採用と内定の違い|それぞれの目的や通知書の違い、文例を紹介
「採用」と「内定」は混同されやすい言葉ですが、実は大きな違いがあります。「採用」は労働契約を結ぶ前の段階で、求職者が企業の選考を合格しただけの状態。「内定」は企業と求職者の労働契約が結ばれている状態です。
採用・内定を混同して使っていると、企業と求職者の間で認識に相違が生じる可能性があります。本記事では、採用と内定の違いを詳しく解説するほか、各通知を出すときのテンプレートや注意点も紹介します。
取り消しが認められる場合など、イレギュラーなケースについても解説しますので、求職者との間に不要なトラブルを生じさせないためにも、ぜひ本記事をご覧ください。
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目次[非表示]
- 1.採用と内定の違い
- 2.採用通知書と内定通知書の違い
- 3.採用通知書の送付を知らせるメールテンプレート
- 4.内定通知書のテンプレート
- 5.応募者へ内定を出すときの注意点
- 5.1.できるだけ早めに通知する
- 5.2.口頭ではなく書面でも通知する
- 5.3.内定者をフォローする
- 6.採用・内定の取り消しが認められる場合
- 6.1.内定者の都合による取り消し
- 6.2.企業の都合による取り消し
- 7.まとめ
採用と内定の違い
まずは「採用」と「内定」の違いについて詳しく解説します。あわせて採用活動でよく使われる「内々定」に関しても説明しますので、以下をご覧ください。
採用とは
「採用」とは、求職者が書類選考や面接などの選考プロセスをすべて通過し、企業の採用選考に合格している状態を指す言葉です。「採用」の時点では、まだ企業と求職者の雇用契約は結ばれていません。
つまり「採用」は企業側が一方的に「この求職者は自社の採用基準を満たしている人材だ」と決定しただけの状態ということです。求職者が企業へ入社意思を示しているわけではないので、「内定の前段階」という状況を指しています。
内定とは
「内定」とは、企業が求職者へ選考合格である旨を通知し、求職者側も企業へ入社意思を示した状態のことです。「採用」が選考に合格しただけの段階であるのに対し、「内定」は企業と求職者双方の「雇用の合意」がとれた状態なので、労働契約が成立しているとみなされます。
つまり「内定」を出すと、双方の関係に法的拘束力が生じるようになるのです。企業が一方的に内定を取り消しすると「求職者を不当に解雇した」という扱いとなり、訴訟トラブルにつながる恐れがあるため注意しましょう。
内々定とは
「内々定」は新卒採用で特によく使われる言葉です。「内々定」とは、選考に合格した求職者に対し、企業が「●月●日以降にあなたへ内定を出す予定ですよ」と約束すること。労働契約が成立したとはみなされないため、「内々定」に法的拘束力はありません。
企業が法的拘束力のない「内々定」を出す理由は、経団連が「採用選考に関する指針」のなかで、新卒採用の内定を出せる日について規定を設けているためです。経団連の定めた規定を守りながら、自社に適した人材を確保するため、正式な内定の前に「内々定」を出して人材をつなぎとめるケースが多いのです。
採用通知書と内定通知書の違い
採用と内定の違いがわかったところで、内定通知書と採用通知書の違いについて説明していきます。
採用通知書とは
「採用通知書」とは、企業が選考に合格した求職者へ、合否結果を知らせる通知書のこと。先にも述べたように、「採用」は労働契約が成立する前段階なので、採用通知書も合否結果を知らせることだけが目的です。
企業が選考に合格した求職者へ、採用通知書を送付したとしても、労働契約が成立するわけではないので注意しましょう。採用通知書は最終選考後、1週間以内を目安に、なるべく早くメールで送るのが一般的です。
内定通知書とは
「内定通知書」は、採用通知書で求職者へ選考合格を知らせたあと、入社意思の確認がとれてから発行する通知書です。「内定」は企業と求職者双方の「雇用の合意」がとれた状態を指すため、内定通知書を発行する段階で、入社意思の確認がとれていなくてはなりません。
また、内定通知書を送付した時点で、「労働契約が成立している」とみなされるので、発行後むやみに内定を取り消しすることはできません。求職者との不要なトラブルを避けるためにも、採用通知書を送付後、入社意思の確認をきちんと行なってから発行しましょう。
採用通知書の送付を知らせるメールテンプレート
採用通知書のテンプレートを紹介します。採用通知書は、最終選考後1週間以内を目安に、なるべく早くメールで送付するのが一般的です。
新卒採用と中途採用に分けてメールテンプレートを紹介しますので、送付する際の参考にしてください。一般的に採用通知書には、以下のような内容を記載します。
- 求職者が選考に合格し、採用決定したこと
- 入社意思を確認したいこと
- 入社意思の返答期限・返答方法
- 入社意思がある場合の今後のスケジュール
新卒採用の場合
件名:【選考結果について】今後の進め方(採用担当者名/株式会社●●) |
内容をご確認いただき、ご署名・ご捺印のうえ同封の返信用封筒にて 期限までにご返送をお願いいたします。 ――――――――――――――――――――― ▼ 郵送書類:返送期限 令和●年●月●日(●)必着 ―――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――― ▼ 今後のスケジュール ―――――――――――――――――――――
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中途採用の場合
件名:【選考結果について】今後の進め方(採用担当者名/株式会社●●) |
期限までにご返送をお願いいたします。 ――――――――――――――――――――― ▼ 郵送書類:返送期限 令和●年●月●日(●)必着 ――――――――――――――――――――― ――――――――――――――――――――― ▼ 今後のスケジュール ―――――――――――――――――――――
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内定通知書のテンプレート
続いて、内定通知書のテンプレートを紹介します。内定を出すと「労働契約が成立した」とみなされるので、不要なトラブルを防ぐためにも、内定通知書は書面で送るのが無難です。
こちらも新卒採用と中途採用に分けてテンプレートを掲載しますので、送付する際の参考にしてください。一般的に内定通知書には、以下のような内容を記載します。
- 内定を通知する文章
- 内定取り消し事由
- 入社年月日
- 内定承諾書などの返送期限
- 入社までのスケジュール
新卒採用の場合
●● ●●様 株式会社●● 内定通知書 拝啓 時下、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
敬具 記 ■入社日:令和●年●月●日
■提出書類
※各イベントの実施時間や概要につきましては、別途メールにてご連絡いたします。 以上 本件に関するお問い合わせ先
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中途採用の場合
●● ●●様 株式会社●● 内定通知書 拝啓 時下、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
敬具 記 ■入社日:令和●年●月●日
■提出書類
■入社までのスケジュール
※各イベントの実施時間や概要につきましては、別途メールにてご連絡いたします。 以上 本件に関するお問い合わせ先
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応募者へ内定を出すときの注意点
応募者へ内定を出すときの注意点を3つ解説します。求職者との不要なトラブルを避け、内定辞退を防ぐためにも、下記の注意点を念頭に置いて内定を出しましょう。
できるだけ早めに通知する
新卒・中途採用問わず、自社に適した人材を逃さず確保するためには「対応の早さ」が肝心です。内定はできるだけ早めに通知しましょう。
基本的に、求職者は複数の企業へ同時に応募し、他社でも採用選考を受けている可能性が高いものです。そのため、せっかく良い出会いがあったとしても、内定を出すのが遅くなるだけで、人材を他社にとられてしまう恐れがあります。
口頭ではなく書面でも通知する
内定を出すと「労働契約が成立した」とみなされます。不要なトラブルを防ぐためにも、内定通知は口頭ではなく書面で行ないましょう。
メールでの採用通知後、書面で内定通知書を送付しておくことにより、「企業が求職者へ入社の合意をとったうえで内定を通知した」という一連の証拠を残せます。きちんと書面で通知しておく方が、企業と求職者の間で「言った/言わない」などのトラブルが生じにくくなるでしょう。
内定者をフォローする
内定通知を出すときは、内定者が入社前に辞退してしまわないよう、「内定者フォローの取り組み」を実施することも重要です。内定者が入社にあたり感じている疑問や不安感を解消するため、内定者面談・内定者交流会・職場見学などを実施して、内定辞退を防ぎましょう。
内定者をフォローする方法や流れについては、こちらの記事で詳しく解説していきます。自社で行なうフォロー内容を決定したら、内定者へ忘れずに案内しましょう。
▼内定者フォローで内定辞退を防ぐ! フォロー内容やポイントを解説
採用・内定の取り消しが認められる場合
採用・内定の取り返しが認められる場合について解説します。先にも述べたとおり「採用」は求職者が企業の選考に合格しただけの状態で、「内定」は入社の合意が取れて労働契約が成立した状態です。
「採用」に法的拘束力はありませんが、採用通知書を送付したあとで企業側が一方的に取り消しすると、求職者とトラブルになる恐れがあります。
また、「内定」には法的拘束力が発生するので、企業都合で一方的に内定を取り消した場合、「求職者を不当に解雇した」という扱いになってしまいます。訴訟問題となり、慰謝料を支払わなくてはいけなくなる可能性もあるので、以下の事由に該当しない限り取り消しするのは避けましょう。
内定者の都合による取り消し
内定者の都合による採用・内定の取り消しが認められるケースには、以下のようなものがあります。
- 内定承諾書など提出書類を期限までに返信しなかった
- 応募書類などの提出書類に虚偽があった
- 入社日の前日までに在籍中の学校を卒業できなかった
- けが・病気などで働ける状態ではなくなった
- 内定者が犯罪行為・反社会的行為をしていたと判明した
- 内定者が暴力団・暴力団関係者と関わりがあると判明した
- インターネット上で不適切な投稿をしていたと判明した
企業の都合による取り消し
企業の都合によって内定を取り消す場合は、厚生労働省が定める「整理解雇の4要件」をすべて満たしていなくてはなりません。
使用者が、不況や経営不振などの理由により、解雇せざるを得ない場合に人員削減のために行う解雇を整理解雇といいます。これは使用者側の事情による解雇ですから、次の事項に照らして整理解雇が有効かどうか厳しく判断されます。
・人員削減の必要性
人員削減措置の実施が不況、経営不振などによる企業経営上の十分な必要性に基づいていること
・解雇回避の努力
配置転換、希望退職者の募集など他の手段によって解雇回避のために努力したこと
・人選の合理性
整理解雇の対象者を決める基準が客観的、合理的で、その運用も公正であること
・解雇手続の妥当性
労働組合または労働者に対して、解雇の必要性とその時期、規模・方法について納得を得るために説明を行うこと
「整理解雇の4要件」をすべて満たしていないにもかかわらず、企業が一方的に内定を取り消すと、不当解雇とみなされてしまいます。やむを得ない理由で内定を取り消す必要があるときは、社内だけでどうするか決定するのは避け、労働契約関係のトラブルに強い弁護士を交えて対応を決めた方がよいでしょう。
まとめ
内定と採用の違いについて解説しました。「採用」は労働契約を結ぶ前の段階で、求職者が企業の選考を合格しただけの状態。「内定」は企業と求職者の間で入社の合意がとれて、労働契約が結ばれている状態です。
似ている印象があり混同して使われやすい言葉ですが、企業・求職者間のトラブルを避けるためにも、きちんと使い分けましょう。
また、採用通知書はメール、内定通知書は書面で通知するのが一般的です。各通知を出すのが遅くなるだけで、人材を競合他社にとられてしまう可能性が上がるので、選考後の通知は迅速に行ないましょう。
無事に入社してもらえるよう、内定者をフォローすることも忘れずに迅速な対応をすれば、良い人材を自社に迎え入れることができるでしょう。
また、内定承諾率を上げて、採用活動の成功率を向上させるためには、自社で働く魅力を求人でしっかりアピールしておくことも大切です。「求職者を自社に惹きつけたい」「内定辞退が出てしまうのを改善したい」とお悩みの方は、ぜひ『エン転職』にご相談ください。
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