キャリア開発とは? メリットや具体的な実施方法、ポイントを解説
キャリア開発とは、企業が従業員のキャリア形成に向けて、中長期的な人材育成を実施することです。キャリア開発を行なうと、従業員は自身の望んだキャリアを実現できる可能性が高くなります。
加えて、従業員のキャリア開発が成功すれば、企業としての業績アップにもつながります。キャリア開発は、企業と従業員が一緒に成長していくための人材戦略のひとつとして、注目されているのです。
本記事では、キャリア開発のメリットや具体的な実施方法、ポイントなどを解説します。「従業員を育てたい」「人材の定着につながる育成を実施したい」とお考えの方は、ぜひ本記事をお役立てください。
目次[非表示]
- 1.キャリア開発とは?
- 2.キャリア開発を実施するメリット
- 2.1.自律した人材を育成できる
- 2.2.組織を活性化できる
- 2.3.組織の生産性や業績が向上する
- 2.4.優秀な人材の採用・定着につながる
- 3.キャリア開発の実施方法7つ
- 4.キャリア開発を実施する際のポイント
- 4.1.従業員との信頼関係を構築する
- 4.2.第三者に相談しやすい体制を整備する
- 4.3.「キャリアの自律」ができる環境を整える
- 4.4.従業員の意向や要望に沿った支援をする
- 5.まとめ
キャリア開発とは?
キャリア開発とは、企業が従業員のキャリア形成に向けて、中長期的な人材育成を実施することです。キャリア開発における「キャリア」には、「経歴・職業・出世」などの意味があります。
キャリア開発では、自社の従業員が望むキャリアを形成できるように、企業側が適切な成長機会を与えるなどして支援します。従業員一人ひとりが成長することにより、企業側としても生産性の向上や業績アップなどのメリットが期待できます。
キャリア開発は、企業と従業員がともに成長していくための人材戦略のひとつとして、注目されている取り組みです。ただし企業側は、キャリア開発を実施するにあたり、自社の経営戦略および人材戦略と、従業員個人の意向をすり合わせていく必要があります。
キャリア開発は企業側だけが取り組んでいても、あまり意味がありません。企業と従業員でキャリア形成への意向や目的、目標などのすり合わせを行ない、お互いが前向きに取り組んでいくことが大切です。
キャリアアップ・キャリア形成との違い
キャリア開発と混同されやすい言葉に「キャリアアップ」や「キャリア形成」があります。
キャリアアップは、従業員がスキル・知識・業務経験などを積み、自身のキャリアや市場価値を向上させることです。キャリア開発と似ていますが、キャリアアップは「従業員本人が主体となって取り組むケースが多い」という特徴があります。
キャリア形成は、従業員が自身の望むキャリアを実現させるために、スキルや業務経験を積んでいくプロセスのことです。キャリア開発は「キャリア形成を行なうための育成手法のひとつ」といえます。
キャリア開発を実施するメリット
続いて、キャリア開発を実施するメリットを4つ解説します。
自律した人材を育成できる
「自律した人材」とは、上長からの指示を待つだけでなく、やるべき仕事を自ら考えて主体的に行動できる人材を指します。
キャリア開発は従業員がキャリアを形成するために必要なスキル・能力の習得を、企業がサポートする取り組みです。
ただし、ある程度は従業員本人が「望むキャリアを叶えるために自分がやるべきこと、習得すべきことは何か?」を考えて動く必要があるため、主体的に行動できる自律した人材の育成につながります。
組織を活性化できる
キャリア開発によって自律した人材が社内に増えると、組織が活性化されます。自律した人材が増え、主体的・能動的に行動できる従業員が増加することで、組織内の動きも活発になるからです。
従業員一人ひとりが習得したスキルや能力を活かして、日々の業務に取り組むことにより、組織としての競争力アップにつながるでしょう。
組織の生産性や業績が向上する
キャリア開発によって自律した人材が増え、組織が活性化することにより、生産性も向上します。業務生産性の向上にともない、業績もアップするでしょう。キャリア開発を行なって人材の育成を促進することは、企業の組織力強化にもつながるといえます。
優秀な人材の採用・定着につながる
キャリア開発は優秀な人材の採用・定着にもつながります。従業員のキャリア形成を積極的に支援している企業は、成長意欲のある人材にとって魅力的に感じるからです。自身のキャリア形成を前向きに考えている優秀な人材からの応募を集められるでしょう。
キャリア開発は、企業の採用活動におけるアピールポイントになるため、実施していることを積極的に発信するのがおすすめです。
また、キャリア開発を行なうと、既存の従業員も「この企業にいれば成長できる」と感じられるため、長く働き続ける意欲を醸成できます。結果的に、優秀な人材の定着にもつながるでしょう。
キャリア開発の実施方法7つ
ここからは、キャリア開発の具体的な実施方法を7つ紹介します。
キャリア面談
キャリア面談とは、上司や先輩とキャリアについて話し合ったり、相談したりする面談のことです。従業員が自身のキャリア形成への希望や相談事などを上長に伝え、それに対してどのように取り組むべきかを話し合う場なので、人事評価面談や業務改善のために実施する1on1ミーティングとは主旨が異なります。
また、キャリア面談は直属の上司が行なうだけでなく、キャリアコンサルタントを起用して実施されるケースもあります。キャリア面談を行なうことにより、従業員が抱えている不安や課題がわかるため、キャリア形成に向けた適切な対策を考えられるでしょう。
キャリア研修
キャリア研修とは、従業員がキャリアについて考えを深めたり、希望のキャリアを叶えるためにどのようなスキル・経験・知識が必要かを学んだりする研修のことです。キャリア研修を実施することによって、キャリア形成のために何をすべきかが明確になります。
キャリア研修には、従業員が自身のキャリアプランについて考える「キャリアデザイン研修」や、部下のキャリア形成をサポートする管理職に向けた「キャリア開発研修」など、目的別にさまざまな種類があります。
キャリア研修を専門的に実施している業者では、年代別に研修内容を定めているケースや、目指すポジション・業務内容ごとに必要なスキルを学べるケースもあります。より高度な研修を行ないたい場合は、専門業者に依頼するのもよいでしょう。
キャリアパスの提示
キャリアパスは直訳すると「キャリアを積む道」という意味です。従業員が組織内でキャリアアップするための昇進ルートや道筋を指します。
キャリア開発では、従業員に自社のキャリアパスを提示することも大切です。従業員からすると、社内にどのようなキャリアパスが用意されているのかわからず、「望むキャリアを実現するにはどんなルートがあるんだろう?」と戸惑っているケースも多くあります。
自社の昇進ルートや、キャリアアップのために実施できる配置異動の範囲などを伝えて、具体的なキャリアパスを提示しましょう。目指す道のりがわかれば、従業員がより前向きにキャリア形成に取り組めるようになります。
人事異動・人材配置
キャリア開発の一環として、人事異動など人材の配置転換を行なうのも有効です。ひとつのチームや部署に留まっているだけでは、習得できないスキルや経験もあるため、必要に応じて配置転換を実施しましょう。
キャリア開発に有効な配置転換には、以下のような種類があります。自社の経営戦略と従業員の意向をすり合わせたうえで実施すれば、双方にとって有意義な人事異動となるでしょう。
自己申告制度 |
従業員がキャリア形成のために異動したい部署を自己申告する制度 |
社内公募制度 |
企業側が増員する部署を社内掲示板などで公開し、従業員からの応募を募る制度 |
社内FA制度 |
従業員が自分のスキルや能力、業務経験などを異動したい部署にアピールする制度 |
ジョブローテーション |
企業側が戦略的に人材の配置転換を実施する制度 |
自己啓発への支援
キャリア開発では、従業員の自己啓発に対する支援も重要です。社内のリソースだけでキャリア形成を支援するのではなく、人材教育サービスなど外部のリソースも使いながら、従業員が必要なことを主体的に学べる体制・環境を整えましょう。
たとえば自己啓発への支援策として、以下のような取り組みが挙げられます。
- 資格取得に必要な費用を援助する
- 勤務時間内での研修・セミナーの受講を許可する
- 社内外で従業員が学習できるスペースを提供する
- スキル習得のため役立つ資料や情報などを提供する
リスキリング支援
リスキリングは、職業能力の再開発や再教育のこと。リスキリング支援では、主に以下のような方法によって社員の育成を行ないます。
- 研修プログラム
- オンライン講座
- eラーニング
- キャリアアドバイス
自社だけで実施するのが難しい場合は、外部業者に講師を依頼するのも良い手です。リスキリング支援を行なうことにより、従業員がさまざまな方法で、自身に必要な知識やスキルを習得できるようになります。
副業・兼業の推進
企業が兼業や副業を許可し、推進することも、従業員のキャリア開発につながります。従業員が兼業や副業で、さらなる業務経験を積み、本業だけでは得られないスキルを身に着けられる可能性があるからです。
従業員の副業・兼業を全面的に推進するのは抵抗があるという場合は、「本業が休みの日だけ兼業を許可する」「本業に影響がない範囲でのみ副業を許可する」などの条件をつけ、ある程度の制限をかけながら推進するとよいでしょう。
キャリア開発を実施する際のポイント
次に、キャリア開発を実施する際に大切なポイントを4つ解説します。
従業員との信頼関係を構築する
キャリア開発を行なうときは、従業員と信頼関係をしっかり構築することが大切です。キャリア開発を実施するにあたり、従業員のキャリアへの考え方や価値観、将来への不安、展望などをヒアリングする必要があります。
信頼関係を構築できていなければ、従業員の本音を聞き出すのが難しくなってしまうでしょう。従業員の本音を聞き出し、一人ひとりの意向に合わせて適切なプログラムを実施できるよう、良い関係性を構築しましょう。
第三者に相談しやすい体制を整備する
キャリア開発は、中長期的に取り組む育成方法です。従業員が何か悩みや不安を感じたり、困ったりしたとき、上司以外の第三者に相談しやすい体制を整えておきましょう。
直属の上司には話しづらい内容や、誰に相談したらよいかわからない内容などを気軽に話せる体制があると、従業員が安心して自身のキャリア形成に取り組めます。たとえば、以下のような仕組みをつくるとよいでしょう。
- 相談窓口の設置
- メンター制度の導入
- ブラザーシスター制度の導入
- キャリアコンサルタントなど専門家に相談できるシステムの導入
なお、メンター制度については以下の記事で詳しく解説しています。似ている制度との違いや、具体的な導入方法などを知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
▼メンター制度とは? 導入目的やメリット・デメリット、失敗例と手順も解説
「キャリアの自律」ができる環境を整える
「キャリアの自律」とは、従業員一人ひとりが自身のキャリアを主体的に考え、責任をもって管理・成長すること。キャリアの自律を叶えるためには、従業員が自分自身と向き合い、現状を把握したうえで「将来のために必要なスキルや経験は何か」をじっくり考える時間が必要です。
毎日業務に追われていて多忙だと、従業員が自分と向き合ったり、将来を考えたりするのは難しいでしょう。キャリア開発を成功させるためには、企業側がきちんと従業員に配慮し、キャリアについて深く考える時間を用意する必要があります。
従業員の意向や要望に沿った支援をする
キャリア開発では、企業が従業員のキャリア形成をサポートします。ただし、主導するのが企業側だとしても、主役は従業員であることを忘れないようにしましょう。
キャリア開発の主目的は、従業員のキャリア形成および自律を支援することなので、従業員本人の意向や要望を無視して、一方的に企業側の考えや事情を押し付けてはいけません。
定期的に従業員と面談し、望むキャリアを実現させるためには何が必要か話し合い、意向に沿った育成方法を実施しましょう。
まとめ
キャリア開発のメリットや具体的な実施方法、ポイントなどを解説しました。キャリア開発とは、企業が従業員のキャリア形成と、キャリアの自律に向けて、中長期的な人材育成を実施することです。
キャリア開発には「自律した人材を育成できる」「優秀な人材の採用・定着につながる」などのメリットがあります。従業員とコミュニケーションをとりながら、積極的に実施し、求人や採用サイトなどでも、キャリア開発を行なっている旨をアピールするとよいでしょう。
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