エッセンシャルワーカーとは? 意味や代表的な職種、課題点と支援策も解説
エッセンシャルワーカーとは「生活を維持するために必要不可欠な職業」のことです。具体的には医療従事者や介護・福祉関係者、販売従事者などが挙げられます。
エッセンシャルワーカーは、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、注目が集まるようになりました。しかし、人々の生活に不可欠な職業であるにもかかわらず「待遇面が改善されない」「常に人手不足」など多数の課題を抱えています。
本記事ではエッセンシャルワーカーの具体的な職業や課題点、支援策などを解説します。エッセンシャルワーカーへの理解を深め、採用強化や待遇改善などにお役立てください。
目次[非表示]
- 1.エッセンシャルワーカーとは
- 2.エッセンシャルワーカーと呼ばれる代表的な職業
- 2.1.医療従事者
- 2.2.介護・福祉の従事者
- 2.3.運送・物流業の従事者
- 2.4.教育機関の従事者
- 2.5.小売業・販売業の従事者
- 2.6.生活インフラ業の従事者
- 2.7.第一次産業の従事者
- 2.8.金融機関の従事者
- 2.9.消防士・警察官などの公務員
- 3.エッセンシャルワーカーが抱えている課題点
- 3.1.給与などの待遇が改善されない
- 3.2.人手不足で従業員の負担が大きい
- 3.3.リモートワークなど柔軟な働き方が難しい
- 4.エッセンシャルワーカーへの支援策
- 4.1.慰労金や特別手当などの支給
- 4.2.採用強化による支援
- 5.まとめ
エッセンシャルワーカーとは
エッセンシャルワーカーとは「生活を維持するために必要不可欠な職業」のことです。一般的には以下のような職業を指します。
- 医療・介護福祉・教育・公務員など公共サービスに関わる職業
- 電気・ガス・水道・通信など生活インフラに関わる職業
- 物流・小売・販売など生活必需品に関わる職業
エッセンシャル(essential)には「必要不可欠」という意味があります。エッセンシャルワーカーは言葉の通り、日常生活に必要不可欠であり、景気に左右されることなく重宝されるべき職業です。
ブルーカラー・ホワイトカラーとの違い
エッセンシャルワーカーのように、職業を表す言葉には「ブルーカラー」と「ホワイトカラー」もあります。
ブルーカラーは製造業や建設業などで働き、肉体労働に従事する人を指す言葉です。作業服が青い襟だったことから、青(blue)と襟(collar)を掛け合わせて「ブルーカラー」と呼ばれるようになりました。
ホワイトカラーは事務作業やプログラマー、弁護士、研究職などの頭脳労働に従事する人を指します。白襟のシャツを着て仕事をする人が多いことから、白(white)と襟(collar)を掛け合わせて「ホワイトカラー」と呼ばれています。
エッセンシャルワーカーと呼ばれる職業には、ブルーカラーとホワイトカラーの両方が含まれています。
エッセンシャルワーカーと呼ばれる代表的な職業
ここからは、エッセンシャルワーカーの代表的な職業を9パターン紹介します。
医療従事者
エッセンシャルワーカーという言葉を聞いて、医療従事者が真っ先に思い浮かぶ方も多いでしょう。人々の暮らしや健康を支える医療従事者は、いつの時代も必要不可欠な職業です。
医師・看護師・薬剤師のほか、医療機関で働く調理スタッフや清掃員なども、エッセンシャルワーカーに含まれます。
介護・福祉の従事者
子どもや高齢者、障がい者などを支援する介護・福祉に関わる人々も、エッセンシャルワーカーです。高齢者施設で働く介護福祉士、障がい者支援施設で働く生活支援員、保育施設で働く保育士などが含まれます。医療従事者と同じく、命を預かる職業として、人々の生活を支えています。
運送・物流業の従事者
生活必需品を店舗や個人宅へ運送するための物流業も、エッセンシャルワーカーに含まれます。トラック運転手・郵便配達員などの陸運業、船舶で海上輸送を行なう海運業、飛行機により輸送を行なう空運業など、運送に関わる職業は人々の暮らしになくてはならない存在です。
教育機関の従事者
幼稚園教諭や小中高校の教師、大学や専門学校に勤めている人など、教育機関の従事者もエッセンシャルワーカーです。教育機関の従事者は、新型コロナウイルス感染症が拡大したときも、リモート授業を活用しながら子どもたちと向き合い続ける必要がありました。世の中の状況に関係なく、業務を続ける必要がある職業なので、エッセンシャルワーカーといえます。
小売業・販売業の従事者
エッセンシャルワーカーには、食料品や生活用品の売買に携わる小売業・販売業の従事者も含まれます。ドラッグストア・コンビニ・スーパーマーケット・ホームセンターなどの店員、各店の倉庫内で働く作業員など、生活必需品を管理・加工・販売する職業は、国民が社会生活を維持するために欠かせません。
生活インフラ業の従事者
電気・ガス・水道・通信に関わる職業など、生活インフラの維持・供給に携わっている人々もエッセンシャルワーカーです。生活インフラ業には公共交通機関の運転士や、ごみの収集業者、ガソリンスタンドのスタッフなども含まれます。
生活インフラは暮らしに必要不可欠なライフラインなので、いかなる状況であっても、業務を停止することができない高リスクな職業といえます。
第一次産業の従事者
農業・林業・水産業などを第一次産業といいます。国民の食や暮らしを支える職業であるため、エッセンシャルワーカーに含まれます。第一次産業は、業績が天候などの自然現象に左右されるケースも多いため、安定供給には高い技術や経験が必要です。
金融機関の従事者
銀行員・信用金庫の職員・保険会社の職員など、金融機関に従事している人もエッセンシャルワーカーです。何らかの原因で金融機関が業務停止すると、人々のビジネスや私生活に多大な影響が出てしまいます。金融機関の従事者は、経済活動を支える職業であるため、社会にとって必要不可欠といえます。
消防士・警察官などの公務員
消防士や警察官、市役所などの自治体に勤務する公務員も、エッセンシャルワーカーに含まれます。公務員は住民が安心・快適に生活できる環境を守るために欠かせない職業です。基本的に世の中がどのような状態であっても、業務を止めることができないため、人々の生活に欠かせない職業といえるでしょう。
エッセンシャルワーカーが抱えている課題点
エッセンシャルワーカーは、人々の暮らしに必要不可欠な職業ですが、「低待遇」「人手不足」などの課題を抱えています。以降でエッセンシャルワーカーが抱えている課題点を3つ解説します。
給与などの待遇が改善されない
エッセンシャルワーカーは、国民の生活を支える重要な職業です。しかしその一方で、給与などの待遇面が改善されないという課題を抱えています。
- 業務量の多さや責任の重さに対して給与・賞与が低い
- 必要不可欠な職業であるがゆえに休日数が少ない
上記のような待遇面への不満が、なかなか解消されないため、エッセンシャルワーカー以外の職業へ転職を検討する人もいます。
人手不足で従業員の負担が大きい
エッセンシャルワーカーは、生活維持に欠かせない職業であるため、業務量が多く責任も重い傾向があります。しかし業務量が多いにも関わらず、慢性的な人手不足に悩まされており、既存従業員の負担が大きくなりすぎていることが問題となっています。
エッセンシャルワーカーとして働いている人々のなかには、ストレス過多で精神的に病んでしまったり、休みが取りづらくて体調を崩したりする人が多いのです。人材の確保は、どの業界においても急務といえます。
リモートワークなど柔軟な働き方が難しい
エッセンシャルワーカーには、リモートワークやフレックスタイム制といった柔軟な働き方が難しい職業がたくさんあります。働き方の柔軟性がないうえ、慢性的な人手不足にも悩まされているため、既存従業員のライフワークバランスが仕事に偏りすぎてしまうのです。
従業員のなかには「結婚・子育て・親の介護などライフスタイルの変化に合わせて働き方を変えることが難しく、仕事と私生活の両立ができない」といった理由で、転職や退職を検討せざるを得なくなる人もいます。
エッセンシャルワーカーへの支援策
エッセンシャルワーカーは、前述したような課題を抱えているケースが多くあります。ここからは日本政府や国内企業が、エッセンシャルワーカーの課題を解消するために行なった支援策の例を紹介します。
慰労金や特別手当などの支給
厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症に対応する医療従事者や、介護・福祉施設の職員へ慰労金の給付を実施しました。
新型コロナウイルス感染症に対する医療提供に関し、都道府県から役割を設定された医療機関等に勤務し患者と接する医療従事者や職員(※1)に対し、慰労金として最大20万円を給付します。
その他病院、診療所等に勤務し患者と接する医療従事者や職員にも、慰労金として5万円を給付します。
※1 医療従事者や職員には、医療機関等に直接雇用される職員のほか、派遣労働者、業務委託受託者の従事者を含みます。
引用:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業のご案内」
また、首都圏や近畿地方を中心に展開するスーパーマーケットでは、従業員の業務負担が重くなっている状況を考慮して「緊急特別感謝金」を支給。この特別感謝金は正社員・パート・アルバイトなどの雇用形態を問わず、すべての職種に対して支給されました。
採用強化による支援
先述したように、エッセンシャルワーカーは、慢性的な人手不足に悩まされています。人材採用を強化し、人手を増やすことも大きな支援となります。
2020年4月、日本看護協会は新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、多忙な医療現場に対応する看護師を増やすべく、約50,000人の離職者へ復職依頼のメールを送信しました。
復職依頼のメールを送信した結果、2020年5月18日時点で690人以上の復職が決定し、求人充足率が上昇しています。
4 月 7 日に政府が発令した緊急事態宣言を受け、翌 8 日には e ナースセンター求職登録者・届出制度登録者約5 万人の看護職に復職の依頼メールを一斉に送信しました。
その後、復職を希望する声が日々寄せられており、都道府県ナースセンターには看護職 5,718 件、病院・施設 642件、その他施設 440 件から相談・問い合わせがありました。
求職者数 2,687 人、求人数 1,119 人で、施設・病院などに紹介した 1,236 人のうち 696人が就業し、求人充足率は 62.2%に上っています(5 月 18 日現在)。
引用:日本看護協会「ナースセンター登録者へ一斉メール、その結果」
まとめ
エッセンシャルワーカーの具体的な職業や課題点、支援策などを解説しました。エッセンシャルワーカーと呼ばれる職業には、医療・介護福祉・教育・生活インフラ業・販売業などが含まれています。
これらの職業は暮らしに必要不可欠であるため「業務量が多く、柔軟な働き方が難しい」といった課題点があります。加えて「待遇面が改善されない」「慢性的な人手不足」などの問題を抱えているケースも多く、労働条件の改善や採用強化による支援が急務となっています。
しかし企業にとっては、給与などの待遇面を急激に改善するのが難しい場合もあるでしょう。そのような時は、自社や仕事の魅力を求職者へきちんとアピールし、待遇面以外の要素で競合との差別化を図る必要があります。
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