2023年の最低賃金|引き上げによる企業への影響や採用対策も解説
厚生労働省により2023年の最低賃金が発表され、全国的に39円~41円の引き上げとなることが公表されました。最低賃金は毎年8月頃に引き上げ金額が定められ、10月頃から改定額での運用が始まります。
本記事では最低賃金について、2023年の改定額や定め方、対象者などを解説。また、最低賃金引き上げによる企業への影響や、企業が行なうべき採用対策などもあわせて解説します。最低賃金改定にどう対応するかお悩みの方は、ぜひご覧ください。
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目次[非表示]
- 1.最低賃金とは?
- 2.2023年の最低賃金
- 3.最低賃金の引き上げにより企業へ出る影響
- 3.1.企業の人件費が増加する
- 3.2.採用活動の難易度が上がる
- 4.最低賃金引き上げへのおすすめの採用対策
- 5.最低賃金制度を違反するとどうなる?
- 6.まとめ
最低賃金とは?
最低賃金とは、「使用者が労働者へ支払わなくてはならない賃金の最低額」のことです。最低賃金は、最低賃金審議会で議論されたのち、都道府県労働局長が毎年8月頃に金額を決定。その後、10月頃から改定金額での運用が開始されます。使用者が最低賃金を下回る賃金で労働者を雇っている場合、労働基準法違反として罰則があります。
2023年の最低賃金
2023年の最低賃金は、39円~47円の引き上げとなりました。この引き上げ額は過去最高で、8都道府県ものエリアで最低賃金が1,000円を超える状況となっています。最低賃金のTOP3は以下の3県です。
1位:東京都1,113円
2位:神奈川県1,112円
3位:大阪府1,063円
このほかの都道府県の最低賃金は、以下のサイトをご覧ください。
厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」
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最低賃金の定め方
先にも述べたとおり、最低賃金は最低賃金審議会で議論されたのち、都道府県労働局長が毎年8月頃に金額を決定します。最低賃金審議会は中央と地方に分かれており、次のような流れで最低賃金を定めています。
① 中央最低賃金審議会=各エリアの引き上げの目安となる金額を答申
② 地方最低賃金審議会=目安額をもとに審議を行なう
③ 各都道府県労働局長=審議内容をもとに各地域の最低賃金を決める
最低賃金の対象者
最低賃金はパート・アルバイト・派遣社員・臨時社員・嘱託社員などを含む全労働者が対象となります。入社したばかりで試用期間中の労働者も対象となるため、使用者は誤って対象外としないよう注意が必要です。
ただし、申請件数は少ないですが、都道府県労働許可長の許可を受けた場合は、最低賃金の20%以内での減額が認められます。
また、労働者の業務内容が、特定の産業ごとに設けられている「特定(産業別)最低賃金」に該当する場合は、現行の最低賃金よりも高い水準の賃金を支払う必要があります。使用者が「特定(産業別)最低賃金」を下回る金額で労働者を雇った場合、罰金が科されます。
特定(産業別)の最低賃金は厚生労働省のサイトで紹介されておりますので、併せてご覧ください。
最低賃金の引き上げにより企業へ出る影響
2023年は最低賃金の引き上げ額が過去最高となりました。最低賃金の引き上げは、労働者にとってはポジティブな変化となりますが、企業にはどのような影響が出るのでしょうか。主な影響を2つ解説します。
企業の人件費が増加する
最低賃金が引き上げられると、労働者を1人雇うために必要な金額が高くなります。つまり人件費が増加するため、企業にとっては雇用の負担が大きくなるといえるでしょう。業績によっては、社員の数や雇用時間などの体制を見直す必要が出てきます。
また、日本政府は2023年時点で、「2030年代なかばまでに最低賃金1,500円」を新たな目標にすると表明しています。そのため現状は問題なくとも、先々を見据えて人件費の増加へ備えておく必要があるでしょう。
採用活動の難易度が上がる
最低賃金の引き上げにともない、企業は給与を見直す必要が出てきます。その際、改定された最低賃金額に基準をそろえるだけの企業もあれば、改定を機に大きく給与をアップさせる企業もあるでしょう。
労働者にとって、賃金は仕事選びの大きな指標となります。そのため、最低賃金にそろえるだけの企業と、改定を機に大幅な賃上げをする企業では、採用力に差が出やすくなるのです。
また、下記の調査によると、賃上げ予定のある企業ほど、採用に積極的であるという結果が出ています。
最低賃金が引き上げられると、大きな賃上げ予定のない企業では、採用活動の難易度が上がる可能性があるといえるでしょう。
最低賃金引き上げへのおすすめの採用対策
最低賃金が年々引き上げられていくなかで、企業はどのような採用対策を行なうとよいのでしょうか。ここからは、最低賃金引き上げへのおすすめの採用対策を3つ紹介します。
やはり、もっとも効果的な対策は賃上げを行なうことですが、大幅に給与をアップさせるのが難しい企業も多いでしょう。賃上げ以外の方法で自社求人を他社と差別化するやり方を解説しますので、ぜひチェックしてください。
求人のやりがい・達成感で自社を差別化する
賃上げ以外で採用対策を行なうなら、求人の書き方を見直すのがおすすめです。自社求人へ効率よく応募を集めるために、求人の文面で自社の魅力や、仕事の魅力をより多く求職者へ伝えましょう。
求人を通して、自社の魅力や仕事の魅力がしっかりと求職者へ伝われば、応募が増加するだけでなく、選考辞退・内定辞退を防げる可能性もアップします。以下の求人広告事例をご覧ください。
こちらは仕事のやりがいと達成感で求人を差別化した例です。ただ単純に「やりがいのある仕事です」と説明するのではなく、やりがい・達成感を具体的に描写し、求人がより魅力的に見えるように工夫されています。
人間関係の良さで自社を差別化する
社内の人間関係の良さを伝えることも、自社の差別化につながります。以下は人間関係の良さ・風通しの良さをプッシュして求人を差別化した例です。
職場は1日の大半を過ごす場所なので、社内の人間関係の良し悪しを気にする求職者は多いものです。求人を見た求職者が「この企業は本当に社内の雰囲気が良さそうだな」と感じられる具体的なエピソードや、仲の良さが視覚的に伝わる画像や動画を掲載し、安心感をもってもらうとよいでしょう。
最低賃金が引き上げられる前に採用活動をする
先にも述べたように、最低賃金が引き上げられると、それを機に大幅な賃上げを行なう企業が出てきます。大幅な賃上げを行なう企業と、最低賃金に給与をそろえるだけの企業では、採用力に大きな差が出てしまうのです。
大幅な賃上げを行なう企業との採用競争を避けるため、「最低賃金の引き上げ前に採用活動を行なっておく」という手もあります。
最低賃金引き上げ前に採用したとしても、引き上げ後に給与の基準をそろえなくてはいけないことに変わりはありません。しかし、少しでも競合他社の競争を避け、早めに採用活動をしておいた方が、求める人材を採用できる可能性は高くなるといえるでしょう。
最低賃金制度を違反するとどうなる?
最低賃金制度を違反する企業にはペナルティがあります。厚生労働省のサイトでは、以下の罰則を定めていると公表されています。制度をきちんと守り、違反しないよう努めましょう。
最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。また、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められ、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています。
引用:厚生労働省「最低賃金制度とは」
まとめ
最低賃金とは、「使用者が労働者へ支払わなくてはいけない賃金の最低額」のことです。2023年の最低賃金は、日本全国で39円~47円引き上げされ、過去最高の引き上げ額となりました。
最低賃金が引き上げられると、企業には「人件費が上がる」「採用の難易度が上がる」などの影響が出ます。既存の体制や採用活動を見直し、将来的な引き上げに備える必要があるでしょう。
最低賃金引き上げに対する、もっともおすすめの採用対策は、自社求人を差別化することです。「求人で自社の魅力をもっとアピールしたい」「競合他社とより差別化できるようにしたい」とお悩みであれば、ぜひ『エン転職』にご相談ください。
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