スキルマップとは? メリットや作り方、活用方法、テンプレートを紹介
スキルマップは社員のスキルを把握し、向上させるために役立つツールです。スキルマップを作成すると、人員配置や人材育成を適切に行えるようになります。
本記事ではスキルマップのメリットや、具体的な作り方、作成時の注意点などを解説します。スキルマップを作るときに使えるテンプレートも紹介しますので、社員のマネジメントにお役立てください。
目次[非表示]
- 1.スキルマップとは?
- 1.1.スキルマップが注目されている理由
- 2.スキルマップを作成するメリット
- 2.1.最適な人材配置を実施できる
- 2.2.業務を標準化させられる
- 2.3.公平な人事評価ができる
- 3.スキルマップの作成方法
- 3.1.スキルマップを作る目的を定める
- 3.2.従業員の業務とスキルを洗い出す
- 3.3.スキルマップの評価者・評価頻度を定める
- 3.4.スキルの評価基準を定める
- 3.5.スキルマップを作成する
- 3.6.定期的に更新して活用する
- 4.スキルマップの作成に使えるテンプレート
- 4.1.厚生労働省のテンプレート
- 4.2.情報処理推進機構(IPA)のテンプレート
- 5.スキルマップを導入するときの注意点
- 5.1.作成と管理には時間がかかる
- 5.2.定期的に更新する必要がある
- 5.3.すぐには効果が出ない
- 6.まとめ
スキルマップとは?
スキルマップとは、業務遂行のために必要な従業員のスキルレベルを一覧表にまとめたものです。海外の企業では、スキルマトリックスと呼ばれています。
スキルマップで管理するスキルは、従業員それぞれの担当業務や職位に応じて決定します。たとえば商品の製造を担当する人と、経理事務を担当する人のスキルマップは、記載するスキルの内容が異なります。
またスキルレベルは、以下のように4段階に分けて管理するのが一般的です。
- ほかの人の手伝いができる
- 教えてもらいながら実行できる
- 自分だけで実行できる
- ほかの人を教育できる
業務のために必要なスキルを洗い出して整理し、各スキルを1から4へ少しずつレベルアップできるように管理します。
スキルマップが注目されている理由
近年、スキルマップの導入が進められている理由には、主に以下の4つが挙げられます。
- 業務内容を整理できる
- 人材育成・人員配置に役立つ
- 従業員のモチベーションが向上する
- 人材の業務内容や保有スキルを可視化できる
スキルマップを作るにあたり、業務内容と各社員のスキルを棚卸する必要があります。各社員の能力と担当業務が整理・可視化され、マネジメントしやすくなるでしょう。
その結果、適切な人材育成・人員配置を行なえるようになり、従業員のモチベーションアップにもつながります。従業員のモチベーションが上がり、スキルレベルも向上すれば、組織の業績にも良い影響が出るでしょう。
スキルマップは、単なる教育のためのツールではなく、企業の事業成長につながるツールとして注目されているのです。
スキルマップを作成するメリット
続いて、スキルマップを作成するメリットを3つ解説します。
最適な人材配置を実施できる
前述したように、スキルマップを作成すると、最適な人員配置を実施できるようになります。スキルマップで一人ひとりのスキルを把握・管理できれば、各従業員のレベルに合わせて職位を決定したり、業務の担当範囲を決定したりすることが容易になるからです。
「最適な人材をチームリーダーや教育係に任命する」などの人員配置ができれば、従業員の育成を効率的に進めることも可能となるでしょう。
また、既存の従業員に足りていないスキルを把握しやすいのもメリットです。新たに人員を補充する際、どのようなスキルのある人材を採用すればよいか判断しやすくなります。
業務を標準化させられる
スキルマップは業務標準化にも役立ちます。スキルマップを作る過程で、各業務を遂行するために必要なスキルと、スキルレベルを洗い出して整理するため、「何の業務に対してどの程度のスキル・スキルレベルがあればよいのか」が明確になるからです。
各業務に必要なスキルと、スキルレベルが明確になることにより、従業員の認識を揃えられます。加えて、スキルのバラつきが出ないように育成していくことも可能となるため、従業員の誰もが同程度の成果を出せるようになるのです。
公平な人事評価ができる
スキルマップを作成すると、公平な人事評価を実施しやすくなります。業務内容とスキルが可視化されることにより、従業員一人ひとりをスキルベースで、客観的に評価できるようになるからです。
上司側も判断に迷わなくなるほか、部下側も納得しやすくなるため、人事評価をスムーズに進められるでしょう。公平な人事評価は、従業員のモチベーションアップにもつながります。
スキルマップの作成方法
ここからは、スキルマップの具体的な作成方法を解説します。次の6つのステップに沿ってスキルマップを作成・運用してみましょう。
スキルマップを作る目的を定める
スキルマップを作り始める前に、作成の目的を決めましょう。
- 何のためにスキルマップを作りたいのか
- スキルマップをどのように活かしたいのか
上記のように目的を決め、その目的に沿った内容のスキルマップを作ります。たとえば「社員の人材育成」を目的としてスキルマップを作成する場合は、将来的に取得してほしいスキルから逆算して、評価する項目を定めるとよいでしょう。
従業員の業務とスキルを洗い出す
次に、社内の業務内容と、各業務に必要なスキルを洗い出して整理します。社内には事務・営業・製造といったように、複数の業務が存在しているはずです。それらを職種ごとに分けて洗い出し、それぞれ別のスキルマップに振り分けましょう。
各業務に必要なスキルも、なるべく具体的に洗い出します。たとえば営業担当者のスキルマップを作る際、必要なスキルには「営業力」が挙げられますが、より細かく「商品理解力」「コミュニケーション能力」などに分解し、それぞれのスキルレベルを評価できるようにしましょう。
スキルマップの評価者・評価頻度を定める
業務内容・各業務に必要なスキルをそれぞれ洗い出したら、スキルマップの評価者と評価頻度を定めます。スキルマップの評価者は、各部門の責任者や、人事担当者とするケースが多くあります。
評価頻度は、人事評価を行なうタイミングに揃えるのがよいでしょう。企業によって異なりますが、「1年に1度・半年に1度」などの頻度が一般的です。評価回数が多すぎると、従業員が過度なプレッシャーを感じてしまうため注意しましょう。
スキルの評価基準を定める
続いて、スキルの評価基準を定めます。前述したように、スキルレベルは4段階で設定するのが一般的です。
- ほかの人の手伝いができる
- 教えてもらいながら実行できる
- 自分だけで実行できる
- ほかの人を教育できる
難易度が低いレベルを1、高いレベルを4と設定し、最終的に同じ業務・同じ職位の社員が、全員4となれる状態を目指します。
スキルマップを作成する
評価基準まで定めたら、スキルマップを実際に作成しましょう。スキルマップを作るときは、Excelなどの表作成ツールを使うのが便利です。スキルマップの作成に使えるテンプレートは後述しますので、ぜひ参考にしてください。
定期的に更新して活用する
スキルマップを作ったら、定期的に更新して活用しましょう。
- 作成した内容に基づき、実際に社員を評価する
- 定期的に内容を精査して、必要があれば改善する
こうした運用改善を繰り返し、最初に定めた目的を達成するために活用していくことが大切です。
また、導入直後は業務内容に漏れがあったり、レベルを査定すべきスキルが表に組み込まれていなかったりする可能性があります。社員へのヒアリングを定期的に行ない、マップに不備がないかチェックするとともに、必要な修正を施しましょう。
スキルマップの作成に使えるテンプレート
スキルマップの型を1から作るのは、大変な作業です。スキルマップの作成に使える便利なテンプレートを2つ紹介しますので、ぜひ活用してください。
厚生労働省のテンプレート
厚生労働省のWebサイトで「キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアル」がダウンロードできます。このうち職業能力評価シートが、スキルマップにあたります。
以下の図は、厚生労働省のWebサイトより抜粋した職業能力評価シートの例です。職種をさらに細かく職務で分け、それぞれのスキルを評価できる仕組みになっています。
出典:厚生労働省「職業能力評価シートについて」
職業能力評価シートの使い方や活用方法は、厚生労働省「職業能力評価シートについて」のページでご確認いただけます。
また、職業能力評価シートは「キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアルのダウンロード 」のページでダウンロードできます。アパレル業や在宅介護業など、業種ごとにテンプレートをダウンロードできるので、貴社の業種に近いものをお選びください。
情報処理推進機構(IPA)のテンプレート
IT企業がスキルマップを作るときは、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の資料およびテンプレートを活用するとよいでしょう。
「情報システムユーザースキル標準(UISS)と関連資料のダウンロード 」より、ITに携わる組織や人材に必要なスキルを体系化した資料と、スキルマップのテンプレートをダウンロードできます。ダウンロード資料に含まれる「キャリアフレームワーク」がスキルマップにあたるものです。
キャリアフレームワークは、キャリアパスを描く際の枠組みとして、人材像ごとのスキルレベルを定義したものです。「どの役割に・何のスキルが・どの程度のレベルで必要なのか」が定義されています。
キャリアフレームワークの活用方法は、「情報システムユーザースキル標準 導入推進ワークブック(有効活用ガイド)」のページでご確認いただけます。
スキルマップを導入するときの注意点
最後に、スキルマップを導入するときの注意点を3つ解説します。スキルマップを作成するときは、以下の3点を念頭に置き、腰を据えて取り組む姿勢が重要です。
作成と管理には時間がかかる
スキルマップは、作成と管理に思いのほか時間がかかります。社内の業務内容や、従業員一人ひとりのスキルを詳しく洗い出す作業は、規模が大きい企業ほど大変でしょう。
作成の準備段階にも時間と手間がかかるので、導入を決定したものの、運用を始める前に頓挫してしまうケースもあります。スキルマップの作成と管理には時間がかかる旨を理解し、根気強く計画的に作業を進めましょう。
定期的に更新する必要がある
スキルマップは、作成して終わりというものではありません。スキルマップを作成後、定期的に内容を更新する必要があります。
人事評価などのタイミングで、各社員に業務状況をヒアリングし、スキルレベルが向上しているかチェックしましょう。更新した内容を人材育成や人員配置に活かすことで、組織の成長にもつながるでしょう。
すぐには効果が出ない
スキルマップは「作ったから効果が出る」というツールではありません。作成後、「従業員のスキルレベルに応じた人材教育を施すことで、初めて効果が出る」ものです。
従業員を短期間で急成長させるのは難しいため、スキルマップの導入効果が出るまでには、早くとも半年~1年ほどかかるでしょう。すぐに効果が出ないからといって投げ出すのではなく、中長期的な目線で、従業員のスキルアップに取り組むことが重要です。
まとめ
スキルマップのメリットや作り方、テンプレート、作成時の注意点などを解説しました。スキルマップには「最適な人材配置を実施できる・公平な人事評価ができる」などのメリットがあります。
スキルマップを作成・活用することによって、従業員の業務スキルが向上すれば、組織の業績アップにもつながるでしょう。
しかしスキルマップは、導入後すぐに効果が出るツールではないので、中長期的な視点で取り組む姿勢が大切です。従業員の育成にじっくりと取り組むためには、あらかじめ自社に適した人材を採用し、組織に組み込むための工夫も欠かせません。
入社後に定着・活躍する人材を採用したい方は、ぜひ『エン転職』をご活用ください。『エン転職』は1000万人の会員を保有する、日本最大級の中途採用向け求人サイトです。
エン・ジャパンが「入社1年以内の離職率」に関する調査を行なったところ、『エン転職』経由の入社者は、他サイト経由の入社者より、離職率が半分以下であると判明しました。
現在、世にある多くの採用サービスが「入社後活躍」の重要性を語っています。しかし口にするのは簡単でも、サービスにまで落とし込めるかは別問題です。
エン転職はサービス開始以来、この「入社後活躍」を信念として掲げ、実現するためのサービスを追求してきました。入社後に定着・活躍する人材の採用支援において、もっとも企業のお力になれるサービスは、『エン転職』をおいて他にいないという自負があります。
採用でお悩みの際は、以下のエン転職お問い合わせ窓口より、お気軽にご相談ください。
▼エン転職の料金表・特徴をまとめたパンフレットは以下からダウンロードいただけます。
ほかにも『エン転職』には採用を成功に導く様々な特徴があります。『エン転職』の料金表・パンフレットダウンロード、サービスの詳細確認はこちらから行なえますのであわせてご覧ください。
▼エン転職のサービスページ