やる気のない部下の特徴や原因、モチベーションを高める方法を解説
チームや部署をまとめる管理職にとって、部下のモチベーションの管理は業務課題のひとつです。やる気のない部下がひとりいるだけで、チーム全体の雰囲気が悪化するなど良くない影響が出る可能性もあるため、早めに対処しなくてはなりません。
そこで本記事では、やる気のない部下の特徴や原因などを解説します。やる気のない部下のモチベーションを向上させる方法や、やる気のない部下に対してやってはいけないNG行為なども解説しますので、ぜひマネジメントや育成の参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.やる気のない部下の特徴
- 2.やる気のない部下が生じる主な原因
- 2.1.労働環境に問題がある
- 2.2.上司に対して不満を抱えている
- 2.3.頑張りが正当に評価されないと感じている
- 2.4.「やる理由」がわからずモチベーションが湧かない
- 3.やる気のない部下にやってはいけないNG行為
- 3.1.すぐに口出しや注意をする
- 3.2.部下を放置する
- 3.3.部下をまったく褒めない
- 3.4.部下に仕事を割り振らない
- 4.やる気のない部下のモチベーションを向上させる方法
- 4.1.労働環境を改善する
- 4.2.部下の力量に合った仕事を与える
- 4.3.目標を設定して達成するサイクルをつくる
- 4.4.部下が自身の成長を実感できる機会をつくる
- 4.5.結果とプロセスをどちらも評価する
- 4.6.上司・部下間での情報共有を徹底する
- 4.7.自分で考えて行動する習慣を身につけてもらう
- 5.まとめ
やる気のない部下の特徴
やる気のない部下には以下のように、いくつか共通する特徴があります。
やる気のない部下の特徴 |
言動の共通点など |
最低限の仕事しか行わない |
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気力が感じられない |
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責任感がない |
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基本的なマナーが守れない |
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常に不機嫌そうにしている |
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上記の特徴に当てはまる部下がいる場合は、何らかの理由でモチベーションが低下している可能性があるため、どのように問題を解消するか検討したほうがよいでしょう。
ただし「仕事が遅い・仕事の成果が出ない」などの不調は、やる気の問題ではなく、部下の能力・スキル・知識が不足していることによって引き起こされている可能性もあります。
場合によっては業務フローを見直したり、研修などの教育機会を提供したりして改善を図るほうがよいケースもあるでしょう。部下の不調の原因を「やる気がないからだ」と単に決めつけるのではなく、多角的に考える必要があることは念頭に置いておきましょう。
やる気のない部下が生じる主な原因
ここからは、やる気のない部下が生じてしまう主な原因を4つ解説します。
労働環境に問題がある
部下のモチベーションが低下し、やる気がなくなってしまう原因のひとつに、労働環境の問題が挙げられます。たとえば以下のような問題がある職場では、従業員のモチベーションが低下しやすくなります。
- 職場の人間関係が悪くギスギスしている
- 社内に適切な人材育成の仕組みが構築されていない
- 業務の量や難易度、責任範囲に待遇がともなっていない
上記のように労働環境に何らかの問題があると、もともとやる気に満ちていた人でも、徐々にモチベーションが下がってしまいます。
上司に対して不満を抱えている
「上司の仕事への姿勢や部下への態度が粗雑で尊敬できない」「ミスをしたとき一方的に怒鳴られるから怖い」など、部下が上司に対して不満や不安を感じている場合、モチベーションが下がりやすくなります。
上司との信頼関係が構築できないまま放置していると、退職に至る可能性もあるでしょう。しかし、直属の上司に対して直接不満を打ち明けるのは、誰でもハードルが高いと感じるものです。
チームメンバーが管理職に対してどのように感じているのか、第三者が定期的にチェックして、問題がある場合は改善できるような組織体制を構築するとよいでしょう。
頑張りが正当に評価されないと感じている
会社の人事評価システムが適切でない場合、従業員が「自分の頑張りは正当に評価されていない」「成果を出しても報われない」と感じてしまうため、やる気の消失につながります。
自社の人事評価制度に、以下のような問題点がある場合は、制度を見直して改善しましょう。
- 評価基準があいまい
- 従業員の成果や取り組みを反映しにくい
- 評価者の主観に頼った評価システムになっている
上記のような問題を改善し、客観性・公平性のあるシステムを導入できれば、部下のモチベーションを高めやすくなります。
「やる理由」がわからずモチベーションが湧かない
仕事を割り振る際の業務説明が不十分だったために、部下が「なぜその業務をやる必要があるのか」を理解できず、モチベーションが湧かなくなってしまうケースがあります。
「何のためにやるのか・なぜやるのか」がわからない状況では、自分の担当業務が何の役に立っているのか理解できないため、やりがいを感じられません。仕事を割り振るときは「その業務をやる理由」もあわせて伝えるようにしましょう。
やる気のない部下にやってはいけないNG行為
続いて、やる気のない部下に対して、やってはいけないNG行為を4つ解説します。以下の行為をすると、余計に部下のやる気を削いでしまう可能性があるので注意しましょう。
すぐに口出しや注意をする
部下のやる気を下げてしまう上司の行動のひとつに、「部下に対してすぐ口出しや注意をしてしまう」が挙げられます。たとえば以下のようなシチュエーションで、すぐに口出しすると、部下のやる気が少しずつ削がれてしまう可能性があるので気を付けましょう。
- 部下が業務を間違うと間髪入れずに注意する
- 必要とされていないタイミングですぐアドバイスする
- 部下の業務進捗が気になるあまり「こうやるべき」と細かく口出しする
上司が部下に対して、上記のような行為を繰り返すと、部下の「自分で考えて行動する力」が育たなくなってしまいます。加えて、「何かとすぐに口出しされるから上司の前で業務を進めるのが怖い」と不安を煽ってしまう場合もあります。
すぐに口出しをするのではなく、業務が一区切りした適切なタイミングでフィードバックしたり、部下の了承を得てからアドバイスしたりするなど、ある程度は様子を見たほうがよいでしょう。
部下を放置する
部下のやる気がないように見えるからといって、放置するのはよくありません。やる気のない部下を放置すると、ほかのチームメンバーにも悪影響を及ぼす可能性があります。やる気のない部下は放置するのではなく、適切なアプローチをかけるのがおすすめです。
「部下のモチベーション低下を察知した段階で、なるべく早めに1on1ミーティングを設ける」など適切なアプローチを行ない、モチベーション低下の原因を突き止めて改善すれば、部下のやる気を維持できるでしょう。
部下をまったく褒めない
やる気のない部下は、上司の立場からすると「褒めるに値しない」「そのくらいの仕事はできて当然」と感じることが多いでしょう。
しかし、上司が部下をまったく褒めない状況が続くと、部下側は仕事のやりがいや達成感を得られないため、余計にモチベーションを低下させてしまう可能性があります。
上司にとってはできて当たり前の仕事でも、部下にとっては大変だったり、自分なりに努力していたりするケースもあります。部下のやる気を保つためには、上司が適切なタイミングで部下を褒め、ポジティブな声掛けをすることも大切です。
部下に仕事を割り振らない
「他人に任せるよりも自分がやったほうが早い」などの理由で、仕事を割り振らない上司も、部下のモチベーションを低下させやすいため注意が必要です。上司側の管理工数は増えてしまいますが、部下に対してなるべく積極的に仕事を振り分けるようにしましょう。
部下の能力に見合った、適切な仕事をきちんと振り分けることにより、部下自身のできることが増えていきます。その結果、部下が「新しい業務を覚えられた」「目標を達成できた」などの成功体験を重ねられるため、やりがいや達成感、充実感を得やすくなり、モチベーション向上につながるでしょう。
やる気のない部下のモチベーションを向上させる方法
ここからは、やる気のない部下のモチベーションを向上させる方法について解説します。具体的に7つの方法を紹介しますので、マネジメントや育成にお役立てください。
労働環境を改善する
労働環境に何らかの問題があると、部下のモチベーションが徐々に下がってしまいます。社内の労働環境を整備し、快適に業務が進められる環境をつくりましょう。
たとえば職場の情報伝達に問題がある場合は、コミュニケーションを円滑化し、従業員同士の意思疎通がスムーズにできる体制を構築する必要があります。
「定期的にチームミーティングや1on1ミーティングを行なう」「新たなITツール(チャットアプリなど)を導入して情報共有を円滑化する」などの取り組みを実施し、課題解決に向けて工夫するとよいでしょう。
部下の力量に合った仕事を与える
前述したように、部下の能力に見合った適切な仕事を割り振ることによって、部下が「新しい業務を覚えられた」「目標を達成できた」などの成功体験を重ねられます。部下自身のできることが増え、成功体験を重ねていくうちに、業務へのモチベーションが上がるでしょう。
大切なのは、部下の力量に適した仕事を与えて、様子を見ることです。いきなり力量以上の仕事を与えると、プレッシャー過多となり、ストレスや自信の喪失につながる可能性があります。まずは簡単な仕事から割り振り、様子を見ながら業務内容を調整するようにしましょう。
目標を設定して達成するサイクルをつくる
上司と部下で定期的にミーティングを実施し、一緒に目標を設定しましょう。「目標を設定して達成する→もうひと段階上の目標を設定して達成する」というサイクルを繰り返すと、部下のモチベーション維持につながります。
この時に重要なのは、いきなり大きな目標を立てるのではなく、大きな目標を達成するための「段階的な小さい目標」を細かく立てることです。
目標を段階的に達成することにより、部下が着実にステップアップできるほか、達成感も得られます。小さい目標をクリアする成功体験を積み上げ、部下のやる気と自信を向上させましょう。
部下が自身の成長を実感できる機会をつくる
部下に対して、上司から積極的にポジティブなフィードバックを与え、自身の成長を実感できる機会を提供しましょう。
「目標を達成したら褒める」というだけでなく、日ごろから部下の様子を観察し、何か業務上で工夫していることがあれば積極的に褒めるなど、ポジティブな声掛けを行なうのがおすすめです。
上司からのポジティブな声掛けが増えると、部下が自身の成長を実感できるほか、「ちゃんと気にかけてくれている」と安心感をもてるようになります。
結果とプロセスをどちらも評価する
部下を評価するときは、結果とプロセスをどちらも評価しましょう。結果の良し悪しだけでなく、結果に至るまでのプロセスも評価することにより、部下のやる気が低下する事態を防げます。
たとえば、目標の営業売上を達成できなかったとしても、その結果に至るまでの間に、部下が新しい業務を覚えたかもしれません。目標達成のため、本人なりに何か努力している可能性もあるので、プロセスもしっかりと評価して、部下のモチベーションが良い状態となるようコントロールしましょう。
上司・部下間での情報共有を徹底する
組織の風通しを良い状態に保ち、上司・部下間での情報共有を徹底することも、部下のモチベーション維持に役立ちます。組織内のコミュニケーションが円滑でないと、部下が業務で悩みを抱えたときや困ったときに、上司や先輩などへ相談しづらくなってしまうでしょう。
部下が困り事を一人で抱え込まなくて済むような、風通しの良い雰囲気をつくり、相談しやすい環境を整えることが大切です。
また「報・連・相」の大切さを部下へきちんと伝えておくことも重要です。社員のなかには「報・連・相」の重要性がそもそもわかっておらず、「なぜ上司への報告や連絡が必要なの?」「相談したら怒られそうで不安…」と感じているケースもあります。
「報・連・相」の重要性をきちんと伝えたうえで、部下が話しやすい環境をつくり、上司・部下間での情報共有が徹底されれば、部下のモチベーションを管理しやすくなるでしょう。
自分で考えて行動する習慣を身につけてもらう
部下に自分で考えて行動する習慣を身につけてもらうことも重要です。部下が主体的に考えて行動できるようになれば、目標達成に向けてやるべきことを自ら考えられるようになります。前向きな姿勢が育ち、仕事に対するモチベーションが自然と向上するでしょう。
部下に主体性が身につき、自ら考えて行動できるようになったら、良かった部分を積極的に褒めて伸ばすのがおすすめです。悩んでいる部分や不十分な部分に関しては、上司が適切にサポートしましょう。
なお、部下のサポートや育成に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。部下の育て方にお悩みの方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
▼部下の育成を成功させるためのポイント10選|よくある課題も解説
まとめ
やる気のない部下の特徴や原因、モチベーションを向上させる方法、やる気のない部下に対してやってはいけないNG行為などを解説しました。管理職にとっては、やる気のない部下をどのように指導するかが、大きな業務課題となります。
「部下の力量に合った仕事を与える」「目標を設定して達成するサイクルをつくる」などの対策を練り、部下のモチベーションを良い状態に保てるよう工夫しましょう。
やる気のない部下が生じる原因には、さまざまなものがありますが、「業務内容が自分に適していなかったと感じる」「求人で見たときと入社してからの印象が違った」などの理由で、入社後に仕事へのやる気が低下してしまうケースもあります。
やる気のない部下を生じさせないためには、自社に適性のある人材を、採用時にきちんと見極めることも大切です。「自社に適性のある人材を採用したい」とお考えの場合は、ぜひ『エン転職』をご活用ください。
エン転職は1000万人の会員を保有する、日本最大級の中途採用向け求人サイトです。エン転職では、求人に「仕事の厳しさ」「向いていない人」という項目を設けることで、入社後のミスマッチの軽減を行なっています。
入社後のギャップは、早期離職の原因にもなり得るものです。「業務が思ったよりキツかった…」「求人には書いていなかった…」という不満が、早期の退職やモチベーション低下につながります。
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