アンコンシャスバイアスとは? 具体例や企業への影響、改善策を解説


「アンコンシャスバイアス」のイメージ画像


近年、グローバル化などの影響により、アンコンシャスバイアスという言葉をよく耳にするようになりました。アンコンシャスバイアスとは「無意識の偏見や思い込み」を指す言葉です。
 
アンコンシャスバイアスは、ビジネスシーンだけでなく、私生活のあらゆる場面で生じるもの。組織の人間関係や生産性にも影響を及ぼすことから、注目を集めています。
 
本記事ではアンコンシャスバイアスの意味や代表例、改善策などを解説します。本記事をチェックし、アンコンシャスバイアスへの理解を深めましょう。


目次[非表示]

  1. 1.アンコンシャスバイアスとは
    1. 1.1.アンコンシャスバイアスが起こる理由
  2. 2.アンコンシャスバイアスの7つの代表例
    1. 2.1.正常性バイアス
    2. 2.2.確証バイアス
    3. 2.3.アインシュテルング効果
    4. 2.4.ステレオタイプバイアス
    5. 2.5.慈悲的差別
    6. 2.6.ハロー効果
    7. 2.7.権威バイアス
  3. 3.アンコンシャスバイアスを解消するには
    1. 3.1.社内の状況を把握する
    2. 3.2.研修など解消の取り組みを実施する
    3. 3.3.決めつけや押しつけに日頃から注意する
  4. 4.まとめ


アンコンシャスバイアスとは

アンコンシャスバイアスとは、無意識の偏見や思い込みを指す言葉です。アンコンシャス(unconscious)には「無意識的な」、バイアス(bias)には「偏見・先入観」などの意味があります。
 
アンコンシャスバイアスは、日常生活で経験した出来事や目にした物事などをもとに、無意識的に形成されます。たとえば性別・国籍・人種・年齢などに基づく偏見や、見た目の印象からくる先入観などが、アンコンシャスバイアスに挙げられます。


アンコンシャスバイアスが起こる理由

アンコンシャスバイアスは、人間の脳の仕組みによって生じるとされています。アメリカの学者ダニエル・カーネマンによると、人間の脳が情報を処理する方法には、「直感的思考(無意識的な処理)」と「熟慮思考(意識的な処理)」の2つがあります。
 
人間は2つの処理方法のうち、直感的思考を駆使することによって、素早い判断と行動を可能にしているのです。
 
しかし2つの処理方法を有しているがゆえに、本来ならば熟慮思考で慎重に判断しなければならない事柄も、直感的思考で判断してしまうケースがあります。その結果、アンコンシャスバイアスが生じるとされているのです。


アンコンシャスバイアスの7つの代表例

ここからは、アンコンシャスバイアスの代表例を7つ解説します。


正常性バイアス

正常性バイアスとは異常な状況に置かれたとき、自分にとって都合の悪い情報を無視または過小評価して、いつも通りに判断・行動してしまうことです。正常性バイアスが起こると、危機的な状況となっているにもかかわらず、対応が遅れてしまいます。


▼正常性バイアスの例

  • 地震が起きたにもかかわらず「自宅が崩れることはないだろう」と思い込み、避難が遅れてしまう
  • 自社の業績が大幅に悪化していても「倒産することはないだろう」と思い込んでしまう


確証バイアス

確証バイアスとは、自分の価値観や意見の正しさばかりを信じ、反対意見などを無視または過小評価してしまうことです。確証バイアスが生じると、自分が信じたい意見を正しいと証明できる情報ばかり集めるようになってしまいます。
 
自分と異なる考えを補強する情報は、集めようとしなくなってしまうため、偏った認識になり判断を誤る可能性があります。


▼確証バイアスの例
 
ある特定の治療法に対する忌避感が強いあまり、その治療法のリスクやデメリットの情報ばかりを収集してしまう。結果的にその治療法を危険だと思い込み、本来は効果があるにもかかわらず拒否してしまう。


アインシュテルング効果

アインシュテルング効果とは、日々の習慣や過去の成功体験などに引きずられて、物事を新しい視点から考えられなくなってしまうことです。組織内でアインシュテルング効果が生じると、イノベーションが起こりにくくなるなどの悪影響があります。


▼アインシュテルング効果の例

  • 前例がない物事に挑戦するのは怖いと感じてしまう
  • 従来の作業手順より効率的なやり方もあるはずだが、新しいやり方を試すのは不安と感じる


ステレオタイプバイアス

ステレオタイプバイアスとは性別・年齢・国籍・人種などの属性に対して、固定観念や先入観を抱き、相手の考えや行動を決めつけてしまうことです。
 
たとえば「男性/女性だから●●だろう」といった性別による偏見や、「若年者/高齢者だから●●だろう」といった年齢による偏見がステレオタイプバイアスに当たります。


▼ステレオタイプバイアスの例

  • 新しく入社した女性社員に対して「女性だから細かい作業が得意だろう」と思い込む
  • 日本以外のルーツを有する人に対して「海外出身だから自己主張が激しいはずだ」と思い込んで警戒する


慈悲的差別

慈悲的差別とは「相手が自分より立場が弱い・少数派である・身体的に弱い」などと感じた場合に、不要な配慮をしてしまうことです。


▼慈悲的差別の例

  • 「子育て中の女性は出世することを嫌がるはずだ」と思い込み、不適切な人材配置を行なう
  • 健康状態に問題がないにもかかわらず、高齢者層だからと力仕事を任せない


ハロー効果

ハロー効果とは、ある特定の情報や特徴にイメージが引っ張られてしまい、相手に対して多面的な評価ができなくなることです。


▼ハロー効果の例

  • 「学歴が優れている人は仕事においても優秀なはずだ」と思い込み、本来は自社に適していない人材にもかかわらず、入社面接で採用してしまう
  • 「この人は話すスピードがゆっくりだから、作業も遅いはずだ」と思い込み、人事評価を不当に低くしてしまう。


権威バイアス

権威バイアスとは、地位や肩書などの権威性によって、相手への評価を不当に変えてしまうことです。相手が実際に行なった言動や、残した業績ではなく、立場等の権威性によって「この人が言うなら信頼できる」などと思い込んでしまう状態を指します。


▼権威バイアスの例

  • 「部長の意見ならば主任の意見より正しいはずだ」と思い込み、自分の頭で考えることを放棄する
  • この会社の商品は業界1位といわれているから、他社製品より高品質なはずだと思い込む


アンコンシャスバイアスを解消するには

企業内でアンコンシャスバイアスが生じると、以下のような状況が引き起こされる可能性があります。

  • 採用面接で人材を見極められない
  • 適材適所の人員配置を実施できない
  • 人事評価を公正に行なうことができない など

 
上記のような状況を防ぐためには、社内で生じているアンコンシャスバイアスを解消する必要があります。アンコンシャスバイアスの主な解消方法を以下にまとめましたので、参考にしてください。


社内の状況を把握する

アンコンシャスバイアスを解消するためには、まず社内の状況がどのようになっているのか把握する必要があります。
 
各部署へのヒアリングやアンケート調査などを通して、「社内のどのような組織で・どのようなアンコンシャスバイアスが生じているのか」を分析し、自社で起きている問題を正しく把握しましょう。


研修など解消の取り組みを実施する

社内の状況を把握したら、アンコンシャスバイアス解消に向けて、研修などの取り組みを実施しましょう。自社で内容を決めるのが難しい場合は、外部機関にセミナーや研修を依頼する手もあります。
 
外部機関に研修を依頼すれば、自社の従業員にアンコンシャスバイアス解消のための客観的・体系的な知識を身につけてもらえるでしょう。


決めつけや押しつけに日頃から注意する

研修を実施したら、従業員が学んだ内容を日頃の仕事や私生活に活かせるようサポートします。研修を1回きりで終わらせるのではなく、定期的に開催するなど工夫し、従業員一人ひとりが決めつけや押しつけに日頃から気を付けられる環境を整備しましょう。


まとめ

アンコンシャスバイアスの意味や代表例、改善策などを解説しました。アンコンシャスバイアスには、無意識的な偏見という意味があります。
 
社内でアンコンシャスバイアスが生じると、「採用面接で人材を見極められない」「人事評価を公正に行なえない」などの不具合が起こります。研修を実施するなどの取り組みを行ない、組織内のアンコンシャスバイアスを解消しましょう。


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