1on1ミーティングをやめてほしい人がいる理由とは? 対処方法も解説
1on1ミーティングは、チームメンバーや部下をマネジメントするために実施される面談です。上司と部下が1対1のミーティングを行ない、キャリアに関する不安からプライベートに関する悩みまで、さまざまなテーマでコミュニケーションをとります。
一般的に1on1ミーティングは、従業員の定着率向上に役立つといわれています。しかし人によっては「1on1ミーティングをやめてほしい」と感じているケースもあるため、自社で実施するかどうかは、慎重に考える必要があるでしょう。
本記事では、そんな1on1ミーティングについて解説します。1on1ミーティングの目的やメリット・デメリット、やめてほしい人がいる理由のほか、効果的に実施する方法も解説しますので、ぜひマネジメントにお役立てください。
目次[非表示]
- 1.1on1ミーティングとは?
- 1.1.1on1ミーティングの主な目的
- 2.1on1ミーティングのメリット
- 2.1.上司が部下の不調に気づける
- 2.2.評価への納得感を高められる
- 2.3.従業員の定着率アップにつながる
- 3.1on1ミーティングのデメリット
- 3.1.現場の業務負担が増える
- 3.2.上司側に傾聴やコーチングのスキルが必要
- 4.1on1ミーティングをやめてほしい人がいる理由
- 4.1.何を話せばいいかわからないから
- 4.2.心理的安全性が低く話しにくいから
- 4.3.業務量が多いため時間を取られたくないから
- 4.4.1on1ミーティングの目的がわからないから
- 5.1on1ミーティングを効果的に実施する方法
- 5.1.目的を明確にして従業員へ周知する
- 5.2.あらかじめ話す内容を決めておく
- 5.3.上司と部下両方の心理的安全性を高める
- 5.4.1on1ミーティングに必要なスキルを学ぶ機会をつくる
- 6.まとめ
1on1ミーティングとは?
1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で実施する面談のことです。1on1ミーティングで話す内容は企業により異なりますが、業務上の不安や悩み、キャリア形成の相談、プライベートに関する話題など、取り扱うテーマは多岐にわたります。
1on1ミーティングは、普段の業務中に話しづらい内容を管理職へ相談できる良い機会です。従業員の定着率向上や、チームメンバーのモチベーションアップにつながる効果が期待できるため、定番のマネジメント手法として多くの企業に活用されています。
1on1ミーティングの主な目的
1on1ミーティングの主な目的は、マネジメントする側(上司側)とマネジメントされる側(部下側)の相互理解を深めることです。
1on1ミーティングは、人事評価面談とは異なる取り組みであるため、人材の評価を目的としません。ミーティング中に上司が部下を一方的に評価するのはやめておきましょう。
1on1ミーティングのメリット
ここからは1on1ミーティングの具体的なメリット・デメリットを紹介します。まずはメリットから見ていきましょう。
上司が部下の不調に気づける
1on1ミーティングを実施すると、上司が部下の心身の不調にすぐ気づける可能性が高くなります。近年は現場の人員不足や、デジタル技術の発展による業務の複雑化などにより、過重労働で心身の調子を崩す人が増えています。
1on1ミーティングを実施することにより、上司と部下が1対1で直接コミュニケーションをとれるため、以下のような良い状態をつくりやすくなるでしょう。
- 上司が部下の話を直接聞き、現状をチェックできる
- 心身が不調な部下に対して早めに対応策を打てる
- 部下が他のメンバーに聞かれない場所で気軽に悩みを話せる
評価への納得感を高められる
1on1ミーティングには、人事評価への納得感を高められるメリットもあります。先ほど「1on1ミーティングは人事評価面談と異なる」とご説明しました。
前述の通り、1on1ミーティングで部下を直接評価することは、おすすめしません。大切なのは1on1ミーティングで「人事評価の理由」や「評価しているポイント」などを部下へ伝えることです。
「○○という理由で△△の評価を行なった」
「あなたの○○なところをポジティブに評価している」
このように評価の理由や根拠、評価しているポイントなどを伝えることにより、人事評価の納得感を高められます。部下が想定していた評価と、上司が実際に下した評価のギャップも解消できるでしょう。
従業員の定着率アップにつながる
1on1ミーティングは、従業員の定着率アップにもつながります。1on1ミーティングを実施することにより、マネジメント層がチームメンバーへ以下のようなフォローをしやすくなるからです。
- 部下の心身の不調に対して、休養や配置転換などのケアを行なう
- 仕事やプライベートの不安や悩みを聞き、会社としてサポートできることを探る
- 部下が希望するキャリアをヒアリングし、やりたい仕事をやれるようサポートする
このほか、業績が良いゆえに放置されやすい優秀な従業員に対して、きちんと個別に声掛けやフォローができるメリットもあります。
1on1ミーティングを通して上司と部下がコミュニケーションをとり、お互いの考えや気持ちを伝え合って、相互理解を深めることで信頼関係が生まれます。良好な関係性を築き、お互いに安心して仕事ができる職場環境を整えると、従業員の定着率アップにつながります。
1on1ミーティングのデメリット
続いて、1on1ミーティングの主なデメリットを2つ紹介します。
現場の業務負担が増える
1on1ミーティングのデメリットとして、現場の業務負担が増えやすい点が挙げられます。上司側も部下側も、1on1ミーティングを実施するにあたり時間を捻出しなくてはなりません。業務過多な部署や急ぎの仕事が多い部署では、定期的に実施するのが難しいでしょう。
また、1on1ミーティングにおいて中間管理職が上司側の立場を担う場合は、特に負担が重くなりやすいため注意が必要です。多くの中間管理職は、プレイングマネージャーとして、現場業務とマネジメント業務を両方担当しています。
通常業務に加えて、1on1ミーティングの準備や部下へのフォローで忙殺されてしまい、上司側が心身の調子を崩す可能性があるのです。1on1ミーティングを定期的に実施するためには、「上司側の業務負担を他の従業員へ分散させる」などの工夫が必要といえます。
上司側に傾聴やコーチングのスキルが必要
1on1ミーティングを有意義な場とするためには、上司側に傾聴やコーチングのスキルが必要です。上司側にある程度のスキルがないと、以下のようなトラブルが起こってしまいます。
- 1on1ミーティングで部下に厳しい説教や叱責をして委縮させてしまう
- 上司側に指導力がないため、ミーティングを部下のキャリア形成に活かせない
- 上司側に傾聴の姿勢がないため、部下が悩みを相談できず離職につながってしまう
上記のようなトラブルを防ぐため、1on1ミーティングをマネジメントに活用する際は、マネジメント層へ研修やセミナーなどを実施しましょう。マネジメント層が1on1ミーティングに必要なスキルや知識、心構えを身につけることにより、面談がより有意義な時間となります。
1on1ミーティングをやめてほしい人がいる理由
1on1ミーティングは、多くの企業で導入されているマネジメント手法です。しかし1on1ミーティングを「やめてほしい」と思う人もいます。
ここからは1on1ミーティングを「やめてほしい」という人の代表的な理由を4つ紹介します。
何を話せばいいかわからないから
一般的に、1on1ミーティングは「1回30分~1時間程度/週1回~月1回程度」で行なわれます。時間や頻度にもよりますが、定期的に実施するなかで、上司・部下の両方が話題づくりに苦労してしまうケースも多く見られます。
ミーティングで話す内容が、ハラスメントに抵触しないようにするため、「部下に対して何か質問をしたくてもどう聞けばよいかわからない」とお困りのマネジメント層も多いでしょう。
心理的安全性が低く話しにくいから
1on1ミーティングをやめてほしいと思う人のなかには、上司と部下の間に良好な人間関係を築けておらず、「心理的安全性が低いから話しにくい」と感じている人もいます。
心理的安全性とは、自分の考えや意見、気持ちなどを安心して発言できる状態の度合いを表す言葉です。心理的安全性を高めるためには、以下のような言動をしないよう、お互いに気をつける必要があります。
▼心理的安全性を下げる言動の例
- 1on1ミーティング中に上司が部下を叱責・説教する
- 上司の話に聞く耳をもたないなど、部下の業務態度が悪い
- 部下の話を傾聴せず、上司が一方的にアドバイスをしてしまう
業務量が多いため時間を取られたくないから
- 人手不足で業務過多となっている
- そもそも業務量の多い部署である
- 急ぎの仕事が多い部署である
こうした状況でとても忙しく、「業務の時間を取られたくない」という理由で、1on1ミーティングをやめてほしいと思う人もいます。
特に上司側は、通常業務に加えて1on1ミーティングの準備や、部下へのフォローも行なわなくてはなりません。上司側が業務過多となり、心身の調子を崩す恐れがあるため、業務配分を見直すなどの対策を講じる必要があります。
1on1ミーティングの目的がわからないから
1on1ミーティングの実施目的を把握できていないために、「1on1ミーティングをやめてほしい」と感じている人も多いでしょう。たとえば、人事部や経営層と中間管理職との間で、以下のような「認識のズレ」が生じている場合があります。
▼人事部や経営層の考え
1on1ミーティングを活用して、従業員の離職率を下げたい。
管理職各位にはチームメンバーへ寄り添って相互理解を深め、離職の原因になりそうな悩みなどをキャッチアップして、改善できるように取り組んでほしい。
▼中間管理職の考え
1on1ミーティングは業績目標を達成するために行なっている取り組みである。
チームメンバーと「どうすれば目標を達成できるか?」を話し合う場にするべきだ。
業績の良くないメンバーには、目標必達のため積極的にアドバイスをしよう。
上記のような認識のズレが生じた場合、1on1ミーティングの本来の目的である「上司と部下の相互理解を深める」という目的は達成されません。それどころか、成果を厳しく追及されたチームメンバーが、プレッシャーに耐えかねて離職してしまう可能性もあります。
1on1ミーティングを実施するときは、上層部と現場のマネジメント層で認識のすり合わせを行ない、本来の目的を見失わないよう対策しましょう。
1on1ミーティングを効果的に実施する方法
最後に、1on1ミーティングを効果的に実施する方法について解説します。
目的を明確にして従業員へ周知する
前述したように、1on1ミーティングを実施するときは、目的を明確化する必要があります。組織の上層部やマネジメント層だけでなく、チームメンバーも含めて全従業員で認識のすり合わせを行ない、本来の目的を見失わないようにしましょう。
1on1ミーティングの目的が明確化されれば、「どのようにコミュニケーションをとるべきか」「どのような話をすべきか」といった部分も自然と明確になります。
あらかじめ話す内容を決めておく
1on1ミーティングの前に、あらかじめ話す内容を決めておくのも効果的です。ミーティングの目的に沿ったテーマを上司・部下の双方で準備しておくと、時間を無駄にすることなく有意義な話し合いができます。
1on1ミーティングをマネジメントに導入したばかりで、話題選びが難しいという場合は、定着するまで人事部や経営層がテーマを提示してもよいでしょう。
上司と部下両方の心理的安全性を高める
上司・部下両方の心理的安全性を高めることも、1on1ミーティングを効果的に行なう重要な取り組みのひとつです。上司・部下がともに良好な関係性を構築し、心理的安全性を高めれば、立場にかかわらず建設的な1on1ミーティングを実施できるようになります。
心理的安全性を高めるには、以下のような工夫をするとよいでしょう。
- 普段から挨拶や軽い雑談などを行なう
- ミーティングではいきなり本題に入らずアイスブレイクする
- 従業員が何かあったときに相談できる専用窓口を会社に設けておく
1on1ミーティングに必要なスキルを学ぶ機会をつくる
マネジメント層に研修や講習などを実施し、1on1ミーティングに必要なスキル・知識・マインドを学んでもらうのもおすすめです。
1on1ミーティングには傾聴やコーチングのスキルが要ります。マネジメント層がミーティングに必要な知識やスキルをあらかじめ学んでおいたほうが、部下の話に上手に耳を傾け、適切にアドバイスできるでしょう。
1on1ミーティングを通して部下の育成に成功し、上司が抱えている業務を引き継ぐことができれば、上司側の負担軽減にもつながります。
まとめ
1on1ミーティングの目的やメリット・デメリット、やめてほしい人がいる理由のほか、効果的に実施する方法などを解説しました。1on1ミーティングの主なメリットには「従業員の定着率向上につながる」が挙げられます。
しかし「上司と部下に信頼関係が構築できていない」などの理由で、ミーティング自体が苦痛になってしまうと、従業員のストレスや離職の原因となる可能性もあるため注意しましょう。
従業員の定着率を向上させたい場合は、採用の段階で「自社に定着しやすい人材を選べるよう工夫する」という方法も有効です。
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