連鎖退職とは? 生じる原因や企業への影響、防止対策を解説
連鎖退職とは、従業員の誰か一人が退職したのをきっかけに、ほかの従業員も続々と退職してしまう現象のことです。連鎖退職には「人手不足に拍車がかかる」「企業のイメージが悪化する」などの悪影響があるため、企業としては防止対策を講じたほうがよいでしょう。
本記事では、連鎖退職について詳しく解説します。連鎖退職が生じる原因や防止策、連鎖退職が企業に与える影響などを紹介していますので、従業員の離職防止にぜひお役立てください。
目次[非表示]
- 1.連鎖退職とは?
- 2.連鎖退職が生じる原因
- 2.1.人望のある管理職の退職
- 2.2.優秀なエース社員の退職
- 2.3.労働条件への不満が蓄積
- 2.4.労働環境への不満が蓄積
- 2.5.不適切なマネジメントの横行
- 3.連鎖退職による企業への影響
- 3.1.従業員の不満が増える
- 3.2.生産性が低下する
- 3.3.顧客満足度が低下する
- 3.4.企業イメージが悪化する
- 3.5.採用活動が難航する
- 4.連鎖退職を防ぐ対策方法
- 4.1.従業員の退職理由を正確に把握する
- 4.2.労働環境・労働条件を見直して改善する
- 4.3.マネジメント層の意識改革を行なう
- 4.4.社内のコミュニケーションを活性化させる
- 4.5.適材適所の人材配置を行なう
- 4.6.一人ひとりに適した人材育成を行なう
- 5.まとめ
連鎖退職とは?
連鎖退職とは、従業員の誰か一人が退職したのをきっかけに、ほかの従業員も立て続けに退職してしまう現象を指します。名前の通り、連鎖的な退職という意味です。
連鎖退職が起こると、企業としては「人手不足に拍車がかかる」「業績が悪化する」といったダメージがあります。加えて、連鎖退職が起きていると対外的に広まることで、企業イメージが悪くなってしまうケースもあるでしょう。
連鎖退職は最悪の場合、企業の倒産を招く可能性もあります。連鎖退職を防止するには、従業員に起きている異変をいち早く察知できる体制を整えたり、労働環境・労働条件を改善したりする取り組みが必要です。
連鎖退職が生じる原因
連鎖退職は、企業に重大なダメージを与える場合があります。連鎖退職が生じる主な原因を5つ解説しますので、把握しておきましょう。
人望のある管理職の退職
連鎖退職によくある原因のひとつに「人望がある管理職の退職」が挙げられます。部下にとって頼れる存在だった管理職が退職することにより、部署内に不安や不満が広がり、連鎖的な退職が発生してしまうのです。
人望がある管理職が退職すると、部下は以下のような不安を感じやすくなります。
「これからどうすればいいんだろう?」
「このまま会社にいても未来がないのでは?」
「今後は誰に仕事の相談をすればいいんだろうか?」
管理職を担っていた社員が退職するときは、こうした不安へのケアを行なう必要があります。
優秀なエース社員の退職
優秀な業績を収めていたエース社員の退職も、連鎖退職が生じる原因のひとつ。エース社員が会社を辞めると、以下のような疑問や不安が部署内に広まり、連鎖退職が生じやすくなってしまいます。
「あんなに成果を上げていた○○さんが辞めるなんて、この会社は社員の頑張りをきちんと評価していないのでは?」
「○○さんみたいになりたくて、ここまで頑張ってきたのに……。辞めてしまったら誰を目標にすればいいんだろう?」
このような疑問や不安が広まることにより、退職者以外の従業員からもモチベーションが失われ、連鎖退職が起こる場合があります。
労働条件への不満が蓄積
- 給与・賞与の水準が低い
- 有給休暇を申請しにくい
- 福利厚生が充実していない
- 人事評価に社員の成果が反映されない
上記のように、従業員のなかで労働条件への不満が蓄積されている場合、誰か一人が会社を辞めると、ほかの人も次々と退職する傾向があります。
特に、従業員の意見をキャッチアップする体制が整っていない企業では、一人の退職をきっかけに今まで表出していないかった周囲の不満が爆発し、連鎖退職が起こりやすいでしょう。
労働環境への不満が蓄積
労働条件だけでなく、労働環境への不満も、連鎖退職につながりやすい要素のひとつです。たとえば、以下のような状況を会社側が放置していると、従業員の間に不満が溜まり、連鎖退職が生じてしまいます。
- 慢性的な人手不足により、従業員の業務負担が過剰となっている
- 業務目標が高すぎて、長時間労働しなくては目標を達成できない
- 人材配置に従業員の意向が反映されないため、キャリアプランを立てにくい
不適切なマネジメントの横行
上司による不適切なマネジメントが横行していると、連鎖退職が生じる原因となります。不適切なマネジメントには、以下のようなものが挙げられるでしょう。
- 上司の主観的な評価により、不公平な人事評価が横行している
- 上司によるパワハラやセクハラなど、ハラスメントが横行している
- 上司が部署の成果を上げるため、部下へ長時間労働を強要している
- 上司がミスした部下を人前で激しく叱責している
上記のようなマネジメントが行なわれている場合、従業員が我慢の限界に達し、連鎖退職が生じてしまいます。
連鎖退職による企業への影響
続いて、連鎖退職が企業にどのような影響を与えるのか解説します。
従業員の不満が増える
連鎖退職は、従業員の誰か一人が退職したのをきっかけに、ほかの従業員も次々と退職することです。つまり連鎖退職は、同じ部署内・チーム内など、近しい者同士の間で生じやすい現象といえます。
同部署・同チームの従業員が退職した場合、残されたほうの業務負担は大きくなります。ほとんどの場合、業務負担が増えても給与などの待遇は変わらないことから、従業員の間で不満が増大するでしょう。従業員の不満が増えることにより、さらなる退職が引き起こされる可能性があります。
生産性が低下する
連鎖退職により従業員の数が減ると、業務の生産性が低下します。担当者が減少することにより、効率的に業務を回せなくなり、連鎖退職が起きた部署の業績は悪化するでしょう。生産性の低下をそのまま放置しておくと、企業の経営悪化にもつながる恐れがあります。
顧客満足度が低下する
連鎖退職により、顧客満足度が低下する可能性もあります。従業員の数が減ると、顧客に対応できる人数も減るからです。今まで通りの丁寧で迅速な対応が不可能となり、顧客との関係性が悪化し、クレームを頻発させる原因となる場合もあります。
企業イメージが悪化する
連鎖退職が生じると、企業イメージが悪くなる恐れもあります。連鎖退職が起こっていると対外的に知られることにより、「あの会社では社員が次々と退職しているらしい」「あの会社は労働環境が悪いのでは?」といった憶測が広まってしまうためです。
悪い噂が広まると、企業全体に「従業員を苦しめている会社」「将来性のない会社」などのようなネガティブなイメージがついてしまいます。
採用活動が難航する
連鎖退職により企業イメージが悪化している場合、採用活動にも悪影響があります。労働者の間で悪いイメージが広まっていると、求人を募集しても応募が集まらず、採用活動が難航してしまうのです。
採用活動が長期化すると、採用にかかるコストも増えてしまいます。それだけでなく、新たな人材を確保できないため人手不足が解消されず、既存社員が業務過多によって、さらに退職してしまうリスクもあるでしょう。
連鎖退職を防ぐ対策方法
従業員の連鎖退職を防ぐためには、企業側で対策を講じる必要があります。ここからは、連鎖退職を防止するための対策を6つ紹介します。
従業員の退職理由を正確に把握する
従業員が退職するときは、なるべく理由を正確に把握できるよう工夫しましょう。面談やアンケートなどを行なって、従業員の退職理由をヒアリングし、共通の理由があるかどうかを分析するのです。
複数の従業員が同様の理由で退職している場合、ほかの従業員も同じような理由で退職を検討している可能性があります。共通している退職理由を洗い出し、なるべく早く対策しましょう。
労働環境・労働条件を見直して改善する
連鎖退職を防ぐためには、従業員の労働環境や労働条件を見直して、改善することも大切です。
- 長時間労働を是正する
- 有給休暇を取得しやすくする
- 在宅勤務など多様な働き方を導入する
- 公正公平な人事評価システムを構築する
- 給与・賞与の水準を同業種の相場に合わせる
こうした改善を行ない、従業員がワークライフバランスを整えられるようにしましょう。労働環境や労働条件が改善されることにより、従業員のエンゲージメントが向上し、離職を防止できるでしょう。
マネジメント層の意識改革を行なう
前述したように、上司による不適切なマネジメントが、連鎖退職の原因となるケースがあります。不適切なマネジメントが横行するのを防ぐためには、マネジメント層にハラスメント研修やコミュニケーション研修などの教育を行ない、意識改革を図るとよいでしょう。
マネジメント層が、部下を束ねる立場として必要な知識やスキルを身に付けることにより、職場環境が改善されます。結果的に、部下の定着率向上につながるでしょう。
社内のコミュニケーションを活性化させる
連鎖退職を防ぐためには、社内のコミュニケーションを活性化させることも大切です。社内のコミュニケーションが円滑であれば、従業員が退職を検討している段階で、前兆に素早く気づいてケアできるでしょう。
また、社内のコミュニケーションが円滑で、報連相をきちんと行える環境であれば、仕事に対する不安・不満・疑問などをお互いに打ち明けやすくなります。従業員の不平不満が溜まって爆発する前に対処できる可能性が高くなるため、連鎖退職を防ぎやすくなるでしょう。
適材適所の人材配置を行なう
適材適所の人材配置を行なうことも、連鎖退職の防止策として有効です。従業員一人ひとりの意向や、適性に合わせて人材配置を実施することにより、従業員のモチベーションアップにつながります。従業員のモチベーションが保たれている状態であれば、連鎖的な退職は起こりづらいでしょう。
一人ひとりに適した人材育成を行なう
従業員一人ひとりに適した人材育成を行なうことも、連鎖退職への対策となります。本人の適性や業務内容、ポジションなどに合った適切な人材育成を行なうことで、従業員の成長意欲の向上・キャリアアップにつながるためです。
適切な人材育成を通して、従業員から「この企業にいれば成長できる」「自分の望んだキャリアを形成できる」と感じてもらうことができれば、定着率も向上するでしょう。
また人材育成によって、従業員の業務スキルを一定の水準まで引き上げられれば、連鎖退職が生じてしまった際も、リカバリーしやすくなります。
上記のほかにも、従業員の離職を防止する対策はたくさんあります。離職防止策をもっと知りたいという方は、以下より「退職を防ぐ20の対策」を無料ダウンロードしていただけますので、ぜひお役立てください。
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まとめ
連鎖退職が生じる原因や防止策、連鎖退職が企業に与える影響などを解説しました。連鎖退職は「労働条件・職場環境への不満」「不適切なマネジメントの横行」などにより引き起こされます。
防止するためには「労働条件・職場環境の改善」「マネジメント層への教育の実施」といった対策を講じる必要があります。適切な取り組みを実施し、従業員満足度が高い職場環境を構築できれば、連鎖退職を防止することも可能となるでしょう。
また、従業員の定着率を向上させるためには、採用の段階で自社に適した人材を確保することも重要です。
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