グローバル人材とは? 定義や必要な能力、確保する方法を解説
近年、社会がグローバル化し、企業と労働者の双方に、語学力や異文化への理解といったグローバルな視点が求められるようになりました。
異文化を理解する広い視野をもち、語学力やコミュニケーション能力にも長けているグローバル人材を採用・育成することは、企業の経済成長に欠かせない要素となっています。
本記事では、近年注目されているグローバル人材の定義や必要な能力、育成手順などを解説します。グローバル人材を確保する方法もご説明しますので、「自社にグローバル人材を増やしたい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.グローバル人材とは?
- 1.1.文部科学省が提唱する定義
- 1.2.総務省が提唱する定義
- 1.3.グローバル人材育成推進会議が提唱する定義
- 2.グローバル人材に必要とされる能力
- 2.1.語学力(主に英語)
- 2.2.コミュニケーション能力
- 2.3.主体性・積極性
- 2.4.チャレンジ精神
- 2.5.リーダーシップ
- 2.6.協調性・柔軟性
- 2.7.日本文化や伝統への理解
- 3.グローバル人材を確保する方法
- 3.1.即戦力となれる人材を採用する
- 3.2.社内の人材を育成する
- 4.まとめ
グローバル人材とは?
まずは、グローバル人材の定義について解説します。一般的にグローバル人材は「語学力やコミュニケーション能力などに優れ、異文化を理解する柔軟性をもち、国内外で活躍できる人材」といった意味合いで使われるケースが多い言葉です。
しかしグローバル人材の定義は、文部科学省や総務省など各機関によって少々異なります。どのような特徴のある人物を「グローバル人材」とするのか、詳しく見ていきましょう。
文部科学省が提唱する定義
文部科学省は、グローバル人材を以下のように定義しています。
○ 「グローバル人材」の概念を整理すると、概ね、以下のような要素。
要素Ⅰ: 語学力・コミュニケーション能力
要素Ⅱ: 主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感
要素Ⅲ: 異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー
○ このほか、幅広い教養と深い専門性、課題発見・解決能力、チームワークと(異質な者の集団をまとめる)リーダーシップ、公共性・倫理観、メディア・リテラシー等。
総務省が提唱する定義
総務省はグローバル人材を以下のように定義しています。
グローバル人材とは、同計画において、「日本人としてのアイデンティティや日本の文化に対する深い理解を前提として、豊かな語学力・コミュニケーション能力、主体性・積極性、異文化理解の精神等を身に付けて様々な分野で活躍できる人材」と定義
グローバル人材育成推進会議が提唱する定義
グローバル人材育成推進会議は、グローバル人材の継続的な育成のため、2011年に内閣官房長官を議長として立ち上げられた組織です。グローバル人材育成推進会議では、グローバル人材を以下のように定義しています。
グローバル人材とは、世界的な競争と共生が進む現代社会において、日本人としてのアイデンティティを持ちながら、広い視野に立って培われる教養と専門性、異なる言語、文化、価値を乗り越えて関係を構築するためのコミュニケーション能力と協調性、新しい価値を創造する能力、次世代までも視野に入れた社会貢献の意識などを持った人間であり、このような人材を育てるための教育が一層必要となっている。
引用:グローバル人材育成推進会議「産学官によるグローバル人材の育成のための戦略」
グローバル人材に必要とされる能力
文部科学省・総務省・グローバル人材育成推進会議がそれぞれ提唱している定義を見ると、グローバル人材がもつべき能力には、いくつか共通点があるとわかります。ここからはグローバル人材に必要とされる能力や、特徴について詳しく解説します。
語学力(主に英語)
グローバル人材は日本国内だけでなく、海外の拠点で働き、活躍することも期待される存在です。グローバルに活躍するためには語学力が必須であり、特に英語力に優れている必要があるといえるでしょう。
ただし、単に英語の読み書きや日常会話ができるというだけでは、グローバル人材とはいえません。ビジネスシーンで英語を使う場合は、業務上の文書を理解したり、相手と交渉したりする高度なスキルが求められます。
文部科学省では、グローバル人材の言語力の水準を以下のように定めています。グローバル人材となるためには、平均以上の言語能力が求められるといえるでしょう。
グローバル人材の能力水準の目安を(初歩から上級まで)段階別に示すと、
① 海外旅行会話レベル ② 日常生活会話レベル ③ 業務上の文書・会話レベル
④ 二者間折衝・交渉レベル ⑤ 多数者間折衝・交渉レベル
この中で、①②③レベルのグローバル人材の裾野の拡大については着実に進捗。今後は更に、④⑤レベルの人材が継続的に育成され、一定数の「人材層」として確保されることが極めて重要。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力に優れていることも、グローバル人材に欠かせない要素です。ビジネスは一人だけで完結できるものではないため、他者と向き合い双方の主張を述べたうえで、お互いが納得できる落としどころを探る必要があります。
- 相手の要求や主張を聞いて正確に受け止める
- 自分の言いたいことが相手に正しく伝わるように話す
- 相手の文化・価値観・考え方などを尊重しながら適切なコミュニケーションをとる
グローバル人材として国内外で活躍できる人材には、上記のようなコミュニケーション能力が求められます。
主体性・積極性
グローバル人材は海外で働いたり、海外出身者とやり取りしたりする機会が多いため、主体性や積極性も必要となります。
ビジネスで成果を出すには、主体的に取り組む姿勢が欠かせません。上司からの指示を待つのではなく、「自分が今何をするべきなのか」を自身で考え、周囲の状況を観察しながら適切な答えを導き出し、積極的に行動に移す能力が不可欠です。
チャレンジ精神
グローバル人材には、失敗するリスクを恐れず、新しい業務内容や新しい拠点での生活に挑戦できる「チャレンジ精神の旺盛さ」も必要です。
- 新しい知識を勉強して仕事に取り入れる
- 今までとは異なる業務方法にチャレンジする
- 新しい部署や拠点での仕事に迷わず飛び込む
上記のように、現状に満足せずチャレンジする精神と勇気を持ち合わせている人材は、国内外で活躍しやすいでしょう。
リーダーシップ
グローバル人材には、リーダーシップも求められます。プロジェクトリーダーを任されたとき、役割をスムーズに完遂するためには、チームメンバーを率いるリーダーシップが必要です。
- 自らの頭で考えて決断する力
- 自分自身の言動に責任をもつ力
- チームメンバーの見本となれる言動を進んで行なう力
このような能力をもち、リーダーシップがある人材は、どこの企業でも重宝されるでしょう。リーダー自らが責任感をもって積極的に仕事をこなす姿勢は、周囲で働く人々にもポジティブな影響を与えます。
協調性・柔軟性
グローバル人材には、積極的に行動する主体性やリーダーシップだけでなく、他者を受け入れる協調性・柔軟性も不可欠です。
ビジネスはいかなる業界においても、他者との関わりが生じます。自分の意見や考えを一方的に主張するのではなく、相手の意見を尊重し、時には譲歩して受け入れたり、歩み寄ったりする協調性が欠かせません。
またグローバルな場で活躍するためには、自分と異なる文化や考え方をむやみに否定せず、相手への理解を深める柔軟性も求められます。
日本文化や伝統への理解
グローバル人材には、異文化を理解する姿勢だけでなく、日本人としてのアイデンティティーも求められます。海外では「自分が何者なのか」をきちんと説明できる人が信頼され、重宝されやすい傾向があるためです。
日本の文化や歴史、伝統などを深く理解し、海外出身者からの日本に関する質問に、しっかりと答えられる人材である必要があります。加えて、日本の現状に関しても適切に伝えられる人材であれば、海外出身者との相互理解を深められるでしょう。
グローバル人材を確保する方法
続いて、グローバル人材を確保する方法について解説します。企業がグローバル人材を確保するには、以下2つの方法があります。
- 即戦力人材を採用する
- 社内の人材を育成する
それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。
即戦力となれる人材を採用する
まず、グローバル人材を確保する重要な取り組みのひとつに、企業の採用活動が挙げられます。グローバル人材の特徴に当てはまり、語学力やコミュニケーション能力に優れた人材を採用できれば、即戦力として活躍してもらえるでしょう。
しかしグローバル人材として即戦力になれるほど、ハイスキルな人の数は限られています。採用するためには、以下のような工夫が必要です。
- 待遇を良くして競合他社と自社を差別化する
- ハイスキルな人材へ企業側から能動的に働きかける
- 求人広告を出すだけでなく、人材紹介会社などの採用サービスを積極的に活用する
近年、グローバル人材を確保したい企業が増えているため、求人を出すだけでは簡単に採用できない可能性があります。ある程度はコストをかけて、じっくりと採用活動に取り組む必要があるでしょう。
なお、英語と中国語を話せる人材を採用したい場合は、以下の記事が参考になります。こちらの記事もあわせてご覧ください。
▼英語を話せる人材を採用するには?採用事例や雇用上の注意をご紹介
▼中国語を話せる人材を採用するには?【雇用上の注意点も徹底解説!】
社内の人材を育成する
社内の従業員をグローバル人材へ育成する方法もあります。従業員であれば自社の経営ビジョンや経営方針、理念などを理解しているため、「自社のニーズに適したグローバル人材」を確保できるでしょう。
自社の従業員をグローバル人材へ育成するための、大まかなステップは以下の通りです。
- 自社で求めるグローバル人材の定義を明確化する
- 育成する人材を従業員からリストアップする
- 育成する人材の課題点や補うべき能力を洗い出す
- 人材育成の計画を立てる
- 育成プログラムを実行してPDCAサイクルを回す
グローバル人材の育成には、多くの時間と労力がかかるため、即戦力として活躍するのは難しいでしょう。しかし育成に成功すれば、社内に人材教育のノウハウが蓄積されるメリットもあります。
まとめ
グローバル人材の定義や必要な能力、育成手順、確保する方法を解説しました。文部科学省や総務省など、機関によってグローバル人材の定義は少々異なります。各機関の定義に共通している特徴は以下の通りです。
- 語学力・コミュニケーション能力に優れている
- 主体性・積極性・チャレンジ精神をもっている
- 異文化を理解し他者を尊重する協調性・柔軟性も備えている
- 日本文化や伝統への理解があり、日本人としてのアイデンティティがある
しかし、ひとえにグローバル人材といっても、企業によって求める能力はさまざまです。「自社のニーズに適したグローバル人材」を確保することが企業の経済成長につながるため、積極的な採用活動や、社内での人材育成を実施していく必要があるでしょう。
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