チェンジマネジメントとは? 具体的な意味や手法を解説


「チェンジマネジメント」のイメージ画像


チェンジマネジメントとは、組織を変革して、成果を効率よく導き出すために行なう管理手法のことです。もともと海外の企業でよく使われていたマネジメント手法ですが、近年では日本国内の企業からも注目されるようになりました。
 
しかし、チェンジマネジメントを実際にやってみようと思っても、具体的に何をどう進めればよいのかわからない方も多いでしょう。
 
本記事ではチェンジマネジメントの意味や内容、手法について解説します。「チェンジマネジメントって何?」「具体的にどうすればいいの?」とお困りの方は、ぜひ本記事を参考にしてください。


目次[非表示]

  1. 1.チェンジマネジメントとは
    1. 1.1.チェンジマネジメントの始まり
    2. 1.2.チェンジマネジメントの必要性
  2. 2.チェンジマネジメントにおける3つのレベル
    1. 2.1.個人レベルのチェンジマネジメント
    2. 2.2.プロジェクトレベルのチェンジマネジメント
    3. 2.3.組織レベルのチェンジマネジメント
  3. 3.チェンジマネジメントを成功させるための手順
    1. 3.1.危機意識を高めて共有する
    2. 3.2.変革推進のためのチームを構築する
    3. 3.3.ビジョンと戦略を策定する
    4. 3.4.変革のビジョンを周知徹底する
    5. 3.5.社員の自発的な取り組みを促す
    6. 3.6.短期的な成果を実現する
    7. 3.7.短期的な成果を活かして更なる変革を進める
    8. 3.8.新しい方法を自社の文化に定着させる
  4. 4.まとめ


チェンジマネジメントとは

チェンジマネジメント(change management)とは、組織を変革して、成果を効率よく導き出すために行なうマネジメント手法のことです。日本では「変革管理」とも呼ばれています。
 
一般的に、組織を大きく変化させようとすると、個人がさまざまな抵抗感を抱きやすいため、反発が起こりがちです。

チェンジマネジメントでは、組織変革の際に個人が抱きやすい抵抗感を軽減し、社員一人ひとりが企業の変化をスムーズに受け入れられるように準備するため、変革を推進することに役立ちます。


チェンジマネジメントの始まり

チェンジマネジメントは、1990年代にアメリカで開発された管理手法です。当時のアメリカでは、BPR(Business Process Re-engineering:業務プロセス改革)によって組織改革を進めるのがブームでした。
 
しかし企業に勤める「人」の気持ちや、意向を無視して進められる組織改革に、抵抗感や不満を覚える社員が多かったため、BPRの約70%が失敗に終わったといわれています。
 
チェンジマネジメントは、そうしたBPRの課題点を解決し、組織改革をスムーズに進めるため誕生しました。チェンジマネジメントは組織に所属する「人」の気持ちや意向、文化などに考慮して改革を進めるため、社員が変化を受け入れやすくなります。


チェンジマネジメントの必要性

チェンジマネジメントは近年、日本国内の企業からも注目が集まるようになりました。昨今は物事の不確実性が高く、先行きが不透明で、将来の予測が困難な「VUCA時代」といわれています。
 
VUCAとは「Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)」の頭文字をとった造語です。
 
チェンジマネジメントはVUCA時代に順応し、生産性向上を実現して、企業の競争優位性を高めるために必要なマネジメント手法として注目されています。なお、VUCAについては以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
 
▼VUCAとは?VUCA時代に求められる企業変化、人材の採用・育成方法

  VUCAとは?VUCA時代に求められる企業変化、人材の採用・育成方法 VUCA ・VUCA時代の用語を詳しく解説するとともに、変化の激しいこの時代で求められる企業変化や変化に対応するために必要な人材についてご紹介。こうした人材の採用・育成方法まで求人コピーライターが知見を交えて解説します。 エン・ジャパン株式会社


チェンジマネジメントにおける3つのレベル

チェンジマネジメントには「個人・プロジェクト・組織」という3つのレベルがあります。各レベルへのアプローチについて解説します。


個人レベルのチェンジマネジメント

組織を変革するにあたり大切なのは、個人をおざなりにしないことです。変化に抵抗感を覚えるのは自然な反応なので、社員一人ひとりの抵抗感を軽減させ、組織の変化に順応できるようサポートすることが重要です。
 
一般的に、個人のチェンジマネジメントでは、以下のようなアプローチを行ないます。

  • 誰に対してどのようなサポートが必要なのかを洗い出す
  • 心理学や行動科学などに基づき最適なサポートを提供する
  • 社員一人ひとりに対し「なぜ組織変革が必要なのか」を丁寧に説明する

 
自社の社員一人ひとりが、組織変革に対する心身の準備を整えられるよう、十分にサポートしましょう。


プロジェクトレベルのチェンジマネジメント

プロジェクトレベルのチェンジマネジメントとは、一定数の社員が集うプロジェクト単位で、変革を推進することです。プロジェクト単位の変革は、下記のような情報を洗い出して実施します。

  • 変革が必要なプロジェクトは何か
  • プロジェクトにおいて目指すべき姿や目標は何か
  • プロジェクトに参加するメンバーがどのように変化すべきか

 
プロジェクトレベルでチェンジマネジメントを行なうと、参加メンバーにも変革を促すことが可能となります。さらに、メンバーを変化させることに成功すれば、組織的なチェンジマネジメントもスムーズに実行できるでしょう。


組織レベルのチェンジマネジメント

組織レベルのチェンジマネジメントとは、企業全体での大規模な変革を実行する際に、必要なアプローチです。組織全体の文化や価値観、業務の進め方などを抜本的に見直し、成果を出し続けられる組織となるよう改革します。個人レベルやプロジェクトレベルのチェンジマネジメントと並行して実施し、着実に進めましょう。


チェンジマネジメントを成功させるための手順

ここからは、チェンジマネジメントを成功させるための手順を解説します。チェンジマネジメントには「変革の8段階プロセス」という手順があります。
 
「変革の8段階プロセス」は、ハーバード大学の名誉教授であるジョン・P・コッター氏が提唱したものです。以降でそれぞれのステップについて詳しく解説します。


危機意識を高めて共有する

チェンジマネジメントの第1段階は、経営幹部が危機意識を高めて、従業員に共有することです。「現状のままでは市場で優位性を保てない。生き残ることができない」という危機意識を高め、組織変革の必要性を明確化して、従業員へ共有しましょう。


変革推進のためのチームを構築する

チェンジマネジメントの第2段階は、変革推進のためのチームを構築することです。危機意識を高めて共有したら、以下の4つの特徴に当てはまる人材を発掘し、変革を進めるためのチームをつくりましょう。

  • パワー(権限)を有する人材
  • 高い専門知識を有する人材
  • リーダーシップのある人材
  • 組織内の人々から信頼を集めている人材

 
なお、上記4つすべてを満たしていなくても大丈夫です。各特徴に当てはまる人材を発掘し、それぞれが自分の能力を十分に発揮できるような運営方法にするとよいでしょう。


ビジョンと戦略を策定する

チェンジマネジメントの第3段階では、ビジョンと戦略を策定します。組織を変革することによって目指したいビジョン(最終的になりたい姿)を明確化し、実現するための具体的な戦略を立てましょう。
 
「変革の8段階プロセス」を提唱したジョン・P・コッター氏によると、優れたビジョンには、以下のような6つの共通点があります。

  • 可視化とイメージがしやすい
  • 方向性が明確に示されている
  • 現実的な目標で実現可能である
  • 簡潔で伝わりやすい
  • 柔軟性がある
  • メリットがある(長期的な利益が見込める)

 
ビジョンを明確化するときは、上記の6点を念頭に置いておくとよいでしょう。


変革のビジョンを周知徹底する

チェンジマネジメントの第四段階では、変革のビジョンを周知徹底します。第3段階で決めたビジョンを従業員へ周知しましょう。
 
変革のビジョンを周知するときは、1回限りの説明で終わらせてはいけません。「経営幹部層や社長による説明」「社内報による共有」「社内掲示板への貼り出し」などの情報発信を繰り返し行なうことが大切です。


社員の自発的な取り組みを促す

チェンジマネジメントの第5段階では、社員の自発的な取り組みを促進します。組織変革に向けて、各社員が実際に活動するフェーズとなるため、この段階では変革に対して抵抗感を抱く人(チェンジモンスター)が発生するでしょう。
 
チェンジモンスターにより変革が難航する可能性があるため、自社のチェンジモンスターにどのような人がいるのか把握し、抵抗感を軽減させていく必要があります。
 
たとえば「他者の失敗を許容できる企業文化を醸成する」「自発的行動を評価する制度を導入する」などの対策を講じて、社員の抵抗感を軽減させ、変革に向けた自発的な取り組みを促進しましょう。


短期的な成果を実現する

チェンジマネジメントの第6段階では、短期的な成果を実現させます。最終的なビジョンを達成する前段階として短期的な目標を設定し、それを達成することにより、従業員に「組織が改善されている」という実感を得てもらうことが目的です。
 
変革推進のため前向きに取り組んでいたとしても、最終目標が遠すぎると、成果の出ない状況が長く続くので、従業員のモチベーションが下がりやすくなってしまいます。モチベーション低下を防ぐため、まずは短期的な成果を実現し、従業員に成功体験を得てもらいましょう。


短期的な成果を活かして更なる変革を進める

チェンジマネジメントの第7段階では、第6段階で実現した短期的な成果を活かして、さらに変革を進めます。成功体験を重ねることにより、変革に抵抗感を示していたチェンジモンスターも、前向きな姿勢へ変わっていく可能性があります。
 
また、最終的なビジョンへ向けて成果を実現していくなかで、「このシステムは修正したほうがよいな」などの意見が出た場合は、適切に修正や変更を行ないましょう。


新しい方法を自社の文化に定着させる

最終段階となる第8段階では、新しい方法を自社の文化に定着させます。第7段階までに実施してきた新しい方法を企業文化に定着させ、持続可能なものにしていきましょう。
 
新しい方法を自社に定着させるためには、以下のポイントを意識することが重要です。

  • 新しい方法を社内で発信し続ける
  • 新しい方法によって達成した組織改善や組織の成功を社内で発信し続ける
  • 次世代のリーダーとなれる人材の能力開発を進める

 
一般的にチェンジマネジメントは、最終的なビジョンを実現するまでに年単位の期間がかかります。拙速に進めようとすると従業員の反発を招き、余計に変革が難航する可能性があるため、時間をかけてじっくり着実に進めましょう。


まとめ

チェンジマネジメントの意味や内容、手法について解説しました。チェンジマネジメントとは、組織を変革して、成果を効率よく導き出すためのマネジメント手法のことです。
 
チェンジマネジメントは激しい時代の変化に順応し、企業の競争優位性を保つために欠かせない手法として、近年注目されています。達成するには多くの時間と手間がかかりますが、腰を据えてじっくりと行なえば、自社の成果向上につながるでしょう。
 
なお、企業の成果を向上させるためには、組織を変革するだけでなく、適した人材を確保することも重要です。自社が最終的に目指したいビジョンに適した人材を採用すれば、効率よく目標達成できる可能性が高くなるでしょう。


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