残業手当の計算方法とは? 残業代の種類や割増率などを解説


「残業手当の計算」のイメージ画像


残業手当とは、社員が時間外労働を行なった場合に、企業が支払う手当のことです。残業手当は必ず正しく計算し、社員へ支給しなくてはなりません。
 
しかし残業手当にはいくつか種類があるほか、残業する時間帯などによって割増率も変わるため、「計算方法が複雑でよくわからない…」という方も多いでしょう。
 
そこで本記事では、残業手当の計算方法についてわかりやすく解説します。残業手当の種類や割増率、各種類の計算方法などをご説明しますので、ぜひお役立てください。


目次[非表示]

  1. 1.残業手当とは?
  2. 2.残業の種類
    1. 2.1.法定外残業
    2. 2.2.法内残業
  3. 3.残業手当の計算方法
  4. 4.残業手当の計算をするときの割増率
    1. 4.1.法定時間を超えている場合の計算方法
    2. 4.2.法定時間を超えていない場合の計算方法
    3. 4.3.休日出勤手当の計算方法
    4. 4.4.深夜手当の計算方法
  5. 5.まとめ


残業手当とは?

残業手当とは、社員が時間外労働(=残業)を行なった場合に、企業が支給する手当のことです。残業とは主に、労働基準法で定められた法定労働時間「1日8時間・週40時間」を超過して働いた時間を指します。
 
また社員の働いた時間が、法定労働時間を超過したかどうかは、実働時間で判断します。以下のような時間は、実働時間のうちに入らないので注意しましょう。

  • 社員の休憩時間
  • 規定の休暇を取得した場合
  • 遅刻・早退などにより勤務していなかった場合
  • 私用のために外出や中抜けをした場合  など


残業の種類

残業には「法定外残業・法内残業」があります。それぞれの意味を詳しく見ていきましょう。


法定外残業

法定外残業とは、労働基準法によって定められた法定労働時間「1日8時間・週40時間」を超過して働いた場合の残業を指します。社員の法定外残業に対して、企業は割増賃金を支払う必要があります。
 
たとえば通常の勤務時間が9時~17時(休憩1時間含む)の場合に、20時まで残業したとします。この場合、会社が定めた労働時間は1日7時間です。
 
1日7時間であれば、法定労働時間の8時間よりも短いため、社員が実際に残業したのが17時~20時であっても「割増賃金の対象となる残業時間は18時~20時分のみ」となります。


法内残業

法内残業とは、労働基準法によって定められた法定労働時間「1日8時間・週40時間」以内に収まる範囲で行なわれた残業を指します。法内残業は、法定外残業とは異なり、割増賃金の対象とはなりません。
 
たとえば通常の勤務時間が9時~17時(休憩1時間含む)の場合に、20時まで残業をしたとします。この場合、会社が定めた労働時間は1日7時間なので、法定労働時間の8時間よりも短くなります。
 
上記の場合、社員が残業した17時~20時までのうち、17時~18時までの1時間は法内残業となります。18時以降は法定労働時間を超過して残業している状態なので、法定外残業として扱われます。


残業手当の計算方法

労働基準法で定められた法定労働時間「1日8時間・週40時間」を超過して働いた分の残業代は、割増賃金の支給対象となります。
 
法定労働時間を超えて働いた分の割増率は25%です。つまり法定外残業の割増賃金は、「1時間当たりの賃金(時給)の25%増」となります。
 
1ヶ月当たりの法定外残業の残業手当は、以下の計算式で算出できます。


1ヶ月の残業手当=1時間当たりの賃金(時給)×割増率×1ヶ月の残業時間



また、1時間当たりの賃金(時給)は、以下の計算式で算出します。


1時間当たりの賃金(時給)=1ヶ月当たりの賃金(月給)÷1ヶ月の平均所定労働時間



このとき、月給には基本給・役職手当・資格手当などが含まれます。ただし下記のような手当は、月給に含まれないので注意しましょう。(※給与規定による)

  • 通勤手当
  • 家族手当
  • 住宅手当
  • 単身赴任手当
  • ボーナスなど臨時的な賃金 など


残業手当の計算をするときの割増率

先ほど「法定労働時間を超過して働いた分の残業代は、割増賃金の支払い対象であり、割増率が25%である」と説明しました。
 
このほかにも残業手当の割増率には、いくつか種類があります。ここからは「法定外残業・法内残業・休日出勤・深夜残業」の4パターンの割増率を解説します。


法定時間を超えている場合の計算方法

前述したように、労働基準法で定められた法定労働時間「1日8時間・週40時間」を超えて残業した場合の割増率は25%です。

▼法定労働時間を超えて残業した場合の残業手当の計算例

  • 勤務時間=9時~17時(休憩1時間含む)とする
  • 1時間当たりの賃金=1,500円とする
  • 残業時間=20時まで残業したとする

 
▼上記の場合の残業手当

  • 所定労働時間=1日7時間(つまり17時~18時までは法内残業)
  • 法定外残業=18時~20時までの2時間
  • 残業手当=1,500円×2時間×1.25=3,750円


法定時間を超えていない場合の計算方法

労働基準法で定められた法定労働時間「1日8時間・週40時間」以内に収まる範囲で行なわれた残業を法内残業といいます。法内残業は、割増賃金の対象ではありません。

▼法定労働時間を超えない範囲で残業した場合の残業手当の計算例

  • 勤務時間=9時~17時(休憩1時間含む)とする
  • 1時間当たりの賃金=1,500円とする
  • 残業時間=18時まで残業したとする

 
▼上記の場合の残業手当

  • 所定労働時間=1日7時間(つまり17時~18時までは法内残業)
  • 法定外残業=なし
  • 残業手当=1,500円×1時間=1,500円


休日出勤手当の計算方法

休日出勤手当とは、法定休日に労働した場合の手当です。法定休日は労働基準法によって定められている休日で、社員に対して「毎週1日または4週で4日以上」与えることが、企業に義務づけられています。法定休日に労働した場合の割増率は35%です。
 

▼法定休日に働いた場合の残業手当の計算例

  • 1時間当たりの賃金=1,500円とする
  • 休日出勤=法定休日に9時~12時まで働いたとする

 
▼上記の場合の残業手当

  • 残業手当=1,500円×3時間×1.35=6,075円


深夜手当の計算方法

深夜手当とは、22時~翌朝5時までの深夜労働に対して支給する手当です。深夜労働をした場合は、法定外残業に対する割増賃金(25%増)に加えて、さらに25%増の手当が支給されます。つまり深夜手当の割増率は50%となります。

▼深夜労働した場合の残業手当の計算例

  • 勤務時間=9時~17時(休憩1時間含む)とする
  • 1時間当たりの賃金=1,500円とする
  • 残業時間=23時まで残業したとする

 
▼上記の場合の残業手当

  • 所定労働時間=1日7時間(つまり17時~18時までは法内残業)
  • 法定外残業=18時~23時までの5時間。このうち22時~23時までの1時間が深夜手当の対象
  • 残業手当=(1,500円×4時間×1.25)+(1,500円×1時間×1.5)=9,750円


まとめ

残業手当の種類や割増率、各種類の計算方法などを解説しました。残業手当には大きく分けて「法定外残業・法内残業」という2つの種類があります。
 
法定外残業は割増賃金の支給対象で、割増率は25%です。法内残業は割増賃金の対象とはなりませんが、所定の時給に従って、残業代を支払う必要があります。
 
また、法定外残業には「休日出勤手当・深夜手当」などがあります。休日出勤手当の割増率は35%。深夜手当の割増率は、法定外残業の割増率と合わせて50%です。残業手当の未払いは労働者とのトラブルの元となるため、計算を間違えないよう注意しましょう。


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