インテグリティとは? 意味や定義、組織での必要性をわかりやすく解説


「インテグリティ 意味」のイメージ画像


インテグリティは「誠実・真摯・高潔」などの意味合いをもつ言葉です。近年、組織を健全に運営するための考え方として、ビジネスシーンにおいてもインテグリティをもつことが重要であると考えられるようになりました。
 
しかし、インテグリティは定義づけるのが難しい言葉であるため、「ビジネスにおいてはどのような意味合いがあるのか」「インテグリティがある人/ない人の特徴」などが具体的にわからず、お困りの方も多いでしょう。
 
そこで本記事では、インテグリティについて以下の内容を詳しく解説します。

  • インテグリティの意味や定義
  • インテグリティがある人/ない人の特徴
  • 企業のポジション別のインテグリティ
  • インテグリティがある人材を採用・育成する方法

 
上記の内容をわかりやすくご説明しますので、自社のインテグリティ向上にご興味のある方は、ぜひ参考にしてください。


目次[非表示]

  1. 1.インテグリティとは?
    1. 1.1.ドラッカーによるインテグリティの定義
  2. 2.インテグリティマネジメントとは?
  3. 3.データインテグリティとは?
  4. 4.インテグリティがある人の特徴
  5. 5.インテグリティがない人の特徴
  6. 6.企業のポジション別のインテグリティ
    1. 6.1.経営者のインテグリティ
    2. 6.2.管理職のインテグリティ
    3. 6.3.人事・採用担当のインテグリティ
    4. 6.4.従業員のインテグリティ
  7. 7.インテグリティがある人材を採用・育成する方法
    1. 7.1.人事・採用担当者に研修を実施する
    2. 7.2.インテグリティを人事評価制度に取り入れる
    3. 7.3.インテグリティを人材採用に取り入れる
  8. 8.まとめ


インテグリティとは?

インテグリティ(Integrity)は「誠実・真摯・高潔」などの意味合いをもつ言葉です。インテグリティの語源は「完全性・清廉」などの意味をもつラテン語の「integritas」だといわれています。
 
日本語にはインテグリティの正確なニュアンスを訳せる単語がないため、「誠実・真摯・高潔」に近い概念を表す言葉として活用されています。
 
ビジネスにおいては、もともと欧米圏の企業で経営層や従業員がもつべき考え方として広まり、徐々に日本国内でも意識されるようになりました。近年では主に、マネジメント層や社員がもつべき「誠実さ」を表す言葉として使われています。


ドラッカーによるインテグリティの定義

経済学者のピーター・F・ドラッカー氏は「現代の経営」という著書のなかで、インテグリティについて次のように言及しています。

経営管理者が学ぶことのできない資質、習得することができず、もともと持っていなければならない資質がある。(中略)それは、才能ではなく真摯さである。
 
部下たちは、無能、無知、頼りなさ、不作法など、ほとんどのことは許す。しかし、真摯さの欠如だけは許さない。
 
真摯さに欠けるものは、いかに知識があり才気があり仕事ができようとも、組織を腐敗させる。

引用:ピーター・F・ドラッカー「現代の経営(上)・(下)」
 

ドラッカー氏は上記の著書で、「真摯さ」が組織を率いる者に不可欠であるとしています。しかしインテグリティは概念的な言葉であるため、明確に定義するのが難しいとも述べています。
 
そこで、あえて「インテグリティが欠けている人の特徴」を例示することにより、インテグリティの定義を逆説的に述べようと試みました。ドラッカー氏は、インテグリティが欠けている人の特徴として、以下のような例を挙げています。

  • 冷笑家
  • 有能な部下を恐れる者
  • 人格よりも頭脳を重視する者
  • 自分の仕事に高い基準を定めない者
  • 人の強みではなく弱みに焦点を当てる者
  • 「何が正しいか」よりも「誰が正しいか」に関心をもつ者


インテグリティマネジメントとは?

インテグリティマネジメントとは、企業の運営に真摯さ・誠実さを取り入れ、さまざまな社会的責任を果たすためにマネジメントを行なうことです。
 
インテグリティマネジメントは、国が定めた法律やルール、コンプライアンスを遵守するだけでなく、企業としての社会的責任にも焦点を当てます。また、組織に属する従業員一人ひとりが真摯さ・誠実さをもち、正直なコミュニケーションを心がけることも重要です。
 
インテグリティマネジメントを実践すると、組織のマネジメント層と従業員が良好な信頼関係を構築できるほか、顧客関係もクリーンに保つことが可能となります。良好な職場環境と顧客関係を構築することにより、組織の生産性向上にもつながるでしょう。


データインテグリティとは?

データインテグリティとは、改ざんや偽装を防止して、データの完全性・正確性を客観的に担保することです。データインテグリティは、主に医薬品業界で知られていた考え方ですが、近年はほかの分野でも重要視されています。
 
データインテグリティが、日本国内で注目されるようになったのは2000年以降。社会のグローバル化が進むなかで、複数の企業が製品の試験結果や報告書などのデータを改ざんし、ニュースとして取り上げられるケースが増えたため、関心を集めるようになりました。
 
データインテグリティを遵守することは、顧客が安心して商品・サービスを使うためだけでなく、安心安全な社会をつくるためにも重要であるとされています。


インテグリティがある人の特徴

組織全体のインテグリティを高めるためには、組織に所属する個人一人ひとりが、インテグリティを有している必要があります。
 
米国の精神科医ヘンリー・クラウド氏は、自身の著書「リーダーの人間力 人徳を備えるための6つの資質」で、インテグリティのある人が備えている資質を以下のように述べています。

  • 信頼を確立する
  • 現実と向き合う
  • 成果を上げる
  • 成長・発展する
  • 逆境を受け止め問題を解決する
  • 自己を超え人生の意味を見つける

 
出典:ヘンリー・クラウド「リーダーの人間力 人徳を備えるための6つの資質」


インテグリティがない人の特徴

前述したように、経済学者のピーター・F・ドラッカー氏は、自身の著書「現代の経営」において、インテグリティが欠けている人の特徴として以下の6点を挙げています。

  • 冷笑家
  • 有能な部下を恐れる者
  • 人格よりも頭脳を重視する者
  • 自分の仕事に高い基準を定めない者
  • 人の強みではなく弱みに焦点を当てる者
  • 「何が正しいか」よりも「誰が正しいか」に関心をもつ者

 
出典:ピーター・F・ドラッカー「現代の経営(上)・(下)」
 
インテグリティがある人を組織のリーダーに抜擢したり、採用したりしたい場合は、上記の特徴に当てはまらない人材を選定するとよいでしょう。


企業のポジション別のインテグリティ

ポジションによって、求められる資質や価値観は異なります。ここからは、企業のポジション別のインテグリティについて解説します。


経営者のインテグリティ

経営者は組織の運営に与える影響がもっとも大きいため、インテグリティのある言動を常に心がけなくてはなりません。
 
経営者は自社の利益を追求するだけでなく、「法律や法令を遵守する」「企業としての社会的責任を果たして社会に貢献する」「従業員一人ひとりへ誠実に接する」といった意識が必要です。


管理職のインテグリティ

部長や課長、プロジェクトリーダーなどの管理職にも、誠実性が求められます。管理職は自分自身の評価を上げるためだけに行動するのではなく、部下や組織全体のために、真摯に行動する姿勢をもつことが大切です。

  • 部下が一人ひとりの能力を最大限に発揮できる環境を整える
  • 悩んでいる部下に対して真摯に寄り添う
  • 部下の働きを公正・公平に評価する

 
上記のようにチームメンバーへ実直に向き合うほか、自分の部下や上司がモラルに反することをしている場合にはきちんと意見するなど、誠実な言動が求められます。


人事・採用担当のインテグリティ

人材の管理や育成、採用などを担当する人事・採用担当にもインテグリティが必要です。特に採用担当者は、社外の人材と接する機会も多いため、立ち振る舞いが誠実でないと企業イメージの悪化につながります。
 
採用担当を務めるときは「求職者へ誠実に接し、圧迫面接を行なわない」「求職者のスキル・経歴・実績だけでなく、人柄もきちんと評価する」などの誠実性をもつように心がけましょう。
 
また人事担当者には、自分自身がインテグリティをもつだけでなく、社員全体のインテグリティを向上させる意識も必要です。
 
社員の成果や取り組みを公平・公正に評価できる人事評価制度を構築したり、社員の就労に過度な制約をつくらないよう注意したりして、社員の不正や成果主義の行き過ぎが横行しないよう抑制しましょう。


従業員のインテグリティ

経営者や管理職だけでなく、役職のついていない従業員にもインテグリティは必要です。従業員一人ひとりがインテグリティを有していると、企業全体が誠実性の高い組織となれます。

  • 自分の業務に責任感をもち誠実に実行する
  • ミスをしたときは不正せず正直に上長へ報告する
  • 不正を行なわずクリーンな顧客関係を構築して成果を上げる

 
上記のようにインテグリティのある言動を行ない、自分の所属する組織が長期的に利益を得られるよう心がけましょう。


インテグリティがある人材を採用・育成する方法

最後に、インテグリティがある人材を採用・育成する方法について解説します。


人事・採用担当者に研修を実施する

まずは人事・採用担当者に研修会や講習会を実施し、インテグリティについての理解を深めましょう。

  • インテグリティとは何か
  • インテグリティが組織・個人にとって重要なのはなぜか
  • どのような言動や思考を「インテグリティがある」と言うのか

 
上記のような情報を研修や講習によって人事・採用担当者へ伝えて理解を深め、インテグリティのある思考・行動を身につけられるようにしましょう。


インテグリティを人事評価制度に取り入れる

インテグリティを人事評価制度に取り入れることで、人材育成にもインテグリティを活かせるようになります。自社の人事評価制度に以下のような項目を設定し、従業員がインテグリティを意識して行動できるような工夫をするとよいでしょう。

  • 顧客への貢献度
  • チームへの貢献度
  • 誠実な態度で業務にあたっているか
  • 社内のルールをきちんと守れているか
  • コンプライアンスをきちんと守れているか


インテグリティを人材採用に取り入れる

インテグリティのある人材を採用したいときは、採用選定の評価項目のなかに、インテグリティに関する項目を取り入れましょう。たとえば「面接で求職者の人柄や倫理観が判断できるような質問をする」などの取り組みが効果的です。

 
▼面接で求職者の人柄や倫理観を判断する質問の例

  • 周囲の人々からどのように評価されていると思いますか?
  • 仕事でミスや失敗をしたとき、どのように行動しますか?
  • チームで遂行する仕事において、どのようにメンバーと協力しますか?

 
上記のような質問を実施し、求職者の人間性を見極めましょう。なお、面接に使える質問例をもっと知りたい方には、以下の資料がおすすめです。下記のURLから「面接質問集120選」を無料ダウンロードしていただけますので、ぜひご活用ください。

 
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まとめ

インテグリティの意味や定義、インテグリティがある人/ない人の特徴などを解説しました。インテグリティ(Integrity)は「誠実・真摯・高潔」などの意味合いをもつ言葉です。
 
近年のビジネスシーンにおいては、マネジメント層や社員がもつべき「誠実さ」を表す言葉として活用されています。
 
インテグリティのある人を採用・育成すると、組織全体の誠実性も高まります。クリーンな顧客関係を構築できるようになり、長期的な利益を得ることも可能となるでしょう。


インテグリティが備わっている人を採用したい場合は、採用面接で求職者の人柄や倫理観がわかる質問をするなどの工夫が必要です。また面接時の質問だけでなく、求人の書き方を工夫することによって、インテグリティをもつ人材からの応募を集める手法もあります。
 
自社で大切にしている「インテグリティの高い考え方や価値観、行動指針」などを求人上に記載しておくと、それらに共感した求職者からの応募を集められるようになります。結果的に、インテグリティのある人材を確保できる可能性が高くなるでしょう。


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