ジョブローテーションって?メリット、導入のポイントまで徹底解説
・ジョブローテーションってどんな制度?
・メリットは?デメリットは?
・向いている会社や職種はある?
・導入は大変?どんなタイミング・期間で実施するの?
・令和には合わない制度?
この記事では、上記の疑問にお答えします。戦略的に部署異動や担当業務の変更を行なう『ジョブローテーション』。「導入を考えている」といった経営者や人事の方もいらっしゃると思います。
とはいえ、「人事異動と何が違うの?」「本当に効果がある?」という疑問を持つ方もいるのではないでしょうか?そこで今回は、制度の概要から、メリット・デメリット、合う会社・合わない会社などを徹底リサーチ。「社員育成に失敗したくない」という方は、ぜひ本記事をお役立てください。
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目次[非表示]
- 1.ジョブローテーションとは?
- 2.ジョブローテーションの目的は?
- 2.1.会社理解
- 2.2.人材育成・能力開発
- 2.3.社内の新陳代謝アップと業務の属人化防止
- 3.ジョブローテーションが進んだ背景は?
- 4.ジョブローテーションの実施割合はどのくらい?
- 5.ジョブローテーションの実施頻度はどのくらい?
- 6.企業にとってのメリット
- 6.1.部門を超えてコミュニケーションが活発になる
- 6.2.適切な人材配置ができる
- 7.企業にとってのデメリット
- 7.1.教育・育成のコストがかかる
- 7.2.退職リスクへとつながる可能性がある
- 8.社員にとってのメリット
- 9.社員にとってのデメリット
- 10.ジョブローテーションに向いている企業・職種
- 10.1.ジョブローテーションが向いている企業
- 10.2.ジョブローテーションが向いている職種
- 11.ジョブローテーションに向いていない企業・職種
- 11.1.ジョブローテーションに向いていない企業
- 11.2.ジョブローテーションに向いていない職種
- 12.ジョブローテーションの失敗しやすいポイント
- 12.1.転換できる職種が少ない
- 12.2.ジョブローテーションにより給与が変わる
- 13.ジョブローテーションの制度導入で大切になるポイント
- 13.1.枠組みを大まかに設定する
- 13.2.対象者を決定する
- 13.3.配属先を決定する
- 13.4.対象者に伝える
- 13.5.フォローする
- 14.ジョブローテーションを成功させるポイント
- 14.1.社員にどのように役立つのかという視点から設計すること
- 14.2.ジョブローテーションの目的の明確化
- 14.3.対象者の納得度のあるかを確認する
- 15.今の時代ジョブローテーションは合わなくなっている?
- 16.入社後の活躍にお困りであれば、エン転職へご相談を!
ジョブローテーションとは?
ジョブローテーションとは、「社員の能力開発を目的にして、戦略的かつ定期的に部署異動や職務の変更を行なうこと」です。部署や勤務地が変わるケース、部署はそのままで仕事内容だけが変わるケースがあります。期間は短くて数ヶ月から半年、長くて数年とさまざまです。
(例1)営業、製造現場スタッフ、カスタマーサポートなど複数部門を経験する。
(例2)人事部のなかで、採用、研修、評価など異なる業務を担当する。
人事異動との違い
人事異動とジョブローテーションの違いは、目的です。人事異動とは、配置転換や役職を与えることなどにより、組織内での社員の役割(地位や職務など)を変えること全般を意味します。昇格、降格、役職への任命、定年退職、解雇も人事異動です。
人事異動の目的は、経営戦略にもとづく部署強化や欠員補充、組織活性です。ジョブローテーションの目的は、それらに人材育成が加わります。つまり、ジョブローテーションと人事異動では、ジョブローテーションの方がより広義なものと言えるでしょう。
社内公募との違い
社内公募とジョブローテーションの違いは、選定方法です。社内公募制度とは、会社が必要とする役職や職種などの条件を社員に公開し、希望者を公募した上で、人事配置を決定する制度。つまり、公募してきた社員の中から最もふさわしい人材を選びます。ジョブローテーションは、キャリア形成や志向性を踏まえ、全社員の中から適切な人材を選ぶ制度です。人事戦略に基づき実施されるという点では似ていますが、選定方法が社内公募とは異なります。
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ジョブローテーションの目的は?
ジョブローテーションには大きくわけて3つの目的があります。
会社理解
各部署で何をしているのか、部門ごとの課題は何か、商品やサービスの細かい特徴などは、実際に経験しなければわからないことも多いです。入社したばかりの社員ほど、その傾向は強くなります。経験を積むことで業務に対する理解も深まり、当事者として問題意識も生まれやすいでしょう。
人材育成・能力開発
短期的なジョブローテーションでは、さまざま職種や役割を経験することで、社員の早期育成や適材適所を確認することができます。また、中長期的なジョブローテーションは、ジェネラリスト育成や次世代幹部候補育成という目的で行なわることも少なくありません。このように、必要な経験やスキルを身につけてもらう目的がジョブローテーションにはあります。
社内の新陳代謝アップと業務の属人化防止
長く同じことを続けると、飽きを感じやすいものです。それを防ぐために、従事する業務を変えることもあります。また、同じ業務を同一人物が長く続けると、特定の業務の属人化が避けられません。その担当者が退職することで、仕事や会社の運営に支障をきたすこともあるでしょう。このようにジョブローテーションには、リスクを回避する役割もあるのです。
ジョブローテーションが進んだ背景は?
日本でジョブローテーションが進んだ背景には、終身雇用制度が影響しています。特に経営幹部を育てる場合、入社直後から長い時間をかけて、会社や社内事情などを理解する、人脈や俯瞰的な視野を形成することで、優秀な社員が育つという考え方が普及しました。そのため採用活動においても、ポテンシャルや人柄を考慮に入れられます。ちなみに海外では、仕事ありきで、仕事やポジションごとに人材を募集、採用、育成されることが一般的です。ジョブローテーション制度はあまり活用されていません。
ジョブローテーションの実施割合はどのくらい?
よく耳にするジョブローテーションですが、どれくらいの企業で導入されているのでしょうか。独立行政法人労働政策研究・研修機構が2017年に発表した『企業における転勤の実態に関する調査』によると、常用労働者 300 人以上の企業の過半数がジョブローテーションを導入しています。また、正社員の数が多いほど、その割合が高くなっています。
ジョブローテーションの実施頻度はどのくらい?
実施する頻度は企業によってさまざまです。また、実施目的によって適した期間も異なります。
たとえば、新入社員や入社まもない若手社員に、企業全体の把握をしてもらう、適材適所を判断する、という目的で実施する場合。一般的に3~6ヶ月など、比較的短い期間で複数の部署を経験します。一方、将来的に企業の経営を担ってもらいたい幹部候補の社員を対象とする場合は、3~5年単位など長い期間でローテーションが行なわれる傾向が強いです。
また独立行政法人 労働政策研究・研修機構が2017年に発表した「企業における転勤の実態に関する調査」によると、人事異動の頻度は「3年」が最多。ほとんどの企業が3~5年でジョブローテーションを行なっています。
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企業にとってのメリット
ジョブローテーションを導入することでどのようなメリットが得られるのでしょうか。まずは、会社側の視点から考えてみましょう。
部門を超えてコミュニケーションが活発になる
部署が違うメンバーとのコミュニケーションには、きっかけが必要です。異動者がいれば、橋渡し役となり、部署間の連携が生まれやすくなります。また、プロジェクトが始動する際に、関わりがない人といきなり密な連携をすることは難しいでしょう。社員間の交流が深まれば、より一体感のある組織が生まれます。
適切な人材配置ができる
生産性や利益を向上させるためには、人材を適材適所に配置することが重要です。とはいえ、社員がどの業務に適性があるかを見抜くには、面接やこれまでの経歴からだけでは判断が難しいケースもあります。実際にいくつかの業務を経験すれば、強みや弱みを明確にすることが可能です。これにより、社員それぞれを適材適所に配置することができます。
企業にとってのデメリット
もちろん、良いことばかりではありません。デメリットもあります。
教育・育成のコストがかかる
拠点の移動を伴うジョブローテーションであれば、転勤にかかる費用を負担する必要があるでしょう。また、経験の浅いメンバーを教えるために、教育担当者を配置する場合が多くなります。その分、人件費がかかることは頭に入れておかなければなりません。短期退職する社員が多い場合は、そのコストが回収できなくなってしまいます。
退職リスクへとつながる可能性がある
新しい仕事では、これまでの経験を活かせない、人間関係を新たに構築していかなければならないなど、配置された社員はゼロからのスタートが求められます。また、「一つの業務をじっくり経験できない」「プロジェクトを最後まで担当できない」といったことに不満を感じる社員もいるでしょう。これらの理由によって、大切な社員が退職することが考えられます。
社員にとってのメリット
ここまでは、会社視点でのメリット・デメリットをお伝えしてきました。ここからは、異動する社員側のメリットについてです。これを伝えれば、ジョブローテーションをお願いする社員からの理解を得られやすくなります。
様々なスキルを身につけることができる
幅広い専門的な知識を得ることで、多角的な視点が身につきます。また、これまで交流のなかった社員と関わることで視野も広がるでしょう。それぞれの部署や職種が業績に対してどのように貢献しているのかを理解できれば、俯瞰してビジネスを捉えることもできるようになります。これらは、実際にその業務を経験してみなければ、身につかないことも多いです。
社員にとってのデメリット
もちろん、デメリットもあります。
意欲の低下やキャリアへの不安を招いてしまう
近年では、会社より仕事内容を重視して、就職活動を行なう人も増えています。しかし、ジョブローテーションをすれば、希望する業務以外の仕事に一定期間携われない、ということを避けられません。そのため、「どうしてこの仕事をしないといけないのか」と不満を抱きやすくなります。また、一定期間で異動になるため、「目の前の仕事だけをやればいい」といった感情になることもあるでしょう。対象となった社員の様子を定期的に確認し、モチベーションが低下していないか確認しましょう。
ジョブローテーションに向いている企業・職種
メリット・デメリットがあるように、ジョブローテーションに向いている会社・職種があります。どのような企業であれば、ジョブローテーションの効果をより発揮しやすいのでしょうか。自社があてはまるか、ぜひチェックしてください。
ジョブローテーションが向いている企業
メーカーなど社内の各業務が一連の流れでつながっている場合は、前後の流れを知ることで、業務の円滑化が期待できます。たとえば、できることとできないことを理解していれば、顧客や他部署との折衝などをスムーズにできるでしょう。
また、企業文化やポリシーを浸透させたい企業も、ジョブローテーションを通して交流することで、企業が大切にしている価値観や働き方を知ることができます。特にM&Aなどにより吸収された企業は、本質的な文化が異なるでしょう。時間をかけたコミュニケーションによって、企業文化を伝える必要があります。
ジョブローテーションが向いている職種
マニュアルに従って仕事ができる、イレギュラー対応が少ない職種が適しています。これは、短期間で業務を指導・習得する必要があるためです。また社員のモチベーション維持や取引先への影響を考慮すると、一つひとつのプロジェクトの期間が短い職種も向いています。
ジョブローテーションに向いていない企業・職種
ジョブローテーションは魅力的な制度ですが、もちろん不向きな企業や職種があります。もし、こちらに自社があてはまるのであれば、無理に推進せず、他の制度を検討してみてください。いかなる人事制度にも向き・不向きがあるので、あてはまらないからと、悲観的になることはありません。
ジョブローテーションに向いていない企業
即戦力として採用した中途入社が多い会社は、ジョブローテーションに不向きです。そもそもの採用目的からずれてしまいますし、生産性向上につながらないため、避けた方が無難でしょう。
ジョブローテーションに向いていない職種
一定期間で部署が変わるため、専門知識や技能が多く求められる仕事には向きません。たとえば、職人気質が強い会社は避けたほうが無難でしょう。
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ジョブローテーションの失敗しやすいポイント
ここまで読んで、「ジョブローテーションを導入しよう」となったら、あとは実行に移すのみ。ですが、失敗しないためにも、以下の点にはお気をつけください。
転換できる職種が少ない
職務のバリエーションが少ない場合、幅広いスキルが身につくなどのジョブローテーションのメリットを受けにくくなります。例えば、外注化で仕事の種類が少ない、営業と事務しかいない会社などは、現時点での導入は避けるべきでしょう。
ジョブローテーションにより給与が変わる
生活への影響が大きくなるため、異動によって給与が大きく変動する場合は注意が必要です。給与が変動しない場合でも、異動者と異動先で働く社員の間で大きく給与が異なる場合は、不満に繋がりやすいため、注意をする必要があります。
ジョブローテーションの制度導入で大切になるポイント
ジョブローテーションを成功させるためには、入念な準備が必要です。ここでは、実施までのフローと、その段階で大切になるポイントをまとめました。
枠組みを大まかに設定する
大切なのは、計画です。やみくもに部署異動をしては、成功の確率を上げることができません。まずは、活躍する社員のパターンを分析しましょう。優秀な社員が過去に「どのような部署で、どんな業務を経験しているか」を調べてください。ここで活躍に欠かせない要素が見つかるかもしれません。
対象者を決定する
年齢や社歴、キャリアの志向性を確認して、対象者を決定します。特に、「どのようなキャリアを形成したいのか」を把握することが肝心です。スペシャリストを目指しているのか、ジェネラリストを目指しているのか。しっかりと確認しましょう。
配属先を決定する
配属先で、「どんなスキルをどのくらいの期間で学ぶのか」まで決定します。目標を設定することで、その部署で何をすべきかが明確になります。
対象者に伝える
本人に納得してもらわなければ、退職のリスクが高まります。また、不安にさせないためにも、「期待していること」を明確に伝えましょう。
フォローする
配属したら終わりではありません。定期的に面談を行ない、目標の進捗状況やモチベーションを確認しましょう。
ジョブローテーションを成功させるポイント
ジョブローテーションは人材育成の視点を持った人事異動です。そのため、社員一人一人に最適なローテーションを組むことが求められます。
社員にどのように役立つのかという視点から設計すること
大切なのは、企業本意な異動を行なわないことです。長期的な視点からみれば、たった数ヶ月でも、実際に異動する社員には負担がかかります。ジョブローテーションでは、幅広い知識や俯瞰的な視野が身につくため、そのようなキャリアを希望する社員を対象者に選びましょう。自身のキャリアにメリットがあるとわかれば、モチベーション高く仕事に取り組めるはずです。
ジョブローテーションの目的の明確化
目的があいまいな場合は、社員のモチベーション低下、キャリア形成を妨げるなどデメリットが発生しやすくなります。また目的をはっきりとさせた後は、現場と共有することが大切です。どんなにきめ細かに設計をしても、経営者や人事と現場でズレてしまえば、想定した効果を上げにくくなります。
対象者の納得度のあるかを確認する
入社の際に、特定の職種を希望してした社員もいるでしょう。また、配属された仕事が天職だと思っている人も多いはずです。希望する業務を一定期間、または、今後一切行なわないケースも生まれるでしょう。そのため、「どうして異動しなければならないのか」と不満を抱く社員も出てくるのです。仕事に対するモチベーション低下だけでなく、最悪の場合は退職につながる恐れもあります。だからこそ、対象となる社員の気持ちを必ず確認しましょう。
今の時代ジョブローテーションは合わなくなっている?
日本企業でジョブローテーションが数多く導入された理由は、長期雇用を前提に、社内を横断的に把握する「企業内ジェネラリスト」を育てるためでした。この「企業内ジェネラリスト」とは、いわば経営幹部候補です。また、組織を牽引するためには、「会社の主要部門で経験を積みながら、会社の全体像を広く知る」「幅広い人脈を構築すること」が大切だと考えられてきました。
しかし、IT技術の発達などにより、業務が高度化、複雑化しています。また、1つの会社で定年まで勤める、という価値観も変わりつつあります。このような時代の変化に照らし合わせ、ジョブローテーションは時代に合わないという声も耳にする機会が増えました。ジョブローテーションにとらわれず、柔軟に社員を育成したり、組織を作ったりすることが重要です。
入社後の活躍にお困りであれば、エン転職へご相談を!
本記事では「ジョブローテーション」について紹介してきました。しかし、ジョブローテーションは社員育成の一つの形であり、あくまで社員の活躍方法のひとつでしかありません。育成がうまくいかない原因は様々であり、1社1社、見極めていく必要があります。
育成と採用を連動して考えていくことで、早期活躍に繋がるため、育成や採用にお悩みでしたら、エン転職へぜひご相談ください。というのも、エン・ジャパンが「入社1年以内の離職率」に関する調査を行なったところ、「エン転職」経由の入社者は「他サイト」より離職率が半分以下であることが判明しました。
さらに、「転職した会社で活躍できていると実感している」「今後も転職した会社で働きたいと思っている」「転職前に抱いていたイメージとのマッチ度」「組織・風土に対する満足度」すべての項目において、エン転職は他サイトを上回る結果に。
現在世にある多くの採用サービスが「入社後活躍」の重要性を語るようになりました。ですが、口にするのは簡単でも、サービスにまで落とし込めるかは別問題です。 エン転職は、サービス開始以来、この「入社後活躍」を信念として掲げ、実現するためのサービスを追求してきました。
入社後活躍する人材の採用支援において、最も企業のお力になれるサービスは、エン転職をおいて他にいないという自負があります。以下より無料で相談可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
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