていて、風通しが悪かった」
「求人情報では簡単な仕事から任せると書かれていたのに、入社後すぐ難易度が高すぎる業務を割り当てられた」
 
上記のように、入社前のイメージとのギャップを感じて会社に失望し、離職を決意してしまうのです。新卒者が入社前の段階から、社内の現実的な部分もイメージできるよう工夫したほうがよいでしょう。


新卒の離職を防止する対策

前述した離職の主な原因を踏まえると、新卒者の離職を防止するには、以下のような対策が有効といえます。

  • 新卒者にストレスケアを行なう
  • 労働条件・労働環境を改善する
  • 悩みを気軽に相談しやすい環境をつくる
  • 採用のミスマッチを防止して入社後のギャップを減らす

 
なお、新卒者に限らず「社員の離職防止策をもっとたくさん知りたい!」という方は、以下の資料が参考になります。下記のリンクより「退職を防ぐ20の対策」を無料ダウンロードしていただけますので、ぜひお役立てください。
 
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人材不足解消のため第二新卒を採用する企業が増えている

最後に、新卒者の離職による人材不足を解消するための対策を紹介します。近年では、新卒者の離職による人材不足を、第二新卒で補う企業が増えています。
 
第二新卒とは基本的に「学校を卒業して企業に就職したのち、3年以内に転職する人」を指します。「第二新卒」という言葉に法律で定められた定義がないため、企業によってとらえ方が多少異なりますが、おおむね25歳までの若手人材を指すのが一般的です。


第二新卒の採用に注目が集まっている背景

近年、第二新卒の採用に注目が集まっている背景には、以下のような理由があります。

  • 人手不足に悩む企業が増えている
  • 新卒採用に苦戦する中小企業が増えている
  • 入社後すぐに業務を担える即戦力人材を求める企業が多い

 
上記のような理由により、コロナ禍以降、第二新卒採用の需要が高まっています。


第二新卒を採用するメリット

第二新卒を採用することには、主に以下のようなメリットがあります。

  • 教育コストを抑えられる
  • 社会人経験があるため企業に馴染みやすい
  • 一度就職した経験があるため即戦力になりやすい
  • すぐに入社できる人材が多くスケジュールの自由度が高い

 
第二新卒は他社で一度就職し、業務を経験したことがある人材です。社会人経験があるため、企業にとっては即戦力になれる可能性が高く、魅力的といえるでしょう。


第二新卒採用のコツ

第二新卒を採用したい場合は「20代の転職動機」に着目するとよいでしょう。
 
エン・ジャパンが中途採用向け求人サイト『エン転職』で行なったアンケート調査によると、20代の転職動機1位は「給与が低い」、2位は「やりがい・達成感がない」、3位は「業界・会社の将来性に不安がある」となっています。
 
※下記グラフの緑色が20代の回答

20代の転職動機


上位となっている項目を求人上で魅力的にアピールすれば、自社の求人が第二新卒にあたる人材の目に留まり、応募を集められる可能性があります。
 
このほかにも、より具体的な第二新卒採用のコツを知りたい方は、以下の資料が役立ちます。下記のリンクより「第二新卒の採用術」の資料を無料ダウンロードしていただけますので、ぜひ参考にしてください。
 
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まとめ

新卒の離職率や離職につながる原因、離職防止策などを解説しました。日本では30年ほど、新卒の3年以内の離職率が約3割となっています。
 
日本社会は少子高齢化により労働人口が減少しているので、今後も新卒者の3割程度が離職するとなれば、企業としては人材確保のために対策を講じる必要があるでしょう。
 
 
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エン転職 採用ノウハウ編集部
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