縁故採用とは?メリット・デメリット、導入手順、リファラル採用との違い
採用市況の売り手市場が続く今、「採用難」で悩む企業が増えています。従来の採用だけでは充分な人員を獲得できず、かといって採用にかけられる費用に限りがある。そんな企業にとって有効な解決策の1つが、コストがかからない「縁故採用」です。
一方、ネットで調べると縁故採用にネガティブな印象を持っている人もいることがうかがえます。
どうすれば縁故採用は有効なのか。この記事では、求人広告のコピーライターとして4年の経験を持つ筆者から、「縁故採用のメリット・デメリット」「ネガティブに受け取られない縁故採用の導入手順」「リファラル採用との違い」をご説明します。ぜひ貴社の採用活動にお役立てください。
目次[非表示]
- 1.縁故採用とは?
- 2.縁故採用とリファラル採用との違い
- 3.縁故採用のメリット
- 3.1.採用コストの削減
- 3.2.ミスマッチが起こりにくい
- 3.3.フォローがしやすい
- 4.縁故採用のデメリット
- 4.1.社内から不満が出る可能性
- 4.2.スキルや能力が足りない可能性
- 4.3.安定的・継続的な人員確保が難しい可能性
- 5.ネガティブに受け取られない縁故採用の導入手順
- 6.まとめ
縁故採用とは?
縁故採用は、企業の経営陣や社員などの血縁関係、知人関係から人材を採用することを指します。
縁故採用を「人との繋がりで人材を採用する手法」と捉えた場合、決して悪い採用手法ではありません。特にスタートアップの企業は、社員の知人・友人からの紹介で人員確保していくケースも少なくないはずです。
一方で縁故採用がコネクション(繋がり)による採用であることから、「コネ採用」と呼ばれることもあります。コネ採用は「不正」「ズル」といったネガティブなイメージが付いており、縁故採用という言葉もネガティブな印象を持たれることはあります。
しかし、きちんと手順を踏んで導入すれば、採用手法の一つとして活用できるものです。手順については、記事の後半でご紹介します。
縁故採用とリファラル採用との違い
縁故採用と似た言葉に「リファラル採用」があります。リファラル(referral)とは英語で「推薦・紹介」という意味であり、こちらも経営陣や社員の友人・知人を紹介する採用手法のことです。
同じ意味合いを持つにも関わらず、2つの言葉に対する世間の印象はまるで異なります。「縁故採用」と調べるとネガティブな捉え方をする記事が多い一方で、「リファラル採用」と調べると絶賛し、導入を推奨する記事が並びます。
こうした印象の違いを生む原因は、両者の言葉のたった1つの違いによるものです。それが「選考方法の違い」。
縁故採用は、世間一般的なイメージとして候補者の入社を前提とした紹介であるのに対して、リファラル採用は、通常の採用と同様に選考を行ないます。紹介経由で面接を受ける分、多少質問内容や選考フローは異なるかもしれませんが、基準に満たなければ不合格になります。こうした選考方法の違いによる「公平感の有無」が2つのサービスの大きな違いです。
ポイントとなるのが、「世間のイメージ」としてこうした違いはあるものの、縁故採用・リファラル採用には明確な定義がないということです。そのため、「縁故採用」という社内呼称であっても、「公平感」があれば社内外に受け入れてもらいやすいと言えるでしょう。
▼リファラル採用については以下の記事で詳しくご紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
縁故採用のメリット
上述の通り世間的にはネガティブなイメージを持たれやすい縁故採用ですが、メリットもあります。この章では、企業側のメリットを3点ご紹介します。
採用コストの削減
一般的な採用には多くのコストが発生します。例えば、求人サイトへの掲載料、人材紹介に支払う手数料、転職フェア参加費、会社説明用パンフレットの制作費など。採用担当者が多くの候補者に対応する時間も、企業にとっては人件費というコストです。ほかの採用チャネルよりも、コストを削減できることが縁故採用の最大のメリットです。
ミスマッチが起こりにくい
縁故採用は、経歴や実績をよく知る人材の採用が多いです。企業がきちんと見極めができていれば、企業にとって必要な人材を採用することができます。配属先についても、候補者本人の経験・スキルのほか適性を熟知した上で決められるため、ミスマッチが起こりにくいです。
また、一般的な採用であれば、候補者は求人票や面接のみで判断しなければならないことも多いですが、縁故採用であれば紹介者に詳しくヒアリングすることが可能。候補者側もきちんと自分に合った企業か考えることができます。
フォローがしやすい
人材が定着し、高いパフォーマンスを発揮するためには、周囲のフォローも大切です。その点、縁故採用では紹介者がいわゆるメンターのような役割を担ってもらいやすく、人材が悩みを抱えることなく働くことができるでしょう。
そのほか、取引関係などビジネス上のつながりでの採用であれば、企業間のコネクションを強めるメリットも挙げられます。
縁故採用のデメリット
縁故採用が一般的にネガティブな印象を持たれやすいですが、それはデメリットが注目されやすいためです。企業が縁故採用を行なう場合、デメリットが発生しないよう、十分に考慮することが重要でしょう。ここからは縁故採用で起こりやすいデメリットをご紹介します。
社内から不満が出る可能性
縁故採用のネガティブな面としては「身内を助けるため」「派閥づくり」といったイメージです。元々つながりのある人材が候補者となるため、採用可否の判断において、公平さに欠けるケースが散見されます。そのため社内から「採用に値しない人材が採用されている」「実力以上の待遇を得ている」といった声が上がることもあり得るでしょう。
入社後も、縁故採用であることが社内で早く広まることも多いです。ほかのルートで入社した社員からすれば良い思いはしないかもしれません。さらに、例えば勤務態度の不良などがあっても、つながりを理由に対応できないことも。そうなれば、社員からの不満は募るばかりです。
一方、縁故採用で高い評判のもと入社したがゆえに、採用人材が周囲から過度な期待を寄せられ、早期に成果を出さなければならないというプレッシャーを感じることもあります。「自分が何かミスや失敗をすれば、紹介者に迷惑をかけてしまう」というプレッシャーもあるでしょう。
スキルや能力が足りない可能性
縁故採用の場合、紹介者の社内での立ち位置やポジションから、たとえ必要がなくとも、候補者を受け入れなければならないケースもあります。採用人材のスキルや能力が業務を行なうのに不十分となれば、企業にとっては無駄なコストであり、周囲がフォローしなければなりません。本当に必要な人材でなければ、企業にとってデメリットになってしまいます。
安定的・継続的な人員確保が難しい可能性
縁故採用には「その時々に必要な人材としてピッタリな経験やスキルを持った候補者がいるか分からない」というデメリットもあります。経営陣や社員のつながりを使うため、採用目的とうまく合致する人材とのコネクションがあるとは限りません。
すなわち、縁故採用の性質上、安定的・継続的な人員確保や大量採用が見込めないということです。その分、採用計画が立てづらいというデメリットがあります。そのため、縁故採用はメインの採用手法とせず、求人サイトや人材紹介サービスとの併用がおすすめです。
ネガティブに受け取られない縁故採用の導入手順
上述の通り、「入社が前提」の紹介は社内外からネガティブに受け取られる危険性が高いです。
裏を返すと、紹介者を正当に選考・評価して合否判断できれば不満は生まれず、入社希望度が高く、自社にマッチする人材と出会える可能性を高められます。より良い採用につながるよう、以下で紹介する手順に沿って準備していきましょう。
採用基準の設定
縁故採用の成功率を高めるために重要なのが「運用ルールの検討」です。検討すべき項目は多岐にわたります。
<検討項目>
- 採用目標
- 採用ターゲット
- 採用要件の明確化
- 紹介対象となる要件の明確化
- 採用した際の待遇 など
「良い人がいたら紹介してください」というだけでは、なかなか採用には至りません。社員としては「良い人ってどんな人?」「有能な知り合いはいるけれど、うちに合うかわからない」と困惑するばかりです。反対に、もし人材を紹介してもらえても、必要な人材でなければ、双方にとって時間や手間が無駄になってしまいます。
上記を明らかにし、「こんな経験・スキルを持った人がいたら紹介してほしい」と伝えられるようにすることで、効率良く縁故採用を進められます。
▼採用目標や採用要件などの設定の仕方は通常の採用と変わりません。下記にて一般的な採用の手順を詳しく紹介しているため、よろしければご覧ください。
社内告知
縁故採用を導入するうえで、もっとも重要な手順です。社員が紹介したいと思わなければ、縁故採用は成功しません。不公平感によるトラブルを防ぐためにも、「なぜ縁故採用を行なうのか」「どのような人を必要としているのか」「紹介後にどのような選考を行なうのか」、包み隠さず伝えましょう。
また、安心して紹介できる環境をつくることも大切です。社員にとっては知人を自分の会社に紹介するため、「紹介した人が不採用になったら申し訳ない…」といった不安を抱えているかもしれません。そのため、相談ベースで紹介できる体制をつくるなどの配慮も必要です。
加えて、社内告知は継続的に行なうことも重要です。実際に紹介してもらえるよう、定期的に働きかけ、社内に制度を浸透させましょう。
選考対応
紹介を獲得できれば実際の選考に入ります。既存社員との「公平感」を保つためにも、紹介元社員からのヒアリング内容に引っ張られすぎないように注意しながら、最初に決めた採用基準にそって評価しましょう。
もう1つ注意すべきなのが「候補者は社員の友人・知人である」という点です。候補者の合否に関わらず、選考のときの感想などが、紹介者を通じて伝わってしまうことも考えられます。通常の採用でもそうですが、発言・対応の影響をより一層考えて進めましょう。
内定が決まったら、通常の採用と同じように、内定通知から入社手続きまで行ないます。さらなる紹介を獲得できるよう、縁故採用で採用が決まったことを社内に発信しましょう。
まとめ
経営陣や社員の伝手(ツテ)を使って、血縁や取引などのコネクションがある人材を採用する縁故採用。
コストを抑えて良い人材を獲得しやすい採用手法ですが、安定的・継続的な採用は難しいのが実際のところです。縁故採用だけを行なうのではなく、複数の採用チャネルを併用することで、安定して必要な人材を確保していけるでしょう。
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