コンピテンシー評価とは? メリット・デメリットや導入手順を解説


「コンピテンシー評価」のイメージ画像


コンピテンシー評価とは、社内で高い成果を上げている人物に共通する行動特性を評価基準として、人材を評価する方法のこと。コンピテンシー評価は、人事評価だけでなく、採用選考の場でもよく活用されています。
 
本記事ではコンピテンシー評価のメリット・デメリットや導入手順、導入時の注意点などを解説します。「公平性の高い人事評価を実施したい」「採用面接で人材の内面を深堀りしたい」とお悩みの方は、本記事を参考にコンピテンシー評価を取り入れてみてください。


目次[非表示]

  1. 1.コンピテンシー評価とは?
    1. 1.1.職能資格制度(能力評価)との違い
  2. 2.コンピテンシー評価のメリット
    1. 2.1.効率的に人材育成できる
    2. 2.2.公平な人事評価を行なえる
    3. 2.3.自社の戦略に沿った人材マネジメントをしやすくなる
  3. 3.コンピテンシー評価のデメリット
    1. 3.1.導入までに多くの手間がかかる
    2. 3.2.定期的に見直しが必要
  4. 4.コンピテンシー評価を導入する手順
  5. 5.コンピテンシー評価を導入する際の注意点
    1. 5.1.評価基準や項目を定期的に見直す
    2. 5.2.行動だけでなく成果も評価する
    3. 5.3.コンピテンシーモデルを社員に押し付けすぎない
  6. 6.まとめ


コンピテンシー評価とは?

コンピテンシー評価とは、社内で高い成果を上げている人物に共通する行動特性(コンピテンシー)を基準に、人材を評価する方法のことです。
 
コンピテンシー評価は、採用選考や人事評価、人材育成などに活用されており、注目度が高まっています。たとえば、コンピテンシー評価を採用面接に導入すれば、応募者の内面を見極めやすくなるでしょう。
 
なお、コンピテンシーについては、以下の記事で詳しく解説しています。類似用語との違いや、活用シーンをより詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。


 
▼コンピテンシーとは? 類似用語との違いや面接・人事評価での活用方法

  コンピテンシーとは? 類似用語との違いや面接・人事評価での活用方法 本記事ではコンピテンシーについて、類似用語との違いや活用するメリット、具体的な活用方法などを解説します。コンピテンシーによる評価を導入する手順もご説明しますので、採用活動や人事評価にお役立てください。 エン・ジャパン株式会社



また、コンピテンシーを採用面接で活用したい方には、こちらの記事がおすすめです。具体的な質問例も紹介していますので、ぜひお役立てください。


 
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職能資格制度(能力評価)との違い

コンピテンシー評価と混同されやすい評価方法に「職能資格制度(能力評価)」があります。職能資格制度は、人材のスキル・知識・能力を重視した評価方法です。
 
対してコンピテンシー評価は、人材のスキルや能力ではなく、仕事を進めるときの考え方や行動の傾向を評価します。たとえば「他者の話を傾聴できる」「仕事を効率的に遂行できる」などがコンピテンシー評価の評価内容に該当します。
 
コンピテンシー評価と職能資格制度の違いを以下の表にまとめましたので、参考にしてください。


コンピテンシー評価

職能資格制度(能力評価)

評価基準

コンピテンシー(行動特性)

スキル・知識・能力

メリット

  • 評価基準が具体的で納得感の高い評価が可能
  • 人材育成やマネジメントに活かしやすい
  • 客観的で公平性の高い評価が可能
  • ゼネラリストを育成しやすい
  • 長期的な視点で人材を育成するのに向いている
  • 人事異動など組織の改編に活かしやすい

デメリット

  • 導入するまでに多くの時間と手間がかかる
  • 定期的に評価基準を見直す必要がある
  • 評価基準が年功序列になりやすい
  • 評価基準があいまいになりやすい
  • 評価者の主観に左右されやすい


コンピテンシー評価のメリット

続いて、コンピテンシー評価のメリット・デメリットを解説します。まずは、コンピテンシー評価の具体的なメリットを3つ見ていきましょう。


効率的に人材育成できる

コンピテンシー評価を導入すると、効率的に人材育成できる可能性が高くなります。評価基準となるコンピテンシーが、「社内で高い業績を上げるハイパフォーマーの行動特性」を抽出したものだからです。
 
コンピテンシーをもとに人材を評価し、不足している部分を成長させるための研修や育成プログラムを実施すれば、「ハイパフォーマーに共通する考え方」や「成果につながる行動の仕方」などをほかの社員も身につけられるでしょう。


公平な人事評価を行なえる

コンピテンシー評価を導入することで、人事評価の公平性が高まるメリットもあります。コンピテンシー評価は基準が明確であるため、評価者の主観に左右されない客観的な評価が可能となるからです。
 
コンピテンシー評価では、ハイパフォーマーを分析して「成果につながる行動特性は何か」を明確化し、以下のような評価項目に落とし込んで、社員一人ひとりを評価していきます。


▼コンピテンシー評価の具体例

  • 業務効率化のため日々工夫しているか
  • チームメンバーの話を傾聴できるか
  • 自分の意見を的確に伝えられるか

 
上記のように、評価する内容が明確で具体的なのが、コンピテンシー評価の特長です。評価者が、人材を客観的に評価しやすくなります。
 
評価される側も自分に足りていない行動や、改善すべき課題がはっきりするので、自身が成長するために何をすべきかわかりやすいでしょう。


自社の戦略に沿った人材マネジメントをしやすくなる

コンピテンシー評価は、数値的な成果や単なる業務スキルではなく、人材の行動特性を重視する評価方法です。
 
成果を出すための考え方や行動の仕方を評価基準に盛り込むので、自社の企業理念や経営ビジョンなどの戦略と、人事評価を関連づけやすくなるメリットがあります。

  • 自社の企業理念に沿った行動をとっているか?
  • 自社の経営ビジョンを叶えるための行動をとっているか?

 
上記のような観点を評価に加えやすくなるので、自社の戦略に沿った人材マネジメントがしやすくなります。加えて、自社の戦略を社員一人ひとりに周知させやすいメリットもあります。


コンピテンシー評価のデメリット

コンピテンシー評価は、人事評価や育成に有効ですが、導入する難易度が高いなどのデメリットもあります。


導入までに多くの手間がかかる

コンピテンシー評価のもっとも大きなデメリットは、導入する難易度が高いことです。どのような行動特性が成果につながるかは、企業によって大きく異なります。
 
企業それぞれのコンピテンシーに沿って、評価基準や評価項目を策定する必要があるため、コンピテンシー評価には特定のテンプレートがありません。

イチから評価基準や項目を策定するのは、どの会社にとっても容易ではないでしょう。コンピテンシー評価を導入するまでには、多くの時間と手間がかかることを念頭に置き、じっくりと取り組む姿勢が必要です。


定期的に見直しが必要

コンピテンシー評価における評価基準や項目は、導入後も定期的に見直しが必要となります。策定した評価基準や項目が、必ずしも正しいとは限らないため、運用改善していく手間がかかるのです。
 
また、自社のコンピテンシーは、経営状況や社会情勢など、環境の変化とともに変わっていきます。自社の状況や社会情勢の変化に合わせて、その時々に適したコンピテンシーを抽出し、評価に反映させる必要があるといえるでしょう。
 
しかし前述したように、コンピテンシーの抽出や評価基準への落とし込みには、時間と手間がかかります。頻繁に修正するのは難しいため、評価項目を多くしすぎないなどの配慮が必要となります。


コンピテンシー評価を導入する手順

続いて、コンピテンシー評価を導入するときの一般的な手順を解説します。コンピテンシー評価には特定のテンプレートはありませんが、以下の手順に沿って準備していくと、比較的スムーズに導入できるでしょう。

  1. 社内のハイパフォーマーを調査
  2. コンピテンシーモデルを作成
  3. 評価項目と評価レベルの設定
  4. 導入して定期的に改善

 
まずは、社内で高い成果を上げるハイパフォーマーをピックアップし、面談によるヒアリングやアンケート調査、適性検査などを行なってコンピテンシーを抽出します。
 
次に、抽出したコンピテンシーをモデル化した「コンピテンシーモデル」を作成。コンピテンシーモデルを基に、評価項目を定めてそれぞれに評価レベルを設定します。
 
評価レベルの設定まで完了したら、人事評価や育成、採用面接などへ実際にコンピテンシー評価を導入します。導入後は定期的に効果を計測し、必要に応じて評価レベルや項目を改善しましょう。
 
コンピテンシーによる評価の導入手順は、以下の記事でより詳しく解説していますので、準備の際にお役立てください。

 
▼コンピテンシーとは? 類似用語との違いや面接・人事評価での活用方法


  コンピテンシーとは? 類似用語との違いや面接・人事評価での活用方法 本記事ではコンピテンシーについて、類似用語との違いや活用するメリット、具体的な活用方法などを解説します。コンピテンシーによる評価を導入する手順もご説明しますので、採用活動や人事評価にお役立てください。 エン・ジャパン株式会社



コンピテンシー評価を導入する際の注意点

最後に、コンピテンシー評価を導入する際の注意点を3つ解説します。導入時に以下の3点を念頭に置いておくと、効果的な評価を実施できるでしょう。


評価基準や項目を定期的に見直す

先述したように、コンピテンシー評価における評価基準や項目は、導入後も定期的に見直しが必要です。一度策定したからといって、そのまま何年も放置していると、「評価基準が現在の自社の状況に適していない」などの状態にもなりかねません。
 
コンピテンシー評価の基準や項目は定期的に見直し、自社の採用や人事評価、人材育成に適した内容になっているか確認しましょう。


行動だけでなく成果も評価する

コンピテンシー評価は、「成果の向上に必要な行動や考え方」を身につけるために実施するものです。コンピテンシー評価を導入する本来の目的は、「高い成果を出せる社員を増やすこと」なので、本質を見失わないようにしましょう。
 
コンピテンシー評価を導入したからといって、成果を全く評価しない方針になってしまうと、社員のモチベーションが低下する可能性があります。行動特性だけでなく、数値的な成果もある程度は評価に反映させましょう。


コンピテンシーモデルを社員に押し付けすぎない

社内のハイパフォーマーからコンピテンシーを抽出し、モデル化したものを「コンピテンシーモデル」といいます。コンピテンシーモデルを作成し、ほかの社員が同様の行動特性を身につけられるよう研修などへ活用すれば、効果的な人材育成が可能となります。
 
しかし、人にはそれぞれ個性があるため、教育を施したからといって、誰もがコンピテンシーモデル通りの完璧な人材になれるわけではありません。
 
コンピテンシーモデルは、あくまでも評価基準のひとつです。コンピテンシーモデルと同じ立ち振る舞いを社員に押し付けすぎないよう注意しましょう。


まとめ

コンピテンシー評価のメリット・デメリットや導入手順、導入時の注意点などを解説しました。コンピテンシー評価は、単なる数値的な成果だけでなく、人材の行動や考え方を多面的に評価できる方法です。
 
たとえば、コンピテンシー評価を採用選考に活用すると、面接で応募者の内面を深掘りできるなどのメリットがあります。「自社で活躍できる人材を採用したい」という場合に有効です。
 
しかしコンピテンシー評価は、導入するまでに多くの時間と手間がかかります。導入を決定したからといって、すぐに始められるわけではないため、じっくり取り組む必要があります。
 
自社にマッチする人材の確保にお困りの場合は、コンピテンシーによる評価を導入する前に、まず求人の書き方を工夫してみるのもおすすめです。求人の書き方を変えると、マッチする人材からの応募を増やせる可能性があります。


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