人時生産性とは? 計算式や具体例、向上のポイントを解説
人時生産性とは「社員一人が1時間あたりの労働でどれだけの粗利を生み出すか」を測る指標のことです。
近年、日本は少子高齢化により労働人口が減少しています。「社員一人あたりの生産性をいかに高めるか」が企業成長の重要ポイントとなっているため、人時生産性が注目されるようになりました。
本記事では人時生産性の意味や計算式、具体例などをわかりやすく解説します。人時生産性を高めるためのポイントも紹介しますので、「自社の人時生産性を把握したい」「従業員の生産性を高めたい」とお考えの方は、ぜひチェックしてください。
目次[非表示]
- 1.人時生産性(にんじせいさんせい)とは?
- 1.1.人時生産性が注目されている理由
- 1.2.労働生産性との違い
- 2.人時生産性の計算方法と具体例
- 3.人時生産性を高めるためのポイント
- 3.1.社員一人ひとりの成果を把握する
- 3.2.人員配置を適切に行なう
- 3.3.社員のモチベーションを向上させる
- 3.4.ITシステムを活用して業務効率化する
- 4.まとめ
人時生産性(にんじせいさんせい)とは?
人時生産性(にんじせいさんせい)とは「社員一人が1時間あたりの労働で、どれだけの粗利を生み出すか」を測る指標のことです。
人時は「一人が1時間かけて完了できる作業量」を指す言葉。生産性は「投入したリソース(ヒト・モノ・カネ)に対して、どれだけの成果が得られたか」を表す言葉です。
人時生産性が高い企業は、社員一人が1時間労働した際の粗利高が高く、業績の良い優秀な企業であると評価されます。人時生産性が高い企業ほど、効率的に利益を生み出しているということです。
人時生産性が注目されている理由
近年、人時生産性が注目されている主な理由には、以下の2点が挙げられます。
- 少子高齢化による労働人口の減少
- 厚生労働省による「働き方改革」の推進
日本は少子高齢化により、労働人口が減少しています。少子高齢化には未だ効果的な対策が見つかっていないため、労働者はひと昔前よりも少ない人数で、業績を上げなくてはならない状況が続いています。
そのような情勢のなか、世界的に長時間労働を是正する動きが起こり、日本でも厚生労働省によって「働き方改革」が推進されました。
この「働き方改革」により、時間外労働の規制・年次有給休暇の取得義務化・勤務間インターバル制度の導入など、さまざまな取り組みが推進され、国内企業の働き方は近年大きく変化しています。
つまり企業としては、労働人口が減少して人手不足が危ぶまれるなかで、長時間労働の是正も行ないつつ、業績を上げていく必要が出てきたのです。
「限られた人数・限られた時間のなかで、いかに多くの成果を出すか」が企業の成長ポイントとなっているため、人時生産性の向上が注目されるようになりました。
労働生産性との違い
人時生産性と混同されやすい言葉に「労働生産性」があります。一般的に、労働生産性は「労働者一人あたりが生産できる成果」を測る指標として活用されています。
労働生産性には物的労働生産性と、付加価値労働生産性があります。物的労働生産性は、労働者が生み出した物の個数・大きさ・重さなどの物理的な量を成果物として計算する指標です。
一方、付加価値労働生産性は、労働者が生み出した付加価値を成果物として計算します。付加価値はいわゆる「粗利」と同様の意味です。たとえば果物を100円で仕入れて200円で販売した場合、差額の100円が付加価値となります。
物的労働生産性と、付加価値労働生産性の計算式は、以下の通りです。
種類 |
計算式 |
|
労働生産性 |
物的労働生産性 |
生産物の量÷労働量 |
付加価値労働生産性 |
付加価値÷労働量 |
労働量を「労働人数」にして計算すれば、労働者一人あたりの労働生産性を算出できます。労働量を「労働時間×労働時間」にして計算すれば、労働者一人1時間あたりの労働生産性を算出することが可能です。
人時生産性は、付加価値労働生産性の計算式で、労働量を「労働時間×労働時間」とした場合と同様です。つまり人時生産性は、労働生産性の一部ともいえます。
人時生産性の計算方法と具体例
続いて、人時生産性の計算式と具体例を解説します。下記の計算式と具体例を参考にして、自社の人時生産性を算出してみましょう。
人時生産性の計算式
人時生産性の計算式は、以下の通りです。
人時生産性=粗利÷総労働時間 |
粗利は売上高から諸経費を差し引いた値です。総労働時間は、業務を遂行した従業員数×時間となります。それぞれの値を計算して計算式に当てはめれば、自社の人時生産性を算出できます。
算出した人時生産性の数値が高ければ高いほど、「従業員一人1時間あたりの粗利高が高い企業」といえます。
算出した数値が低い場合は、「諸経費を削減すべきか?」「労働時間を減らすべきか?」のように、改善すべき点を検討する必要があるでしょう。
人時生産性の具体例
具体例として、以下の条件で人時生産性を計算してみましょう。
売上高 |
300万円 |
諸経費 |
100万円 |
従業員数 |
20人 |
労働時間 |
各8時間 |
それぞれの数値が上記の場合、粗利・総労働時間・人時生産性の数値は以下となります。
粗利 |
300万円-100万円=200万円 |
総労働時間 |
20人×8時間=160時間 |
人時生産性 |
200万円÷160時間=12,500円 |
人時生産性を正確に算出するためには、特定の業務にかかる従業員数や労働時間、粗利高を正しく把握しておかなくてはなりません。組織規模が大きくなるほど、実態を把握するのは難しくなりますが、勤務管理をきちんと行なって正確に計算できるようにしましょう。
人時生産性を高めるためのポイント
ここからは、人時生産性を高めるためのポイントを4つ解説します。前述したように、人時生産性は以下の計算式で求められます。
人時生産性=粗利÷総労働時間
※総労働時間=従業員数×労働時間 |
計算式を見ると、人時生産性を高めるためには「従業員数を適切に保つ」「労働時間を減らす」「諸経費を削減する」「売上を高める」などの対策が有効です。
しかし、やみくもに従業員数などを減らしてしまうと、現場の業務負担が増えて離職の原因になる恐れがあります。人時生産性の向上を目指すときは、改善点を正確に見極めることが大切です。
社員一人ひとりの成果を把握する
人時生産性を高めるにあたり、「人手を減らして人件費を抑えたほうがよいのでは?」と考える方も多いでしょう。しかし人手を減らしすぎると、現場の業務負担が増えてしまったり、優秀な社員を手放すことになったりするリスクがあります。
やみくもに人手を減らす前に、まずは社員一人ひとりの能力・成果をきちんと把握することが重要です。スキルや能力を洗い出して、社員一人あたりに出せる成果をなるべく正確に把握し、従業員数を適切に保てるようにしましょう。
人員配置を適切に行なう
社員一人ひとりの能力や特性を十分に活かせる「適材適所な人員配置」を行なうことも、人時生産性の向上につながります。人員配置を適切に行なって、「短時間でその業務を完遂できる人材」に各業務を任せることができれば、無理なく労働時間を減らせるでしょう。
社員のモチベーションを向上させる
社員のモチベーションが低下すると、生産性が悪くなってしまいます。下記のように仕事へのモチベーションを向上させる取り組みを実施し、社員一人あたりの生産性を高めましょう。
- 人事評価制度を見直す
- 社員の労働環境や待遇を見直す
- 社員がスキルアップできる取り組みを行なう
- 定期的に上司とミーティングの機会を設ける
- 部署内のコミュニケーションを活性化させる
上記のような施策を行ない、社員のモチベーションアップを図りましょう。社員一人ひとりの生産性を高めることで、組織の成果も向上しやすくなります。
ITシステムを活用して業務効率化する
ITシステムを活用して業務効率化し、労働時間を削減するのも有効です。従来アナログでやっていた業務をデジタル機器で早く・正確に行なえるようにすれば、1時間あたりの成果を高められます。
業務効率化のためRPAを活用するのもよいでしょう。RPAとはロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation)の略。今まで人間が対応していた作業をAIや機械学習等の認知技術に代行させる取り組みのことです。
新しいシステムを活用することにより、社内に新たなノウハウが蓄積されるほか、社員同士のコミュニケーションを活発化させる効果も期待できます。
まとめ
人時生産性の意味や計算式、具体例、高めるためのポイントを解説しました。人時生産性は「社員一人が1時間あたりの労働で、どれだけの粗利を生み出すか」を測る指標です。下記のいずれかにつながる対策を講じることによって、改善することができます。
- 従業員数を適切に保つ
- 労働時間を減らす
- 諸経費を削減する
- 売上を高める
人時生産性を高めることにより、長期的に経済成長できる組織を作り上げられるでしょう。
しかし、従業員数をやみくもに削減して、人時生産性の向上だけを目指し続けてしまうと、現場の負担が過剰になってしまいます。従業員の離職リスクを高めてしまう可能性があるため、本当に人手を削減するべきなのか、見極める必要があるでしょう。
企業によっては、新たな優秀人材を採用することで、生産性を向上させられるケースもあります。優秀人材を雇い入れて売上を高めれば、人時生産性を改善できるからです。
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